クレカの支払い遅れはどう影響する?遅延日数ごとにどうなるか解説!

クレカの支払い遅れはどう影響する?遅延日数ごとにどうなるか解説!

目次

クレジットカードを後払いで利用できるため、つい使い過ぎてしまうこともあるかもしれません。もしクレジットカードの支払いが遅れてしまうと(以下「クレカの支払い遅れ」とします)、以下のようなリスクが高まります。

・信用情報の悪化、遅延損害金が発生する可能性
・クレジットカードの利用停止
・他のクレジットカードの審査に通りにくくなる
・最悪の場合、法的措置を取られ財産を差し押さえられる

このような事態を避けるためには、クレカの支払い遅れが1日でも発生した際の影響と、どう対応すべきかをしっかり理解しておきたいですね。今回は、クレカの支払い遅れによる影響やその対処法、予防策について詳しく解説します。

クレカの支払い遅れが何にどう影響する?

クレジットカードの支払い遅れは、遅延が長引くほどその影響が大きくなり、悪影響が強くなると言えます。実際に、クレカの支払い遅れによって発生する主な影響は、以下の7つです。

影響1. 信用情報に影響が出る
影響2.新しいクレカを作れなくなる
影響3. 利用停止や強制解約につながる
影響4.遅延損害金の請求が発生する
影響5. 支払いが一括請求される
影響6. ローンや割賦契約の利用ができなくなる
影響7. 差し押さえによる財産の喪失

それぞれの影響について、詳しく解説していきます。

信用情報に影響が出る

クレジットカードの支払い遅れは、まず最初に信用情報に傷がつくことから始まります。信用情報とは、あなたの支払い能力や信用力を評価するための情報であり、非常に重要な役割を果たします。クレジットカードをはじめ、携帯電話の契約やローンの審査など、契約時には必ずこの信用情報が参考にされるため、影響が大きいのです。

クレジットカードの支払い遅れが発生すると、その遅延の履歴が信用情報に記録されます。信用情報は、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)などの信用情報機関のデータベースに登録され、金融機関が共有しています。そのため、クレジットカードの発行に限らず、あらゆる契約の審査において、信用情報が影響を与える可能性があります。

新しいクレカを作れなくなる

クレジットカードの支払い遅れが原因で信用情報が悪化し、その結果として新しいクレジットカードが作れなくなる可能性があります。信用情報は共有されているため、他のカード会社に申し込んでも、過去の信用履歴が参照されることがあります。審査では就業状況や年収など複数の要素が考慮されるため、必ずしもNGになるわけではありませんが、クレカの支払い遅れが影響してクレジットカードを持つのが難しくなるケースも珍しくありません。ただし、審査に一度落ちたとしても、永遠にクレジットカードが作れなくなるわけではありません。信用情報は時間とともに更新され、古い履歴が重視されなくなることもあります。

利用停止や強制解約につながる

クレジットカードの支払い遅れが続くと、カードの利用停止や強制解約が行われる可能性があります。支払いが遅れると残高が増え、カードを利用し続けることでさらに残債が膨らむことになります。カード会社としては、不良債権の増加を避けるため、利用停止の措置を取って残高の増加を防ぐ場合が多いです。さらに、支払いの遅れが長期間続けば、強制解約されることもあるため、早急に改善を進めることが重要です。

一括請求での支払いを求められる

クレジットカードの支払い遅れが続くと、利用した残高の全額を一括請求される可能性があります。通常、1回払いで利用した金額は翌月に支払うのが基本です。しかし、クレジットカードには分割払いやリボ払いの選択肢もあり、これらは月々の支払い額を軽減できる便利な方法です。特に高額な支払いが必要な場合に多く利用されます。

分割払いやリボ払いを選んで月々の支払いを減らしても、長期間支払いが遅れると、残りの金額を一括で請求されることになります。これにより、事態がさらに悪化する可能性があるので注意が必要です。もしクレジットカードの残高を一括で支払うことが難しい場合は、月々の支払いをきちんと行い、早期に遅れを解消することが重要です。

遅延損害金の請求が発生する

クレジットカードの支払い遅れが発生した場合、遅延損害金が請求される可能性があります。遅延損害金とは、支払期限を過ぎた翌日から実際に支払った日までの期間に発生する利息のことです。

ショッピング利用の場合、年14.6%程度、キャッシング利用の場合、年20.0%程度の高い利率で遅延損害金が計算されるため、決して軽視できません。遅延損害金が加算されることで、本来支払うべき金額以上に支払うことになるため、支払いが遅れる日数が長引くほど、最終的に負担が増えてしまう点に注意が必要です。

