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あける
任意整理ってどんな手続き?
目次
任意整理とは、弁護士が借入先の金融機関と話し合って借金をした人にとって無理のない返済プランにする手続きです。
具体的には、借金にこれからかかる将来利息を減額し、元金を約3~5年で返済できるような計画を立てます。
つまり、月々の支払負担額の軽減をして自分の力で借金問題を解決していく方法です。
裁判所を通さない手続きのため、自己破産や個人再生など他の債務整理手続きと比べてデメリットも少なく、生活への負担も一番少ない手続きです。
そのため、債務整理手続きをする人の中で、約8割と利用者が一番多い手続きです。
以下は司法統計データから引用した令和元年度の債務整理利用者数です。
債務整理の利用者人数(令和元年度) | |
---|---|
任意整理 | 不明(推定200万人以上) |
個人再生 | 12,764人 |
自己破産 | 73,095人 |
任意整理は、裁判所を通さない手続きなので、司法統計のような正確な数値は存在しません。しかし、年間約200万人が利用していると言われています。
任意整理のメリット・デメリット
任意整理の最大のメリットは元金のみを返済になるので、返済した分借金が減っていくことです。
まずは、メリットとデメリットを比較してみましょう。
- 利息をカットし、元金のみの返済に集中できる
- 返済総額を減らすことができる
- 元金を減らすことができる可能性がある
- 3~5年で借金を完済できる見通しが立つ
- 業者からの催促が止まる
- 整理する借入先を選ぶことができる
- ブラックリストに登録され、約5年間新しくクレジットカードを作成したり、ローンを組んだりできなくなる。
借金の返済が苦しくなり、返済の先が見えなくなる要因として利息の存在が挙げられます。
特にリボ払いの借金に悩んでいる人は、高い利息に悩まされ返済の先が見えないという方が多いでしょう。
任意整理手続きでは、利息をカットして返済を元本のみの返済にします。
結果、返済総額は減り、毎月の返済額も減ります。減額手続き後は元金のみの返済になるため、毎月支払った額の分借金残高が減っていきます。
そのため、完済までの道のりがクリアになります。
また、任意整理をする借入先を選ぶことができるというメリットもあります。
「保証人に迷惑をかけたくない」という場合や、「車のローンが残っているが乗り続けたい」という場合は対象の借入先を任意整理から外すこともできます。
デメリットとしては、任意整理をすると、約5年間信用情報機関に記録が残ることです。
いわゆるブラックリストに入ることです。この期間中は新しくクレジットカードを作ったり、住宅ローンやキャッシングができません。
任意整理と個人再生や自己破産の違い
任意整理と他の債務整理手続きの違いを表にまとめましたのでご覧ください。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
借金の 減額度 |
★★☆☆☆ 原則、利息のみ |
★★★★☆ 1/5程度まで減額 |
★★★★★ 全額免除される |
手続きの 難易度 |
★★☆☆☆ 専門家に依頼すれば手続きはそれほど必要ない |
★★★★☆ 書類作成や裁判所への出廷などが必要 |
★★★★☆ 書類作成や裁判所への出廷などが必要 |
デメリットの 多さ |
★☆☆☆☆ ブラックリストに載る |
★★★☆☆ ブラックリストに載る 官報に掲載される 債権者を選べない (住宅以外の)ローン支払い中の財産は失う |
★★★★☆ ブラックリストに載る 官報に掲載される 債権者を選べない 家や車などの財産を失う 職業や資格に制限がかかる |
手続き期間 | ★☆☆☆☆ 約1~3ヶ月 |
★★★★☆ 6~12ヶ月 |
★★★☆☆ 3~6ヶ月 |
手続きにかかる費用 | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
保証人への影響 | ★☆☆☆☆ 任意整理の対象から外した債務については影響なし |
★★★★★ 返済義務が移る |
★★★★★ 返済義務が移る |
バレる危険性 | ★☆☆☆☆ (債権者1人につき) |
★★☆☆☆ 基本バレない |
★★☆☆☆ 基本バレない |
表から分かる通り、借金をした人の状況によって選ぶ手続きは変わってきます。
任意整理とほかの債務整理手続きで大きく異なる点は「裁判所を介さない」ということです。
そのため、裁判所を介する個人再生や自己破産のように大きなデメリットはありません。
一方で、任意整理で望めるのは将来利息のカットによる減額のみになります。
個人再生や自己破産の場合、裁判所を介する手続きのため、減額幅は大きくなります。
ただし個人再生や自己破産のように減額幅が大きいほど、デメリットや生活への負担も大きくなっていきます。
任意整理をする条件って何があるの?
