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借金を返せない時の対処法とは?返済不能に陥った場合の末路と解決策、相談先について
目次
- 借金を返せない時の対処法とは?返済不能に陥った場合の末路と解決策、相談先について
- 借金を返せない・払えない場合はどうすればいい?状況別の対処法を解説
- 弁護士に相談して債務整理を行う
- ■債務整理の種類
- メリット
- デメリット
- メリット
- デメリット
- 個人再生が利用できる主な条件
- 任意整理のシミュレーション例
- 任意整理のメリット・デメリット
- 債務整理の比較表
- 補足事項
- 固定費を中心に、毎月の収支を見直す
- 見直したい主な費用
- ローンを金利の低いものに借り換える
- 借り換えのシミュレーション例
- 借り換えの効果
- 借り換えの注意点
- 借り換えを検討する際のポイント
- 金利の高い借金を優先して返済する
- 金利が高い傾向にある借入先の例
- ポイント
- 金利の低いおまとめローンを利用して借金を一本化する
- おまとめローンが効果的でない場合
- 借入先に返済日や返済額の調整をお願いする
- 連絡時に伝えるべきポイント
- 主要な貸金業者の連絡先・手続き方法
- 公的融資制度や給付金などの利用を考慮する
- 公的融資・給付金制度一覧
- 補足事項
- 公的融資制度利用時の注意点
- 借金を返さない人の末路はどうなるのか?返済日を過ぎてからについて解説
- 滞納から裁判、差し押さえまでの流れ
- 返済日の翌日から遅延損害金が発生
- 用語解説:遅延損害金とは?
- 遅延損害金のポイント
- 遅延損害金の計算方法
- 注意点
- 数日後には、督促の電話やメールを受けたり、督促状が郵便で届いたりする
- 最初の督促状の文面例
- 督促状がエスカレートする流れ
- 督促を止めるために
- 債権回収業務の委託や債権譲渡
- 数週間後には、訪問による取り立てが行われることも
- 貸金業法第21条の概要
- 2ヶ月が経過すると、信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリストに載る)
- 2〜3ヶ月が経過すると、催告書や一括請求の通知が届く
- 代位弁済とは
- 3ヶ月を過ぎると、裁判所から支払督促や訴状が届くことも
- 1. 口頭弁論期日呼出状
- 2. 答弁書
- 支払督促の文面例
- 差押えを防ぐための対処方法
- 支払督促や訴状を無視すると、差押えによる強制執行の可能性がある
- 借金滞納による「時効」の成立とそのリスク
- 借金を返さない人に見られる特徴
- 借金が返せなくなる理由や原因
- 借金が返せない場合の生活への影響
- 借金が返せない場合に避けるべきNG行動
- 借金返済に困ったときの対処法
- 借金が返済できない場合は、弁護士事務所に相談することを検討しよう
- 借金が返せない場合のケース別Q&A
- 結論
- 借金を返せない・払えない場合はどうすればいい?状況別の対処法を解説
借金の返済が難しい、払えないと感じた場合は、一人で悩まずに債務整理について相談することが大切です。
債務整理には自己破産だけでなく、任意整理や個人再生といった方法もあり、自分の状況に合わせて借金を減額できる可能性があります。
返済できない状態を放置し、滞納が続くと、最終的には法的措置が取られ、給与や財産が差し押さえられる恐れもあります。
借金を返せない・払えない場合はどうすればいい?状況別の対処法を解説
借金を返せない・払えない場合の対処法は、置かれている状況によって異なります。以下のように、状況別に適切な対処法を考えましょう。
- 「返済を2ヶ月以上滞納しそう・すでに滞納している」
→ 弁護士に相談し、債務整理を検討する。 - 「今月分だけ返済ができない」
→ 借入先に連絡し、返済日や返済額の調整を依頼する。 - 「毎月、返済額が少し足りない」
→ 固定費を中心に収支の見直しを行う。 - 「借金が減らず、返済が厳しい」
→ 金利の高い借金から優先的に返済する。
→ 低金利のローンに借り換える。 - 「返済中に病気や無職になってしまった」
→ 公的な融資制度や給付金を活用する。
ただし、借り換えやおまとめローンは、返済が困難な場合には効果的でないこともあります。その場合、任意整理・個人再生・自己破産といった「債務整理」と呼ばれる手段が、根本的な借金問題の解決につながることが多いです。
それでは、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
弁護士に相談して債務整理を行う
「最低弁済額しか支払えていない状態が続いている」、「滞納して督促が届いているが支払えない」といった状況では、債務整理が有力な選択肢となります。
債務整理とは、交渉や法律に基づいた手続きを通じて、借金返済の負担を軽減する方法です。債務整理には、主に以下の種類があります。
■債務整理の種類
任意整理
債権者(貸主)との交渉によって、将来利息や遅延損害金を免除してもらう手続き。
→ 毎月の返済額を減らしたい人に適しています。
個人再生
裁判所に申し立てを行い、住宅を手放さずに借金を80%〜90%減額する手続き。
→ 住宅を守りながら借金を大幅に減額したい人向けです。
自己破産
裁判所に申し立てることで、借金を全額免除してもらう手続き。
→ 返済が全く不可能な場合の最終手段です。
どの債務整理を選ぶべきか、手続きをどのように進めるべきかは、弁護士に相談して決定するのが最も適切です。
自己破産は、返済が不可能になった借金の支払い免除を目指す手続き
自己破産は、裁判所に申立てを行い、借金の支払い義務(免責)を一部を除きすべて免除してもらう手続きです。
メリット
- 借金が原則として全額免除される
- 手続きが開始されると、債権者による差押えなどの強制執行が停止される
- 免責が認められた後に得た収入や財産は、基本的に自由に使うことができる
デメリット
- 一定の価値を超える財産は回収・清算の対象となる
- 裁判所を通じた手続きや財産の回収があるため、家族や友人、会社に知られる可能性が高い
- 保証人付きの借金がある場合、保証人に一括返済が請求される
- ギャンブルなどが原因の借金については、原則として利用できない
- 手続き後は5〜7年程度、いわゆるブラックリストに登録される
個人再生は、借金額の圧縮と持ち家の維持を目指す手続き
個人再生は、裁判所を通じて借金を5分の1~10分の1程度まで減額してもらう手続きです(最低でも100万円は返済する必要があります)。
減額後の借金は、原則として3年以内(最長5年)で返済することになります。
メリット
- 借金の元金を含めて大幅に減額できる
- 手続きが開始されると、債権者による差押えなどの強制執行が停止される
- 「住宅ローン特則」を利用すれば、住宅ローン返済中でも自宅を手放さずに済む可能性がある
デメリット
- 裁判所を通じた手続きのため、家族や友人、会社に知られる可能性がある
- 手続きが複雑で、完了までに時間がかかる
- 保証人がついている借金については、保証人に一括請求がされる
- 手続き後は残債完済から5年程度、または手続き開始から7年程度、いわゆるブラックリストに登録される
個人再生が利用できる主な条件
- 将来的に継続的かつ安定した収入があり、再生計画に基づいて返済ができること
- 借金総額(住宅ローンを除く)が5,000万円以下であること
任意整理は、これから発生する利息をカットしてもらう方法
任意整理は債務整理の一つで、債権者と直接交渉し、無理のない返済計画を立てる方法です。
一般的には、将来利息(完済までに発生する利息)をカットし、残った元金を3〜5年程度で返済することを目指します。
たとえば、借金の残高が120万円の場合、任意整理を行うと次のような結果が得られることがあります(※)。
任意整理のシミュレーション例
項目 | 任意整理しない場合 | 任意整理した場合 |
---|---|---|
返済回数 | 36回 | 60回 |
毎月の返済額 | 4万1,598円 | 2万円 |
返済総額 | 149万7,524円 | 120万円 |
任意整理のメリット・デメリット
メリット
- 交渉する債権者を選べるため、家や車などの財産や保証人への影響を最小限に抑えられる
