住宅ローンの相談はどこでできる?相談のタイミングや必要な準備を解説

住宅ローンはどこで相談できる?相談のタイミングや準備するものを解説

借金があっても住宅ローンの審査に通るケースがあるのか気になる方もいるでしょう。住宅ローンには多くの審査基準があり、借金はその中の一要素にすぎません。借金がある場合における審査のポイントや、通過しやすくなるための対策についてご紹介します。

住宅ローンの相談を始めるベストな時期とは

住宅ローンに関する情報は、インターネットでも調べることができます。ただし、自分の状況に合わせた具体的な相談をしたい場合には、住宅ローンを取り扱っている金融機関や、相談を受け付けているオンラインサービスの利用がおすすめです。以下のようなタイミングで、住宅ローンについて相談してみるとよいでしょう。

・物件を選ぶ前に、住宅ローンを含めた資金計画を立てたいとき
・購入する物件が決まったとき
・返済期間中に、より低金利の住宅ローンへ借り換えて負担を軽くしたいとき

住宅ローンで相談できる主な内容とは

住宅ローンを借りる際には、さまざまな項目を検討する必要があります。特に新たに借入をする場合は、将来のライフプランと照らし合わせながら、無理のない資金計画を立てることが重要です。住宅ローンの相談では、以下のような内容を話し合いながら検討していくことができます。

【借入条件について】
・いくら借入するか
・返済期間をどのくらいにするか
・変動金利・期間固定金利・全期間固定金利のどれにするか
・借入金利はどの程度になるか
・単独名義にするか、ペアローンや連帯債務にするか

【団体信用生命保険(団信)について】
・一般団信にするか、疾病保障付き団信にするか
・疾病保障付き団信を選ぶ場合、どの種類にするか

【諸費用について】
・借入時にかかる諸費用の目安
・保証料型か、事務手数料型のどちらを選ぶか

【融資までの流れについて】
・融資実行までのステップ
・必要となる期間の目安

【物件取得後の費用について】
・不動産取得税や登記費用などの初期費用
・固定資産税や火災保険など、保有中にかかる費用

なお、借入可能額や適用される金利は、金融機関の審査結果が出るまでは確定しません。相談段階では、あくまで目安を把握することが目的となります。

住宅ローンの相談で審査に不利になることはある?

住宅ローンについて相談したいと思っていても、「金融機関の窓口で相談すると、住宅ローンに関して何も知らないと思われて、その後の審査に不利になるのでは?」と不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、実際には相談したことが審査に悪影響を及ぼすことはありません。

むしろ、事前にしっかりと相談し、疑問を解消したうえで住宅ローンの審査に臨むことで、審査に通りにくくなる要因をあらかじめ取り除くことができたり、書類不備などのミスを防いだりと、スムーズに借入手続きへ進める可能性が高まります。

また、相談をしたからといって、その金融機関で必ず住宅ローンを借りなければならないわけではありません。複数の金融機関に同時に申し込みを行い、最も条件の良いところを選んで借入するという方法も一般的です。住宅ローンにおける「相談」と「申し込み」は別物として考えて問題ありません。

住宅ローンの相談ができる窓口について

住宅ローンに関する相談は、金融機関の窓口以外にも、不動産会社の担当者、相談業務を行うファイナンシャルプランナー、そして「モゲチェック」などのオンラインサービスなど、さまざまな場所で受けることができます。相談したい内容に応じて、適切な窓口を使い分けてみましょう。


【相談窓口の種類と特徴】

●金融機関の窓口
・住宅ローンの審査の流れや必要書類について詳しく聞ける
・自社の住宅ローン商品には詳しいが、他行との比較は難しい
・対面相談のほか、ビデオ通話に対応しているところもある
・相談には予約が必要な場合が多く、土日や平日夜の対応は限られる

●金融機関のコールセンター
・手続きに関するちょっとした疑問を解決するのに便利
・予約不要で電話のみで相談可能
・住宅ローン専用の窓口を設けている金融機関もある

●不動産会社の担当者
・購入を検討している物件に基づいた住宅ローンの提案を受けられる
・提携する金融機関への申し込みを代行してもらえる
・専門的な住宅ローンの知識があるとは限らず、詳細な比較提案には向かない場合もある

●オンラインサービス
・多くの金融機関の商品を比較・検討できる
・予約不要で24時間利用可能
・モゲチェックの「住宅ローン診断」では、住宅ローンアドバイザーがチャットで対応してくれる