ローンや割賦契約の利用ができなくなる

クレジットカードの支払い遅れによって、ローンや割賦契約ができなくなることも影響の一つです。
支払い遅れが信用情報に悪影響を与え、「異動情報」が登録されることになります。
この異動情報は、通称ブラックリストとも呼ばれ、過去に支払いが不良だったことを示す情報です。これが原因で、ローンや割賦契約ができなくなります。
住宅ローンやオートローンをはじめ、携帯電話の契約や賃貸契約にも影響を与える可能性があり、クレジットカードの支払い遅れには十分な注意が必要です。
特に、数千円や数万円の少額でも支払い遅れがあれば同じ影響を受けるため、遅れないよう最善の対策が求められます。

差し押さえによる財産の喪失

クレジットカードの支払い遅れが続くと、最終的にはカード会社が法的手続きを通じて財産の差し押さえを行う可能性があります。
カード会社はクレジットカードの未払い金額を債権として保有しており、一括請求に応じない場合、裁判を経て財産の差し押さえが行われます。
差し押さえ対象には、給与や所有している家や車が含まれることがあり、最悪の事態を避けるためにも、支払い遅れを放置しないようにしましょう。

クレジットカードの遅延は何回許される?

クレジットカードの支払いができないとき、気になるのは「どれくらいの延滞なら問題にならないのか?」という点です。通常、1回の延滞では大きな問題にならない場合が多いですが、延滞への対応はカード会社や過去の取引履歴により異なるため、一概には言えません。目安としては、次のように考えてください。

  • 延滞1回:多くの場合、問題はなし
  • 延滞2回:信用情報にブラック記録がつくことがある
  • 延滞3回:強制解約や残高一括請求のリスクが高まる

1回の遅延なら問題ない場合が多い

クレジットカードの支払い日に引き落とし口座の残高が不足していて、再引き落としとなった経験はありませんか?残高の確認を忘れたり、うっかり支払いが遅れてしまうことは誰にでも起こり得ることです。そのため、1回の延滞が大きな問題になることは少ないです。

しかし、信用情報には影響がなくても、延滞が発生すると遅延損害金が発生するため注意が必要です。遅延損害金は延滞に対する賠償金のようなもので、延滞が発生した翌日から毎日加算されていきます。また、カード会社によっては、たった一度の延滞でも数週間放置するとブラックリストに載るリスクがあるため、1回だからと油断せず、早めに返済することが重要です。

遅延記録が信用情報に残る場合がある

契約情報を共有している信用機関は、以下の3つです。金融機関やカード会社は、これらのいずれか、または複数に必ず加入しています。

  • 株式会社シー・アイ・シー (CIC)
    主にクレジット会社や信販会社が加入しています。
  • 日本信用情報機構 (JICC)
    消費者金融会社が主に加入しています。
  • 全国銀行個人信用情報センター (KSC)
    主に銀行が加入しています。

クレジットカード会社の多くが加入しているCICには、異動情報だけでなく、過去2年間の返済情報も記録されています。数日の延滞では異動情報として登録されることはありませんが、返済遅れの記録が残ることはあります。これだけではブラックリストにはなりませんが、その記録が消えるまでの2年間は、クレジットカードの増額申請が通りにくくなる可能性があります。

連続2回の延滞はブラックリスト入りのリスクが高い

2回連続でカードの支払いを延滞すると、信用情報に異動情報が登録されるリスクが高まります。このまま放置していると、ブラックリスト入りする可能性が現実のものとなります。信用情報機関における「延滞」の異動情報は、以下のように定義されています。

  • KSC: 61日以上または3ヶ月以上
  • CIC: 61日以上または3ヶ月以上
  • JICC: 3ヶ月以上

KSCとCICでは、61日以上が延滞と明記されています。支払日の翌日から延滞を数えると、2回目の返済日は延滞から約30日後となり、61日以上に満たないため、2回の延滞ではブラックにならないと考える方もいるかもしれません。しかし、実際に信用情報に異動情報を登録するのは金融機関であり、延滞が何日以上でブラックになるかはカード会社ごとに異なるため、断言することはできません。

一部のカード会社では、延滞30日程度、つまり1回目の支払いを延滞し、2回目の期日が来る頃にはブラック入りする可能性があります。それ以外の多くの会社では、約60日程度の延滞、つまり3回目の返済日前後にはブラックリストに載るケースが一般的です。

連続3回の延滞はリスクが高い

連続して3回の支払い延滞をした場合、信用情報はほぼ確実にブラック状態となり、他のクレジットカードやローンを利用することができなくなり、審査にも通らなくなります。カードが利用できなくなるだけでなく、強制解約されるリスクもあります。さらに、残高が一括請求され、最悪の場合、法的措置が取られる可能性があるため、非常に危険な状態となります。

3カ月連続の遅延で何が起こる?