- 裁判所を通さないため、家族や友人、会社に知られるリスクが低い
- 過払い金が発生していれば、元金を減額できる場合がある
デメリット
- 借金の減額幅は他の債務整理方法と比べて小さい
- 任意整理後は、完済から5年程度いわゆるブラックリストに登録される
任意整理は、元金の減額が難しいものの、生活への影響(例えば、周囲に知られる・車が回収されるなど)が少ない点が特徴です。
また、すでに借金の滞納が続いている場合は、信用情報機関に事故情報が登録されていることが多いため、任意整理によるデメリットをあまり感じないケースもあります。
※シミュレーションの条件:
- 借入条件・返済状況:借入利率15.0%、残り返済期間3年、滞納履歴なし
- 任意整理の和解条件:将来利息全額カット、返済期間を3年から5年に延長
※注意事項:上記は一例であり、実際の返済額や条件は異なる場合があります。
債務整理には、デメリットも存在します。
債務整理のいずれの方法にも共通するデメリットとして、信用情報機関に事故情報が登録される、いわゆるブラックリスト入りがあります。
事故情報が登録されると、以下のような影響が生じます。
- 新たな借り入れやクレジットカードの作成ができなくなる
- スマホや携帯電話の分割払いが利用できなくなる
- 奨学金や未成年者のクレジットカード作成時の保証人になれない
- 賃貸住宅の契約が難しくなる場合がある
事故情報の登録期間は、債務整理の手続開始日や借金の完済日から5~7年程度(※2022年11月以前の場合は5~10年程度)です。ただし、借金を2ヶ月以上滞納した時点で事故情報は登録されるため、滞納が避けられない場合は早めに債務整理を行った方が良いこともあります。
債務整理の比較表
項目 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|---|
借金の減額幅 | 小:将来利息カット | 中:1/5~1/10に圧縮 | 大:全額免除 |
ブラックリスト期間 | 完済後 約5年 | 約5~7年 | 約5~7年 |
督促・取り立ての停止 | 〇(和解後) | 〇(申立て後) | 〇(申立て後) |
差押えの停止 | × | 〇 | 〇 |
官報への掲載 | × | 〇 | 〇 |
裁判所への出頭 | × | 〇 | 〇 |
収入の要件 | 〇 | 〇 | × |
家族・会社にバレる可能性 | × | 〇 | 〇 |
住宅の処分・回収 | × | × | 〇 |
車の回収・処分 | × | △(ローン返済中) | 〇 |
保証人への影響 | × | 〇 | 〇 |
生命保険の解約 | × | × | △(場合による) |
銀行口座の凍結 | × | 〇 | 〇 |
職業・資格の制限 | × | × | 〇(手続き中のみ) |
補足事項
- *1:弁護士に依頼すると、依頼後すぐに督促や取り立てを止めることが可能です(詳しくは後述)。
- *2:官報は、新しい法律や重要事項を国民に知らせるために発行される国の機関紙です。
固定費を中心に、毎月の収支を見直す
「毎月の返済額が少しずつ足りない…」という状況なら、一度毎月の収支を見直すことが大切です。
特に、毎月一定額がかかる固定費には、見直すことで削減できる費用が隠れていることが少なくありません。
無駄な支出を減らせば、毎月の返済資金を捻出できる可能性があります。
見直したい主な費用
- 通信費:携帯電話料金やインターネットなどの通信料金
- 保険料:生命保険、損害保険、自動車保険など
- サブスクリプション費用:動画や音楽配信サービスなどの利用代金
さらに、食費や光熱費などの変動費も、無理のない範囲で見直し、削減できる部分がないか確認しましょう。
場合によっては、副業などを検討し、収入を増やすことも一つの選択肢になるかもしれません。
ローンを金利の低いものに借り換える
「ある程度の金額を返済しているのに借入残高がなかなか減らない」と感じる場合は、金利の低いローンへの借り換えを検討することで、返済負担を軽減できる可能性があります。
ローンの金利が下がれば、毎月の返済額に占める利息の割合が減少し、借金の元金が減少するペースが加速します。その結果、支払総額の削減と返済期間の短縮が期待できます。
借り換えのシミュレーション例
例えば、以下の条件で借り換えを行うとします。
- 借入残高:50万円
- 借り換え前:A社(消費者金融カードローン、年利18.0%)
- 借り換え後:B社(銀行カードローン、年利14.5%)
- 毎月の返済額:2万円
項目 | 借り換えしない場合 | 借り換えした場合 |
---|---|---|
返済回数 | 32回 | 30回 |
支払総額 | 63万1,374円 | 59万8,870円 |
借り換えの効果
- 返済期間の短縮:返済回数が減少し、早期に完済を目指せる
- 支払総額の減額:金利が下がることで、長期的な利息の負担を軽減
借り換えの注意点
ただし、借り換えにはいくつかのリスクや注意点も存在します。
- 支払総額が増える可能性
借り換え時に毎月の返済額を減らす設定にすると、返済期間が長引き、その分利息が発生し続けるため、結果的に支払総額が増加することもあります。 - 過払い金の返還請求ができなくなる場合
既存の借金において、過去に法定金利以上の利息を支払っていた場合、過払い金が発生している可能性があります。しかし、借り換えを行うことで、過払い金返還請求の権利を失うリスクがあります。 - 審査通過の難易度
新しいローンへの借り換えには審査が必要です。返済遅延や信用情報の状況によっては、借り換えが認められないことも少なくありません。 - 根本的な解決にはならない
借り換えは返済の効率を改善する手段にすぎず、借金を「借金で返済する」ことになります。根本的な返済能力の改善には至らないため、安易に選択することは避けるべきです。
借り換えを検討する際のポイント
- 借金返済シミュレーターなどを活用し、事前に具体的な返済計画をシミュレーションする
- 金利の確認:借り換え後の金利が本当に低いか、総返済額にどれだけの影響があるか確認する
- 返済期間の設定:返済期間を延長しすぎないよう慎重に検討する
借り換えはあくまで返済の「効率化」を図る手段です。すでに借金で生活が困窮している場合は、任意整理など他の手続きも視野に入れつつ、慎重に選択を行うことが重要です。
金利の高い借金を優先して返済する
「2社以上から借り入れをしていて、なかなか借金が減らない」場合は、借入先ごとの金利を比較し、金利が高い借金から優先的に返済することを考えましょう。
金利が高いと利息が増えやすく、返済が長引くほど総返済額も大きくなってしまいます。
まとまった収入(ボーナスなど)が見込める場合は、金利の高い借金を「繰り上げ返済」や「一括返済」に充てるのも有効です。
これにより利息を軽減し、返済の見通しを立てることができるかもしれません。
金利が高い傾向にある借入先の例
ローン名 | 貸付金利(年利) |
---|---|
アコムカードローン | 3.0%〜18.0% |
エポスカードキャッシング | 18.0% |
みずほ銀行カードローン | 2.0%〜14.0% |
ろうきんカードローン(マイプラン) | 5.275%〜8.475%* |
※2023年4月時点の情報です
*団体会員・生協会員の組合員およびその家族以外の一般勤労者の場合
ポイント
- 金利の確認:各借入先の金利や毎月の返済額を再度チェックする
- 繰り上げ返済の活用:利息の軽減と返済期間の短縮が期待できる
金利が高い借金に重点的に返済を行うことで、効率的に返済を進められる可能性があります。
金利の低いおまとめローンを利用して借金を一本化する
「複数社から借り入れをしていて、利息の負担が大きく返済が厳しい」という場合、借入先を一本化する「おまとめローン」の利用が解決策として考えられます。
おまとめローンは銀行や消費者金融で取り扱われており、通常のローンやキャッシングよりも金利が低めに設定されていることが一般的です。
借入額が大きいほど利息制限法で定められた上限金利は低くなるため、複数の借入を一本化し1社からの借入額を大きくすることで、金利が下がる可能性があります。
また、返済先が1社にまとまることで、返済日や管理がしやすくなる点もメリットです。
おまとめローンが効果的でない場合
ただし、すでに毎月の返済が困難な状況では、おまとめローンが効果を発揮しないケースも少なくありません。以下のような理由があるためです。
