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あける
債務整理と任意整理の違いは?個人再生や自己破産との違いも合わせて解説
目次
- 債務整理と任意整理の違いは?個人再生や自己破産との違いも合わせて解説
- 任意整理と債務整理の違いとは
- 任意整理、個人再生、自己破産、特定調停の違いとは?
- 任意整理のメリットとは?
- 任意整理のデメリットとは?
- 任意整理に適している人
- 任意整理が適していない人
- 任意整理が適していない場合の選択肢
- 任意整理の進め方
- 任意整理後の生活に与える影響
- 任意整理後の生活を円滑に進めるためのポイント
- まとめ
- 債務整理と任意整理に関するよくある質問
- 任意整理で借金が減額になるのはどうして?
- 任意整理が可能な人とは?
- 全ての借金が減額できるのか?
- 任意整理と過払い金請求の違いとは?
- 無職や専業主婦でも債務整理は可能?
- 任意整理中でもキャッシングやカードローンでお金を借りることはできる?
- 任意整理をしなかったクレジットカードは引き続き使用できる?
- 家族や結婚相手に知られずに任意整理を行うことはできる?
- 任意整理で財産を処分されることはある?
- 任意整理後でも海外旅行に行けるのか?
- 債務整理は一人で進められるのか?
- 弁護士と司法書士、どちらに依頼すべきか?
- 契約書や取引明細がなくても任意整理は可能?
- 銀行系カードローンも任意整理の対象になる?
- ギャンブルや浪費が原因でも任意整理は可能?
債務整理を調べていると、「任意整理」や「個人再生」などの言葉に出会うことがあるでしょう。しかし、「任意整理と債務整理の違いは?」や「自己破産と個人再生は同じなのか?」といった疑問を抱える方も多いはずです。このページでは、債務整理、任意整理、個人再生、自己破産の違いをはじめ、それぞれの特徴やデメリット、手続き期間についてわかりやすく表で解説しています。各手続きの違いを理解すれば、「自分にどの手続きが適しているか」が明確になるでしょう。債務整理について深く理解し、借金減額への第一歩を踏み出しましょう。
任意整理と債務整理の違いとは
債務整理とは、任意整理・個人再生・自己破産の4種類をまとめて指す言葉です。例えば、自動車や自転車、電車を「乗り物」と総称するのと同じように、債務整理も任意整理、個人再生、自己破産を含んだ広い概念です。どの手続きを選んでも、債務整理を行うことで借金の減額や、月々の返済負担を軽くすることができます。債務整理と任意整理の違い、個人再生、自己破産の4つについて理解を深めていきましょう。
任意整理とは何か?
債務整理の一つである任意整理は、将来の利息をカットしたり、長期の分割払いを設定したりするためにカード会社などと交渉して借金を整理する手続きです。任意整理は裁判所を通さずに行うため、「私的整理」と呼ばれます。これに対し、個人再生や自己破産は裁判所を介した法的手続きとなり、これらは「法的整理」と呼ばれます。また、任意整理に似た手続きとして「特定調停」があります。特定調停は、債権者との話し合いで解決を目指す点では任意整理と同じですが、裁判所がその話し合いの仲介を行う点が異なります。
任意整理は債務整理の方法の一種
「任意整理」とは、借金を整理する手続きである「債務整理」の一部です。債務整理は、借金の減額や免責を通じて借金返済の負担を軽減し、生活を再建しやすくする法的手続きの総称です。つまり、任意整理は債務整理の中で用いられる一つの手続き方法となります。
債務整理には、任意整理の他にも「個人再生」や「自己破産」といった手続きがあり、それぞれ異なる手続き方法、条件、借金減額の範囲があります。共通して言えるのは、いずれの手続きも個人信用情報に事故情報が登録され(いわゆるブラックリストに載る)、信用に影響を及ぼすことです。
任意整理は、債務整理の中でも最も広く行われている手続きで、手続き中に「過払い金」が発覚することもあります。過払い金とは、借金返済過程で払い過ぎたお金で、テレビCMなどで耳にする機会もあるため、すでに知っている方もいるかもしれません。この過払い金も債務整理の一環として重要な要素です。
任意整理は裁判所を通さない手続き
任意整理は、債務整理の一種であり、他の手続きとの違いは裁判所を通さずに行える点です。この手続きでは、借金を抱える債務者に代わって弁護士や司法書士が代理人となり、債権者と直接交渉を行い、借金の減額を目指します。任意整理で実現可能なことは次の4点です。
- 将来の利息のカット
- 遅延損害金のカット
- 返済期間の延長
- 過払い金の返還請求
債権者との交渉で決まった内容に基づき、通常は3年、最長で5年以内に残りの借金を分割で返済していくことになります。裁判所を介さないという利点がある一方、債権者が交渉に応じない場合、希望する減額が実現しないなど、デメリットも存在します。
裁判所を介した債務整理の方法
任意整理が裁判所を介さずに行われる一方で、裁判所を通じて進める債務整理は「法的整理」と呼ばれます。法的整理には次の3つの種類があり、それぞれ異なる条件や手続き内容があります。
- 個人再生
住宅ローンを除く借金総額が5000万円以下などの条件を満たしている人が利用できる手続きで、裁判所を通して行われます。借金の総額を1/5~1/10まで大幅に減額でき、さらに「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類に分かれます。 - 自己破産
裁判所での面談や調査を経て借金を免責する手続きです。借金がゼロになる代わりに、手続き中に職業や資格に制限がかかり、持っている財産を全て失うというデメリットがあります。 - 特定調停
裁判所に申し立てを行い、裁判所が仲裁役となって債権者との話し合いで借金の減額や返済方法について和解を図る手続きです。
裁判所を通す手続きであるため、政府が発行する「官報」に名前が掲載されることや、手続きが複雑であることが特徴です。
任意整理、個人再生、自己破産、特定調停の違いとは?
