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特定調停は水道光熱費などの公共料金、税金や保険料などを除いたカードローンやクレジットカード、住宅ローンや車のローンなどに適用可能です。
ただし、特定調停をするには条件を満たす必要があります。
特定調停できる条件
目次
特定調停するには、以下4つの条件を満たさなければいけません。
- 今後、借金を返済できるだけの収入が見込めない
- 書類作成や出廷ができる生活状況である
- 毎月の収入がある
- 将来発生する利息をカットした借金を原則3年で返済できる収入がある
今後、借金を返済できるだけの収入が見込めない
特定調停が認められるには、借金の返済ができない支払不能者とみなされる、または今後支払不能者となる可能性がある必要があります。
すでにリストラされた、事故や病気で働けなくなったなどで収入が見込めず、借金を返済できない状況であること、または今は収入はあってもこのまま借金の返済をすると支払不能者となる可能性があることが求められます。
基本的には、借金の返済によって生活が困窮している場合は支払不能者と認められる可能性が高いです。
書類作成や出廷ができる生活状況である
特定調停は、弁護士などの専門家に依頼をしません。すべての手続きを債務者本人が行います。
申し立てに必要な書類の作成も、自分でするので書類作成に必要な時間を確保しなければいけません。
書類の提出が遅れると、申し立てが完了しないため、それだけ取り立てのストップが遅れることになります。
さらに、債務者との交渉のために裁判所から指定された期日に裁判所へ足を運ぶ必要があります。
裁判所の期日は平日に指定されるため、平日出廷できる状況を作らなければいけません。
仕事をしている場合は休みを取る、家族にバレたくないときには平日に出かける理由を作る、などの工夫が必要となります。
毎月の収入がある
特定調停は合意となると、合意内容に基づいて毎月の返済がはじまります。毎月の返済は滞ることなく続けるのが特定調停の条件です。
毎月、公共料金や家賃、生活費などを差し引いても返済に回せるだけの収入を得ていることが求められます。
将来発生する利息をカットした借金を原則3年で返済できる収入がある
特定調停は、将来発生する利息をカットして減額した借金を、原則3年(例外として5年)で返済していきます。
3年で完済できるだけの収入があれば、会社員だけでなくパートやアルバイト、派遣社員など職業を問わず特定調停が可能です。
収入のない専業主婦の場合、配偶者に3年で減額後の借金を完済できるだけの収入が求められます。なお無職や無収入者は、特定調停はできません。
特定調停に向いている人
特定調停に向いている人は、自分で手続きをする手間や時間が気にならない人です。
特定調停は、弁護士などに依頼しない代わりに費用を安くおさえられますが、その代わり手続きはすべて自分で行います。
裁判所への申し立てに必要な書類作成から、期日に出廷しての交渉まで自分で行う必要があります。
交渉痛いは調停委員会が間に入って主導で行うため、債権者と直接交渉することはありません。
それでも、自分で手間と時間をかけて調停を進めていく必要があります。
特定調停に向いていない人
特定調停は自分で手続きを行います。そのため、以下にあてはまる人は向いていません。
- 時間や手間をかけたくない人
- 家族にばれたくない人
- 早く取り立てを止めたい人
- 過払い金が発生している可能性がある人
- 借金を完済できるか自信がない人
時間や手間をかけたくない人
特定調停は、自分で書類の作成から期日の出廷まで行います。
書類を作成するには裁判所に足を運んでひな型を入手したり、詳細な数字や内容の記載が求められたりします。書類作成だけでも知識と時間が必要です。
また、平日は仕事があるので出廷できない、出廷する暇がない、という人にも特定調停は向いていません。
裁判所で指定された平日の期日に出廷できないからです。
家族にバレたくない人
特定調停は、裁判所を介した手続きです。
裁判所から書類が郵送されてくるため、同居家族がいる人は特定調停手続きをしたことが届いた書類からバレる可能性があります。
周囲の人にバレずに債務整理をしたい人に、特定調停は向いていません。
早く取り立てを止めたい人
特定調停は、裁判所に申し立てが完了した時点で貸金業者からの催促や取り立てがストップします。
ところが、書類作成や準備に時間がかかると、それだけ申し立ての準備が長引くことになるのです。
申し立ての準備中は当然催促や取り立ては止まりません。
現在催促や取り立てに悩んでいて、少しでも早く取り立てをストップさせたい人は任意整理が向いています。
任意整理なら、弁護士や司法書士に依頼した時点で相手側に委任通知を発送するため、すぐに催促や取り立てが止まります。
過払い金が発生している可能性がある人
特定調停は、利息制限法に基づいた利息に計算し直す、引き直し計算を行います。
そこで過払い金が発生していても、特定調停のなかでは請求できません。別途過払い金請求の手続きをしないと、過払い金の返還ができないのです。
もともと借入で過払い金が発生している可能性がある場合、過払い金請求もできる任意整理が向いています。
借金が完済できるか自信がない人
特定調停は、調停を持って合意となると、調停調書が作成されます。調停調書は裁判所が作成するため、法的な効力を持つ債務名義扱いです。
合意内容に沿った返済が滞ると、すぐに強制執行ができます。
返済が滞ると、すぐに給料などが差押えとなる可能性があるため、合意内容に沿った返済を行い、原則3年で返済することが求められます。
一方、任意整理は債務者と債権者で交渉し、和解を目指します。和解のさいには和解書を締結しますが、こちらは債務名義ではありません。
和解書には法的拘束力がないため、返済が少し遅れてもただちに強制執行は行われるわけではないのです。
まとめ
特定調停は、自分で手続きを進める債務整理です。
もともとは弁護士などに依頼する費用が出せない債務者のためにできた手続きですが、利用するには条件を満たさなければいけません。
借金を返せない支払不能者である、もしくは今後支払不能者になる可能性があること、さらに書類作成や平日出廷するための手間や時間を捻出できる人、合意内容に沿った返済をして3年で完済できる収入があるのが条件です。
自分で手続きをするため、弁護士や司法書士に依頼する費用がかからず、安く済ませたい人に向いています。
一方で、書類や出廷の時間や手間がかかる、家族にバレるリスクがある、取り立ての停止が遅れることがあります。
さらに、過払い金が発生していた場合は別途請求手続きが必要、合意内容で返済が遅れた場合は、ただちに強制執行されるリスクもあります。
費用重視で特定調停を自分で進めるべきか、任意整理などほかの方法を取った方がよいかなど、よく検討してから債務整理を進めましょう。
費用面だけを重視すると、自分に不利益な結果となってしまう場合があります。どうしていいかわからないときにも、弁護士などの専門家に相談してみましょう。