- 審査の厳しさ
借金の一本化により借入金額が大きくなるため、審査が厳しくなり、通過しにくい傾向があります。 - 根本的な解決にはならない
おまとめローンは借金返済のために新たな借金をする行為であり、借金問題の根本的な解決にはなりません。 - 支払総額の増加
借り換えと同様に、返済期間が延びることでその間の利息が膨らみ、結果として支払総額が増える可能性があります。 - 過払い金の請求ができなくなる可能性
過去に法定金利を超える利息を支払っていた場合、過払い金が発生している可能性がありますが、おまとめローンを利用することで過払い金の返還請求ができなくなるケースもあります。
おまとめローンは返済管理の負担軽減や金利の引き下げに有効ですが、状況によってはデメリットもあります。利用を検討する際は、返済計画をしっかりと立て、慎重に判断することが重要です。
借入先に返済日や返済額の調整をお願いする
「今月だけはどうしても返済日までにお金を準備できない」という場合は、借入先に相談し、返済日や返済額の調整を依頼しましょう。
相談方法は貸金業者ごとに異なりますが、以下の手段で手続きや問い合わせが可能です。
- 利用者専用の電話番号
- 会員サイト
- 専用アプリ
連絡時に伝えるべきポイント
- 返済が難しい理由
- いつまでに返済できるか、いくらなら返済可能か
主要な貸金業者の連絡先・手続き方法
プロミス
- 電話番号:0120-24-0365
(オペレーター受付:平日9:00~18:00 / 自動音声:24時間対応) - 会員サービス・アプリ:
「今回のご返済期日についてのご相談」を選択 - 参考:ご返済について|よくあるご質問(プロミス公式サイト)
アコム
- 電話番号:0120-629-215
(受付時間:平日9:00〜18:00) - アコムマイページ:
「返済額の変更」が表示されている場合、オンラインで手続き可能 - 参考:毎月の返済金額を変更することはできますか?(アコム公式FAQ)
アイフル
- 電話番号:0120-109-437
(受付時間:平日9:00~18:00) - スマホアプリ・会員サービス:
メニューから「返済日の延期(今月のみ)」を選択 - 参考:急な出費で返済が遅れるときはどうすればよいですか?(アイフル公式サイト)
注意点
- 返済日は、状況によって2週間ほど調整できることもあります。
- 最新情報を確認し、電話番号のかけ間違いには十分注意してください(※2023年4月時点の情報です)。
連絡の際は、簡潔かつ明確に状況を伝えることが大切です。
公的融資制度や給付金などの利用を考慮する
収入減少などが原因で生活が困窮している場合、公的融資制度や給付金制度の利用が検討できます。以下の制度が主な例です。
公的融資・給付金制度一覧
制度名 | 貸付上限額 | 貸付利率(年率) | 主な利用条件 |
---|---|---|---|
緊急小口資金 | 10万円 | 無利子 | 低収入世帯*、一時的に生活に困っている場合 |
母子父子寡婦福祉資金貸付金 | 月10万5,000円*1 など | 無利息~年1.0% | 20歳未満の児童を育てるひとり親 |
総合支援資金 | 月15万円×3ヶ月(最長6ヶ月)*2 など | 無利息~年1.5% | 低収入世帯*、ハローワークで求職中、住居があること |
住居確保給付金 | 5万3,700円×3ヶ月(最長9ヶ月)*3 | なし(給付金) | 離職から2年以内、休業で収入が減少、住居喪失の恐れがある |
新型コロナウイルス対応休業支援金・給付金 | 8,355円×休業日数 | なし(給付金) | 新型コロナの影響で休業し、賃金(休業手当)が受け取れない |
補足事項
- 生活資金の例(母子父子寡婦福祉資金貸付金):
知識・技能習得期間、医療・介護期間、ひとり親家庭になって7年未満の生活支援、または失業中の生活安定資金としての貸付です。 - 単身世帯の場合の貸付上限額(総合支援資金、住居確保給付金)。
- 低収入世帯とは住民税非課税世帯(年収100万円程度)を指します。
公的融資制度利用時の注意点
- 公的な貸付制度でも、返済は必要です。そのため、「低利子で借り入れができれば生活を立て直せる」という返済の見込みが立っている場合に適しています。
- 返済が難しい状況にある場合は、後述する債務整理など他の解決方法を検討した方が良いケースもあります。
注意事項
- この記事の情報は2023年4月現在のものです。
- 実際に制度を利用する際は、各制度の公式ページで利用条件や申し込み方法を必ず確認してください。
緊急小口資金を受ける
申し込みから1週間以内を目安に、無利子で最大10万円の融資を受けられる制度です。
原則として、融資を受けた日から14ヶ月以内に返済する必要があります。
申請や問い合わせは、各市区町村の社会福祉協議会が窓口となっています。
参考:
- [緊急小口資金のご案内 – 東京都福祉保健局]
- [生活福祉資金|全国社会福祉協議会]
総合支援資金を受ける
この貸付制度は、離職や減収により日常生活の維持が困難になっている世帯を対象としています。
生活再建までの間に必要な生活費用を借りることができ、連帯保証人がいる場合は無利子、連帯保証人がいない場合は年利1.5%の利率が適用されます。
ただし、審査に時間がかかることがあるため、注意が必要です。
申請・問い合わせ先は、各市区町村の社会福祉協議会です。
参考:
- [総合支援資金のご案内 – 東京都社会福祉協議会]
母子父子寡婦福祉資金貸付金を受ける
20歳未満の子どもがいるひとり親を対象とした貸付制度です。
生活費や子どもの学校生活費、結婚資金、転居費用、親の就業支援など、幅広い用途に資金を借りることができます。
貸付利率は、借入の目的や連帯保証人の有無によって異なりますが、最高で年利1.0%となっています。
申請・問い合わせ先は、各地方公共団体の福祉担当窓口です。最寄りの窓口は、以下のページから確認できます。
参考:
- [母子父子寡婦福祉資金貸付金制度│内閣府男女共同参画局]
- [都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ(リンク集)|全国社会福祉協議会]
住居確保給付金を受ける
この制度は、市区町村ごとの基準額に基づく家賃相当額を、原則3ヶ月(最長9ヶ月)支給する給付金制度です。
対象となるのは、家計を支えている人が仕事を辞めざるをえなかった場合や、やむを得ない理由で収入が減少し、生活が困窮している世帯です。
条件として、預貯金額が基準額の6ヶ月分以下であることなどが求められますが、給付金であるため返済の必要はありません。
申請・問い合わせ先は、各地域の自立相談支援機関です。
参考:
- [厚生労働省「住宅確保給付金のご案内」]
- [自立相談支援機関 相談窓口一覧]
借金を返さない人の末路はどうなるのか?返済日を過ぎてからについて解説
借金を返さない人の末路はどのような事態が起きるのでしょうか。
滞納期間によって状況は変化し、督促の厳しさは放置するほど増していき、最終的には給与や財産の差し押さえに至る可能性もあります。
ただし、カード会社や消費者金融などの貸金業者は貸金業法に基づいて運営されているため、暴力的な取り立てが行われることはありません。
滞納から裁判、差し押さえまでの流れ
- 返済日の翌日:
- 遅延損害金が発生する
- 数日後:
- 電話やメールで督促が始まり、督促状が郵便で届く
- 数週間後:
- 督促を無視し続けると、自宅へ訪問による取り立てが行われる場合もある
- 約2ヶ月後:
- 信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆるブラックリストに載る
- 2〜3ヶ月後:
- 催告書や一括請求通知が送られる
- 3ヶ月後:
- 裁判所から支払督促や訴状が届く
- 支払督促・訴状への未対応(約2週間〜1ヶ月以上):
- 強制執行により、給与や財産の差し押さえが行われる可能性がある
借金を滞納すると、このように時間経過とともに状況は悪化していきます。早めの対応が、深刻な事態を避けるためには非常に重要です。
返済日の翌日から遅延損害金が発生
返済が遅れると、遅延損害金が発生します。
たとえ1日返済が遅れただけでも、ペナルティとして遅延損害金を支払う必要があります。
用語解説:遅延損害金とは?