任意整理をする上で条件はあるのでしょうか。任意整理は、借入先の金融機関などと交渉して借金の返済額や返済方法を決める手続きです。
そのため借金の理由や借金額が問われることはありません。しかし、金融機関に任意整理に応じてもらうには、一定の条件が存在します。
以下の3点です。
- 3~5年で返済できる支払い能力がある
- 返済するという意思
- 金融機関からの借金
任意整理は借金返済の負担軽減はしますが、手続き後に返済自体は継続します。そのため、減額した後の元金は必ず返済しなければなりません。
つまり、無収入の人や生活保護の人は任意整理できない場合もあります。
ただし定職に就いていない場合でも、1年程度勤務していて収入が安定している場合や専業主婦や学生でも夫や親の収入が安定している場合は任意整理可能です。
また、金融機関からの借金ではない税金や罰金などの場合、債務整理手続きをしても減額対象にはならないので注意が必要です。
任意整理に向いてるのはどんな人?
任意整理のメリットやデメリット、その他特徴についてお伝えしてきました。では、任意整理に向いている人はどのような人なのでしょうか。
任意整理に向いている人の特徴を以下にまとめましたので、確認してみましょう。
- 借金総額が年収の1/3を超えている
- 借金をしていることを家族にバレたくない
- 毎月の返済が滞りがち
- 返済していても借金残高が減らない
- 数社から借り入れしている
- 仕事で忙しいので手間をかけたくない
任意整理に向いている人は、リボ払いのように利息がかさんでしまい、完済の目処が立たないという人が多いです。
上記にあるものにひとつでも当てはまる状態になっている場合、完済できない可能性が高いです。
先が見えない返済が苦しい生活を続けてしまうと、自己破産以外に選択肢がない状況になってしまいます。
生活への負担を最小限にするためにも、まずは現在の借入総額からいくら減額可能なのか、シミュレーションをしてみましょう。
任意整理手続きの流れ
任意整理手続きで最初にするのは専門家探しです。
弁護士にも専門分野があります。そのため任意整理をする際には、債務整理に強い専門家を選ぶ必要があります。
自分で選ぶのが不安という方は、法テラスで紹介してもらうのもいいでしょう。
インターネット等で専門家を探し、初回相談の予約をします。初回相談の場合無料で行ってくれる専門家がほとんどなので、安心して申し込みましょう。
安心して任せられる専門家が決まったら、委任契約を結びます。
委任契約の際、着手金が必要となります。専門家によって金額は異なりますが借入先1社につき4~5万円が相場です。
契約まで済めばその先の手続きは専門家が進めてくれるので、自分自身で行うことはほとんどありません。
また、委任契約を行うと借入先の金融機関に「受任通知」が発行され返済や督促がストップします。
借入先の金融機関から送られた取引履歴をもとに、利息制限法に基づいた引直計算を行い過払い金が発生していないか確認します。
引直計算によって過払い金が認められた場合は、借金の返済に充てられ、それでも余った場合手元に戻ってくる可能性もあります。
依頼した専門家が借入先の金融機関との和解交渉をします。
交渉は、将来利息の免除と元本を3~5年で長期分割返済にし、月々の返済額を無理のないものにするという方向で進められます。
和解が成立すると、和解契約が締結されます。
交渉によって減額に成功した場合借入先の金融機関に「減額前後の差額やそれ以外の金銭要求はしない」という約束を取り付けてもらえるので安心して元本の返済に臨めます。
任意整理にかかる期間はどのくらい?
和解までにかかる期間はおよそ3ヶ月です。
しかし、借入先の金融機関に直接交渉をするので、金融機関が交渉に応じてくれない場合や利息のカットを拒否している場合等で手続き期間が伸びてしまうこともあります。
手続き期間は3ヶ月ですが、専門家に任意整理手続きの依頼をした時点で借入先の金融機関からの督促はストップします。
任意整理に必要な書類ってどのくらいある?
