裁判はしたほうが過払い金を多く取り戻せる?

より多くの過払い金を取り戻すには裁判をした方がいい?
裁判って費用や期間もかかるみたいだし、大変なのでは……

過払い金をどれくらい取り戻せるかは、借入をした消費者金融やカード会社との交渉次第です。

裁判をするには裁判費用などが必要になり、交渉で解決する場合と比べて期間が長くなることも多いですが、より多くの過払い金を取り戻せる可能性は高まります

この記事では、過払い金請求で裁判に至るケースの説明や、実際に裁判をした場合のメリットやデメリット、かかる期間や費用など、誰もが気になる疑問にお答えしていきます。

どんな時に過払い金請求で裁判になる?

過払い金を取り戻す方法は、借入先の会社と直接話し合って返還を求める「任意交渉」と、訴訟を起こして取り戻す「裁判」があります。

任意交渉で解決するのが望ましいですが、以下のような場合は裁判になる可能性も考えられます。

  • 借入先の会社が交渉に応じてくれない場合
    弁護士が交渉しても応じない借入先の場合裁判を起こして返還請求する場合もあります。
  • 交渉時に借入先の会社が提示した金額や期限、方法に納得できない場合
    借入先の会社の中には、返還額の減額や、返還期日の先延ばしを要求してくるところもあります。
  • 妥協点が無く、交渉では話がまとまらない場合
    返還額や返還期日に対して借入先の会社が繰り返し反論するような場合、交渉による和解が難しくなります。

このような状況で、借金をした本人が納得できない場合、裁判を起こすことになります。

借金をした本人がある程度の金額が戻ってくればいい、業者側も交渉に応じてくれる、という状態であれば任意交渉での和解を目指すことも可能です。

過払い金請求裁判は取り戻せる金額は増える?

過払い金の返還を求める裁判を起こすメリットは、任意交渉で和解した場合よりも取り戻せる過払い金の額が増える可能性が高いことです

任意交渉のメリット

  • 比較的短期間(2〜5ヶ月程度)で過払い金が返還される
  • 裁判費用がかからない

裁判のメリット

  • 取り戻せる過払い金の金額が任意交渉よりも多くなる(〜100%+利息)

過払い金元本に対して一律年5.0%(2020年4月1日以降に発生した過払い金の場合は年3.0%)の利息が発生します。

しかし、任意交渉では、自主的に利息分を返還してくれる業者はほとんどありません。

過払い金と利息の全額を取り返したいなら、裁判が必要になるでしょう

過払い金請求裁判のデメリットは?返還までの期間は長い?

過払い金請求の裁判は、返還額が増える可能性がある一方で以下のようなデメリットもあります。

裁判のデメリット

  • 任意交渉よりも過払い金が返還されるまでの期間が長い(4〜8ヶ月程度)
  • 裁判費用がかかる
1 任意交渉よりも過払い金が返還されるまでの期間が長い
裁判になった場合の平均的な期間は4~8ヶ月程度です。

任意交渉は2〜5ヶ月程度ですが、借入先の姿勢によっては和解まで進まず、裁判より長引く場合もあるかもしれません。

2 裁判費用がかかる

裁判を起こす場合、代理人を依頼する弁護士などの専門家の費用や裁判費用もかかります

専門家に支払う過払い報酬は、任意交渉より高額になる場合もあります。

弁護士や認定司法書士といった専門家に依頼せず個人で裁判を起こすこともできます。

しかし、裁判では訴状など複雑な必要書類の準備や、裁判所への出頭が必要です。

費用がかかったとしても、専門家に依頼した方が手間もかからず、より多くの過払い金を取り戻せる可能性が高いです。

過払い金請求裁判にかかる費用はどれくらい?