遅延損害金とは、返済期日を守らなかったことに対する損害賠償金の一種です。「延滞利息」や「遅延利息」とも呼ばれることがあります。
参考:[遅延損害金とは?支払い義務や上限利率(20%)、計算方法・免除方法を解説]
遅延損害金のポイント
借金を滞納すると、通常の利息とは別に遅延損害金が発生します。
その利率は会社ごとに異なりますが、一般的には年率14.0〜20.0%と利息より高く設定されています。
遅延損害金の計算方法
遅延損害金は以下の計算式で求めることができます。
遅延損害金 = 滞納金額 × 遅延損害金利率 ÷ 365(日) × 滞納日数
例:
滞納金額が10万円、遅延損害金利率が20%、滞納日数が30日の場合:
10万円 × 20.0% ÷ 365 × 30日 = 約1,643円
注意点
- 延滞日数が長引くほど遅延損害金は増加します。
- 一括返済を求められた場合、借入残高のすべてに遅延損害金がかかるため負担が大きくなります。
遅延損害金は通常の利息よりも利率が高く、その分増加のペースも早くなるため、延滞は避けるよう注意しましょう。
数日後には、督促の電話やメールを受けたり、督促状が郵便で届いたりする
返済期日を数日過ぎると、貸金業者や金融機関から電話やメールで連絡が入ります。
最初の連絡は通常、本人の携帯電話にかかってくることが多いです。
突然の督促に驚きや焦りを感じて、つい無視してしまう人も少なくありません。
無視を続けると、次に郵便で督促状が送られてきます。
最初の督促状の文面例
最初の督促状は、一般的に丁寧な内容が多く、次のような形式で届くことがあります。
お忘れではありませんか?
拝啓 日頃より格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
お客さまのお支払日は毎月〇〇日となっておりますが、
本日に至ってもまだご入金の確認ができておりません。
もしお忘れでございましたら、本状がお手元に届き次第、すみやかに今回ご請求金額をお支払い願います。
お支払いが遅れますと、契約の継続が困難になる場合もございますのでご注意ください。
敬具
(支払残高・問い合わせ先情報)
督促状がエスカレートする流れ
督促状は送付回数が増えるごとに、文面の内容も次第に厳しくなっていきます。
さらに督促状を無視し続けると、次は自宅の固定電話や職場へ連絡が入る可能性があります。
業者は通常、個人名を使って連絡を行いますが、何度も繰り返し連絡があると家族や職場の人間に怪しまれるのは避けられません。
督促を止めるために
この時点で督促の連絡に応じ、返済期日を調整したり支払いを約束すれば、督促はストップします。
しかし、何も対処しなければ督促が止まることはありません。
早めに対応することで、状況の悪化を防ぐことが重要です。
債権回収業務の委託や債権譲渡
債権回収会社に債権譲渡や回収業務の委託が行われることがあり、場合によっては弁護士に債権回収業務が委託されることもあります。
督促業務は債権者にとって負担が大きいため、専門の債権回収会社(サービサー)に債権譲渡や回収業務の委託がされることが一般的です。
また、債権者が弁護士に業務を委託するケースもあります。
このような場合、債務者は突然、見知らぬ会社や弁護士から督促を受けることになります。
そのため、通知を確認せずに架空請求と誤解してしまうこともあるため、十分に注意が必要です。
数週間後には、訪問による取り立てが行われることも
上記の連絡をすべて無視し続けると、貸金業者の担当者が自宅を訪問することがあります。
ただし、この際に執拗な返済の要求や恫喝行為などは法律違反です。
貸金業法第21条に基づき、訪問が許されるのは日中などの常識的な時間帯に限られています。
貸金業法第21条の概要
貸金業者やその委託を受けた者が債権回収を行う際、以下のような行為は禁止されています:
- 人を威迫する行為
- 社会通念に照らして不適当と認められる時間帯(内閣府令で定める時間帯)に、正当な理由なく電話・FAX送信や自宅訪問をすること
出典:貸金業法 – [e-Gov法令検索]
しかし、訪問時に同居している家族が対応すれば、家族に借金滞納の事実が知られてしまう可能性は高いでしょう。
貸金業者が行わないこと
貸金業者の取り立てには、貸金業法第21条に基づき、以下のような規制が定められています。
- 人を威迫したり、私生活や業務の平穏を害するような言動の禁止(柱書)
- 午後21時から午前8時までの間に、電話・FAX・訪問による取り立てを行うこと(1号)
- 勤務先や実家など、居宅以外の場所に電話・電報・FAXを送ったり訪問すること(3号)
- 訪問時に退去を求められたにもかかわらず退去しないこと(4号)
- 張り紙や立て看板を使い、借り入れなどの私生活上の事実を債務者以外の人に明らかにすること(5号)
- 債務者に対し、他から金銭を借りて返済するよう要求すること(6号)
- 債務者以外の人に、債務者の代わりに弁済を要求すること(7号)
- 債務者以外の人に取り立てへの協力を要求すること(8号)
- 弁護士や司法書士に債務整理を依頼した後、正当な理由なく取り立てを行うこと(9号)
- これらの行為をすると債務者に告げること(10号)
さらに、相手が債務者であっても、刑法に抵触する行為を行えば刑事罰が科されます。
具体的には:
- 暴力を振るった場合 → 暴行罪(刑法208条)
- 傷害を負わせた場合 → 傷害罪(刑法204条)
- 遠洋漁業への強制従事や風俗業務の強要 → 強要罪(刑法223条)
通常の貸金業者であれば、これらの違法行為を行うことはありません。
2ヶ月が経過すると、信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリストに載る)
返済期日から2ヶ月(61日)以上滞納すると、その滞納の事実が信用情報機関に事故情報(異動情報)として登録されます。
これは、一般的に「ブラックリストに載る」と呼ばれる状態です。
この状態になると、他の貸金業者から新たにお金を借りることができなくなります。
滞納によって登録された事故情報は、借金を完済してから約5年間保持されることになります。
ブラックリスト状態に陥った場合のリスクとその期間
ブラックリスト状態になると、自分名義でクレジットカードを作ることはできなくなり、住宅ローンなどの銀行ローンも利用できません。
さらに、サラ金からのキャッシングも不可能となり、他人の借金の保証人になることや、スマホ端末代金の分割払いもできなくなります。
一度延滞情報が登録されてブラックリスト状態になると、基本的には延滞状態を解消するまでその情報は登録され続けます。
また、延滞状態を解消したとしても、その後1〜5年程度は記録が残り続けるのが一般的です。
つまり、借金を2〜3ヶ月間延滞し、内容証明郵便が届く頃にはブラックリスト状態となり、その後数年以上にわたってローンやクレジットカードが利用できない状態が続くことになります。
2〜3ヶ月が経過すると、催告書や一括請求の通知が届く
借金の滞納が2〜3ヶ月続くと、貸金業者や金融機関から「催告書」や「一括請求の通知」が内容証明郵便(※)などで送られてきます。
催告書は、督促状よりも重い内容であり、法的措置を検討している旨が記載されています。
一方、一括請求の通知には、「借金残額の一括返済」と「遅延損害金の請求」が含まれており、借金残高すべてに遅延損害金が上乗せされて請求されることになります。
毎月の返済が難しい状況であれば、借金残額と遅延損害金を一度に返済するのは非常に困難でしょう。