任意整理手続きに必要な書類は以下の通りです。
書類名 | 取得方法 |
---|---|
クレジットカードやキャッシュカード | すぐに用意できるもの |
印鑑 | |
預貯金通帳 | |
住民票 | 市町村役場の窓口で取得 |
給料明細・源泉徴収票 | 会社の給与担当者に問い合わせ |
債権者一覧表 | 借り入れをしている業者がわかれば、弁護士や司法書士が作成 |
専門家に依頼する際の最低限の書類はクレジットカードやキャッシュカード、印鑑、預金通帳の3つです。
残りのものは手続きをしながら専門家と一緒に作成する書類になります。
任意整理の場合はこの程度ですが、個人再生や自己破産の場合は裁判所を介した手続きになるので、書類の数も多くなります。
任意整理にかかる費用ってどのくらい?
任意整理にかかる費用は依頼する専門家によってことなりますが、下の表にある金額が相場です。
不安な方は無料相談の際に専門家に直接聞いて見るのも手です。
費用 | 金額 |
---|---|
相談料 | 基本0円 |
着手金 | 借入金融機関1社あたり0~3万円 |
基本報酬 | 借入金融機関1社あたり3~5万円 |
過払い成功報酬 | 戻った分の20% |
任意整理の手続きを依頼してから完了するまでは借入先への返済がストップされます。そのため、手続き中に弁護士費用を貯めておくこともできます。
無料相談などを活用し、費用の支払い方法については無理なく支払えるよう依頼先の専門家に相談して明確にしておくことが重要です。
任意整理の後の生活って不便?
では、任意整理は手続き後の生活にどのような影響があるのでしょうか。
減額された借金の返済
任意整理手続き後は返済計画通りに減額された後の元本を返済していくことになります。
返済の仕方としては
- 自分で借入先に振り込む
- 弁護士・司法書士を通して借入先に送金してもらう
という二つから選ぶことになります。
弁護士や司法書士を通して送金すると、約1,000円の送金手数料がかかります。
任意整理後に金融機関とやり取りするのは気がひけると思います。弁護士に送金して貰えば何件も振り込み作業を行う手間も精神的負担もないのでぜひ利用しましょう。
日常生活への影響
任意整理だけでなく、どの債務整理手続きをしたとしてもブラックリストに登録されます。
任意整理の場合は約5年間で解除されます。ブラックリスト期間中は、以下のことができなくなります。
- クレジットカードや住宅ローンが利用できなくなる
- カードローンやキャッシングが利用できない
- 携帯電話やスマホ購入する際、分割払いができない
ブラックリストは5年で解除されます。なので、手続き後一生クレジットカードが使えなくなるということはありません。
クレジットカードやローン、キャッシングが利用できないのは不便だと思います。
しかし、現金や収入の範囲で生活する習慣を身につけるチャンスなので有効活用していきましょう。
ブラック期間中クレジットカード使えないと不安・・・
ネットショッピングや各種支払いなど、クレジットカードが使えないと不便だし嫌だと思う方も多くいると思います。
そのような方でもクレジットカードと同じように使えるのが以下のようなシステムです。
- デビットカード
購入と同時に銀行口座から引き落とされるため、銀行口座があれば審査が不要。 - プリペイドカード
事前に入金するため、審査は不要。 - 家族カード
家族内の別の人が本会員であれば可能。 - 「LINE Pay」「PayPay」などスマホ決済
プリペイド式や銀行口座からの引き落としが可能。
この中でも特におすすめなのは「LINE Pay」などのスマホ決済です。Amazonや楽天といったECサイトでも利用でき、債務整理をしている人の中でも利用率が高い傾向にあります。
まとめ
任意整理は将来利息や遅延損害金をカットすることで、返済総額を減額し、返済の負担を軽減する手続きです。
個人再生や自己破産のように大きなデメリットがないため、債務整理をしている人の中の約8割の人が利用しています。
今読んでいるあなたが借金返済に苦しんでいるなら、生活への負担を最小限にするためにも、まずは現在の借入総額からいくら減額可能なのか、シミュレーションをしてみましょう。