●ファイナンシャルプランナー(FP)
・住宅ローンだけでなく、教育資金や老後資金、保険を含めたライフプランを総合的に相談できる
・相談は予約制で、有料の場合が多い
・住宅ローンに詳しくないFPもいるため、商品の比較などが難しいこともある


借入先がすでに決まっている場合には、その金融機関へ直接相談するのがスムーズです。一方で、返済計画や将来のライフプランまで踏まえて検討したい場合には、ファイナンシャルプランナーに相談するのも選択肢のひとつです。

相談時に準備しておくと良いものとは

住宅ローンの相談をすると決めたら、事前に必要な資料をそろえておくとスムーズです。物件がすでに決まっているかどうかによって、準備する書類が異なります。予約時に資料の持参を求められることもあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

【物件が決まっている場合の準備資料】
収入や勤務先に関する情報、物件の概要がわかるもの、そして他の借入に関する資料などをそろえるのが基本です。これらは審査でも必要とされるため、相談時に用意しておくことで、より的確なアドバイスが受けられます。

  • 収入がわかる資料
    ・源泉徴収票(給与所得者の場合)
    ・確定申告書の控え(自営業者や副業のある方など)※過去3年分求められることもあります
  • 勤務先・勤続年数がわかる資料
    ・健康保険証など
  • 物件の概要がわかる資料
    ・物件のパンフレット、図面、チラシ
    ・見積書など
  • 他の借入に関する資料
    ・返済予定表など

申込者の年収は借入可能額に大きく関わるため、収入の確認資料はとても重要です。また、勤務先の業種や雇用形態、勤続年数も審査の判断材料になるため、勤務先に関する資料も準備しておきましょう。

物件の概要は、所在地や床面積、築年数、構造などの基本的な情報が分かるもので十分です。もし他に借入がある場合は、それも正直に伝えたうえで相談することで、正確な見通しを立てやすくなります。

【物件が未決定の場合の準備資料】
まだ購入物件を決めていない場合でも、相談は可能です。収入や勤務先に関する資料、他の借入に関する情報をもとに、借入可能額や月々の返済額の目安などを提示してもらえます。

加えて、住宅ローンの借入額に応じた月々の返済額をシミュレーションすることも可能です。「月々の返済に無理がない金額に抑えるには、物件価格の上限はいくらか」といった相談もできるため、資金計画を立てる際の大きな助けになります。

相談は予約が必要?

金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーとの対面相談を希望する場合は、基本的に事前予約をしておくことをおすすめします。予約をしておくことで、確実に相談の時間を確保してもらえるだけでなく、収入や資産状況、ライフプランなどに関する事前の質問に回答することで、より具体的で的確なアドバイスを受けることが可能になります。

一方で、コールセンターへの一般的な問い合わせや、24時間利用できるオンラインサービスを利用する際は、予約の必要はありません。

借金があると住宅ローンは組めないのか?

カードローンなどの借金があっても、ローンの審査に通る可能性はあります。ただし、税金や借金の滞納があるケースでは注意が必要です。

税金の延滞・滞納があると審査は厳しい?

日本では、税金の支払いは最優先で行うべきものとされています。たとえ債務整理や自己破産で借金が帳消しになった場合でも、税金の未納分については原則として免除されません。

税金を滞納し続けると、給料や財産が差し押さえの対象になります。もちろん住宅もその対象に含まれます。

金融機関は住宅ローンを提供する際、住宅を担保に設定します。税金の滞納によって差し押さえのリスクがあると判断されれば、ローン審査に大きな悪影響を及ぼすことになります。

そのため、税金を滞納している状態では、住宅ローンの審査に通るのは非常に難しいと考えてよいでしょう。

ただし、差し押さえまで至らなければ、滞納の履歴は残りません。差し押さえ前に税金を完済できれば、住宅ローンの審査に悪影響を与えることはないといえます。

借金があっても審査に通るケースがある

借金がある状態でも、住宅ローンを組むことは可能です。ただし、借金の金額や種類によっては、審査に通らない場合もあります。

ローンを申し込む際には、現在の借金額や借入先、融資の目的などを詳しく申告する必要があります。金融機関はこれらの情報をもとに、契約者が継続的に返済できるかどうかを判断します。

借金額が多く返済の負担が大きいと判断されると、審査に通りにくくなる可能性があります。また、借金の種類が消費者金融やキャッシングである場合、自動車ローンや教育ローンと比べて不利になることもあります。