また、他の業者から新たに借り入れを申し込もうとしても、この段階ではすでに事故情報が登録されているため、審査に通る可能性は極めて低いです。
そのため、貸金業者から一括請求の通知を受けて返済が難しい場合は、できるだけ早めに弁護士などの専門家に相談することが重要です。
この時点で専門家に依頼すれば、督促を止めることができ、差押えを回避することが可能になります。
※内容証明郵便とは
文書の内容や差出人、宛先、郵送した年月日および事実を公的に証明できる郵便サービスです。
法的証拠として利用できる点が大きな特徴です。
滞納が続くと、一括請求が行われる理由
そもそも、お金を借りた側(債務者)が貸した側(債権者)に対して借金を分割返済できるのは、「期限の利益」があるからです。
期限の利益とは、債務者が借金などの債務について、期限が到来するまで返済をしなくてもよいという権利(利益)のことを指します(民法第136条1項)。
しかし、借金の滞納などで、貸金業者や金融機関との契約に定められた「期限の利益の喪失条項」に該当すると、債務者が持つ分割払いの利益は失われます。
その結果、貸金業者や金融機関から一括返済を求められることになります。
内容証明郵便には、差押えの効果はないという点
ただし、内容証明郵便そのものには差押えなどの法的効力はないため、この段階で即座に差押えが実行されることはありません。
内容証明郵便は、郵便局が文書の内容を証明する郵便の一種であり、確実に請求した証拠を残すために利用されます。
また、送付することで相手に心理的なプレッシャーを与える狙いもあります。
代位弁済とは
借金には、債権者が保証会社による保証を付けている場合があります。
この場合、貸金業者は保証会社に代位弁済をしてもらい、その後、保証会社が求償権という権利に基づき、新たな債権者として督促を行うことになります。
債務者には、以下の通知が届くことになります:
- 代位弁済の実行予告
- 代位弁済が実行された旨の通知
- 保証会社からの請求
通知の内容をよく確認しないと、何が起きているのかわからず、聞き覚えのない会社からの請求を架空請求と誤解してしまう可能性があります。
そのため、通知が届いた際は注意が必要です。
3ヶ月を過ぎると、裁判所から支払督促や訴状が届くことも
一括請求の通知を無視し続けると、貸金業者や金融機関が裁判所を通じて督促を行う可能性があります。
貸金業者や金融機関が裁判所に申立てを行うと、裁判所から債務者宛てに「支払督促」や「訴状」が特別送達という特殊な郵便で送られてきます。
これらの通知を無視して対処しない場合、差押えが目前に迫っていると言えるでしょう。
訴状が届いた場合、答弁書の提出と出頭が必要
訴状には、以下の2種類の書類が同封されています。
1. 口頭弁論期日呼出状
指定された日時と場所(裁判所)への出頭を命じる書類です。
債務者は必ずその指示に従う必要があります。
2. 答弁書
訴状に対する意見を書き、裁判所に提出するための書類です。
債務者が分割払いを希望する場合、答弁書に「分割払いを前提とする和解手続きを希望する」といった内容を記載して提出する必要があります。
これらの書類に書かれた指示には必ず従う必要があります。
もし債務者が裁判に出席しない場合、欠席裁判となり、通常は債権者の請求が全面的に認められる判決が下されます。
判決が出ると、債権者は差押えの申し立てを行うことが可能になります。
支払督促が届いた場合、2週間以内に異議申立てを行う必要がある
支払督促とは、裁判所が借金などの債務を負っている人(債務者)に対し、滞納した借金の支払いを命じるものです。
貸金業者など(債権者)から送られてくる督促状と比べて、より厳しい文面となっています。
支払督促の文面例
支払督促
当事者の表示、請求の趣旨・原因は、別紙記載のとおり。
債務者は、請求の趣旨記載の金額を債権者に支払え。
債務者が支払督促伝達の日から2週間以内に督促異議を申し立てない場合、債権者の申立てにより仮執行の宣言をする。
(年月日)
(裁判所・裁判所書記官名など)
差押えを防ぐための対処方法
債務者が差押えを止めるためには、督促異議申立てを行い、分割払いなどの支払い条件を相手方に申し出て和解する必要があります。
支払督促が届いてから2週間以内に異議申立てをしないと、「仮執行宣言付支払督促」が届きます。
その後も異議申立てをしなければ、最短2週間で財産の差押えが実行されることになります。
参考:[支払督促|裁判所]
支払督促や訴状を無視すると、差押えによる強制執行の可能性がある
強制執行による差押えとは、裁判所の命令により強制的に財産が取り上げられることを指し、その効力は絶対的です。
差押えの対象となる財産は幅広いですが、優先的に差し押さえられるのは給与であり、その次に預貯金が対象となることが一般的です。
差押えが実行されると、日常生活に深刻な影響を及ぼします。さらに、借金の元金と遅延損害金をすべて返済するまで、差押え状態は解除されません。
ここまで事態が進むと、家族や職場の同僚など、周囲の人々に借金の事実を隠し通すことは極めて困難となるでしょう。
銀行口座にある預金や貯金は、全額差し押さえられることになる
銀行口座の差押えでは、口座内の預金が強制的に回収されます。
一度回収された後に新たに入金された金額は差し押さえの対象にはなりませんが、債権者が裁判所に再度申し立てを行えば、請求額に達するまで繰り返し差し押さえられる可能性があります。
毎月、給与の一定額が差し押さえられることになる
給与は差押えの対象として最も優先順位が高い財産です。
原則として、手取り額の4分の1までが差し押さえの対象となります。
ただし、手取り額が44万円を超える場合、そのうち33万円を超える部分は全額差し押さえられる可能性があります。
また、給与の差押えが実行される際には、裁判所から勤務先に直接通告が行われるため、借金滞納の事実が勤務先に知られてしまうことは避けられません。
一定額以上の現金や自宅、車などの財産が差し押さえられる場合もある
給与や預金口座を差し押さえても請求額に達しない場合、自宅や自宅内の現金(66万円以上)、さらに車やバイクなどの財産が差し押さえられる可能性があります。
ただし、債務者が生活できなくなるような財産は、原則として差押禁止財産に定められています。
例えば、大型テレビや冷蔵庫などの家財道具は、同じものが2台以上ある場合、1台を残して差し押さえられるケースもあります。
借金滞納による「時効」の成立とそのリスク
次に、借金を滞納した際の「時効」とそれに伴うリスクについてご説明します。
借金に関する時効
借金を滞納し、長期間放置した場合、時効が完成することがあります。つまり、借金を返済せずに一定期間が経過すると、時効によって返済の義務がなくなる可能性があるのです。これは、借金を請求する権利である貸金返還請求権に消滅時効が存在するためです。
借金の時効期間について
- 一般の貸金業者や銀行などからの借り入れの場合、時効期間は5年です。
これは、最終返済日の翌日から数えて5年が経過すると時効消滅することを意味します。
銀行カードローン、クレジットカード、サラ金のキャッシング、住宅ローンなどの借金は、こちらに該当します。 - 一方で、個人からの借金や信用金庫などからの借り入れの場合、時効期間は10年です。
最終返済日の翌日から数えて10年が経過した時点で、借金は時効消滅します。
借入先によって時効期間が異なるため、滞納した借金の内容をしっかり確認することが重要です。
時効に関連するリスク
それでは、借金をして5年または10年の間返さずに放置していた場合、必ず支払い義務がなくなるのでしょうか?
