ギャンブル依存症になりやすい人の特徴と対策|借金問題解決へのアプローチ

ギャンブル依存症になりやすい人の特徴と対策|傾向を知り、借金問題を解決しよう

目次

「ギャンブル依存症になりやすい人とは?」
「家族がギャンブル依存症かもしれない…どう対処すれば良い?」
自分や家族がギャンブル依存症の可能性がある場合、どのように対処すべきかを考えることが大切です。日本では、パチンコや競馬、競輪など、大人であれば誰でも楽しめる公営ギャンブルがありますが、日常的にギャンブルを行っている人の中には「ギャンブル依存症」の可能性がある方もいます。
この記事では、ギャンブル依存症になりやすい人の特徴や傾向を詳しく解説し、ギャンブル依存症の定義やチェックリストも紹介します。また、ギャンブル依存症を放置することのリスクや、それが精神的・金銭的な問題を引き起こす理由、さらには問題解決に向けた方法もお伝えします。もし自分や身近な人にギャンブル依存症が疑われる場合は、ぜひ参考にしてください。

ギャンブル依存症の主な症状と原因

ギャンブル依存症の主な症状と要因について解説していきます。

ギャンブル依存症の主要な症状

ギャンブル依存症は、単なる趣味を超えて日常生活に深刻な影響を与えます。最も顕著な症状は、ギャンブルのコントロールが効かなくなることです。始めると止められず、負けを取り戻そうとさらに賭け金を増やす傾向が見られます。

多くの依存症患者は、借金の増加に悩まされます。給料日には全額使い果たし、クレジットカードの限度額まで使い切ることも少なくありません。この経済的な問題は、家族との関係悪化や社会的な孤立を引き起こすことが多いです。

また、ギャンブルを隠すために嘘をつくことが常習化します。家族や友人、職場の人々に対して嘘をつくことで、信頼関係を崩壊させます。さらに、仕事や学業に支障をきたし、遅刻や欠勤が増え、最終的には失業などの深刻な結果を招くこともあります。

ギャンブル依存症の原因となる要因

脳科学の観点から見ると、ギャンブル依存症は報酬系の機能異常と深く関係しています。ギャンブルの興奮や勝利によって脳内のドーパミンが急増し、その快感を再び得ようと繰り返しギャンブル行為を行うことになります。

現代社会での過度なストレスも、依存症の原因として大きな影響を与えています。仕事や人間関係からくるストレスを和らげる手段として、ギャンブルに没頭する人が増加しています。特に、パチンコやスロットマシンは、現実逃避の手段として選ばれやすい傾向にあります。

また、借金によるプレッシャーが依存症を悪化させる要因となります。負けを取り戻そうとする心理(チェイシング)が働き、さらなる借金を重ねるという悪循環に陥ってしまいます。

ギャンブル依存症になりやすいのはどんな人?

ギャンブル依存症になりやすい人には、どのような特徴や傾向があるのでしょうか?

まじめで几帳面な人

意外に思われるかもしれませんが、まじめで几帳面、責任感の強い人がギャンブル依存症に陥りやすい傾向にあります。「ギャンブル」や「依存症」と聞くと、だらしない、ルーズなイメージを持たれることが多いですが、実際にはまじめで几帳面な人こそ、依存症に注意が必要です。

こうした性格の人は、仕事や家事をおろそかにせず、適切に休むことやリフレッシュすることが苦手です。また、人に迷惑をかけたくないという思いから、仕事や責任を一人で抱え込むことが多くなります。まじめで几帳面な人ほど、依存症やうつ病などの精神的な問題に陥りやすいため、注意が必要です。

衝動的な行動をする人

衝動的な行動が多い人も、ギャンブル依存症になりやすいと考えられます。このようなタイプの人は、依存症に陥る前から感情のコントロールや衝動の抑制が難しい傾向があります。中にはADHD(注意欠陥多動性障害)などの発達障害を持つ人も多く、衝動性が原因で感情を抑えることができず、ギャンブルにのめり込みやすい可能性があります。

