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自己破産をしたあと、保険に入れなくなることはありません。自己破産だけでなく、ほかの債務整理手続きをした場合にも該当し、基本的に保険の新規加入は問題なく可能です。
ただし、自己破産をするまえに保険料を滞納している場合、または保険料の支払いが遅れている場合には注意が必要です。
保険料を滞納している場合
目次
自己破産前に加入している保険料を滞納していた場合には、保険契約が失効となります。借金やローンの返済が滞納すると、信用情報機関に支払い滞納の情報が登録されます。
自己破産をすると、事故情報が登録(ブラックリスト入り)となります。保険料の支払いは、あくまで支払であり返済能力は関係ありません。
つまり、保険と信用情報は関係ないため、保険料を滞納していても、信用情報に登録されることはありません。
また、保険会社が保険契約者の信用情報を調べることもありません。法律でも、信用情報は返済能力などの調査以外の目的に使用してはならないと定められているからです。
保険料を滞納していて自己破産をした場合には、保険契約が失効となるのみです。自己破産をしたあとにブラックリストに入っても、その後の新規保険契約は問題なくできます。
保険料の支払いが遅れている場合
保険料の支払いが遅れている場合には、まず保険会社が対応します。
2ヶ月以上の滞納分から、解約返戻金から支払いが遅れている保険料が自動振替されます。もしも解約返戻金がなくなった場合には、保険は失効となります。
なお、支払いが遅れて解約返戻金がなくなり失効となった保険も、執行から3年以内に滞納していた保険金をすべて支払えば契約が復帰となります。
高齢者の場合は再加入できない場合がある
自己破産をする人が高齢者の場合は、自己破産後保険の再加入ができない場合があります。これは、自己破産が理由ではなく、高齢を理由に保険の加入を断られてしまうからです。
保険の加入条件として、年齢や病気の有無などの健康状態、職業に生命の危険があるか、反社会勢力と関わらないか、契約にふさわしいかなどがチェックされます。
高齢者の場合、年齢や健康状態が保険の審査基準にひっかかってしまい、再加入できないことがあるのです。
加入している保険はどうなるの?
保険に加入している状態で自己破産をした場合、「解約返戻金の総額が20万円以上」の保険は解約となります。
保険の解約返戻金は、自己破産手続き上財産に該当するからです。
「売却・換価して20万円を超える財産」が、自己破産手続きの処分対象です。解約返戻金の総額が20万円以上の保険は、自己破産の処分対象となり解約となります。
解約返戻金は、すべての保険についているわけではありません。保険には、大きく分けて「掛け捨て型」と「積み立て型」の2種類があります。保険の種類ごとに、自己破産で解約になるか、解約にならないかを解説します。
掛け捨て型
掛け捨て型とは、加入期間中の保障を目的とした保険です。積み立て型よりも支払う保険料が安い傾向にあります。
掛け捨て型は解約しても掛け金が戻りません(あってもほとんど戻らない)。そのため、掛け捨て型の保険は自己破産でも財産と認められず、解約にはなりません。
積み立て型
積み立て型とは、加入期間中の保障だけでなく、資産形成も目的としているのが特徴の保険です。
貯蓄型保険とも呼ばれています。支払われている保険料は掛け捨て型よりも高くなりますが、保険会社によって運用されています。
そのため、保険を解約すると解約払戻金として、支払ったお金が返ってきます。
解約払戻金は、自己破産手続きで処分される財産に含まれます。そのため、積み立て型の保険に加入している状態で自己破産をすると、解約払戻金が20万円以上の場合解約となります。
ただし、解約払戻金が20万円以上の保険に加入していて自己破産しても、対応方法によっては解約を免れる場合があります。次に解説します。
解約払戻金20万円以上の解約を防ぐ対策方法
自己破産後、解約払戻金20万円以上の保険は財産とみなされ解約となりますが、以下の対策をすると解約を回避できる可能性があります。
- 自由財産の拡張を主張する
- 契約者貸付制度を利用する
- 保険法の介入権制度を利用する
- 破産管財人に交渉する
順に解説していきます。
自由財産の拡張を主張する
自己破産をすると20万円以上の価値のある財産は基本的に処分となりますが、生活に必要最低限のもの(自由財産)と認められた場合、処分の対象にはならず手元に残せます。
積み立て型保険に加入していて解約返戻金が20万円以下の場合は自由財産となり解約となりません。
20万円以上の場合は財産とみなされ処分対象となりますが、自由財産の拡張を裁判所に認められた場合は、解約せずにすみます。
契約者貸付制度を利用する
保険のシステムに、契約者貸付制度があります。契約者貸付制度は解約返戻金を上限として保険会社から融資を受けられる制度です。
契約者貸付制度を利用して解約返戻金を20万円以下にすると、理論上は自己破産をしても財産と認められず、解約を免れることになります。
ただし、あらかじめ自己破産をすることが分かっている状態で契約者貸付制度を利用すると、免責不許可事由に該当する可能性が高いです。
免責不許可事由に該当すると、自己破産をしても免責となりません。この方法を使う前に、弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
保険法の介入権制度を利用する
保険法の介入権制度とは、保険金の受取人が保険の契約者と同意して、解約返戻金相当額を代わりに支払う方法です。
解約返戻金相当額が代わりに支払われると、自己破産をしても保険は解約にならず、継続されます。
ただし、保険金の受取人が肉親の場合は保険法の介入権制度自体が利用できないため、方法として選べなくなります。
破産管財人に交渉する
破産管財人とは、自己破産において破産人の財産の調査や換金、債権者への分配などを担っている人のことです。
自己破産手続きをして管財手続きに入ると、破産管財人によって手続きが進められます。
破産管財人は、財産に関する調査や分配だけでなく、直接いろいろな交渉をすることも可能です。
破産人が破産管財人と直接交渉して認められれば、解約返戻金相当の金額を破産管財人に支払ったうえで保険を解約せず継続できる、という場合もあります。
まとめ
自己破産をしたあとは、保険の新規加入は可能です。
ただし、加入中の保険は解約返戻金が20万円以上の場合は財産とみなされ、解約となります。
20万円以上の解約返戻金の保険に加入していても、解約とならない場合もあります。自己破産によって現在加入中の保険が解約になるかどうか心配なときも、弁護士に相談してみましょう。
自分で契約者貸付制度を利用するなどして解約をまぬがれようとすると、免責不許可事由に該当して免責とならない危険性があります。