リボ払いの過払い金は返ってくる?請求の条件・デメリット・相談先まで解説

リボ払いの利用経験があり、払い過ぎた利息、すなわち「過払い金」に関心がある人は少なくないはずです。
特定の条件を満たせば、リボ払いの過払い金が返ってくる可能性があります。
過払い金請求とは、法律で定められた上限金利を超えて支払った利息の返還を求める手続きのことです。
この記事では、過払い金の請求が可能になるケースや具体的な条件、注意すべきデメリット、そして手続きの流れについて解説します。
心当たりがある場合は、返還を求めるための第一歩として、まず正確な情報を把握することが重要です。

リボ払いでも過払い金は発生する?対象となるケースを解説

目次

リボ払いのすべてが過払い金の対象となるわけではありません。
過払い金は、利息制限法の上限金利を超えて利息を支払っていた場合に発生するお金です。
過去の貸金業界では、利息制限法の上限は超えるものの、出資法の上限は超えない「グレーゾーン金利」での貸付が横行していました。
この仕組みにより払い過ぎた利息が、過払い金の正体です。
したがって、リボ払いの中でもグレーゾーン金利が適用されていた可能性のある取引が、返還請求の対象となります。

キャッシングリボなら過払い金の対象になる可能性がある

過払い金が発生する可能性があるのは、クレジットカードのキャッシングリボを利用していた場合です。
キャッシングとは、カードを使って現金を借り入れるサービスのことを指します。
2010年6月以前のキャッシングリボでは、多くのカード会社が利息制限法の上限を超える金利を設定していました。
例えば、利息制限法では元本10万円未満の貸付金利は年20%が上限ですが、当時は年25%や28%といった金利で貸し付けられていたケースが少なくありません。
この法律の上限を超えて支払った利息分が過払い金となり、返還請求の対象となります。

ショッピングリボは過払い金の対象外なので注意

一方で、買い物の支払いに利用するショッピングリボは、過払い金の対象外です。
これは、ショッピングの利用が法律上借金ではなく、カード会社が利用者の代金を一時的に立て替える立替金と見なされるためです。
利用者がカード会社に支払うのは利息ではなく、割賦販売法に基づく手数料として扱われます。
利息制限法は金銭の貸し付け、つまり借金に適用される法律であるため、立替金であるショッピングリボには適用されません。
そのため、どれだけ長期間ショッピングリボの支払いを続けていても、過払い金が発生することはありません。

リボ払いで過払い金を請求できる3つの条件

リボ払いで過払い金返還請求を行うためには、対象となるいくつかの条件を満たしている必要があります。
過去にキャッシングリボを利用した経験があっても、これから説明する条件に当てはまらなければ、請求は認められません。
具体的には、借入れを開始した時期、時効が成立しているかどうか、そして請求先であるカード会社が今も存在しているかという3つのポイントが重要になります。
これらの条件を一つずつ確認することが、請求の第一歩です。

2010年(平成22年)6月17日以前に借入れを開始した

過払い金請求の最も重要な条件は、2010年6月17日以前にキャッシングリボの利用を開始していることです。
過払い金の原因であるグレーゾーン金利は、2010年6月18日に施行された改正貸金業法によって撤廃されました。
この法改正以降、貸金業者は利息制限法の上限金利(年15~20%)を超える貸し付けができなくなっています。
したがって、法改正後の2010年6月18日以降に初めてキャッシングを利用した場合は、適法な金利での契約となるため、過払い金は発生しません。
過去の取引がこの日付より前であったかどうかが、請求の可否を判断する大きな分かれ目となります。

最後の取引から10年が経過していない(時効前)

過払い金返還請求権には時効があり、権利を行使しないまま一定期間が経過すると消滅してしまいます。
原則として、時効は最後に取引した日、つまり完済日から10年で成立します。
例えば、完済してから11年が経過している場合、過払い金が発生していても請求する権利は失われます。
完済から6年が経過し、時効まであと4年という状況であれば、速やかに手続きを開始する必要があります。
なお、2020年4月1日の民法改正により、権利を行使できることを知った時から5年という時効も追加されましたが、多くのケースでは「最後の取引から10年」が基準となります。