幼少期・青年期にギャンブル経験がある人

幼少期や青年期にギャンブルを経験していると、大人になってからギャンブル依存症になりやすい傾向があります。このような人々は、両親や養育者がギャンブルをしていた可能性が高く、その影響でギャンブルに対する抵抗感が薄れていることが主な理由です。

精神疾患が関係している場合

精神疾患を抱えている人は、そうでない人に比べてアルコールやギャンブルに依存しやすい傾向があります。具体的に言うと、以下のような精神疾患が関連しています。

  • 薬物中毒
  • アルコール依存症
  • 抑うつ
  • 不安障害
  • 強迫性障害
  • 双極性障害

これらの精神疾患を持つ人々は、ドーパミンという快感を引き起こす脳内物質の分泌が難しい場合が多いです。ドーパミンはギャンブルやアルコール、スマホの使用などで分泌されることが知られており、そのため依存症に陥りやすくなります。

ギャンブルを初めて大きな勝ちを経験した人

ギャンブルを始めたばかりで、大きな勝利を経験した人は依存症に陥りやすいです。いわゆる「ビギナーズラック」を体験した場合、初めて挑戦したのに大当たりを引くと、自分の力や運で何か素晴らしいことを成し遂げたように感じ、「こんなに楽しいものがあるのか」とギャンブルにのめり込むようになります。また、その時の興奮が忘れられず、何度もギャンブルを繰り返す原因となることがあります。

負けず嫌いな性格

負けず嫌いな性格の人も、ギャンブル依存症に陥る可能性があります。このタイプの人は、ギャンブルにのめり込む前から勝ち負けに強いこだわりを持っていることが多く、好戦的な性格をしています。現代社会では、こうした性格の人がストレスを溜めやすい傾向にあります。そのため、勝敗が明確なギャンブルに魅力を感じやすく、依存症に陥るリスクが高くなります。

甘えが苦手で我慢強い性格

極端に甘え下手で我慢強い性格の人も、ギャンブル依存症になりやすいと考えられます。このような特徴を持つ人は、幼少期に両親との関係に問題を抱えている「アダルト・チルドレン(AC)」の可能性が高いです。ACとは、子ども時代に親や養育者との関係で心に深い傷(トラウマ)を負い、その影響が大人になってからの人格形成や生きづらさに繋がっている人のことを指します。親の期待に応えようと「よい子」を演じ続けた結果、不安を抱え、自己肯定感が低くなる傾向があります。このような不安を解消するためにギャンブルに手を出し、結果として依存症や精神疾患に陥るリスクが高いと言えます。

依存症の家族がいる人

依存症の家族がいる人は、ギャンブル依存症になりやすいと言われています。アメリカ・ミズーリ大学の研究によると、家族にギャンブル依存症がいる場合、ギャンブル依存症になる確率は19%で、家族に依存症がいない場合の5%と比較して、約4倍のリスクがあることがわかっています。
参考:依存症に「なりやすい人」「なりづらい人」の差|東洋経済オンライン

ストレスを一人で抱え込みがちな人

ストレスを一人で抱え込みやすい人も、依存症に陥りやすい傾向があります。これはまじめで几帳面な人に似た特徴で、こうした人々は他者に相談したり、悩みを打ち明けることが苦手です。そのため、ストレス発散の方法としてお酒や買い物、ギャンブルに頼ることが多くなり、最終的には依存症に繋がることがあります。

また、ストレスを一人で抱える人は「誰かに話しても解決しない」と考えがちですが、問題が解決しなくても、誰かに話すことで自分の中の不安や心配、ストレスが少しでも軽減されることを意識してみましょう。