債務整理は、どれも借金問題の解決に有効ですが、各手続きには特徴やデメリット、手続き後の影響に違いがあります。ここでは、任意整理・個人再生・自己破産、そして先ほど触れた特定調停との違いについて詳しく見ていきましょう。
手続きの特徴とは?
任意整理
- 3年(原則)から5年の分割払いと利息カットを交渉し、返済負担を軽減する手続き。
個人再生
- 高価な財産(住宅など)を残しながら、借金の元本を約80%削減できる手続き(減額額は借入額や資産状況により異なる)。
自己破産
- 借金をゼロにする手続き。
特定調停
- 裁判所が債務者と債権者の話し合いを仲介し、借金整理を進めて生活を立て直せるよう支援する制度。
最も気になるのは「借金をどれだけ減額できるか」だと思います。個別の状況により異なりますが、一般的には次の順番で大きな減額が可能です。
- 自己破産
- 個人再生
- 任意整理・特定調停
ただし、手続きできる条件や最適な選択肢は状況によって異なり、「借金がゼロになるなら自己破産にしよう」とすぐに決定できるわけではありません。
手続きのデメリット
任意整理
- 事故情報が登録される
- 高価なローン返済中の物品が回収される可能性あり
- 借金の保証人が肩代わりする可能性あり
個人再生
- 事故情報が登録される
- 高価なローン返済中の物品が回収される可能性あり
- 借金の保証人が肩代わりする可能性あり
- 個人再生の情報が官報に掲載される
自己破産
- 事故情報が登録される
- 高価なローン返済中の物品が回収される可能性あり
- 借金の保証人が肩代わりする可能性あり
- 自己破産の情報が官報に掲載される
- 手続き終了まで就けなくなる職業あり
- 手続き中、郵便物が破産管財人に転送される
- 高価な財産が没収される
特定調停
- 取立てが止まるまで時間がかかる
- 過払い金の返還を受けられない
- 手続き後も返済不能の場合、差押えされやすくなる
- 調停委員は債務整理の専門家でない場合がある
- 調停が成立しないことがある
どの手続きにもデメリットはありますが、過度に心配する必要はありません。なぜなら、場合によってはそのデメリットがあなたには影響を及ぼさないこともあるからです。
例えば、任意整理や個人再生では、すでに完済済みの物には影響がありません。また、任意整理の場合は、手続きを進める債権者を選ぶことができるため、保証人が借金を肩代わりする事態を防ぐことが可能です。
手続きにかかる期間とは?
任意整理
- 約8ヶ月
個人再生
- 申立準備期間+5〜6ヶ月
自己破産
- 申立準備期間+2〜3ヶ月
特定調停
- 申立準備期間+3〜4ヶ月
手続き後の返済について
任意整理
- 返済期間は3年から5年(原則3年)
個人再生
- 返済期間は3年から5年(原則3年)
自己破産
- 手続き後に借金はゼロになります
特定調停
- 返済期間は3年から5年(原則3年)
任意整理、個人再生、特定調停では、いずれも減額された借金を返済していく必要があります。
アディーレに任意整理や個人再生を依頼すれば、毎月の返済額をアディーレに振り込むだけで、各債権者への返済を代行して行ってもらえます(※)。
これにより、債権者ごとに個別に振り込みを行ったり、カード会社などとのやり取りを直接行う手間が省けます。
※送金手数料として、債権者1社あたり1,100円(税込)が必要です。
事故情報の登録とは?