時効には更新(または中断)の制度が存在する
実は、そんな都合の良いことにはなりません。なぜなら、時効には「更新」という制度が認められているからです。
時効の更新とは、時効の進行が一旦停止し、時効期間が最初から巻き戻ることを指します。
時効が更新されると、それまでの時効期間の進行はなかったことになり、ゼロから数え直しとなります。
このルールは以前、「時効の中断」と呼ばれていました。しかし、「中断」という言葉が「時効が途中で止まる」と誤解されやすかったため、2020年4月1日の民法改正により「時効の更新」へと変更されました。
たとえば、カードローンで借金をして4年が経過した時点で時効が更新されると、そこからさらに5年が経過しない限り時効は完成しないことになります。
さらに、時効の更新が繰り返されると、永遠に時効が完成しない可能性もあるのです。
時効が更新される理由
時効の更新事由としては、以下のものが挙げられます。
- 債務承認
- 裁判上の請求
- 仮差押や仮処分
債務承認とは、借金があることを認めること
債務承認とは、借金があることを認める行為を指します。口頭で認めるだけでも債務承認になりますし、何も言わずに借金の一部を支払った場合も同様です。
例えば、1,000円の利息を支払っただけでも債務承認とみなされます。債権者から「今、返済分を払えないなら少しでもいいから入金してほしい」などと言われ、1円でも支払ってしまうと債務を認めたことになり、時効が更新されるため注意が必要です。
裁判による請求のリスク
裁判上の請求とは、訴訟や調停によって貸金請求が行われることを指します。訴訟で判決が出ると、その判決が確定した時点から10年間、時効が延長されます。
借金を滞納している場合、債権者に居場所を知られていないこともありますが、それでも裁判を起こされる可能性は十分にあります。
なぜなら、裁判を起こす際に「公示送達」という方法があるからです。
公示送達では、相手方の住所が不明な場合、裁判所内の掲示板に掲示を行うことで、相手に書類が送達されたとみなされます。この方法では、裁判所の掲示板に「裁判が起こっています」という貼り紙がされるだけで、本人が知らない間に判決が出されてしまうこともあります。
つまり、借金を滞納していると、自分が知らない間に裁判をされて時効が延長されている可能性があるということです。
このリスクを考えると、長期滞納して時効の完成を待つことは、あまり得策とは言えません。
親族、友人、会社から借りたお金を返さない場合の結果
貸金業者以外にも、親族・友人・会社から借金をしているケースもあります。
親族や友人からの借金を返さない場合、当然ながら信頼を失うことになります。特に友人の場合、SNSで晒されるといったリスクも考えられるでしょう。
会社からの借金については、勤務中であれば給与から天引きされることが多いため、強制的に返済する形となります。
しかし、退職後も借金が残っている場合、会社からの信頼を失う結果になるでしょう。
ヤミ金融から借りたお金を返さない場合の結果
以上は通常の貸金業者からの借り入れに該当する内容です。
しかし、ヤミ金融から借りた場合、返済しないことによる末路はさらに過酷なものとなります。
ヤミ金融とは、貸金業登録を受けずに営業し、利息制限法や出資法の上限利率を守らずに貸金業を行っている業者のことを指します。
ヤミ金融への返済が遅延すると、借り入れ時に伝えた親族や会社へ、執拗な電話による脅迫やいやがらせを行います。
さらに、FAX送信や、ピザ・寿司などの宅配便を送りつける、あるいは110番・119番通報をするなどのいやがらせも行われます。
もちろん、これらの行為は貸金業法違反であり、刑法にも抵触する違法行為です。
この結果、親族からの信頼を失い、職場にも迷惑をかけることで、自主的に退職せざるを得なくなるといった末路をたどることになります。
なお、暴力行為や遠洋漁業、風俗業務への強制従事などは、ヤミ金融が行うイメージがありますが、実際にはこれらの直接的な行為を行うことは逮捕につながるため、実態としてはほとんど行われていないのが現状です。
借金を返さない人に見られる特徴
借金を返さない人には、以下のような特徴が見られます。
生活全般においてルーズな傾向がある
お金に関することだけでなく、生活全般がルーズであることが特徴です。
具体的には、時間を守らない、お金以外の借りた物を返さない、約束を守らないといった点が挙げられます。
断りづらい理由を使って嘘をつき、お金を借りる
本来とは違う目的でお金を借りる際、断りづらい理由を使って嘘をつくことがあります。
例えば、実際は浪費に使うつもりでありながら、「親の治療費が必要」や「お金を盗まれて生活できない」といった嘘をつくケースです。
依存症を抱えている
パチンコなどのギャンブルやアルコール依存症がある人は、借金を返さない傾向があります。
これは、借金返済よりもギャンブルを続けることやお酒を飲むことを優先してしまうためです。
借金が返せなくなる理由や原因
借金を返せなくなる原因や理由としては、次のようなものが挙げられます。
支出が増加した・予期しない支出
支出が増加したり、急な支出が発生することで、借金の返済が困難になることがあります。
例えば、これまで地方で働いていたものの、急に東京で仕事をすることになり、毎月の家賃が大幅に上がってしまうケースが考えられます。
また、子供が生まれることで配偶者の収入が減少し、同時に支出が増えることもあります。
さらに、冠婚葬祭や家賃の更新料の支払い、交通事故による自動車の買い替えなど、突発的な支出が原因で借金の返済が難しくなることもあります。
収入が減少した・無くなった
収入が無くなったり減少することが原因で、借金を返せなくなるケースがあります。
例えば、病気や怪我で仕事ができなくなった場合や、会社が倒産した場合には、収入が無くなることになります。
このような状況でも、労災給付、失業保険、障害手当などの収入補助を受けられる場合がありますが、これらの補助は通常、働いているときの収入よりも少ないことがほとんどです。
そのため、これまでの収入を当てにして生活費や返済を考えていた場合、これらの補償だけでは返済が難しくなることがあります。
また、すぐに転職できたとしても、多くの場合、従来と同じ給与水準の仕事に就くのは難しく、返済が困難になるケースが多いです。
さらに、失業だけでなく、残業カットや残業のない部署への配置転換によって収入が減少し、返済ができなくなる場合もあります。
不必要な支出
無駄遣いが過ぎることで、借金の返済ができなくなる場合があります。
例えば、返済計画を考えずに旅行に行ったり、大型家電やブランド品を購入することで、返済しきれないほどの無駄遣いをしてしまうケースです。
また、ギャンブルやアルコール依存症がある場合、本来返済に充てるべきお金をギャンブルに使ったり、お酒の購入に充ててしまうこともあります。
借金が返せない場合の生活への影響
借金を返せない場合、生活にはどのような影響があるのでしょうか。
ブラックリストに載ると、できなくなることが多くなる
上述のようにブラックリスト状態になると、借り入れやクレジットカードの申し込み・更新ができなくなるほか、携帯電話を分割払いで購入することも不可能になります。
例えば、急にお金が必要になっても借り入れはできず、スマートフォンを新しい機種に乗り換える際には、分割払いではなく一括払いで購入する必要があります。
また、自動車ローンが利用できないため、自動車の買い替えを考える場合は、事前に貯金をしておく必要があります。さらに、従来のETCカードも利用できなくなります。
ただし、事前に入金するデビットカードや、デポジット制度を利用したETCパーソナルカードは引き続き使用可能です。
督促が続き、常に不安で落ち着かない状態が続く
借金が返せなくなった時から、電話や書面による督促が続くことになります。 これらは精神的な負担が大きく、常に落ち着かない日々**を過ごすことになるでしょう。
給与が差し押さえられると、手取り額が大幅に減少する
裁判を起こされ、強制執行として給与の差し押さえを受けると、給与の手取り額の1/4が会社から債権者へ支払われることになります。
そのため、手元に残るのは3/4のみとなり、手取り額が大幅に減少することになります。
これによって、従来から苦しかった生活がさらに厳しい状況に追い込まれてしまうでしょう。
借金が返せない場合に避けるべきNG行動
借金を返せないときに絶対に避けるべきNG行動は、以下の通りです。
さらに借り入れを行う
借金返済のために新たな借り入れをすることは、実はNG行動です。
例えば、A社から限度額50万円を借り入れ、その返済日に返済できない場合、次にB社から借り入れてA社へ返済するケースがあります。
この場合、A社への返済は一時的にクリアできますが、今度はB社への返済が必要になります。
さらに、B社の限度額まで借り入れをすると、次はC社から借り入れをすることになり、結果としてA社・B社・C社とそれぞれの返済日が異なるため、毎月複数回の返済に追われ、金策を繰り返すことになります。
これは多重債務に陥った際によく見られる行動ですが、返済のために借り入れを続けても、借金は膨らむ一方です。
抜本的な解決に向けた行動を取らなければならないため、このような行為はNG行動だと言えます。
そのまま放置する
借金を返せないときにやってはいけないことの1つ目は、放置することです。
借金が返せない状況で、そのまま放置してしまう人がいます。
しかし、その結果、遅延損害金が膨大に増え、毎日のように督促を受けることになります。
さらに、最終的には裁判を起こされ、強制執行に至ることは、これまでお伝えした通りです。
住所を移して逃げる