ギャンブル依存症になるのは男性が多い

ギャンブル依存症の発症率は、性別によって差があり、男性の方が女性よりも多いことがわかっています。国の調査によると、ギャンブル依存症が疑われる人(SOGSが5点以上)の割合は、男性が3.7%で、女性は0.7%にとどまり、男性の方が依存症のリスクが高いことが確認されています。
参考:令和2年度依存症に関する調査研究事業「ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」報告書概要|独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター

発達障害を抱えている人

発達障害のある人は、脳内物質であるドーパミンの分泌調整がうまくいかないため、ドーパミンが分泌されやすい行動に依存しやすい傾向があります。特に衝動性が高いADHDの人々は、先天的に「遅延報酬障害」があることが知られています。

遅延報酬障害とは、将来得られる大きな報酬よりも、目先の小さな報酬を優先してしまう障害です。ギャンブルは、まさにその目の前にあるお金を求める行動そのものです。したがって、ADHDの人々は、他の人々と比べてギャンブルに依存しやすいと言えます。

遺伝的に依存症になりやすい人

ギャンブル依存症になりやすいかどうかは、遺伝子の傾向によっても異なります。ミズーリ大学が行った研究によると、ギャンブル行動と遺伝子(DNA塩基)との関係が明らかになり、「C」という特定のDNA塩基を持つ人がギャンブルに依存しやすいという結果が得られました。

この研究では、ギャンブルに最も依存しやすい「CC型」の割合が5.2%、やや依存しやすい「CT型」の割合が35.1%、そしてギャンブルに依存しにくい「TT型」の割合が59.8%であることが示されています。

環境要因の特徴

若いころからギャンブルに親しんでいる環境は、依存症が発症しやすい大きなリスクとなります。特に、家族や身近な人が日常的にギャンブルをしている場合、それを普通のこととして受け入れてしまう可能性があります。

また、ギャンブルが身近にある環境も危険です。例えば、パチンコ店や競馬場が近くにある、オンラインギャンブルへのアクセスが容易など、ギャンブルの機会が増えることでリスクが高まります。さらに、金銭管理が苦手な人は特に注意が必要です。収支を適切に管理できない人は、ギャンブルでの損失を把握しきれず、問題が悪化する可能性が高いです。

パーソナリティ面での特徴

完璧主義的な性格の人は、ギャンブル依存症に陥りやすいとされています。完璧を追求する「必ず取り戻せる」という思考が、終わりのない賭けを引き起こす原因となるからです。

また、衝動的に判断を下しがちな人も要注意です。瞬間的な決断で大きな賭けに出てしまい、取り返しのつかない結果を招きやすい傾向があります。これには、前頭葉の実行機能の低下が関連していると考えられています。

リスクを過小評価しがちな人も危険です。「今回だけ」「このくらいなら」という甘い考えが、次第に大きな問題に繋がります。刺激を求める傾向が強い人は、ギャンブルの興奮や緊張感に魅了されやすく、依存症になるリスクが高まります。特に、単調な日常生活を送っている人にこの傾向が顕著です。

社会的要因の特徴

現代社会における孤独感や社会的孤立は、ギャンブル依存症を引き起こす重要な要因となっています。人間関係が薄い人は、ギャンブル場で感じる一時的な連帯感や所属感を求めがちです。

また、経済的な不安定さも依存症を助長する大きな要素です。収入の低さや不安定な雇用状況は、「一攫千金」の夢を膨らませ、ギャンブルへの依存を深めることがあります。さらに、過剰な競争社会のプレッシャーも依存症を引き起こす原因となります。達成感や成功体験が得られない状況が続くと、ギャンブルでの勝利に価値を見いだすようになることが多いです。

そもそもギャンブル依存症とは?

ギャンブル依存症とは一体どのような病気で、どのような症状が現れるのでしょうか。今回は、ギャンブル依存症について詳しくご説明します。

ギャンブル依存症の定義とは?

