引き直し計算とは?過払い金が発生しているか調べる方法

引き直し計算とは、過去に高い金利で返済していた借金を、現在の金利に合わせて計算し直す方法です。

過去、利息制限法(借金が10万円未満であれば20%、10万円以上100万円未満であれば18%、100万円以上であれば15%)ではなく出資法の上限金利(29.2%)による借入をしていた借金は、グレーゾーン金利にあたる可能性があります。

グレーゾーン金利は法外な金利のため、本来支払わなくてもよい金利です。グレーゾーン金利によって支払い続けていた、本来支払う必要のない金利が過払い金になります。

引き直し計算は、過去の借金に過払い金が発生しているかどうかを確認するためにおこないます。

過去の金利を現在の金利に合わせた計算をすると、過払い金が発生しているか、どのくらいあるのかがわかります。

過払い金は、借金の残債に充てるほか、完済している場合は返還請求ができます。

ただし、引き直し計算を間違えると請求金額が少なくなったり、貸金業者に断られたりする場合があります。

過払い金の正確な金額を出したい場合は、弁護士などの専門家に依頼するのがよいでしょう。

引き直し計算を自分でする方法

長い期間借金の返済をしている、2007年以前に借り入れて完済した借金がある場合には、過払い金が発生している可能性があります。

過払い金が発生しているかどうかだけを知りたい人のために、引き直し計算を自分でする方法を解説します。

必要なもの

引き直し計算に必要なものは以下の通りです。

  • エクセルが使えるパソコン
  • 取引履歴
  • 過払い金計算ソフト

手計算では計算ミスの可能性があるので、エクセルに対応した過払い金計算ソフトを使いましょう。引き直し計算に必要な取引履歴も入手しておきます。

取引履歴の入手方法

取引履歴とは、借入した金額や金利、日付、返済した金額や日付を記録として残した書類です。取引履歴を元に引き直し計算をするので、入手する必要があります。

取引履歴は、貸金業者の窓口に行くか、電話や郵送、FAXやインターネット受付を通じて入手できます。

貸金業者の窓口へ足を運ぶと、最短で2時間ほどで入手可能です。電話や郵送などで自宅に送付してもらう方法の場合は、2~3週間ほどで到着します。

取引履歴を請求するさい、手数料がかかる場合があるので確認しておきましょう。

また、貸金業者には取引履歴の開示義務があるという判決が最高裁判所で下されています。取引履歴を請求しても脅されるなどの心配はありません。

過払い金計算ソフトとは

過払い金計算ソフトとは、数値を入力すると過払い金が計算できるソフトです。

インターネット上で多くの過払い金計算ソフトが公開されていますが、なかには無料で利用できるものもあります。

無料で利用できる過払い金計算ソフトは「名古屋式」「外山式」です。

名古屋式

名古屋式は、名古屋消費者信用問題研究会の引き直し計算ソフトです。

取引日、借入額、返済額を入力すると、利息が自動で計算されて過払い金の発生額が分かります。無料で利用でき、利用期限もありません。

▶︎http://kabarai.net/index.html

外山式

外山式は、アドリテム司法書士法人の引き直し計算ソフトです。

取引日、借入額、返済額をデータ入力シートに入力して、転記ボタンを押すと利息が自動で計算され、計算書シートに結果が表示されます。

無料で利用でき、利用期限もありません。

▶︎http://www.adlitem.or.jp/software/#topic1

過払い金計算サイトはあくまで目安

インターネット上では、借入額と返済年数を入力するだけで過払い金の発生や額が分かる、過払い金計算サイトもあります。

入力するだけですぐに過払い金が計算できるのは便利ですが、過払い金計算サイトだけでは正確な過払い金は計算できません

貸金業者によって利率や利息を改めた日が異なるからです。

過払い金計算サイトの結果はあくまで目安として、正しい過払い金は自分で計算するか、弁護士や司法書士に引き直し計算を依頼するようにしましょう。

次に、引き直し計算で適応する利率を紹介します。

引き直し計算で適応する利率

引き直し計算で適応する利率を借入金額や状況ごとに解説します。

基本

利息制限法の上限金利が引き直しする基本の利率になります。借入金額に応じて利率が異なります。

  • 元本が10万円未満:年利20%
  • 元本が100万円未満:年利18%
  • 元本が100万円以上:年利15%

例:95万円を年利29%で借入していた…29-18=11%分が過払い金

200万円を年利29%で借入していた…29-15=14%分が過払い金

損害遅延金がある場合

借金の返済が遅れた場合には、返済と別に損害遅延金が請求されます。損害遅延金を支払っている場合の引き直し計算は少し複雑となるので気を付けましょう。

損害遅延金は、最大で金利の1.46倍と定められています。そのため、損害遅延金がある場合に適用する利率は以下の通りです。

  • 元本が10万円未満の遅延損害金の利率:年利29.2%
  • 元本が100万円未満の遅延損害金の利率:年利26.28%
  • 元本が100万円以上の遅延損害金の利率:年利21.9%

例:95万円を借りていて遅延損害金が発生…18×1.46=26.28%

150万円を借りていて遅延損害金が発生…15×146=21.9%

カードローンの場合

過払い金は、消費者金融からの借入だけでなく、カードローンでも発生する可能性があります。

ただし、カードローンはもともとの金利が低いため、過払い金そのものが発生しない場合も多いです。

カードローンでの借入で過払い金が発生しているかどうか確認したいときには、弁護士や司法書士に相談するのが確実です。

過払い金が発生しない可能性がある借入

そもそも過払い金が発生しない借入に対しては引き直し計算の必要がありません。以下の借入は過払い金が発生しないケースです。

  • 銀行や信用金庫のローン
  • 2010年6月18日以降の借入
  • 法定金利を遵守していた業者からの借入
  • 奨学金など

銀行や信用金庫からの借入は金利が低いため過払い金が発生しません。カードローン、住宅ローン、車のローン、教育ローンなどです。

貸金法が改正された2010年6月18日以降は利息制限法の利息での貸付になっているため、グレーゾーン金利での貸付はしていません。

よって過払い金は発生しないのです。

また、貸金業法改正前から法定金利を遵守した貸付をしていた、アットローン、キャッシュワン、ダイレクトワンなどからの借入も過払い金は発生しません。

奨学金や社会福祉協議会からの借り入れも、金利が低いため過払い金は発生しません。

まとめ

2010年6月18日以前の借入がある、長期間借金の返済を続けている場合は過払い金が発生している可能性があります。

引き直し計算をすれば過払い金の発生や、どのくらい返還されるかが分かります。

自分で引き直し計算をする方法もありますが、弁護士や司法書士に依頼すると、引き直し計算だけでなく過払い金請求も同時におこなってくれます。

引き直し計算をすると過払い金が100万円以上発生していたケースもあります。

引き直し計算だけなら無料でおこなっている事務所もあるので、正確に過払い金の有無を知るためにも弁護士や司法書士に相談してみましょう。

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