3ヶ月連続で延滞をすると、信用情報がブラック状態となり、カードが強制解約されるだけでなく、最終的には裁判にまで進展する可能性があります。3回以上の延滞による危険性やデメリットについて、順を追ってさらに詳しく解説していきます。

カードの利用が停止される

信用情報がブラックリストに登録される

前述のように、2回目の延滞から信用情報がブラックリストに載るリスクが高くなり、3ヶ月の延滞に達するとほぼ確実にブラックとなります。信用情報がブラックになると、新規のローン契約が難しくなるだけでなく、他のクレジットカードも利用停止または強制解約される可能性が高くなります。

カード会社は定期的に途上与信を行い、利用可能額の見直しを実施しています。この際、必ず信用情報が確認されます。もし信用情報がブラック状態であることが発覚すると、カード会社はそのカードも延滞されるリスクがあるとみなして、強制解約の措置を取ることがあります。

例として、JCB会員規約第39条には次のように記されています:
退会および会員資格の喪失等
(4) 会員の信用状態に重大な変化が生じたとき、または換金目的によるショッピング利用等、会員によるカードの利用状況が適当でないと当社が判断したとき。

カードの支払いができず、「他のカードは使えるから大丈夫」と考えて支払いを先延ばしにしていると、取り返しのつかない事態を招く恐れがあるので、十分な注意が必要です。

カードが解約を強制される

クレジットカードの支払いを延滞すると、カード会社から強制解約される可能性があります。これは会員規約に「会員資格の喪失」という形で明示されており、その一因として延滞が含まれています。

例として、JCBの会員規約には次のような文言があります:
第39条(退会および会員資格の喪失等)

  1. 会員は、次のいずれかに該当する場合、(1)、(5)においては当然に、(2)においては相当期間を定めた当社からの通知、催告後に是正されない場合、(3)、(4)、(6)、(7)、(8)においては当社が会員資格の喪失の通知をしたときに、会員資格を喪失します。
    (中略)
    (2)本会員が約定支払額を約定支払日に支払わなかったとき、その他会員が本規約に違反したとき。
    引用元:JCB会員規約

どのカード会社でも規約上では一度の延滞で強制解約ができることになっています。しかし、実際の解約基準はカード会社ごとに異なり、何回の延滞で解約になるかは明確にはされていません。多くのカード会社では、2回または3回の延滞で強制解約が行われますが、過去に何度も延滞を繰り返していたり、他社での延滞歴があった場合、1回の延滞で解約されることもあります。

強制解約が行われると、家族カードやETCカードなどの付帯カードも同時に解約されます。また、支払いの義務は解約後も残り続け、今までの支払いが免除されることはありません。

残高が一括請求される

延滞が2カ月を超えると、分割払いに設定していた残高を一括で支払うよう求められるリスクがあります。大きな買い物をした際やローンを組んだ際に分割払いを利用できる権利を「期限の利益」と呼びますが、長期間の延滞によって期限の利益を失うと、残高全額を一括で支払わなければならなくなります。この状態は「期限の利益の喪失」と呼ばれ、カード会社の規約には必ずその旨が記載されています。

たとえば、JCB会員規約第38条に次のように明記されています:
第38条(期限の利益の喪失)

  1. 本会員は、以下のいずれかに該当した場合、(1)では相当期間を定めた当社からの催告後に是正されなかった場合、(2)、(3)、(4)では何の通知や催告を受けることなく当然に、(5)、(6)、(7)では当社の請求により、当社に対する全ての債務について期限の利益を喪失し、残債全額を直ちに支払うものとします。
    (1) 約定支払額を約定支払日に支払わなかった場合。

期限の利益を喪失すると、カード会社から「期限の利益の喪失通知」や「催告書」などの形で通知が届きます。通知の形式は「督促状」や「訴訟予告通知」など、会社によって異なりますが、いずれも内容は同じで、次の2点が必ず記載されています:

  1. 残高全額を一括で支払うよう求める旨
  2. 期日までに返済がない場合、法的手続きを取る旨

カード会社に一括請求された場合の対処法

一括での支払いが難しい場合、カード会社に連絡をすることで分割払いの対応をしてもらえる可能性がありますが、必ずしも交渉が成立するわけではありません。特に大手のカード会社は、個人からの直接交渉を受け付けておらず、弁護士や認定司法書士など、専門家を通じて交渉を行うよう指示されることがほとんどです。

仮に分割払いに応じてもらえた場合でも、多くの場合、支払い回数は数回から最大12回(1年程度)までが一般的です。また、未払い分には利息と遅延損害金が引き続き加算されるため、その点も注意が必要です。個人で交渉を行う場合、減額してもらうことは難しく、請求された全額を支払うことになります。

そのため、カード会社から一括請求を受けた際には、弁護士や認定司法書士に依頼して、減額と分割払いの交渉を行ってもらうことをお勧めします。

カード会社に裁判を起こされる

上記の督促を無視していると裁判所から支払督促もしくは訴状が届きます。いずれも特別送達という特別な郵便で配達されるため、誰にでもすぐに「普通の郵便と違う」と分かります。裁判所からの郵便を無視していると最終的には財産の差し押さえ(強制執行)に至ります。
差し押さえの対象となる財産は以下の3つ。
債権
給与、預貯金
不動産
土地や建物
動産
自動車など
給与は全額差し押さえになるわけではなく、以下のように金額が決められています。
手取り月収が44万以下の場合…4分の1まで
44万を超えている場合…33万円を超えた金額分
そこまで大きな金額ではないという印象を抱く方も多いかもしれませんが、差し押さえの際には裁判所から勤務先に直接連絡が入りますので、カードの支払いを返済せずに放置していたことが会社に確実にバレます。

特別送達が裁判所から届いた場合の対処法

裁判所から特別送達が届くと、多くの人が驚くかもしれません。しかし、適切に対処しないと、強制執行が進行してしまうため、必ず内容を確認し、適切な対応を取ることが重要です。カード会社が行う法的措置には、支払督促と訴訟の2種類があります。

支払督促が届いた場合

支払督促とは、裁判所が行う督促手続きのことです。訴訟よりも手数料が低く、手続きが簡単であるため、延滞や未払いの法的措置として多くの金融機関がこちらを利用します。支払督促が届いた場合の対処法は、以下のいずれかです。

  1. 2週間以内に一括で支払う
  2. 同封されている異議申立書を記入し、異議申し立てを行う

もし一括支払いが難しい場合は、異議申立書を使って分割払いや減額を交渉することになります。ただし、異議申し立てを行うと、自動的に裁判での訴訟手続きが始まることに注意が必要です。裁判に進んだ場合、答弁書の作成や平日の裁判所への出廷などが求められるため、時間と手間がかかります。

裁判を避けたい場合は、カード会社と交渉して分割払いや減額をお願いすることが可能ですが、先述のように多くのカード会社は個人との交渉を受け付けていません。確実に交渉を進めたい場合は、専門家に相談することをおすすめします。

訴状が届いた場合

訴状には、裁判所での口頭弁論の日程と、訴訟内容に対する認否を記入する答弁書が同封されています。答弁書を提出せず、口頭弁論を欠席すると、自動的に敗訴となり、財産が差し押さえられることになります。そのため、まずは期日までに答弁書を提出することが必要です。

訴訟を受けた際の対応は、認定司法書士や弁護士に依頼することができますが、弁護士の場合、代理権を持っているため、裁判所への出廷も任せることができます。

クレカの支払い遅れはどれくらい許される?

クレジットカードの支払い遅れについて、具体的にどのくらいの日数が問題になるのか、気になるところです。どれだけ遅れると信用情報に影響が出るのか、支払い遅れの影響について詳しく解説します。

1週間(数日)の遅延が発生した場合

クレジットカードの支払いが1週間程度遅れた場合、すぐに支払えば多くのカード会社では信用情報に登録されないことが一般的です。そのため、たとえ支払い遅れが1日でも発生しても、必要以上に不安を感じる必要はありません。ただし、支払日の翌日以降になると延滞と見なされ、遅延損害金が発生したり、信用情報機関に登録される可能性があります。しかし、現在の多くのカード会社では、1週間程度の遅れであれば問題なく支払ったと見なされることが多いため、支払い遅れに気づいた時点で速やかに支払いを行うことで、信用情報に悪影響を与えることを防ぐことができます。