審査の基準は金融機関によって異なるため、他の銀行であれば審査に通ることもあります。希望した金額には届かなくても、借入可能額を減らして承認されるケースもあります。

住宅ローン審査の3つの主要な基準

住宅ローンの審査では、申込者の返済能力が多角的な情報から評価されます。審査の際に特に重視される代表的な基準をあらかじめ把握しておきましょう。

収入に対する借金の比率が審査される

ローン審査では、返済比率も重要な評価ポイントとなります。返済比率とは、年間収入に対する年間返済額の割合を指します。

この返済比率には、金融機関ごとに独自の基準があり、基準を超えてしまうと審査に通らなかったり、融資限度額が減らされる可能性があります。一般的には、返済比率の基準は30~35%とされています。

借金がある場合、年間返済額が増加するため、返済比率も高くなりがちです。もし借金の金額が気になる場合は、返済比率を見直すことで、審査に通る可能性が高まることがあります。

収入の水準と安定性が見られる

収入は、ローンの返済能力に直結する重要な属性情報です。金額が多いに越したことはありませんが、同時にその安定性や継続性も重視されます。

たとえば、公務員のように収入の安定性が高い職業は、審査でも有利に働きやすい傾向があります。一方で、自営業者は収入が不安定と見なされやすく、会社員に比べて不利になることもあります。外資系企業に勤めているケースでは、収入が高くても安定性の面で評価が下がる場合もあります。

また、収入の継続性を見極めるために勤続年数も確認されます。金融機関によっては、収入や勤続年数に明確な基準を設けている場合もあるため、事前にチェックしておくと安心です。

個人信用情報にキズがあると通りにくい

過去にカードローンやクレジットカードの支払いで遅延があった場合、その延滞の程度によっては『個人信用情報機関』に記録されます。個人信用情報に傷がついていると、住宅ローンの審査に通るのは非常に難しくなります。

たとえ現在は借金を完済していても、公務員など収入面で評価が高い場合であっても、過去に金融事故があると審査に通る可能性はほとんどありません。これは、返済に対する個人の信用力が問われるためです。

自分の信用情報は、信用情報機関に情報開示を請求すれば確認できます。こうした情報は通常5年間保存されるため、ローン審査に通らない場合は、その記録が消えるまで待つ必要があります。

住宅ローン審査で落ちる理由に心当たりは?

自分では気づきにくい点が原因となり、審査に落ちてしまうことがあります。以下の三つの項目について、心当たりがないか確認してみましょう。

カード支払いの遅延が過去にある場合

個人信用情報機関に登録される内容は、重度の支払い遅延に限りません。カード利用料金の支払いで、一度でも遅延があった場合には、記録される可能性があります。

たとえ後からしっかり支払っていても、期日を守らずカード会社から督促を受けた場合は延滞と見なされるため、注意が必要です。

いわゆる「ブラック」の状態でなければ、支払い期日を守って1年ほど継続すれば、信用力が回復する可能性があります。

持病の影響で団信に加入できないことがある

多くの金融機関では、住宅ローンの契約時に団信(団体信用生命保険)への加入を必須としています。団信とは、契約者が死亡または高度障がいになった際に、ローンの残債を保険で支払ってもらえる住宅ローン専用の生命保険です。

健康状態に不安があると団信に加入できず、その結果ローン契約もできないケースがあります。団信に申し込む際に、持病があることを告知している場合、その持病が理由で審査に落ちている可能性が考えられます。

もし健康面の理由でローンを組めない場合は、団信加入を条件としていない住宅ローンを検討するのも一つの方法です。加入条件が緩やかな「ワイド団信」を用意している金融機関もあるので、選択肢に入れてみましょう。

学生時代に借りた奨学金の返済を延滞

学生時代に奨学金を借りている場合、返済の延滞があると個人信用情報機関に記録されます。これが住宅ローン審査に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

奨学金は学費や学生生活を支援するために借りるお金であり、キャッシングやカードローンとは異なる性質の借金です。そのため、ローン審査時に厳しく見られないと考える人もいるかもしれません。

しかし、どんな目的で借りたお金であっても、返済が滞り個人信用情報に傷がついていれば、信用力を疑われることになります。借りたお金は、その種類に関わらず、きちんと返済することが求められます。

住宅ローンに関するよくある不安とその対処法

借金がある状態で住宅ローンの審査を受ける際、不安に感じる点は多いものです。そこで、審査時に役立つよう、特に気をつけたいポイントを解説します。以下の項目を把握しておくことで、スムーズな対応につながるでしょう。

自分の信用情報を確認する方法は?