ギャンブル依存症とは、ギャンブルにのめり込みすぎて日常生活や社会生活に支障をきたす状態を指します。世界保健機構(WHO)はこの状態を「病的賭博」と呼び、正式に病気として認識しています。

ただし、医療分野ではギャンブル依存症は「精神障害」と位置づけられていますが、「精神疾患」とは断定されていません。というのも、脳の画像診断において依存症を引き起こす具体的な病変が確認されていないためです。現在は、この部分については画像研究に基づく推測段階にあります。

依存症はギャンブル以外にも、アルコールや薬物、買い物などさまざまな形態があります。その中でも、精神的に依存する物質が原因となる「物質依存」と、ギャンブルや買い物、スマートフォン、ゲームなどの行動に依存する「行動嗜癖(しへき)」の二種類に分類されます。

なぜギャンブルにのめり込んでしまうのか?

なぜ人はギャンブルにのめり込んでしまうのでしょうか?その理由の一つは、「脳が快楽を求める性質」にあります。ギャンブルで勝つことで、脳内の報酬系が刺激され、強い快感を得ることができます。過去に大きな勝利を経験した人は、その快感を忘れられず、何度もその感覚を求めてギャンブルにのめり込むことが多くなります。

また、別の原因として、日常のストレスや不安から逃れたいという心理も挙げられます。誰でも少なからずストレスを抱えていますが、それを趣味や他人との会話でうまく解消できる人もいれば、成育歴や性格的な要因でうまく発散できない人もいます。そうした人々は、ストレス解消の手段としてギャンブルに依存することが多いです。このメカニズムは、アルコールや薬物などの物質依存にも共通しています。

ギャンブル依存症の特徴とは?

ギャンブルにのめり込むことには、単にギャンブルが好きな人とギャンブル依存症の人との間に大きな違いがあります。ここでは、ギャンブル依存症の特徴について詳しく説明します。

コントロール障害

コントロール障害とは、「ギャンブルをしたい」という欲求を自分で抑えられない状態を指します。たとえ「お金がないから少しだけなら問題ないだろう」と思っても、自分で適切なタイミングで止めることができず、ギャンブルに没頭してしまいます。結果的に、手持ちのお金が足りなくなり、借金をしてまでギャンブルを続けることになります。また、家庭や仕事に悪影響を及ぼすと分かっていても、ギャンブルを優先してしまうのも依存症の典型的な特徴です。

両価性の心理

ギャンブルの問題を抱える全ての人が「一生ギャンブルをやめない」と考えているわけではありません。ギャンブルによって得られる快楽が忘れられず、再びその快感を求める一方で、「このままギャンブルを続けると家族や職場に迷惑がかかる」という気持ちも抱いていることが多いです。ギャンブルを「続けたい」と「やめたい」という感情が交錯し、揺れ動くことがギャンブル依存症の特徴です。

身近な人を巻き込む

ギャンブル依存症をはじめとする依存症の特徴の一つは、身近な人を巻き込んでしまうことです。ギャンブルにのめり込むことで、特に家族が借金返済に追われたり、生活が困難になったりするなど、周囲も影響を受けます。依存症者本人以上に、その家族は悩みやストレスを抱え、精神的に疲れ果ててしまうことが多いです。

問題の否認

依存症には「問題の否認」という心理的な問題が伴います。問題の否認とは、明らかに問題が発生しているにも関わらず、その問題と向き合おうとしない態度を指します。例えば、ギャンブルが原因で多額の借金を抱え、その借金が家庭や仕事に影響を与えていても、「ギャンブルはいつでもやめられる」「次に勝てばやめる」といった過小評価の態度を取る場合、それは依存症の兆候と言えます。

ギャンブル依存症の具体的な症状

ギャンブル依存症の症状が現れるきっかけには、最初は純粋に「賭ける」ことを楽しんでいた動機が、他の理由に変わることがあります。これに当てはまる動機としては、以下のようなものがあります:

① ギャンブルで負けた分を取り戻すために、再びギャンブルを行う(追い負け)
② さらなる興奮を求めて、掛け金を増やしてギャンブルをしたくなる
③ 不安や抑うつを解消するために、ギャンブルをする
④ ギャンブルをやめると、落ち着かなかったり、いら立ちを感じる
⑤ ギャンブルを控えたりやめようと試みてもうまくいかなかった経験がある

これらの結果として、⑥ ギャンブルのことが常に頭から離れず、⑦ ギャンブルとうまく向き合えなくなります。加えて、周囲の人々に対して、⑧ ギャンブルに関して嘘をついたり、⑨ ギャンブルによる借金を作ったりすることで、ギャンブルが原因で人間関係が危機的な状況に陥ることになります。

ギャンブル依存症の診断方法

ギャンブル依存症の診断は、米国精神医学会が定めた「DSM-5(精神障害診断基準集)」を基に行われます。上記の①~⑨の項目のうち、4つ以上に該当する場合、「ギャンブル障害」と診断される可能性が高いです。特に①の「追い負け」は、ギャンブル依存症の代表的な症状として知られています。

日本では、ギャンブル依存症を簡単にチェックするための指標として「LOST」があります。以下の4つの項目のうち、2つ以上に該当すればギャンブル依存症の可能性が高いとされています:

  1. ギャンブルをするとき、予算や時間の制限を設けず、設けても守れない(Limitless)
  2. ギャンブルに勝った際、「次のギャンブルに使おう」と考える(Oneagain)
  3. ギャンブルをしたことを誰かに隠す(Secret)
  4. ギャンブルで負けた際、すぐに取り戻したいと思う(Takemoneyback)

参考:ギャンブル依存症自己診断ツール『LOST』を開発しました|ギャンブル依存症問題を考える会

ギャンブル依存症の具体的な症状

ギャンブル依存症の治療には、いくつかの方法があります。以下は代表的な治療法です。

治療方法と内容

  • 行動療法
    ギャンブルに対する欲求を抑える技術を学び、問題行動であるギャンブルに体系的に暴露していく治療法です。
  • 認知行動療法
    自分の行動の理由や因果関係を理解し、ギャンブルを引き起こす思考の癖やトリガーを認識したうえで、意識的にそれに対処するスキルを練習する治療法です。
  • 集団精神療法
    ギャンブルの問題を抱えた他の患者と共に、過去の生活や今後の健全な生活をどのように送るかを考えます。集団で治療を受けることで、ひとりではないという安心感を得たり、自分も回復できるという自信を持つことができます。
  • 薬物療法
    ギャンブルや金銭に関する不安や焦りが強い場合には、抗不安薬や睡眠薬が処方されることがあります。

これらの治療には、ギャンブル依存症に関する専門知識を持つ医療機関や専門家の協力が必要です。治療期間は症状の重さに応じて異なりますが、一般的には約2年ほどです。深刻な症状の患者には、入院しての治療が行われることもあります。

また、自由な時間が多いとギャンブルに走ってしまう場合や、家族が対応できない場合には、グループホームや厚生施設への入所が選択肢となります。

ギャンブル依存症を放置すると引き起こされる問題

ギャンブルに過度に依存している状態を放置すると、どんな問題が生じるのでしょうか。

人間関係に与える影響

ギャンブル依存症に陥ると、対人関係に深刻な影響を与えます。特に、最も近い存在である同居家族への影響が大きく、生活費をギャンブルに使い込んだり、仕事を放棄してギャンブルに没頭したり、嘘をついてまでギャンブルを続けることで、最終的には家族に見捨てられ、孤独を感じることが多くなります。
さらに、家族以外の友人や同僚との関係にも影響を及ぼします。友人の助言を無視してギャンブルを続けることで、信頼を失い、仕事に集中できなくなったり、借金を重ねることで借金取りが職場に訪れるなど、社会的信用をも失うことになります。