2週間ほど遅延した場合

クレジットカードの支払いが約2週間遅れると、多くのカード会社では信用情報に登録されるか、されないかの境目にあたることが多いです。支払い遅れが発生すると、カード会社からはハガキやメール、電話などで督促の連絡が届きます。督促には、遅れた支払いをいつまでに支払うべきかの期日が示されています。その期日を過ぎて支払わない場合、信用情報が傷つく可能性が高くなります。また、カードの利用停止となるケースも多く、支払いが完了するまでカードを利用できなくなります。カード会社によっては、支払い遅れから2週間ほどで期限が設定されることがあり、この期間内に対応しないと問題が大きくなる恐れがあるため、注意が必要です。

1ヶ月を超えて遅延した場合

支払日から1ヶ月以上遅れると、毎月の支払いデータに「遅延」が登録されるため、信用情報に傷がつくリスクが高まります。この時点で、クレジットカードやローンなどの審査を受ける際に、悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、カード会社から強制解約の通知が届くことも考えられますので、1ヶ月以上の支払い遅れは避けるべきです。

2ヶ月を超えて遅延した場合

2ヶ月以上の支払い遅れが続くと、いわゆるブラックリストに登録される「異動情報」が信用情報に記録される可能性があります。異動情報とは、61日以上または3ヶ月以上の延滞履歴のことです。この情報が記載されると、個人信用情報機関に5年間も残り、他の金融商品の審査を通過するのが非常に難しくなります。さらに、異動情報が消去されたとしても、スーパーホワイト状態になり、過去に支払い不良があったと見なされ、審査が通りにくくなることが考えられます。たとえ1回の支払い遅れでも異動情報が残ると、将来の審査に影響を与える可能性が高いため、注意が必要です。

3ヶ月を超えて遅延した場合

3ヶ月以上支払いが遅れると、一括請求の通知が送られることになります。この請求に応じられない場合、最終的にはカード会社が裁判所に申請して、訴訟が開始される可能性があります。前述の通り、財産差押えが行われる場合、給与や家、車などの資産を使って支払いを行うことになるため、非常に大きなリスクを抱えることになります。

クレカの支払い遅れが起こりそうな場合の対処法

クレジットカードの支払いが遅れると、ご自身にとって悪影響が及ぶため、長期の遅延は避けるべきです。そのため、支払い遅れが発生しそうな場合には、これからご紹介する対処法を試してみることが一つの解決策となるでしょう。少しでも遅れを解消できるよう、適切な対処方法を知っておくことが重要です。

カード会社へ支払いの目処を連絡

クレジットカードの支払い遅れが発生した場合は、支払いの目処をカード会社に連絡することが大切です。支払いが遅れた場合に、カード会社に連絡をするかしないかで、カード会社が持つ印象が大きく異なります。もちろん決められた期日を守ることは重要ですが、いつ支払えるかをカード会社に伝えることで、誠意が伝わり、支払いの意思を示すことができるため、連絡しておくことが望ましいです。

お金を用意する、借りる

お金を作る、または借りる方法もクレジットカードの支払い遅れに対する対処法の一つです。理想的には、自分でお金を作って支払うことが最良ですが、もし身内などからお金を借りて支払えるのであれば、遅れるよりは良い結果を生むかもしれません。ただし、知人や家族間でのお金の貸し借りは関係に影響を与える可能性があるため、消費者金融などの金融機関を利用する方法も考えられます。お金を借りて支払う場合は、返済可能な範囲で借りることが大切です。返せる範囲を超えて借りると、クレジットカードやローンの返済ができなくなる悪循環を招く可能性があるため、計画的に利用することが重要です

カード会社に分割払いの相談をする

クレジットカードの請求額を支払うのが難しい場合、分割払いができるかどうかをカード会社に相談することで、対応してもらえることがあります。カード会社によって異なりますが、分割払いやリボ払い、ボーナス払いに変更することで、月々の支払い額を軽減したり、支払期間を延ばしてもらうことができる場合もあります。自分が支払える金額をカード会社に相談することで、対応してくれるカード会社もあるため、支払いを先延ばしにせず、まずは相談することから始めましょう。

賃金業相談・紛争解決センターへ相談

貸金業相談・紛争解決センターに相談することも一つの方法です。クレジットカードの支払いに関して、過度な利息超過や違反がない限り、支払い免除がされることは基本的にありませんが、相談することでカード会社とは異なる視点から解決策を提案してくれる場合があります。貸金業相談・紛争解決センターは、日本貸金業協会が運営する無料のサポートセンターで、多重債務救済の支援も行っています。状況によっては、カード会社への直接の問い合わせを代行してくれることもありますので、困ったときには連絡してみる価値があります。
【問い合わせ先】
営業時間: 0570-051-051(9:00〜17:00、土日祝・12/29〜1/4を除く)