借金を抱えた際に夜逃げを検討する人がいます。
このとき、住所の移転手続きを行った場合、戸籍の附票を取り寄せれば移転後の住所が債権者に知られてしまうため、裁判を起こされる可能性があります。
これを避けるために、元の住所地で転出手続きをせずに、場所だけ移転する形で夜逃げをするケースもあります。
しかし、現在では就職する際に住民票やマイナンバーの提出が求められるのが一般的です。そのため、これらが発行できなくなると、できる仕事が限られることになります。
つまり、夜逃げをしたとしても、新しい生活を送ることは非常に難しいと考えるべきでしょう。
借金返済に困ったときの対処法
借金返済に悩んだときの対処法としては、以下の方法が挙げられます。
親族に経済的な支援をお願いする
親族に経済的援助をしてもらい、貸金業者への返済を済ませた上で、親族に少しずつ返済していく方法も検討しましょう。
親族からお金を借りている状態であれば、利息がかからないため、返済の負担が大幅に軽減され、非常に楽になります。
貸金業者に相談し、一時的に返済を猶予してもらう
貸金業者に相談し、一時的に返済を軽減してもらうことを検討しましょう。
例えば、冠婚葬祭や家賃の更新などで一時的にお金が足りない場合や、急な失業で新しい仕事が見つかるまで失業手当では返済が難しいといった状況では、貸金業者が一時的に利息の支払いのみを認めるなど、返済を軽減する措置を取ってくれることがあります。
返済できない理由が一時的なものである場合には、貸金業者に早めに相談してみましょう。
借金が返済できない場合は、弁護士事務所に相談することを検討しよう
借金が返せず困った場合、一人で抱え込まずに相談することがとても重要です。
借金の悩みは、以下の表のように深刻度によって適した相談先が異なりますが、返済が難しいレベルに達したら、弁護士に相談して早めに解決を図ることをおすすめします。
相談先と相談内容
相談先 | 相談内容 |
---|---|
家族や身内 | ・借金返済のための節約に協力してほしい ・少額の場合、借金を一時的に肩代わりしてほしい ・自分に万が一のことがあったときのため、情報を共有しておきたい |
公的機関の窓口 | ・借金問題の深刻度を判断したい ・自力で返済するためのアドバイスが欲しい |
弁護士をはじめとする法律の専門家 | ・自力での返済が厳しくなってきたため、対処法を考えたい |
弁護士に相談することで、以下のメリットがあります。
- 債務整理が必要かどうか、どの方法が適しているかを判断してもらえる。
- 相談後すぐに債務整理を依頼でき、受任通知によって債権者からの督促が止まる。
- 債務整理における複雑な手続きや交渉を代理で進めてもらえる。
なお、司法書士も法律の専門家であり、借金問題について相談することは可能ですが、対応できる業務範囲が限られている点には注意が必要です。
次の項目では、弁護士に相談するメリットについて詳しく解説します。
借金問題は、できるだけ早く相談することが重要
弁護士への相談は、早ければ早いほど良いといえます。
その1つ目の理由は、借金を滞納し、支払いが遅れるほど遅延損害金が膨らんでいくためです。
遅延損害金とは、契約通りに返済しなかったことに対する損害賠償金で、法定利率は元本に対して5%ですが、貸金業者と特別な約定を結んでいる場合は、さらに高い利率を求められることがあります。
2つ目の理由は、財産が差し押さえられる前に適切な対処ができる点です。
弁護士が早期に介入することで、差し押さえの対象になりそうな財産も、適切な対応によって守れる可能性があります。
債務整理を行うべきか、またどの方法を選択すべきかについて判断してもらうことができる
支払いが苦しく困っている状態では、債務整理が必要かどうかを冷静に判断することは、自分一人では難しいケースが多いでしょう。
さらに、前述した債務整理の方法には、それぞれメリット・デメリット、および適用できる条件が異なります。
法的知識がない人にとって、自分に適した方法を選び、スムーズに進めるのは非常に困難です。
そこで、債務整理案件の解決実績が豊富な弁護士に事情や状況を相談することで、自分に合った借金問題の解決方法を提案してもらうことができます。
また、債務整理が不要な状況であれば、無理に手続きを勧められることはないため、安心して相談してください。
債務整理を依頼すると、受任通知により債権者からの督促が停止する
弁護士に債務整理を依頼すると、受任通知が債権者に送付され、原則として督促が止まります。
受任通知とは、弁護士が依頼を受け、代理人として債務者に代わり対応する旨を債権者に伝える書面です。
この受任通知を受け取った場合、貸金業者は債務者本人への取り立て行為をやめなければならないことが法律で定められています。
参考:貸金業法第21条(取立て行為の規制)
貸金業者や委託を受けた者は、債務者が弁護士や司法書士に依頼した旨の通知を受け取った場合、正当な理由なく、以下の行為をしてはならないとされています。
- 電話や電報、FAXによる取り立て
- 訪問して弁済を要求する行為
借金の返済が滞納し、すでに督促が始まっている場合でも、受任通知が送られることで取り立てが止まり、生活の立て直しがしやすくなるでしょう。
債務整理の複雑な手続きや交渉を代理で進めてもらうことができる
債務整理の手続きや交渉は、弁護士に依頼せずに自分で行うことも不可能ではありません。
しかし、実際にはやるべきことが多岐にわたるため、債務者自身で進めるのは難しいのが現実です。
一方で、弁護士に依頼すれば、依頼者の代理人として手続きや交渉を代わりに行ってくれます。
その結果、手続きにかかる期間も、自分で行うより短く済むことが多いでしょう。
過払い金が返還される可能性がある
2010年6月17日以前に借り入れを開始した方は、過払い金が戻ってくる可能性があります。
過払い金とは、法律で定められた上限を超えて払い過ぎた利息のことです。
2010年6月18日施行の貸金業法改正以前、貸金業者は利息制限法の上限金利を超える「グレーゾーン金利」で貸付をしていました。
しかし、弁護士が貸金業者から取引履歴を取り寄せ、利息制限法に基づいて引き直し計算を行うことで、ケースによっては過払い金が発見され、貸金業者に返還請求を行うことが可能です。
過払い金返還請求を行えば、借金がゼロになるだけでなく、払い過ぎた利息が戻ってくることもあります。
また、過払い金が発生していなかった場合でも、引き直し計算をする過程で借金が減額されるケースもあります。
司法書士に借金相談はできるが、業務には制限がある
司法書士も債務整理業務を取り扱っているため、借金について相談することは可能です。
しかし、債務整理に関しては法律で権限が制限されているため、以下の点に注意が必要です。
- 司法書士は、自己破産や個人再生の手続きにおいて、債務者の代理人にはなれません。
そのため、裁判所への申立てや裁判所とのやり取りは、債務者本人が行う必要があります。 - 司法書士は、1社あたり140万円超の借金に関する案件を受けることができません(司法書士法第3条)。
初回相談は無料、弁護士費用の分割払いが可能な弁護士も
弁護士への相談を費用面でためらっている方にお伝えしたいのは、「初回相談料無料」や「弁護士費用の分割払いが可能」な弁護士も多く存在するということです。
弁護士の敷居は決して高いものではなく、親身になって柔軟な対応をしてくれるケースが多いです。
借金が返せない場合のケース別Q&A
借金が返せない状況や理由は、人それぞれ異なります。
さまざまな理由で借金が返せない場合の対応方法について、疑問を解消していきましょう。
個人間での借金が返せない場合、どう対処すべきか?
個人間の借金問題を解消するには、以下の3つの方法が考えられます。
- 毎月の収支を見直し、返済が可能か検討する
- 貸主との話し合いを行う
- 債務整理(個人再生、自己破産)を実施する
基本的な考え方は、貸金業者からの借金と変わりません。
交渉の際には、弁護士に間に入ってもらうことも可能です。
法律の専門家が介入することで、交渉が感情的にならず、スムーズに進む場合もあるでしょう。
ただし、個人間の借金には貸金業法が適用されないため、弁護士に依頼しても取り立てを禁止することはできない点に注意が必要です。
また、自己破産後であっても、個人からの合法的な取り立て行為については、弁護士に依頼しても止めることはできません。
ギャンブルやFXによる借金が返せない場合でも債務整理は可能?
借金の理由に関わらず、債務整理は利用可能です。
ただし、自己破産の場合、ギャンブルや株、FXなどで作った借金は免責(返済免除)が認められないケースがあります。
これは、先に述べた免責不許可事由に該当する可能性があるためです(破産法第252条)。
しかし、免責不許可事由がある場合でも、必ずしも免責が認められないわけではありません。
裁判所が借金額や個々の事情を考慮し、免責を認める「裁量免責」という制度もありますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
一方で、任意整理は免責許可が必要ないため、原則として借金理由を問わず利用することが可能です。
個人再生も同様に利用できますが、任意整理や個人再生では、交渉や手続き後も返済が続くため、返済可能な収入が必要です。
また、個人再生を利用するためには、以下のような条件があります。
- 借金総額(住宅ローンを除く)が5,000万円以下であること
- 過半数の債権者の同意を得ること(小規模個人再生手続の場合)
どの債務整理の方法が適しているかは、弁護士に相談して判断するのが良いでしょう。
うつ病で借金が返せない場合、どのように対処すべきか?
