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欲しいものがあるのにお金がない、そんな時に便利なのがクレジットカードのリボ払いや分割払いを利用しての購入です。
リボ払いと分割払いは、どちらも月々少しずつの支払いで欲しい物を購入できるという点では同じです。
しかし、この2つは仕組みが異なり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
リボ払いと分割払いの違いを正しく知っておかなければ、高い手数料がかかってしまい、気付いたときには月々の支払いができないほど利用代金が膨らんでしまいます。
弁護士法人 新小岩法律事務所
古関俊祐 代表弁護士 監修
リボ払いとは
目次
リボ払いとは、正式名称を「リボルビング払い」といいます。
クレジットカードを何度利用しても毎月の支払い額が一定となる支払い方法のことです。
リボ払いの仕組みと特徴
リボ払いの最大の特徴は、クレジットカードを何度利用しても毎月の支払額が一定となることです。
例えば、毎月の支払い額を1万円に設定した場合、5万円の商品Aを購入すると翌月から毎月1万円の返済が始まります。
その代金と手数料を完済する前に、さらに10万円の商品Bを購入しても毎月の返済額は変わらず、1万円のままという仕組みです。
このように、支払い残高にかかわらず、毎月の支払額を一定にする方式のことを「定額方式」といいます。
ただ、多くのクレジットカードでは、支払残高に応じて毎月の支払額が段階的に決められている「残高スライド方式」が採用されています。
一例ですが、残高スライド方式による返済額は以下のように段階的に決められています。
支払残高 | 毎月の最低返済額 |
---|---|
10万円以下 | 3,000円 |
10万円超~30万円以下 | 5,000円 |
30万円超~50万円以下 | 7,000円 |
50万円超~100万円以下 | 1万円 |
各段階の範囲内では定額方式が適用され、支払残高にかかわらず毎月の返済額は一定となります。
例えば、支払残高が10万円以下なら5万円でも8万円でも毎月の最低返済額は3,000円のままですが、支払残高が10万円を超えると毎月の最低返済額が5,000円に変更されます。
なお、定額方式の中にも次の2種類の方式があります。
- 元利定額方式:元金と手数料の両方を含めて支払額を一定にする方式
- 元金定額方式:元金の返済額のみを一定とし、手数料は別に加算する方式
元金定額方式の場合は、手数料が月によって変動するため、毎月の実際の返済額は若干変動します。
以上の各方式のどれを利用するかは自分で選べるわけではなく、通常はクレジットカードごとにあらかじめ設定されています。
リボ払いのメリット
リボ払いの仕組みは複雑ですが、分割払いと比べると、以下のメリットがあります。
手元にお金がなくても高額な商品を購入できる
リボ払いを利用すれば、分割払いの場合よりも毎月の支払い額を低く抑えやすくなります。
手元にお金がなくても、あらかじめ設定した月々の支払い額さえ準備できれば、支払を延滞する心配はありません。
そのため、高額な商品も購入しやすいでしょう。
家計の管理がしやすい
買い物にクレジットカードを利用するようになると、いつ・何に・いくら使ったのかがわかりにくくなり、家計の管理が大変になりがちです。
しかし、リボ払いを利用すれば毎月の支払額がほぼ一定となるので、家計の管理が楽になります。
繰り上げ返済をすることも可能
リボ払いでは毎月の支払額がほぼ一定ですが、必ず決められた金額しか返済してはいけないわけではありません。お金に余裕があるときには繰り上げ返済をすることも可能です。
支払い残高が大きくなると手数料の負担も重くなりますが、一部でも繰り上げ返済をすることで、手数料の負担を軽減することができます。
リボ払いのデメリット
便利で魅力的なメリットがあるリボ払いですが、その反面で以下のようなデメリットもあるので、利用する際には注意が必要です。
手数料が高い
リボ払いは支払いを先延ばしする仕組みなので、先延ばしにした分、手数料がかかります。
この点は分割払いも同じですが、リボ払いの方が手数料の年利が高めに設定されているのが一般的です。
実質年率はクレジットカードや支払い残高によっても異なりますが、リボ払いで15%~18%程度、分割払いで10%~15%に設定されていることが多いようです。
支払いが長期化しやすい
リボ払いには、支払残高の割に毎月の支払額を低めに抑えやすいという特徴があります。
ただ、毎月の支払額が少なければ支払残高がなかなか減らないため、支払いが長期化してしまいます。
完済するまで手数料がかかり続けることにも注意が必要です。
お金を使いすぎるおそれがある
リボ払いを利用すると毎月の支払額を低く抑えることができる上に、いくら使っても支払額が増えることはありません。
そのため、買い物を重ねてもお金を使ったという意識が薄くなり、気がついたら自分の収入に見合わない支出をしていたということにもなりがちです。