請求先のクレジットカード会社が倒産していない

過払い金を請求するためには、請求相手のクレジットカード会社や信販会社が存続していることが大前提です。
もし会社が倒産している場合、過払い金を取り戻すことは極めて困難になります。
現在、エポスカード、JCB、オリコカード、セゾンカード、三井住友カード、イオンカード、楽天カードなど、多くのクレジットカード会社は営業を続けており、これらのカードに対する請求は可能です。
また、アプラスやジャックスといったクレジット会社も対象です。
dカードやTカードのようなポイント機能が付いたカードのキャッシング枠も、信販会社が発行していれば請求対象となり得ます。

注意!リボ払いの過払い金請求で生じる2つのデメリット

リボ払いの過払い金請求は、払い過ぎた利息が戻ってくるという大きなメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
請求を検討する際には、こうしたマイナス面も十分に理解しておくことが不可欠です。
特に、今後のクレジットカードの利用や、自身の信用情報に与える影響については、手続きを進める前に必ず確認しておくべき重要な注意点です。
メリットとデメリットを天秤にかけ、納得した上で手続きに踏み切ることが求められます。

請求したクレジットカードが強制解約になる

過払い金請求を行ったクレジットカードは、原則として強制的に解約扱いとなります。
これは、カード会社との間で「契約の見直し」が行われたと見なされるためです。
一度解約されると、そのカードは利用できなくなり、貯まっていたポイントも失効します。
また、そのカードに付帯するETCカードや家族カードも同様に使用不能となります。
公共料金や携帯電話料金、各種サブスクリプションサービスの支払いにそのカードを登録している場合は、請求手続きを始める前に、別の支払い方法へ変更しておく必要があります。

借金が残る場合は信用情報に影響が出る(ブラックリスト)

過払い金を計算した結果、返済中のリボ払いの残高がなくならず、借金が残ってしまうケースがあります。
この場合、過払い金請求は「任意整理」という債務整理手続きの一環として扱われます。
その結果、信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆる「ブラックリスト」に載った状態になります。
信用情報に傷がつくと、約5年間は新たにローンを組んだり、新しいクレジットカードを作成したり、他社のローン審査に通ったりすることが非常に難しくなります。
完済後の請求であれば信用情報への影響はありませんが、返済中の場合は注意が必要です。

リボ払いの過払い金を請求する手続きの5ステップ

リボ払いの過払い金を実際に請求する場合、どのような手順で進めていけばよいのでしょうか。
手続きには、カード会社とのやり取りや法律に基づいた計算など、いくつかの段階を踏む必要があります。
個人で行うことも可能ですが、弁護士や司法書士といった専門家に依頼するのが一般的です。
ここでは、取引履歴の取り寄せから始まり、交渉、そして場合によっては裁判に至るまで、過払い金請求の基本的な流れを5つのステップに分けて具体的に解説します。

ステップ1:カード会社から取引履歴を取り寄せる

過払い金請求の最初のステップは、請求先となるカード会社から「取引履歴」を取り寄せることです。
取引履歴とは、いつ、いくら借り入れ、いくら返済し、その際の金利は何パーセントだったかといった、契約当初からのすべての取引内容が記録された書類です。
この履歴がなければ、過払い金がいくら発生しているのかを正確に計算できません。
取り寄せの依頼は、カード会社のコールセンターに電話するか、ウェブサイトの専用フォーム、または郵送で申請するのが一般的です。
取引履歴の開示は法律で定められた義務なので、カード会社は正当な理由なく拒否することはできません。