うつ病になると働けなくなり、抱えている借金の返済が難しくなることがあります。
また、双極性障害(いわゆる躁うつ病)の場合、躁状態の際に購買衝動に駆られてしまい、借金が膨らむケースも少なくありません。
このような場合は、まず医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。
そのうえで、弁護士に相談し、債務整理を進めることが借金問題の有力な解決策となります。
うつ病やその他の病気でも債務整理は可能です。収入の見通しが立たない状態であれば、自己破産が有力な選択肢となるでしょう。
また、生活が困窮している場合には、先に紹介した公的貸付制度や給付金の利用、さらに生活保護の受給が選択肢となります。
うつ病の程度によっては、障害年金が受給できるケースもあります。
参考:障害基礎年金お手続きガイド – 厚生労働省
一方、現在就業しているものの休職中の場合には、傷病手当金の受給が可能なケースも多いため、職場で確認してみると良いでしょう。
無職で借金が返せない場合、どのように対処すべきか?
無職でも債務整理を行うことは可能です。
多くの場合、収入の見込みの有無によって、任意整理と自己破産のどちらを選ぶかが決まります。
- 収入の見込みがない状態では、自己破産が選択肢となります。
- 一方、収入の見込みがある場合は、任意整理が可能なケースもあります。
収入の見込みがあるとは、以下のような状況を指します。
- 今後の就業や就職によって安定した収入が見込める
- 家族の援助を受けられる
- 配偶者や家族からの生活費でやりくりができる
ただし、債務整理には費用がかかるため、費用の工面が不安な場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助業務を活用することも検討しましょう。
法テラス・サポートダイヤル
- 電話番号:0570-078374
- 受付時間:平日9時〜21時、土曜9時〜17時
参考:法テラス・サポートダイヤル|法テラス
生活保護を受けている場合で借金が返せない時、どう対処すればよいか?
生活保護費を借金返済に充てることは禁止されています。
これは、生活保護が生活費や教育費など最低限必要な費用のために支給されるものであり、借金返済を目的としているわけではないからです。
しかし、生活保護を受けていても借金の返済義務がなくなるわけではありません。
そのため、取り立てが続く場合があり、生活保護費が預金口座にある場合には、差し押さえられる可能性もあります。
生活保護を受給している状態で借金がある場合、多くのケースで自己破産が必要となるでしょう。
会社の借金が返せない場合、どう対処すればよいか?
会社名義の借金が返済できなくなった場合、まずは以下の公的制度を利用して経営回復が可能か検討し、それでも難しい場合は、債務整理案件の解決実績が豊富な弁護士に相談して最適な方法を見つけることが重要です。
利用可能な公的制度
- 納税の猶予(参考:納付の猶予制度関係|国税庁)
- セーフティネット貸付(参考:経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)|日本政策金融公庫)
- セーフティネット保証(参考:セーフティネット保証制度概要|中小企業庁)
- 緊急経営安定貸付け(参考:緊急経営安定貸付け|小規模企業共済(中小機構))
- 経営セーフティ共済(参考:経営セーフティ共済|経営セーフティ共済(中小機構))
- マル経融資(参考:マル経融資(小規模事業者経営改善資金)|日本政策金融公庫)
会社の借金を返せず、6ヶ月以内に2度の不渡り(支払い資金不足など)が発生すると、銀行取引停止処分に至ります。
その場合、会社の借金を処理する方法は大きく分けて「私的整理」と「法的整理」の2つがあります。
- 私的整理:各債権者と交渉し、借金返済について任意に交渉する方法(任意整理のような手続き)
- 法的整理:裁判所に申立てを行い、借金を減額・免除する方法(破産・特別清算・民事再生・会社再生など)
さらに、それぞれの手続きには次の2種類があります。
- 再建型:会社の存続を前提とする手続き
- 清算型:会社の消滅を前提とする手続き
会社を存続させるか、廃業するかによって、適切な方法を選択する必要があります。
経営者個人の責任について
日本の中小企業では、経営者が会社の借金の連帯保証人になっていることが多いため、会社を消滅させたとしても、経営者個人の自己破産が必要となるケースも少なくありません。
経営者が破産した場合、ブラックリスト入りとなり、5〜7年程度は個人名義で経営資金の借り入れができなくなるため、再起業に影響が出る可能性も考えられます。
廃業と倒産の違い
「廃業」や「倒産」という言葉は、法的な用語ではありませんが、意味は次の通り異なります。
- 廃業:経営者自身が事業を終えることを自主的に決定した状態
- 倒産:企業が債務の支払い不能や、経済活動の維持が困難になった状態
自営業や個人事業主が借金を返せない場合、どのように対処すればよいか?
自営業や個人事業主で借金の返済ができなくなった場合、まずは公的制度の利用が可能かどうかを検討しましょう。
それでも事業の立て直しが難しい場合は、債務整理によって借金を減らすことができるか考える必要があります。
前述の通り、事業を運営している経営者や事業主がブラックリストに載ることには、大きなデメリットがあります。
そのため、債務整理案件に詳しく、解決実績が豊富な弁護士に相談することが適切な判断といえるでしょう。
家族の借金が返せない場合、どのように対処すればよいか?
お金を借りた本人(債務者)が借金を返せなくなった場合でも、家族が返済義務を負わされることは原則としてありません。
家族であっても、債務者以外の人に返済の肩代わりを求めることは、貸金業法によって原則として禁止されています(貸金業法第21条7項)。
ただし、以下のケースでは家族に返済義務が生じるため、注意が必要です。
- 債務者の財産などを家族が相続した場合
- 家族が保証人や連帯保証人になっている場合
- 債務者が家族名義で借金をしていた場合
また、債務者と家計を同一にしている状況では、債務者が借金を返せずに給与や預金口座が差し押さえられると、生活に大きな支障が出ることは避けられません。
家族に借金がある場合の対応は、その本人が存命中か亡くなっているかによって異なります。
この点については、以下で詳しく解説します。
家族が亡くなっている場合、弁護士などの専門家に相談する
亡くなった家族の借金が判明した場合は、できるだけ早く弁護士などの法律の専門家に相談することをおすすめします。
相続放棄の条件が整えば、残された借金の返済義務はなくなります。
一方で、相続放棄ができない場合には、債務整理を検討することになるでしょう。
相続放棄が可能な条件は、原則として以下のとおりです。
- 借金のある故人の死を知ってから3ヶ月以内(※)に手続きを行うこと
- 故人の銀行口座からお金を引き出したり、その他の遺産を処分・換金・使用していないこと
- 故人の借金を返済していないこと
※3ヶ月以内に財産や借金の調査が終わらない場合は、家庭裁判所に申し立てることで期間延長が可能です。
家族が存命の場合、本人に債務整理を考えてもらうよう促す
借金のある家族が存命中の場合、まずは借金を抱えている本人に債務整理を検討してもらいましょう。
家族を含む他人が債務整理を進めることは、原則として認められていません。
ただし、病気などの事情で本人が手続きできない場合は、成年後見制度の利用を検討することになるでしょう。
参考:成年後見制度・成年後見登記制度Q&A|成年後見制度・成年後見登記制度|法務省
また、家族が保証人や連帯保証人になっている場合は、借金を抱えた本人と一緒に債務整理を行う方が良いケースもあります。
学生で借金が返せない場合、どう対処すればよいか?
学生が借金を返せなくなった場合でも、基本的な対処法は前述のとおりです。
ただし、債務整理を行う際は、未成年(18歳未満)の場合、親や後見人などの法定代理人の同意が必要になるため注意が必要です。
なお、債務整理後はブラックリストに登録されますが、奨学金の受給や就職に影響が出ることは基本的にないといえます。
結論
会社の休業や倒産などの社会的な事情、または健康状態や病気といった個人的な理由により、収入の減少から借金を返せなくなるケースは増加傾向にあります。
借金の返済ができず滞納している場合は、債務整理に強い弁護士に相談することがおすすめ
また、弁護士に相談する際は、債務整理を得意とする弁護士に依頼することをおすすめします。
医師に内科や外科、小児科といった分野があるように、弁護士にもそれぞれ得意分野が存在します。
現在では、インターネットを利用して簡単に弁護士を検索できるため、借金が返せない、払えないとお悩みの方は、ぜひ債務整理に強い弁護士に相談してみてください。