分割払いとは
「分割払い」という言葉は日常でもよく使われるので、その意味を理解することは難しくありません。
商品の購入やサービスの利用などの代金を一括で支払うのではなく、何回かに分けて支払うという意味です。
クレジットカードにおける分割払いもこの通りの意味ですが、リボ払いとの違いも含めて具体的にご説明します。
分割払いの仕組みと特徴
分割払いの特徴は、支払回数を指定することによって毎月の支払額が決まるという点にあります。
この点において、毎月の支払額を設定することによって支払回数が決まるリボ払いとは異なります。
分割払いでは、商品の購入やサービスの利用をする都度、分割回数を指定します。
具体的な回数はカードごとや加盟店ごとに定められていますが、例えば、2・3・6・12・18・24回などの中から希望する回数を選びます。
2回払いを選ぶと手数料はかかりませんが、3回以上の回数を選ぶと手数料がかかってきます。
毎月の支払額は、カードを重ねて利用すると変わってきます。
例えば、10万円の商品Aを5回払いで購入すると毎月2万円+手数料を支払うことになりますが、さらに5万円の商品Bを5回払いで購入すると毎月1万円+手数料が加算されます。
このように、毎月の返済額に変動はありますが、支払回数が明確なので、いつ支払いが終わるのかがわかりやすいという特徴もあります。
分割払いのメリット
リボ払いにはない、分割払いのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
支払期間が明確になる
先ほどもご説明したように、分割払いにはいつ支払いが終わるのかがわかりやすいというメリットがあります。
カードで重ねて買い物をしない限りは毎月の支払額もほぼ一定なので、生活していく上で無理のない予算を立てやすくなるでしょう。
手数料が低い
リボ払いのところでもご説明しましたが、分割払いの方が手数料の年率が低めに設定されていることが多いです。
手数料の負担を抑えたいなら、リボ払いよりも分割払いを選択した方が有利です。
お金を使いすぎる心配が少ない
分割払いを重ねて利用すると、利用した分だけ毎月の支払額が増えていきます。
そのため、支払いの負担は重くなりますが、お金を使ったという意識を持ちやすいので、リボ払いを利用する場合よりはお金を使いすぎる心配が少ないといえます。
それでも、一括払いの場合よりはお金を使いすぎる心配があることは否めないので、注意が必要です。
分割払いのデメリット
他方で、分割払いにも以下のようなデメリットがあります。
手数料がかかる
支払回数が3回以上の場合は、リボ払いの場合よりは低いとはいえ、手数料がかかります。
一括払いや2回払いではかからない手数料がかかることは、デメリットといえるでしょう。
支払いの負担が重くなる
分割払いを重ねて利用すると毎月の支払額が増えるため、支払いの負担が重くなります。
リボ払いなら毎月の支払額がほぼ一定のため、「これ以上は支払額を増やせない」という状況でも利用枠が残っている限り、さらに買い物をすることが可能です。
しかし、分割払いではこのような場合、さらに買い物をすると支払いができなくなってしまいます。
家計の管理に手間がかかる
カードの利用状況によって毎月の支払額が変動する分割払いでは、さまざまな支払計画を立てるための計算が複雑になり、家計の管理に手間がかかってしまいます。
もっとも、この点は使いすぎを防止できるというメリットと表裏のデメリットであるともいえます。
リボ払いと分割払いでかかる手数料の違い
リボ払いと分割払いとでは、毎月の支払い額を指定するか支払回数を指定するかの違いがあるだけで、手数料には大きな違いがないと思われるかもしれません。
たしかに、毎月の支払額が同程度であれば手数料もあまり異なることはありません。
しかし、リボ払いで「毎月の支払額を低く抑えることができる」というメリットを活用する場合には、分割払いに比べて大きな手数料がかかってしまうことがあります。
この点について、両者のシミュレーションを見て比べてみましょう。
リボ払いでかかる手数料
ある年(うるう年ではないとします。)の1月1日に10万円の商品をリボ払いで購入し、毎月の支払額を3,000円に設定したとしましょう。この場合にかかる手数料は、次の表のとおりです。
なお、手数料の年率は15%とします。
支払回数 | 支払い月額 | うちリボ手数料(累計額) | 元金充当額 |
---|---|---|---|
3回目 | 3,000円 | 1,228円(3,631円) | 1,772円 |
6回目 | 3,000円 | 1,121円(7,100円) | 1,879円 |
12回目 | 3,000円 | 1,012円(13,476円) | 1,988円 |
24回目 | 3,000円 | 681円(23,336円) | 2,303円 |
44回目 | 1,094円 | 13円(30,094円) | 2,211円 |
合計 | 130,094円 | 30,094円 | 100,000円 |