犯罪行為への関与

ギャンブルを続けるためのお金を得るために、犯罪行為に走る人もいます。ギャンブルのためにお金を得ようと、窃盗や横領、詐欺などを犯すケースは決して少なくありません。さらに、ギャンブルで負けたり資金が尽きたりすると、イライラして他人の所有物や公共物を壊すこともあります。

こうした犯罪行為の結果、他人を傷つけてしまうと、罪がさらに重くなることになります。ギャンブル依存症の人々の家族も、犯罪者の家族として社会的に扱われることになり、その影響は深刻です。

借金の増加

手元のお金でギャンブルを楽しむのは問題ありませんが、ギャンブル依存症になると、ギャンブルを続けるためにお金を借りるようになり、結果として借金を重ねることになります。複数の貸し手から借り入れを行うことで、多重債務が発生し、膨大な借金を抱えることになります。その結果、返済のことで頭がいっぱいになり、精神的にも追い詰められるでしょう。

返済期日を守れないと、頻繁に返済の催促の電話がかかってきます。そして、それでも返済ができないと、最終的には裁判所に申し立てが行われ、財産の差し押さえが許可されることになります。差し押さえが実行されると、給与や持ち家、その他の財産が借金返済のために差し押さえられることとなります。

他の依存症や精神疾患のリスク

ギャンブル依存症の人は、アルコールやニコチンなど、他の依存症にかかりやすい傾向があります。また、うつ病や抑うつ、双極性障害などの気分障害を併発しやすいこともあります。アルコールや薬物を過剰に摂取し続けることによって、身体への悪影響を避けることはできません。

ギャンブル依存症に対する有効な対策

まず最初に、本人がギャンブル依存症であることを自覚することが重要です。成育歴や環境、または依存症に陥った辛い事情があったとしても、依存症に至った現状から目を背けてはいけません。ギャンブル依存症は、本人だけでなく家族にも深い傷を与える病気です。周りに誰もいなくなったと感じる前に、適切な治療や対処法を取り、依存症から早急に抜け出すために努力をしましょう。

まずはギャンブル依存症を自覚することから始める

ギャンブル依存症であることに気づくことが、まず最初に大切です。成育歴や環境など、どうしても避けられなかった事情があったとしても、依存症に陥った現実から目を背けてはいけません。ギャンブル依存症は、本人だけでなく、家族にも深い影響を与える病気です。気づいた時にはすでに周りに誰もいなくなってしまったという状況にならないよう、早期に適切な治療や対策を講じ、依存症から抜け出すための努力をしましょう。

家族のサポートが欠かせない

ギャンブル依存症の治療や回復には、家族の協力が欠かせません。しかし、ギャンブル依存症の人が身近にいると、最も影響を受けるのは家族です。家族は「もうギャンブルをやめてほしい」と強い気持ちから、本人に厳しい言葉をかけたり、借金返済を肩代わりすることがあります。

その結果、家族自身が疲れ果て、精神的なストレスを抱えることもあります。また、家族の対応が誤ると、依存症がさらに深刻化することもあるため、家族の支援方法は非常に重要です。専門家の指導を受けて適切なアプローチを学ぶことは、本人の回復を促進するだけでなく、家族自身の健康を守るためにも大切です。

ギャンブル以外の新しい趣味を見つける

ギャンブルを克服するためには、他に打ち込めるものを見つけることが必要です。依存症患者は、「ギャンブルをやめよう、考えないようにしよう」と思っても、頭の中は常にギャンブルのことでいっぱいです。これは、ギャンブルによって得た興奮や快感が脳内で報酬として認識され、報酬を求める脳の回路が形成されてしまっているからです。

そのため、この回路ができてしまった状態では、本人の努力や意志だけではやめることが非常に難しいと言えます。ギャンブルのことを考えない時間を意識的に作るためには、集中できる活動や没頭できる趣味を見つけることが重要です。