任意整理
- 約5年間、信用情報に登録される。
個人再生
- 5年~7年間、登録される(※)。
自己破産
- 5年~7年間、登録される(※)。
特定調停
- 約5年間、登録される。
事故情報が登録されると、いわゆるブラックリストに載ることになります。その結果、新しくクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることができなくなります。
ただし、デビットカードやデポジット形式のETCカードは引き続き使用可能です。
さらに、5年から10年経過すれば、再びローンを組めるようになるため、「ブラックリストに載ったら終わり」と考える必要はありません。
※2022年11月以前の場合は、5年から10年の期間となります。
任意整理のメリットとは?
任意整理を行うことには、いくつかのメリットがあります。以下にその主なメリットをまとめました。
個人の債権者への影響を与えない
お金に困ったとき、親戚や友人、知人などから借金をすることもよくあります。しかし、個人再生や自己破産では、すべての債権者を対象にしなければならないため、お世話になった個人にも迷惑がかかってしまいます。
一方、任意整理では、対象となる債権者を選べるため、個人の債権者を外すことができます。そのため、今まで通りきちんと返済を続ければ、人間関係を壊すことなく、信用も保ったままで済ませることができます。
保証人への影響を与えない
借金をするときに、保証人を頼むケースは少なくありません。任意整理以外の債務整理方法である「個人再生」や「自己破産」では、借金をすべて対象にしなければならず、保証人がついている借金もその対象になります。そのため、自己破産や個人再生を行うと、債権者は保証人に返済を求めることになり、結果的に保証人に大きな負担をかけてしまいます。
一方、任意整理では対象となる債権者を選ぶことができます。保証人付きの借金を整理対象から外し、保証人付きの借金については自分で返済を続けることができるため、保証人に迷惑をかける心配がなくなります。
車のローンがあっても車を手放さずに済む
車のローンを返済中の方が個人再生や自己破産を選択すると、車を引き上げられる可能性があります。これは、車のローンには「所有権留保」がついており、ローンの支払いが滞ると、ローン会社が車を引き上げて売却することができるためです。
しかし、任意整理の場合は、車のローンを整理の対象から外すことができるため、車を引き上げられる心配はありません。
費用が比較的低く抑えられる場合が多い
任意整理は、個人再生や自己破産と比べて手続きが簡単であるため、専門家に支払う費用も比較的安くなります。また、裁判所への費用も発生しません。
必要な書類が少なく手続きが簡単
任意整理は、債権者と直接交渉を行う手続きです。個人再生や自己破産とは異なり、裁判所を利用せずに進めるため、手続きが比較的簡単で、必要書類も少なくて済みます。したがって、債務者が書類を集める手間が少ないという点も大きなメリットと言えるでしょう。
官報に公告されることがない
個人再生や自己破産を行うと、「官報公告」がされます。官報公告とは、政府が発行する「官報」に氏名、住所、破産情報や個人再生に関する情報が載せられることを指します。官報はインターネットで誰でもアクセスできるため、周囲に知られたくない方にとっては不安を感じる要因となることがあります。対して、任意整理は官報に掲載されないため、他の債務整理手続きと比べて周囲に知られるリスクが低くなります。
任意整理のデメリットとは?
任意整理には、次のようなデメリットも存在します。
返済能力の証明が必要
任意整理を行うと、その後3~5年にわたり返済が必要になります。これには最低限の収入や返済能力が求められます。ただし、任意整理で求められる返済能力の基準は厳しくなく、専業主婦などで自身に収入がなくても、夫の収入から返済が可能であれば手続きができます。また、アルバイトなどで不定期の収入がある場合でも利用者は多いため、「収入がないからできない」とすぐに諦めずに、まずは相談してみてください。
減額効果が大きくない
任意整理で減額できるのは、主に利息や遅延損害金に限られます。基本的に元本はそのまま残り、返済し続ける必要があります。個人再生の場合、元本の5分の1から10分の1に減額でき、自己破産では元本全額が免除されることがあります。これらの手続きに比べると、任意整理の減額効果はそれほど高いとは言えません。もし借金額が大きい場合、任意整理では解決が難しいこともあるため、その場合は個人再生など他の債務整理手段を検討した方が良いでしょう。
相手の同意が必要
任意整理は、債権者と直接交渉して解決を目指す手続きです。しかし、債権者が利息や遅延損害金のカットに同意しない場合、手続きは成功しません。もし相手が強硬な態度を取った場合、任意整理が実現できない可能性もあります。
ブラックリストに登録される
任意整理を行うと、ブラックリストに載ることになります。つまり、個人信用情報に事故情報が登録され、ローンやクレジットカードを利用することができなくなります。この事故情報は、通常任意整理後おおよそ5年間は残ります。しかし、任意整理の場合、個人再生や自己破産に比べてブラックリスト状態が比較的早く解消されることがよくあります。また、ブラックリスト期間中でも、キャッシュレス決済やデビットカード、家族カードなどを活用することで、生活に不便を感じることなく過ごす方法がありますので、過度に心配する必要はありません。