ステップ2:利息の引き直し計算で過払い金の額を算出する

取引履歴が手元に届いたら、次はその内容を基に「引き直し計算」を行います。
引き直し計算とは、取引開始日にさかのぼって、利息制限法で定められた上限金利(元本の額に応じて年15~20%)を適用し、本来支払うべき利息を再計算する作業です。
この計算によって、実際に支払った利息との差額、つまり過払い金の正確な金額が明らかになります。
計算自体は複雑で、特に取引期間が長い場合や途中で追加の借入れがある場合は手間がかかります。
インターネット上で利用できる無料の計算ソフトを使う方法もありますが、正確性を期すためには専門家に依頼するのが確実です。

ステップ3:過払い金返還請求書を作成してカード会社へ送付する

過払い金の金額が確定したら、カード会社に対して「過払い金返還請求書」という書面を送付します。
この書類には、請求する人の氏名や住所、過払い金が発生している事実、計算で判明した過払い金の具体的な金額、そして返還先の振込口座などを明記します。
法的な請求の意思を明確にし、送付した証拠を残すため、普通郵便ではなく「内容証明郵便」を利用して送るのが一般的です。
内容証明郵便で送付することにより、カード会社に対して正式に請求を行った事実が記録として残り、時効の完成を一時的に猶予させる効果も期待できます。

ステップ4:カード会社と返還金額や返還時期を交渉する

過払い金返還請求書を送付後、カード会社の担当者から連絡があり、返還に向けた交渉が始まります。
主な交渉内容は、返還される過払い金の割合と、支払われる時期です。
カード会社側は、経営状況などを理由に、発生した過払い金の満額ではなく、7割や8割といった減額した金額での和解を提案してくることが少なくありません。
また、返還時期についても数ヶ月先を提示される場合があります。
個人で交渉すると、法律知識や交渉経験の差から不利な条件で合意してしまう可能性もあるため、専門家を代理人として交渉を進める方が有利な結果を得やすくなります。

ステップ5:交渉がまとまらない場合は裁判で解決を目指す

交渉を行っても、返還される金額や時期についてカード会社と合意に至らない場合は、裁判所に「過払い金返還請求訴訟」を提起して、法的な解決を目指すことになります。
裁判を起こすことで、交渉段階では応じてもらえなかった条件での返還が期待でき、特に過払い金の元本に加えて、年3%(または旧民法の年5%)の利息を上乗せして請求できる点が大きなメリットです。
ただし、裁判手続きは専門的で複雑であり、解決までに半年以上の期間を要することもあります。
そのため、訴訟に移行する段階では、弁護士などの法律専門家のサポートを受けることが不可欠となります。

過払い金がなくてもリボ払いの負担を軽くする方法

調査の結果、過払い金が発生していなかったり、請求の条件を満たしていなかったりする場合でも、リボ払いの返済に苦しんでいる状況を改善する方法はあります。
過払い金請求以外の選択肢として、「債務整理」という法的な手続きを検討することが可能です。
債務整理にはいくつかの種類があり、それぞれの状況に応じて、将来の利息をカットしたり、借金の元本そのものを減額したりすることで、月々の返済負担を軽減し、生活の再建を目指すことができます。

将来の利息をカットして元本を返済する任意整理

任意整理は、裁判所を介さずに、弁護士や司法書士が代理人となってカード会社と直接交渉する方法です。
この手続きの主な目的は、今後の返済で発生するはずだった利息(将来利息)をカットしてもらい、残った元本のみを3年から5年程度の期間で分割して返済していく和解を結ぶことです。
利息がなくなることで、毎月の返済がすべて元本の減少にあてられるため、着実に借金を減らしていくことが可能になります。
手続きが比較的簡単で、整理する対象の借金を選べるため、保証人がついているローンなどを除外して手続きを進めることもできます。