依存症の治療

ギャンブル依存症は立派な病気であり、そのため治療が必要です。依存症にはギャンブル以外にもアルコール、薬物、ニコチン、買い物など様々な種類があり、これらの行動を繰り返すことで、やめられなくなることがあります。

依存症は脳の機能不全が原因とされており、本人の努力や家族の支援だけでは完治が難しいといえます。ギャンブル依存症の治療が可能なのは、以下のような機関や団体です。

医療機関や専門機関での治療

ギャンブル依存症の治療は、専門の医療機関や精神保健福祉センターなどで受けることができます。医療機関では、入院または通院の形式でカウンセリングや投薬を含む治療を受けることが可能です。

ギャンブル依存症を持つ人の中には、不安障害やうつ病、双極性障害、発達障害を併発している場合もあります。このようなケースでは、投薬により精神的な安定を図り、ギャンブル依存症の症状を軽減することが期待できます。

さらに、ギャンブル依存症の治療には「認知行動療法」が用いられ、偏った思考を修正したり金銭管理の見直しを通じて日常生活の改善が図られます。また、再発防止に向けた治療プランが組まれているため、治療後も安心して取り組むことができます。

自助グループの活用

ギャンブル依存症の治療には、自助グループへの参加も効果的です。自助グループとは、ギャンブル依存症に悩む人々や、依存症を克服した人々が集まり、互いに支え合いながら治療を進める場です。経験者同士が情報を交換することで、ギャンブルをしないという共通の目標を持つことができます。

「ギャンブラーズ・アノニマス(GA)」は、ギャンブル依存症に関する自助グループの中でも広く知られています。GAでは、全国各地でミーティングが開催されており、参加者が無料でサポートを受けながら、ギャンブルを断ち切る手助けを行っています。

借金問題の解決方法

ギャンブル依存症の人々が抱える大きな問題の一つに、借金があります。多くの依存症患者は、手持ちの資金や自分の収入だけでは足りず、貸金業者からお金を借りてまでギャンブルを続けます。返済を順調に進めている人はごく少数です。

国が実施したギャンブル依存症に関する調査によると、公的相談機関に寄せられたギャンブル関連の借金の平均額は約400万円、中央値は約300万円となっています。300万円の借金を完済するのは決して簡単なことではなく、ギャンブルを続けている限り、その返済はほぼ不可能に近いと言えるでしょう。

参考:「ギャンブル障害およびギャンブル関連の実態調査」報告書|久里浜医療センター

弁護士への相談

ギャンブルをやめられず、借金が増え続けている方や、すでに返済不可能なほどの借金を抱えている方は、早めに弁護士に相談することが重要です。多くの弁護士事務所では初回相談を無料で行っています。まずは、お住まいの地域で借金問題や債務整理に強い弁護士を探し、電話で相談の予約をしましょう。

弁護士に借金問題を相談することで、次のようなメリットがあります:

  • 法律の専門家に相談することで安心できる
  • 最適な借金解決方法が明確になる
  • 債務整理の手続きを依頼できる
  • お金に関する悩みが解消され、依存症の治療に集中できる
  • 家族に借金の問題を迷惑をかけずに済む

債務整理を検討する

借金に関して弁護士に相談する理由の一つに、債務整理があります。債務整理とは、借金が膨らみすぎたり、返済能力が不足している場合の解決策です。借入先(債権者)と交渉したり、裁判所に手続きを申し立てることで、借金の総額を減額したり、免除(免責)することが可能です。

債務整理には主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの方法があり、それぞれの方法に減額の割合や手続き方法、適用条件が異なります。

債務整理の種類

任意整理

  • 減免割合: 経過利息・将来利息・遅延損害金のカット
  • 手続き方法: 債権者と直接交渉
  • 利用条件: 完済までの支払いを続けられる安定収入が必要
  • 手続き期間: 3ヶ月~6ヶ月
  • 費用相場: 1社あたり着手金3万~5万円+減額報酬(減額できた金額の10~20%)