※合計は、50回分の合計額です。
毎月の支払額が少なく済むのはよいのですが、支払期間が長くなり、結果として手数料が高くなってしまいます。
リボ払いを重ねて利用すると支払残高が増えるため、さらに支払期間が長期化し、その分、手数料も多くなります。
分割払いでかかる手数料
次に、分割払いについてもいくつかのパターンでシミュレーションしてみましょう。
先ほどと同じ日に10万円の商品を分割払いで購入した場合、指定する支払い回数別にかかる手数料は、次の表のとおりです。
なお、手数料の年率はそれぞれ仮定です。
支払回数 | 手数料の年率 | 分割手数料 | 毎月の支払額 | 支払総額 |
---|---|---|---|---|
3回払い | 10% | 1,647円 | 約33,890円 | 101,647円 |
6回払い | 12% | 3,489円 | 約17,250円 | 103,489円 |
12回払い | 13% | 7,145円 | 約8,929円 | 107,145円 |
24回払い | 15% | 16,324円 | 約4,847円 | 116,324円 |
リボ払いに比べると、毎月の支払額が多くなりますが、短期間に支払いが終了し、手数料は少なくて済みます。
ただ、重ねて買い物をすると手数料が増えていくことは、リボ払いの場合と同じです。
リボ払いと分割払いの違いの比較
リボ払いと分割払いの違いを比較しやすいようにまとめると、次の表のようになります。
リボ払い | 分割払い | |
---|---|---|
仕組み | 毎月の支払額を指定する | 支払回数を指定する |
特徴 | 毎月の支払額が一定となる | 支払期間が明確となる |
手数料 | 高くなりやすい | リボ払いよりは低くなる |
メリット | 毎月の支払額を低く抑えやすい | 支払いが早期に終了する |
デメリット | 支払いが長期化しやすい | 毎月の支払いの負担が重くなりやすい |
このように、リボ払いと分割払いには違いがありますが、どちらが良い・悪いというものではありません。
両者の違いを把握した上で、時と場合に応じて上手に使い分けることが大切です。
例えば、今は手元にお金がないけれど、近いうちにまとまった収入の予定があるような場合はリボ払いが便利です。
当初の支払月額を低く抑えつつ、まとまった収入があれば繰り上げ返済をすることによって、手数料の負担を抑えることができます。
一方で、繰り上げ返済できる見込みがない場合には、分割払いを利用した方が手数料の負担は軽くなります。
分割払いやリボ払いで返済が苦しい場合の解決方法
分割払いの返済が苦しくなったとき、多くのクレジットカードは2回払いの場合のみ、リボ払いに切り替えて毎月の返済額を減らすことができます。
リボ払いの返済が苦しくなった場合は、毎月の返済額を変更して負担を軽くすることが可能です。
ただ、毎月の返済額を最低額にまで落としても、なお返済が苦しい場合もあるでしょう。
そんなときは他社から借りて返済するのではなく、債務整理を検討した方がよいでしょう。
分割払いによる債務もリボ払いによる債務も、キャッシングや消費者金融からの借金と同じように債務整理の対象となります。
債務整理には以下の4種類があり、ご自身に適した方法を選ぶことが大切です。
任意整理 | 特定調停 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|---|
特徴 | 毎月の返済額を減らせる | 毎月の返済額を減らせる | 借金総額を大幅に減らせる | すべての借金を免除してもらえる |
メリット | 手軽に手続きができる | 費用を抑えることができる | 財産を失わずに借金の大幅な減額が可能 | 借金からすぐに解放される |
デメリット | 借金の大幅な減額は期待できない | 借金の大幅な減額は期待できない | ある程度の収入が必要 | 基本的に財産の処分が必要 |
向いている人 | 借金総額が比較的少ない人 | 自分で手続きをしたい人 | 多額の借金を抱えているが、財産を手放したくない人 | 多額の借金を抱えている人 |
債務整理を検討する際には、弁護士や司法書士といった専門家に相談するのがおすすめです。専門家に相談した上で債務整理の手続きを依頼すれば、以下のメリットを受けることができます。
- 専門的なアドバイスを受けて、適切な解決方法を選ぶことができる
- 依頼した時点ですぐに取り立てが止まる
- 複雑な手続きをすべて代行してもらえる
まとめ
リボ払いも分割払いも、支払いを先に延ばせる便利な制度です。両者の違いを理解した上で適切に利用すれば、生活を楽しむために役立つことでしょう。
ただし、手数料がどのくらいかかるのか、いつ支払いが終わるのかという点には常に注意しておく必要があります。
もし、リボ払いや分割払いを利用しすぎて返済が苦しくなったら、お早めに弁護士や司法書士といった専門家に相談しましょう。
支払残高が少ないうちに相談した方が、解決方法の選択肢も広くなります。専門家の力を借りて、正しい方法で解決しましょう。