借金を大幅に減額できる個人再生

個人再生は、裁判所に申し立てを行うことで、借金の総額を大幅に減額する手続きです。
法律で定められた基準に基づき、借金を5分の1から10分の1程度にまで圧縮し、その減額後の金額を原則3年間で分割して返済していきます。
任意整理では返済の継続が難しいほど借金が膨らんでしまった場合に有効な手段です。
また、「住宅ローン特則」という制度を利用すれば、住宅ローンが残っている持ち家を手放すことなく、それ以外の借金だけを整理できるという大きな特徴があります。
ただし、手続きが複雑で、利用するには安定した収入があることなどの条件が求められます。

返済義務が免除される自己破産

自己破産は裁判所に支払い不能であることを申し立て免責許可決定を得ることで税金などの一部を除いたすべての借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
収入がなかったり借金額が大きすぎたりして任意整理や個人再生を行っても返済の見込みが立たない場合の最終的な救済手段です。
借金がゼロになるという非常に強力な効果がある一方で持ち家や車など一定以上の価値を持つ財産は処分されるほか手続き中は警備員や保険募集人など一部の職業に就けなくなる資格制限といったデメリットも伴います。

リボ払いの過払い金請求は弁護士・司法書士への相談がおすすめ

リボ払いの過払い金請求を自分で行うことも不可能ではありませんが、手続きには法律の知識や複雑な計算、カード会社との交渉が不可欠です。
時間や手間がかかるだけでなく、知識不足から本来得られるはずの金額よりも少ない額で和解してしまうリスクもあります。
そのため、過払い金請求を検討しているなら、まずは弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談することがおすすめです。
専門家のサポートを受けることで、多くのメリットを享受しながら、より確実に手続きを進めることが可能になります。

正確な過払い金額を算出してもらえる

専門家に依頼する大きなメリットは、過払い金の金額を正確に算出してもらえる点です。
引き直し計算は、取引履歴が長期間にわたる場合や、途中で何度も借入れと返済を繰り返していると非常に複雑になります。
計算ミスがあれば、受け取れる金額が減ってしまうだけでなく、まだ借金が残っているのに気づかずに請求してしまい、信用情報に傷がつくといった事態も起こりかねません。
法律の専門家であれば、過去の判例なども踏まえながら、法律に基づいた正確な計算を行い、請求できる過払い金の最大額を割り出してくれます。

複雑な手続きや交渉をすべて任せられる

弁護士や司法書士に依頼すれば、一連の複雑な手続きをすべて代行してもらえます。
カード会社からの取引履歴の取り寄せ、煩雑な引き直し計算、法的な書面である過払い金返還請求書の作成と送付、そして最も重要となるカード会社との交渉まで、すべてを任せられます。
特に、交渉の場面では相手も専門の担当者であるため、個人で対等に話を進めるのは容易ではありません。
専門家が代理人として交渉することで、有利な条件での和解を引き出しやすくなり、依頼者は時間や労力、精神的な負担から解放されます。

家族や職場に知られずに手続きを進められる

借金に関する問題は非常にデリケートであり、家族や職場に知られずに解決したいと考える人は多いはずです。
弁護士や司法書士に手続きを依頼すると、その時点からすべての連絡窓口は専門家の事務所になります。
カード会社から自宅や勤務先に電話がかかってきたり、督促状などの郵便物が届いたりすることがなくなるため、プライバシーを確保したまま手続きを進めることが可能です。
誰にも知られることなく、安心して過払い金の回収に専念できる環境を整えられる点は、専門家に依頼する大きな精神的メリットと言えます。

まとめ

リボ払いのうち、2010年6月17日以前にキャッシングを利用していた場合、利息制限法の上限を超える金利で利息を支払っていた可能性があり、過払い金が発生していることがあります。
ただし、請求するには最後の取引から10年以内という時効の条件を満たすほか、請求先のカード会社が倒産していないことが必要です。
請求手続きを進めることで、払い過ぎた利息が戻ってくる可能性がある一方で、対象のクレジットカードが解約になる、返済中の場合は信用情報に影響が出るといったデメリットも存在します。
手続きは複雑なため、弁護士や司法書士に相談することが、正確かつスムーズな解決につながります。