個人再生

  • 減免割合: 返済期間を3~5年に延長
  • 手続き方法: 裁判所に申し立て
  • 利用条件: 借金総額が5000万円以下、一定以上の安定収入
  • 手続き期間: 8ヶ月~12ヶ月
  • 費用相場: 60万~70万円(住宅ローン特則利用時は80万~90万円)

自己破産

  • 減免割合: 借金総額を1/5~1/10に減額
  • 手続き方法: 裁判所に申し立て
  • 利用条件: 支払い不能状態であり、非免責債権だけでないこと
  • 手続き期間: 4ヶ月~12ヶ月
  • 費用相場: 同時廃止25万~40万円、管財事件80万~100万円

自己破産を申請する場合、借金が税金や賠償金、養育費などの非免責債権のみでないことが条件です。また、ギャンブルや浪費による借金は本来免責されませんが、弁護士に依頼し、ギャンブルを繰り返さない誠実な姿勢を示すことで「裁量免責」が認められることもあります。

早期発見と早期介入が重要

回復への第一歩は、自己認識とその受け入れです。多くの依存症患者は、問題を認識していながらも、その事実を受け入れることに苦しみます。専門家のサポートを受けつつ、自分自身の状況を冷静に見直すことが大切です。

専門家に相談するのは、できるだけ早期に行うことが推奨されます。医師、カウンセラー、依存症専門家などの専門チームが、個別の状況に合わせた適切な治療法を提案します。

また、家族との協力体制の構築も不可欠です。家族は回復を支える重要な役割を果たしますが、サポート方法を知らないことが多いため、専門家のアドバイスを受けて効果的な支援体制を整えることが重要です。

再発防止のための具体的な対策

生活習慣の改善は、ギャンブル依存症対策の基本となります。規則正しい睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を取り入れ、健康的な生活リズムを整えることで、ストレスに強くなることができます。

また、ストレス管理の方法を習得することも重要です。瞑想やヨガ、趣味を活用したストレス解消法を見つけることで、ギャンブルに頼らず生活できるようになります。

金銭管理能力を向上させることも再発防止のポイントです。家計簿をつけたり、クレジットカードの利用制限を設けるなど、具体的な対策を実践することで、健全な金銭感覚を取り戻すことが可能です。

実際の治療とサポートの進め方

専門の医療機関では、個別カウンセリング、集団療法、薬物療法など、複数の治療法を組み合わせて実施します。特に認知行動療法は、ギャンブルに対する歪んだ考え方を修正するのに非常に効果的です。さらに、自助グループへの参加も重要な要素となります。同じ問題を抱える仲間と交流することで、孤独感が和らぎ、回復への意欲が高まります。定期的な参加は、回復の維持に大きく貢献します。

また、家族会などのサポートも有効です。家族もストレスや悩みを抱えているため、専門家の指導や他の家族との交流を通じて、適切な対処方法を学ぶことができます。

まとめ

ギャンブル依存症になりやすいのは、まじめで几帳面、負けず嫌いで他人に頼ることが苦手な人です。また、幼少期にギャンブルに触れた経験がある人や、依存症を持つ家族がいる人、過去に大きな勝利を経験した人もリスクが高いと言えます。一般的に、ギャンブル依存症になりやすいのは男性で、障害や精神的な疾患、遺伝的要因も影響を与えることがあります。

ギャンブルがやめられなくなる原因は、脳の機能不全にあります。自分ではコントロールできず、依存症に気づかずにいる場合も少なくありません。そのため、専門的な治療を受けることが必要です。医療機関や自助グループでのサポートに加え、最も身近な家族の協力も重要となります。

もしギャンブルによって返済不能なほどの借金がある場合、債務整理を検討することが重要です。債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの方法があり、各方法には条件や適用対象が異なります。まずは借金問題に詳しい弁護士に相談し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。ギャンブル依存症の解決には治療と借金問題の両方が必要ですので、早期に専門家に相談することを強くお勧めします。