債務整理の検討

クレジットカードの支払い遅れで支払う見込みがない場合、債務整理を検討するのも一つの解決策です。
債務整理は、法律に基づいて支払い義務のある額の利息や元金を免除したり、減額したりする方法です。
任意整理や自己破産など、状況に応じた適切な解決方法を選ぶことができますが、債務整理をすると信用情報にその記録が残り、将来的な影響が避けられません。
債務整理後は、信用情報にその記録が5年間残るため、慎重に判断する必要があります。
この方法は、最終手段として使用されるべきであり、どうしても支払えない状況になった場合にのみ選択肢となります。

任意整理

債務整理の一つである任意整理は、弁護士に依頼し、カード会社と借金の減額や分割払いの交渉を行う手続きです。
延滞中は利息に加えて遅延損害金が日々加算されるため、残高が急増します。しかし、任意整理を行うことで利息を大幅に削減し、月々の支払金額を再設定することが可能です。
任意整理は複数の会社で行えるため、他のローンの返済に問題がない方や、住宅ローンや自動車ローンを組んでいる方でも問題なく手続きができます。一括での支払いが難しくても、分割払いなら対応できる方や、減額後に支払いが可能な方は任意整理を検討すると良いでしょう。

個人再生

任意整理では、利息部分の減額が可能ですが、元金の返済が困難であり、さらに他にも借金がある場合は、個人再生を考えるのも一つの選択肢です。
個人再生は、裁判所に借金返済の困難を申し立て、民事再生法に基づいて再生計画を立てることで、借金を最大で5分の1に減額する手続きです。減額された借金は3年から5年で返済します。自己破産とは異なり、住宅を手放さずに手続きできる点が大きなメリットです。
ただし、任意整理同様、手続き後も返済が続くため、収入が全くない場合には実行が難しくなります。また、個人再生は任意整理に比べて手続きにかかる期間や手間が多いため、その点も考慮する必要があります。

自己破産

自己破産とは、裁判所に申し立てを行い、財産の大部分を手放す代わりに、借金を全額免除してもらう手続きです。もし今後の返済が難しく、さらに他にも多額の借金がある場合には、自己破産を選択肢として考えることも一つの方法です。

リボ払いや他社借入は避ける

クレジットカードの返済が難しい場合、リボ払いに変更することで返済期日を延長することができます。また、ネット上では消費者金融で借りて返済する方法を勧める声もあります。確かに、これによりクレジットカードの延滞は一時的に解消されますが、根本的な解決にはなりません。リボ払いも消費者金融も利息が低いとは言えず、借金が増えるリスクが高いため、この方法は避けるべきです。

リボ払いが危険とされる理由

リボ払いが危険だと聞いたことがある方も多いでしょう。リボ払いは、残高に対する返済額が非常に低く設定されている点が特徴です。さらに、返済中は残高に対して年15.0%~18.0%の手数料(利息)が加算され続けるため、なかなか返済が完了しません。早期に返済を終わらせるためには、前倒しで返済を行う必要がありますが、ほとんどのカード会社では返済申請から実際の引き落としまでに時間がかかるため、返済額の管理が難しくなるというデメリットもあります。

他社借入で返済する際のリスク

他社からお金を借りて返済することで延滞を防ぐことはできますが、新たに借り入れた分には利息が加算されて返済しなければならないため、最終的に借金が増えることになります。例えば、100万円を借りて15%の利息を上乗せして返済する場合、100万円に15%の利息(15万円)が加算され、総額は115万円になります。これにより借金は15万円増加し、もし別の借金で返済しようとすると、利息分が元金として積み重なり、借金が雪だるま式に増えてしまいます。

また、カードの支払いが完了すると利用可能額に余裕ができるため、実際には借金総額は変わらないにも関わらず、借金が減ったように感じて再度カードを使いすぎてしまうことがあります。他社からの借入れで一時的に凌ぐのではなく、根本的に借金を減らすための努力が必要です。

クレカの支払い遅れを防ぐための対策

クレカの支払い遅れ後の対処法は重要ですが、さらに大切なのは支払い遅れを防ぐための対策です。クレカの支払い遅れを避けるために、以下の3つの対策をしっかりと理解して実行しましょう。