個人信用情報機関に登録されている情報は、自分自身で開示請求を行えば確認することが可能です。閲覧方法は、郵送またはインターネット経由で選べます。

信用情報機関には、『全国銀行個人信用情報センター(KSC)』『株式会社シーアイシー(CIC)』『株式会社日本信用情報機構(JICC)』の3つがあり、いずれも手数料はおおよそ1,000円です。

どの信用情報機関に自分の情報が登録されているかは、実際に開示請求してみないと分かりません。内容を正確に確認したい場合は、すべての機関に対して開示を申し込む必要があります。

借金を返済すれば審査は通る?

借金があることで返済比率が高くなり、それが住宅ローン審査に通らない原因と判断できる場合には、借金を完済することで審査に通りやすくなる可能性があります。そのようなときは、まず借金の完済を目指すことが重要です。

ただし、個人信用情報に問題がある場合には、借金がない状態であっても審査に通るのは難しいでしょう。現在の借金と、過去の借金に伴う金融事故の履歴は、それぞれ別のものとして考える必要があります。

また、借金を完済する際には、急いで返そうとして自己資金を使いすぎないよう注意しましょう。住宅ローン契約時には、ある程度の自己資金を手元に残しておくことも大切です。

審査で家族に借金がばれることはある?

住宅ローンの審査では、借金が原因で通らなかった場合でも、その理由を明記した書面が届くことはありません。通知されるのは、あくまで融資の可否のみです。

たとえ家族に内緒で借金をしている場合でも、審査を通じて借金の事実が伝わることはありません。ただし、借金がある場合は、申し込み時に正直に申告することが大切です。

なお、家族と一緒に申込書類を作成する場合は、借金の存在が知られてしまう可能性があります。借金を知られたくない場合は、自分ひとりで書類を記入するようにしましょう。

まとめ

住宅ローンでは、借金があっても融資を受けられる可能性はあります。しかし、税金の滞納や過去に重大な金融事故があると、審査に通らないケースが多くなるでしょう。

もし借金によって返済負担が重くなり、それが原因で審査に落ちているのであれば、まずは借金の完済を目指すことが大切です。また、他に審査に通らない理由に心当たりがないかを見直し、できる限りお金に関する問題を整理したうえで、改めて審査に臨むのがおすすめです。

住宅ローン審査の全体の流れ

住宅ローンの審査は、仮審査(事前審査)から本審査へと進む流れです。仮審査と本審査では審査の目的が異なり、仮審査では「その人に融資が可能かどうか」を判断し、物件の売買契約後に行われる本審査では「実際に融資をして問題ないか」がチェックされます。

仮審査では、受付基準に合っているか、返済能力があるか、個人信用情報に問題がないかといった点が簡易的に確認されます。一方で本審査では、提出書類の確認に加え、物件の担保価値なども含めて、より厳密に審査が行われます。

本審査に通過すれば、金融機関とローン契約を結び、住宅の決済手続きへと進むことになります。

審査にはどのくらいの期間がかかる?

仮審査には即日から1週間ほど、本審査にはおおよそ1〜2週間程度かかります。住宅の購入にあたっては何かと忙しくなるため、スケジュールには余裕をもって臨むことが大切です。

仮審査で見られるポイント

仮審査では主に「本人の属性情報」「返済能力」「個人信用情報」の3点が審査対象となります。それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

・本人の属性情報
申込者の年齢(申込時および完済時)、年収、雇用形態、勤続年数といった情報が審査されます。これらは、各金融機関が設定している受付基準に合致しているかどうかの確認に使われます。「正規雇用であること」「勤続1年以上」「年収300万円以上」といった条件が設けられている場合もあり、金融機関によって異なります。具体的な基準は非公表のケースが多いですが、「◯◯銀行 商品概要」などで検索すれば、銀行公式サイトにて一部情報を確認できる場合があります。

・返済能力
借入金額が申込者の収入に対して無理のない範囲かどうかがチェックされます。主な指標は「返済比率(年収に対する年間返済額の割合)」で、実際の金利ではなく、審査上の想定金利(審査金利)を使って計算されます。審査金利は一般に3%前後の高めの設定で、厳しめに審査されることが多いです。なお、返済比率には住宅ローン以外に自動車ローンやカードローンの返済も含まれます。

返済比率の上限は多くの金融機関が明示していませんが、一般的には30%〜35%程度が目安とされています。たとえばフラット35では、年収400万円未満で30%、400万円以上で35%が基準とされています。

・個人信用情報
個人信用情報は、クレジットカードの支払履歴やローンの返済履歴などが記録されたものです。過去に支払い遅延などがある場合、これがネガティブな履歴として残っており、住宅ローン審査においてマイナス要因となることがあります。

