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自己破産をすると、日常生活のなかにも様々な影響があります。そのなかのひとつが資格制限です。
「自己破産をするとなれない職業がある」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。正確に言えば、自己破産をするとある一定の資格を使った仕事ができなくなります。
資格を使用しない職業については、自己破産をしても引き続き仕事ができます。
一方、弁護士や司法書士などの一定の資格を使っての仕事はできません。たとえば、弁護士が自己破産をした場合、弁護士資格を使った債務手続きの代行や法律相談などはできなくなります。
一方で、資格を使わず弁護士事務所の事務員として働くことは可能です。
また、資格制限がかけられるのは一定期間です。そのため、自己破産をすると一生その職業に就けない、というわけではありません。
ただし、該当している資格を使った職業に就いている場合、自己破産をすると一時的に職を失う可能性があります。
自己破産を理由にクビにはできない
資格制限に該当しない職業の場合でも、「会社に自己破産したことがバレたらクビになるかもしれない」と心配になる人もいるでしょう。
自己破産を理由に解雇されることは原則ありません。もしも実際にクビになってしまったとしても、自己破産を理由にした解雇は不当解雇にあたり、無効となる可能性が高いです。
自己破産で仕事道具は失わない
自己破産は破産者の財産を処分し、債権者に分配をしてから借金の返済義務を免除してもらう債務整理方法です。
自己破産で処分される財産には、仕事道具は含まれません。仕事や商売道具は、自己破産の処分対象である「破産財団」に含まれないからです。
自己破産をしても、仕事で使う道具は処分されないのを覚えておきましょう。
就けない職種って何?
自己破産の資格制限によって、就けなくなる職業は以下の通りです
- 弁護士、司法書士などの士業
- 公務員の委員や委員長
- 団体企業の役員
- 会社の役員
- 代理人や後見人など法律行為をおこなう人
- その他一定の職業
弁護士、司法書士などの士業
弁護士や司法書士などの士業は、自己破産が欠格事由に該当するため資格制限の対象です。
登録されている資格から削除されてしまうので、資格を使った仕事ができなくなります。
ただし、資格を削除されるだけで剥奪されるわけではありません。自己破産をしても、資格を復権すれば再度弁護士や司法書士として働けます。
公務員の委員や委員長
公務員の職業として、公証人、人事院の人事官、都道府県公安委員会、公証取引委員会、教育委員会などは、法令によって欠格事由が定められています。
これらの役職に任命されている人が自己破産した場合、法令によって退職となります。
団体企業の役員
商工会議所、金融商品取引業、信用金庫、日本銀行、労働派遣業などの団体企業の役員は、在任期間中に破産手続きをすると解任となります。
なお、復権後は元の職業には戻れますが、役員の職からは外されます。
会社の役員
会社取締役、執行役員、監査役などの会社の役員は、自己破産をすると会社との委任契約が終了します。
代理人や後見人など法律行為をおこなう人
自己破産をすると、代理人や後見人など法律行為ができなくなります。
一定の職業
一定の金銭や資産が絡む職業は、自己破産による制限がかかりやすいです。宅地建物取引業者、貸金業者、警備員、建設業者、風俗営業者、生命保険募集員などです。
医師や看護師などは資格職でも自己破産による資格制限は受けません。一方で、警備員や生命保険募集員などは一般的な職業でも資格制限の対象となります。
自分の仕事が自己破産による影響を受けるかどうか不安な場合、自己判断はせず弁護士などの専門家に相談してみましょう。
自己破産による職業制限を受けても、一定期間のみです。その後復権すればまたその仕事に就けます。次に、自己破産による職業制限を受ける期間を解説します。
職業制限を受ける期間
職業制限を受ける期間は、自己破産の手続き開始から復権するまでです。復権とは「もうこの人は破産者ではない」ということを指します。
復権までの期間は、復権の方法などによっても異なりますが、一般的に自己破産による免責許可決定で3~5ヶ月で復権することが多いです。
復権には、「当然復権」と「申し立てによる復権」があります。
当然復権
当然復権とは、自己破産の手続きをおこなったあとに何の手続きもせず、自然に復権することを指します。当然復権となるのは、以下4つの場合です。
- 免責許可の決定が確定
- 債権者全員の同意によって破産手続きの廃止が確定
- 免責許可がおりなかったあと再生計画の許可決定が確定
- 詐欺破産罪で有罪になることなく10年が経過したとき
順に解説していきます。
免責許可の決定が確定
当然復権となるケースでもっとも多いのが、自己破産による免責許可の決定が確定した場合です。
免責許可となると、借金の返済義務がなくなります。破産者に経済的な更生の機会が与えられたことになるので、その結果として復権となります。
債権者全員の同意によって破産手続きの廃止が確定
破産者が債権者全員に破産手続きの廃止を訴え、債権者全員が同意した場合破産をしたという事実そのものがなくなります。
そのため資格制限がなくなり復権となります。ただし破産者が返済する目途が立たないうちに債権者が破産手続きの廃止を同意することは、あまりありません。
免責許可がおりなかったあと再生計画の許可決定が確定
自己破産手続きをしても、免責不許可事由に該当するなどの場合は免責が認められず借金が残ることになります。
この場合、自己破産後に個人再生手続きをする方法があります。個人再生手続きをして、再生許可が裁判所からおりた場合は復権となります。
詐欺破産罪で有罪になることなく10年が経過したとき
自己破産手続き後に免責許可がおりなくても何もしなかった場合です。詐欺破産罪に問われることなく10年間が経過すると、自動的に復権となります。
申し立てによる復権
申し立てによる復権とは、破産者自らが裁判所に復権を申し立てることです。破産者が債権者に対して、弁済を行って債権の責任を免除された場合に行います。申し立てによって復権が決定すれば復権となります。
まとめ
自己破産をすると、自己破産手続き開始から復権まで一定の資格や職業に就けなくなります。
自己破産前に、資格制限に該当する職業かどうかを確認しておきましょう。資格制限に該当する職業に就けなくなるのは、復権までの一定期間のみです。
一般的には、免責許可がおりる3~5ヶ月の間となっています。
復職となれば、再度同じ仕事に就けます。自己破産によって仕事を失わないかどうか心配な場合も、弁護士に相談してみましょう。
また、免責許可に該当しない場合は、復権までの時間が長くなってしまうだけでなく、自己破産をしても借金の返済義務はなくなりません。
確実に免責となるためにも、まずは弁護士への無料相談を活用するのが重要です。