対策1. 各社の引き落とし日を確認
対策2. 口座残高と利用額を毎月チェック
対策3. 分割払いまたはリボ払いを活用

これらの対策を実践すれば、支払い遅れを防ぐことができます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

各社の引き落とし日を確認する

クレジットカードの引き落とし日を把握しておくことは非常に重要です。クレジットカードの支払いは一般的に口座引き落としで行われますが、各カード会社によって引き落とし日が異なります。もし引き落とし口座に十分な残高がないと、支払いができないことになるため、引き落とし日をしっかりと把握しておく必要があります。

給料日後に支払日が設定されていれば、支払いがしやすくなりますが、給料日前が支払日だと注意が必要です。また、複数のカードを利用している場合、それぞれの引き落とし日を確認しておかないと、支払い遅れが発生する可能性がありますので、十分な注意が必要です。

以下に、トラノコ会員のアンケートを参考に、いくつかのクレジットカードの引き落とし日をまとめましたので、確認してみてください。

  • JCBCARDW: 毎月15日 / 翌月10日
  • 三井住友カード(NL): 毎月15日、毎月月末 / 翌月10日、翌月26日
  • エポスカード: 毎月4日、毎月27日 / 翌月4日、翌月27日
  • 楽天カード: 毎月月末 / 翌月27日
  • セゾンパール・アメリカン・エキスプレス®・カード: 毎月10日 / 翌月4日
  • ライフカード: 毎月5日 / 当月27日または翌月3日
  • dカード: 毎月15日 / 翌月10日
  • auPAYカード: 毎月15日 / 翌月10日
  • ビュー・スイカカード: 毎月5日 / 翌月4日
  • P-oneカード<Standard>: 毎月月末 / 翌々月1日
  • 三菱UFJカード: 毎月15日 / 翌月10日
  • セゾンカード インターナショナル: 毎月10日 / 翌月4日
  • PayPayカード: 毎月月末 / 翌月27日
  • Tカード Prime: 毎月月末 / 翌月27日
  • メルカード: 毎月月末 / 翌月1日〜月末(自動振替:6日/11日/16日/21日/26日から選択可)
  • セブンカード・プラス: 毎月15日 / 翌月10日
  • リクルートカード: 毎月15日 / 翌月10日
  • 三菱UFJカード VIASOカード: 毎月15日 / 翌月10日
  • ローソンPontaプラス: 毎月15日 / 翌月10日
  • OricoCardTHEPOINT: 毎月月末 / 翌月27日
  • MarriottBonvoy® アメリカン・エキスプレス® プレミアム・カード: 毎月20日前後、毎月1日前後、毎月5日前後 / 翌月10日、当月21日、当月26日
  • イオンカードセレクト: 毎月10日 / 翌月2日
  • VisaLINEPayクレジットカード(P+): 毎月月末 / 翌月26日

これらの引き落とし日を参考にして、自分のカードの支払日を確認し、支払い遅れを防ぐようにしましょう。

分割払いやリボ払いを活用する

分割払いやリボ払いを利用することは、支払い遅れを防ぐための一つの対策と言えます。しかし、これらの支払い方法は金利がかかるため、利用した金額に対して利息が多く発生します。この点はデメリットではありますが、毎月の支払額を抑えることができるため、支払えない金額に達する前に遅れを防ぐ手段になります。

重要なのは、クレジットカードを使い過ぎないことです。分割払いやリボ払いを利用する際に過度にカードを使ってしまうと、結局は毎月の支払額が増え、残高が膨らむことになります。そのため、支払える範囲で計画的にカードを利用することが大切です。

毎月、口座残高と利用金額を確認する

クレジットカードの支払いでは、支払方法によって請求額が毎月異なるため、口座残高と利用金額を毎月チェックすることが予防策になります。支払日を把握していても、請求額を誤って認識していると、残高不足で支払いが遅れることもあります。

クレジットカードの支払い方法は、毎回変更可能なカードもあるため、リボ払い以外の場合、毎月の請求額は異なります。特に、ボーナス払いを利用している場合は高額な請求が発生することもあるため、毎月の口座残高と利用金額を必ず確認しておくことが大切です。

延滞を3カ月分解消した後の注意点

3カ月連続で延滞している場合、延滞していたカードは強制解約されているか、利用可能額が0円に設定されていることが一般的です。この状態ではクレジットカードが使えなくなり、不便さを感じるため、新しいカードの発行を検討することになるでしょう。しかし、長期間の延滞がある場合、新たにカードを発行する際には注意が必要です。