過払い金請求裁判にかかる費用は、大きく分けて裁判費用と弁護士や司法書士などの専門家費用の2種類あります。

それぞれどのような費用なのかを細かく見ていきましょう。

裁判費用

裁判費用とは、裁判にかかる実費のことです。

予納金であるため裁判を起こした側が負担することになります。しかし、判決で勝訴すれば金融機関に請求できます。

かかる費用の詳細に関して以下にまとめましたので確認して見ましょう。

  • 印紙代
    裁判申立ての手数料として訴状に貼る収入印紙代です。費用は請求する過払い金の額によって変わります
  • 予納郵券
    裁判を起こすには必要書類を2通ずつ用意して裁判所に提出します。
    そのうち1通は借入先(被告)に郵送されるため、そのための郵券(郵便切手)の代金を一旦申立人(原告)が負担するのです。金額は裁判所によって異なります
  • 代表者事項証明書
    過払い金請求の裁判では、借入先の法人となるため、法務局で「代表者事項証明書」を取り寄せる必要があります。
    手数料は書面請求で1通600円、オンライン請求なら送料込みで500円です

弁護士や司法書士などの専門家費用

弁護士や認定司法書士を代理人として立てた場合に支払う費用です。

依頼する事務所によっても異なりますが、相談料、着手金、報酬金などがかかります。

例えば、弁護士の場合は、日弁連規定に上限の目安が定められており、解決報酬金は1社あたり2.2万円(税込)、減額報奨金は借金減額分の11%(税込)が上限となっております。

過払い報酬は、任意交渉で解決した場合は回収額の22%、裁判で解決した場合は27.5%が上限になっています。

相談料や着手金を無料としている事務所もありますので、過払い金請求にかかる費用が不安な場合は相談した時に支払い総額の相談をして見ましょう。

過払い金請求裁判の流れ

過払い金請求裁判では、過払い金の返還を求める原告として、借入先の会社を訴えることになります。

どんな流れで裁判が行われるのかを具体的に見ていきましょう。

STEP.1
裁判所に訴状を提出する

まずは原告として、訴える内容を書いた訴状を管轄の裁判所に提出しましょう。

返還を求める過払い金の額が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所が管轄となります。

被告側は受け取った訴状に対して「答弁書」を裁判所に提出します。

これは、訴状の内容への反論や主張などが書かれたものです。

その後、原告には第一回口頭弁論の日時や和解の有無などを記入する「照会書」が届くので、必要箇所を埋めて裁判所に返送します。

STEP.2
裁判を進める

訴状を提出してから約1ヶ月後に、裁判所で第一回口頭弁論が開かれます。

原告は出頭して訴状の内容を陳述、被告人は答弁書の内容を陳述しますが、被告は前もって答弁書を提出していれば当日は欠席してもかまいません。

ここで和解できなければ、この先も月に一度のペースで口頭弁論が行われます。

原告と被告は各期日の前にそれぞれの主張や反論を書いた「準備書面」を提出することになるでしょう。

また、裁判と並行して、被告側の業者との和解交渉も行われます。

任意交渉の時に比べると、業者側は返還額や返還期限を譲歩してくる傾向にあるため、先方の提案に納得できれば判決を待たずに和解することも可能です。

STEP.3
判決が出る

月に一度の口頭弁論で原告と被告が互いに主張・反論を繰り返し、議論が十分なされたと裁判官が判断すれば判決が言い渡されます。

過払い金請求裁判の場合、4~5回の口頭弁論の後に判決が出るケースが多いようです。

判決後、被告側には判決に基づいた金額を入金するよう督促が行きますが、万が一支払いに応じない時は強制執行の手続きが必要になる場合もあります。


この記事のまとめ

過払い金を全額取り戻したい気持ちかあるけど、裁判までするのは大変じゃない?と思う人も多いかと思います。

しかし、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することで、すべての手続きを任せることができ、時間や手間をかけずに裁判を進めることができます。

過払い金請求は弁護士と司法書士のどちらに依頼しても、代理人として交渉や裁判をしてもらえます。

しかし、司法書士が対応できるのは1社あたり140万円以下の過払い金のみです。

裁判は自分で行うこともできますが、必要書類を揃えたり借入先の会社とやりとりするためには、過払い金請求に関する知識や手間が必要です。

また、裁判所への出頭日は平日のみに限られてしまうため、仕事や生活にも少なからず影響が出てしまいます。

過払い金があるかもしれないと思ったら、早めに専門家に相談しましょう。