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自己破産の概要や手続きのための条件、手順を解説します。
自己破産とは
目次
自己破産は、収入が不足しているため借金の返済ができない状態(支払不能)であることを裁判所に認めてもらい、借金の返済義務を免除(免責)してもらうための手続きです。
自分が持っている財産を換金し、債権者に平等に分配することで返済に充てます。
そのため、預貯金や車、不動産、加入している保険などの財産を失います。失った財産分で補填できなかった借金の残りは、免責のための手続きを進めます。
免責が認められると、税金や養育費などの非免責債権を除いた借金を0にできます。
自己破産の条件
自己破産を受けるには以下の条件を満たす必要があります。
- 支払不能であること
- 免責不許可事由に該当しない
支払不能であること
自己破産手続きを受けるには、支払不能であることが認められなければいけません。支払不能とは、現在の収入や財産をすべて借金の返済に回しても、返済が困難な状況を指します。
たとえば、自宅を売却したお金を返済に充てれば完済できる場合なら、支払不能とは認められず自己破産はできません。
任意整理などほかの債務整理手続きをとることになります。
免責不許可事由に該当しない
免責が認められないケースと判断されるのが、免責不許可事由です。
免責不許可事由に該当すると、免責が認められず自己破産ができない可能性が高いです。
- 財産があるのに財産目録から外すなど隠した(財産の隠匿等)
- 破産申し立ての直前にクレジットカードで買い物した商品を換金する、ショッピング枠の現金化をした(換金行為等)
- 特定の債権者にだけ偏った返済をした(偏頗弁済)
- 収入を大きく超える買い物や、ギャンブルによる借金(ギャンブルや浪費による財産の減少)
- 破産申し立てをする1年以内に、所得証明書や身分証明書などを偽って借入をした(詐欺的な借り入れ)
- 破産手続きを行う裁判所で虚偽の手続きや報告をした
- 過去7年以内に免責を受けた
ただし、免責不許可事由に該当しても程度が軽い場合は、裁判官の裁量によって免責が認められる場合があります。
免責不許可事由に該当していて自己破産を検討しているときには、弁護士に相談してみましょう。
自己破産の手順
自己破産の手順は以下の通りです。
- 弁護士へ相談をし、自己破産に関する具体的な話を聞く
- 弁護士に依頼すると、受任通知が送付される
- 弁護士が債務調査をする
- 必要な書類を作成して弁護士事務所へ提出
- 自己破産申立をする
- 免責が決定する
弁護士事務所に足を運び、依頼人(債務者)の債務状況などを相談します。
弁護士に自己破産手続きを依頼することが決まったら、弁護士から受任通知と債務調査請求が債権者に送付されます。
この時点で、催促や取り立てがストップします。
依頼人は弁護士に指定された必要書類を作成し、弁護士事務所に提出します。提出された書類をもとに弁護士が自己破産申立書を作成し、管轄の地方裁判所へ提出します。
自己破産申立後、管財手続きまたは同時廃止手続きいずれかが決まります。必要な手順を踏んで免責申請を行い、免責が決定すれば借金の返済義務がなくなります。
管財手続きと同時廃止手続き
自己破産手続きには、管財手続きと同時廃止手続きがあります。
自己破産は、破産管財人が破産人の財産を調査、換金して債権者に分配することで返済に充てます。そのため、原則管財手続きとなります。
ただし、破産人に処分できる財産がない場合は、同時廃止手続きが認められます。
破産人に財産がない場合は、自己破産申立てと同時に手続きが終了(廃止)となると定められているため、同時廃止手続きと呼ばれています。
破産管財人は弁護士資格を有する人が任命されるため、報酬は破産人が支払わなければいけません。
一方、同時廃止手続きとなると処分する財産がない=破産管財人が不要となるため、破産管財人への報酬支払いは必要なくなります。
管財手続きか同時廃止手続きとなるかは、破産人の財産の有無に加えて、裁判所の裁量によって決まります。
また、管財手続きに該当する債務や財産状況、かつ支払う費用がないため自己破産ができない人のための、少額管財手続きもあります。
少額管財手続きは、司法書士ではできず弁護士への依頼が必須となります。少額管財手続きの利用も踏まえて、まずは弁護士へ相談してみましょう。
自己破産のメリット
自己破産をすると以下のメリットがあります。
- 債務が免責される
- 取り立て、訴訟提起が停止する
- 給料等の差し押さえが停止・取り消しになる
債務が免責される
自己破産の最大のメリットが、債務の免責です。免責が認められると借金の返済義務がなくなります。
収入を返済ではなく生活費に回せるので、借金から生活の立て直しが可能です。
取り立て、訴訟提起が停止する
自己破産を申し立てて手続きが開始すると、貸金業者や債権回収会社からの個別の催促や取り立てがストップします。
また、債権者からの訴訟提起も停止し、すでに訴訟提起がされている場合は中断します。
給料等の差し押さえが停止・取り消しになる
自己破産手続きが開始になると、強制執行も停止になります。
すでに給料の差し押さえなどの強制執行を受けている場合も停止または取り消しとなるので、給料などを自分の手元で受け取れるようになります。
自己破産のデメリット
自己破産には以下のデメリットがあります。
- 一定期間借入できなくなる
- 財産が処分される
- 自宅や車が維持できなくなる可能性がある
- 特定の職種に就けなくなる
- 官報に掲載される
- 保証人に影響が出る
一定期間借入できなくなる
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録(ブラックリスト状態)されます。
自己破産をしたという事故情報が7~10年の間登録されるため、この間はカードローンやクレジットカード契約の審査が通らず、借入ができなくなります。
財産が処分される
自己破産は破産人の持っている財産を換金して返済に充てます。そのため、財産は基本的に処分されると考えましょう。
ただし、生活必需品と認められた財産は、処分せずに残せる可能性があります。
自宅や車が維持できなくなる可能性がある
住宅ローンや車のローンが残っている自宅や車は抵当権に入っているため、自己破産すると担保として処分されることになります。
ローンが残っていない場合は、破産管財人の調査をもとに、処分対象となります。
ただし、資産価値の残っていない住宅や車は、処分よりもこのまま使い続けた方が有意義であると判断され、処分しなくてもよい場合があります。
特定の職種に就けなくなる
自己破産の最中に就けない職種を、制限職種といいます。制限職種に該当する職種(警備員、生命保険募集人、古物商(ディスカウントストアの責任者など)、宅地建物取引士など)に就いている場合は自己破産ができません。
自己破産手続きをするときは一時的に辞めるか、資格を使わずに仕事をする必要があります。
官報に掲載される
自己破産手続きをすると、官報に氏名や破産理由などが掲載されます。
官報をチェックしている勤務先でなければ、官報を通じて自己破産がバレることはありません。
ただし、貸金業者は官報をチェックしているため、官報に載ったことがきっかけで貸金業者からの勧誘連絡が入る可能性はあります。
保証人に影響が出る
保証人のついている借入や債券がある場合、保証人へ返済が求められます。
自己破産は手続する債権の選択ができないため、保証人がついている場合ほぼ影響が出ます。
まとめ
自己破産は借金を0にできる大きな効力のある債務整理の一方、財産を失うなどのデメリットがあります。
また、管財手続きとなると費用も期間もかかるため、なかなか踏み切れない、という人も多いでしょう。
少額管財手続きを検討したいときや、免責不許可事由に該当しているかもしれない不安があるときも含めて、弁護士に相談してみましょう。