まず、信用情報がブラックリストに載っているかどうかを確認しましょう。新しいカードを申し込む際には、延滞した会社とは無関係のカード会社を選ぶことが重要です。また、無理に複数のカード会社に申し込むと、それが原因で審査に落ちる可能性があるため、審査に落ちた場合は一定の期間をおいてから再度申し込むことをおすすめします。

延滞した会社以外の金融機関を利用する

信用情報がブラックリストに載っていなくても、延滞したカード会社の顧客情報には「長期延滞した」という記録が残り、これが原因で再度契約を試みても断られることになります。これを「社内ブラック」と呼びます。社内ブラックは信用情報のブラックリストとは異なり、時間が経過しても自動的には消えません。半永久的に残ることが多いです。さらに、社内ブラックの情報はグループ会社間で共有されているため、同じグループや系列のカードであれば、再度審査に通ることは絶対にありません。新しいカードを作りたい場合は、延滞したカード会社とは関係のない別の会社に申し込むようにしましょう。

信用情報を確認する

1カ月から2カ月以上の延滞が続いた場合、信用情報がブラックリストに載る可能性が高く、つまり異動情報が登録されている状態です。この場合、本人に通知は一切ありません。異動情報が記録されていると、いくら申し込んでも審査には通らなくなります。また、異動情報が原因でカードやローンの審査に落ちた場合、その理由を知ることはできません。そのため、まずは自分の信用情報がブラックになっていないかを確認することが重要です。信用情報は各信用情報機関で照会することができます。

審査に落ちた場合は期間を空ける

カードを早く作りたいという気持ちから、短期間で何度も申し込む方がいますが、このような行動が原因で審査に落ちることがあります。これを「申込ブラック」と呼びます。クレジットカードやローンを申し込むと、金融機関は必ず信用情報を確認します。その結果、審査の合否にかかわらず「申し込みを行った」という記録が信用情報に残ります。この照会記録は、次の期間中は消えません:

  • KSC:照会から1年以内
  • CIC:照会日から6ヶ月間
  • JICC:照会日から6ヶ月以内

短期間に何度も申し込みを行った人に対して、金融機関は良い印象を持ちません。「お金に困っているのだろうか」「不正利用を目的としているのではないか」と考えられ、審査が通らないことになります。目安としては、1ヶ月に3回以上申し込むと申込ブラックとなります。

また、信用情報に残る「照会」の記録は6ヶ月から1年の間消えることがないため、申込ブラックになった場合は、その情報が消えるまで待つ必要があります。カードが作れるタイミングを遅らせないためにも、無駄に申し込むのは避けましょう。

まとめ

クレジットカードの利用において、支払い遅れに関するリスクを必ず理解しておくことが重要です。
クレカの支払い遅れは、ご自身に大きな悪影響を与える可能性があるため、利用する際には注意が必要です。
金額に関わらず、支払いが遅れることで、将来的にクレジットカードやローンの申し込みができなくなる恐れもあるため、計画的な利用が求められます。
支払い遅れさえ避ければ、クレジットカードは非常に便利な決済ツールです。リスクを理解し、賢くお得に活用していきましょう。

クレカの支払い遅れについてのよくある質問

最後に、クレジットカードの支払い遅れに関するよくある質問をまとめました。

クレジットカードの支払いは何回遅れるとアウト?

具体的に何回遅れたらアウトという明確な基準はありませんが、支払い遅れが頻繁に起こると、信用情報に悪影響を与える可能性があります。クレジットカードの支払いが1日でも遅れると延滞となりますが、一般的に2週間程度で信用情報に記録が残るケースが多いです。カード会社の規定は異なりますが、支払い遅れが何度も続くと、2週間を待たずに信用情報に記録されることもあります。そのため、短期間に繰り返し支払い遅れが発生しないようにすることが重要です。

利用停止したクレカは返済後どれくらいで復活する?

クレジットカードの支払いが遅れたことで利用停止となった場合、カード会社によって異なりますが、支払い完了後から2営業日〜5営業日程度で利用停止が解除されます。
支払いが遅延した場合は振り込みでの支払いが必要となり、その入金確認にかかる時間により差が生じます。入金確認が取れ次第、カード会社の手続きが完了し、利用が再開される流れとなります。

クレジットカードの支払いは何日遅れると連絡がくる?

クレジットカードの支払い遅れから数日から1週間程度で、振り込み用紙が届くことが一般的です。連絡が届いた際には、支払い期日が明記されているので、迅速に対応することが大切です。放置せず、しっかりと対応しましょう。