本審査でチェックされる項目

本審査では、複数の書類提出を経て、「仮審査での申告内容との相違がないか」や「担保評価」が中心となって審査されます。

・仮審査の申告内容との相違がないか
本審査では、仮審査時に申告した年収と源泉徴収票の金額が一致しているか、また借り入れがある場合はその詳細が仮審査で申告した内容と相違していないかなど、申告情報の整合性が細かく確認されます。

・担保評価
住宅ローンを利用して物件を購入する場合、多くのケースで金融機関によって「抵当権」が設定されます。これは、ローンの返済が滞った際に、その物件を売却して貸付金を回収するためのものです。したがって、本審査では、購入予定の物件が借入額に見合った価値を持っているかが審査されます。加えて、その物件の耐震性や法令適合性なども、金融機関が定める基準に照らして確認されます。

住宅ローン審査で落ちやすいケース・注意点

・仮審査の申告内容と相違があった
仮審査で申告した内容と本審査で提出する資料に食い違いがある場合、審査に落ちる可能性が高くなります。たとえば、仮審査時に申告した年収と源泉徴収票に記載された年収が異なると、返済能力の評価がズレてしまい、不利に働きます。

・他の借り入れをしてしまう
住宅ローンの審査期間中に新たな借り入れを行うと、返済比率に影響が出て審査に通りにくくなります。ローンと明記されていなくても、クレジットカードのリボ払いなども借り入れと同様に扱われます。ちょっとした買い物が原因で審査に落ちる可能性もあるため、慎重な行動が必要です。また、審査期間中は返済の延滞にも一層の注意を払いましょう。

・転職や退職をしてしまう
審査中に転職をすると、審査が不利になるケースが多くなります。金融機関は、現職で安定して働き続ける前提で返済能力を判断しているため、転職によりその前提が崩れると、勤続年数の条件を満たせなくなることもあります。

・健康上の理由で団信に加入できない
団体信用生命保険(団信)に加入できず、住宅ローンが利用できなくなることもあります。団信とは、契約者に万が一のことがあった際にローン残高をカバーしてくれる保険で、住宅ローン契約時に加入が義務づけられていることが一般的です。
加入にあたっては、過去数年分の病歴や治療歴などを告知する必要があり、健康状態によっては団信の審査に通らないこともあります。団信に加入できない場合、その住宅ローンの契約自体が成立しないことになります。

住宅ローン審査を通過しやすくするための対策

・頭金(自己資金)を多めに用意して借入金額を抑える

自己資金を多く用意し、借入金額を抑えることで、住宅ローンの審査に通りやすくなります。自己資金をしっかりと貯蓄できる人と判断され、金融機関からの信用度が高まります。

借り入れ額が少なくなれば、それに伴って返済負担も軽減され、返済比率も低くなります。また、金融機関によっては自己資金の割合に応じて、優遇金利が適用される場合もあり、メリットは大きいといえます。

・すでに借入がある場合はできるだけ返済しておく

自動車ローンやカードローンなど、他の借り入れがある場合には、可能な範囲で繰り上げ返済をして残高を減らしておくとよいでしょう。これにより返済比率が下がり、住宅ローンの審査にも通りやすくなります。

・ペアローン、連帯債務、収入合算も選択肢に

配偶者に収入がある場合は、ペアローンや連帯債務、収入合算を活用することで、審査に通りやすくなる可能性があります。たとえば、夫婦それぞれが年収500万円で、5,000万円の住宅ローンを希望する場合、夫単独での借入では年収倍率が10倍となりますが、ペアローンや連帯債務で2人とも債務者になれば、年収倍率は5倍まで下がります。一般的に、年収倍率が7倍以内であれば、審査に通りやすくなる傾向にあります。

収入合算とは、夫婦のうち片方を債務者、もう一方を連帯保証人とする方法です。連帯保証人の収入も一定程度加味されるため、単独で申請するよりも有利になります。

住宅ローンの本審査は複数申し込みが可能

住宅ローンの本審査は、複数の金融機関に同時に申し込むことが可能です。もしも審査に落ちたり、希望より少ない金額での承認となった場合に備えて、業務形態が異なるいくつかの金融機関へ申し込んでおくと安心です。

複数の金融機関で本審査を通過した場合には、条件が最も自分に合うプランを選び、その金融機関と契約を進めれば問題ありません。

なお、審査に通っていても契約前であれば取りやめることは可能です。契約を選んだローン以外はきちんとキャンセルし、その後は金融機関との金銭消費貸借契約を締結し、融資実行日を待つだけとなります。