任意整理に適している人
任意整理は、借金総額や収入、さらには家計状況によって向き不向きがあります。適した状況で任意整理を行うと、借金が減少し、返済が楽になります。しかし、任意整理をしても完済の見通しが立たない場合、その手続きは適していないと言えます。では、どのような状況であれば任意整理が向いているのか、以下で詳しく見ていきましょう。
利息削減と分割払いで返済可能な人
任意整理は、カード会社などと交渉して将来の利息をカットしたり、長期分割払いを可能にする手続きです。利息の支払いがなくなったり、月々の返済額が軽くなったりするものの、基本的に元本は減額されません。そのため、残りの元本を返済していくための安定した収入がある方や、借金額がそれほど大きくない方に向いています。例えば、「毎月3万円程度なら返済できる」といった場合、借金が108万円から180万円程度なら、任意整理で解決できる可能性があります。
借入状況次第で元本が減額される場合もある
任意整理は、将来の利息のカットや長期分割払いを実現する手続きですが、過去の借入状況によっては、元本の減額も可能な場合があります。任意整理の手続きでは、過去に支払いすぎた利息がないかを確認します。もし過払い金が発覚した場合、借金の元本が減額されることがあります。特に、2010年6月17日以前に借入を始めた方は、利息を支払いすぎていた可能性があります。借金の元本を3~5年で返済するのが難しい場合でも、2010年6月17日以前に借入を開始していれば、任意整理を通じて借金を減額し、問題を解決できる可能性があります。
借金問題を周囲に知られたくない人
任意整理は、個人再生や自己破産と比べて、周囲に知られにくい手続きです。個人再生や自己破産では、同居している家族に収入がある場合、その金額を確認するための書類が必要となります。特に自己破産では、本人名義の高価な物(例えば車など)が処分される可能性があり、家族に知られずに手続きするのは難しいことが多いです。これに対して、任意整理では家族の収入は基本的に関係なく、車などを処分せずに済むため、よりプライバシーを守りながら進めることができます。
保証人に負担をかけたくない人
任意整理では、交渉するカード会社を選ぶことができるため、保証人に迷惑がかからないようにすることが可能です。例えば、保証人を立てている借金のみを任意整理の対象外にすることができます。同様に、車やバイクなどのローン返済中の物を手放したくない場合、そのローンを組んでいるカード会社を手続きから除外すれば、物品を回収される心配はありません。一方、個人再生や自己破産は裁判所を介した手続きであり、特定の債務だけを除外することはできません。そのため、保証人に迷惑をかけてしまったり、車などが処分されるリスクが伴います。
任意整理が適していない人
「リスクが少なそうだからとりあえず任意整理を選ぶ」という考え方は避けるべきです。なぜなら、人によっては任意整理が適していない場合があるからです。以下では、任意整理が向いていない人の特徴を詳しく解説します。
現在の収入で借金返済が難しい人
任意整理を行うことで、利息のカットや分割払いにより月々の返済負担が軽減されますが、手続き後も借金を返済し続ける必要があります。返済は原則として3年(最長5年)で完済を目指すため、その期間内に返済できるだけの収入が求められます。カード会社としても、「元本が返済されることが保証されなければ、交渉に応じない」という立場です。
借金の大部分を減らしたい人
任意整理では、借金を大幅に減額することは基本的にできません。これは、任意整理が利息や遅延損害金の削減、そして分割払いによって月々の負担を軽減する手続きだからです。ただし、手続きの途中で過剰に支払った利息が発覚した場合、元本が大幅に減額されることもありますが、これは利息を支払い過ぎていた場合に限られます。もし年収の5倍の借金を抱えているなど、減額なしでは返済が困難な場合には、任意整理以外の債務整理方法を検討する方が適切です。
任意整理が適していない場合の選択肢
任意整理の手続きが難しい、または手続きを行っても十分なメリットが得られない場合には、他の選択肢を考慮する必要があります。各状況に応じて、詳細に確認していきましょう。
借金の総額が多い場合
例えば、借金が1,000万円など大きく膨れ上がっている場合は、個人再生や自己破産といった裁判所を介した手続きが適切です。個人再生と自己破産は、それぞれ異なる条件や特徴がありますが、どちらも借金を大幅に減額することができます。これらの手続きを進め、裁判所に認められれば、債権者と交渉せずに借金を減らすことができるため、任意整理とは異なる方法と言えます。
返済に充てる収入がない場合
安定した収入がなく、元本の返済が難しい場合、任意整理だけでなく個人再生を選ぶのも困難かもしれません。その場合、基本的には自己破産を選択肢として考えることになります。自己破産が裁判所に認められれば、滞納している税金を除き、借金は全てゼロにすることが可能です。この方法を選べば、たとえ収入がなくても借金問題を解決できます。しかし、自己破産には大きなデメリットもあるため、弁護士などに相談し、慎重に進めることが重要です。
事故情報の登録を避ける方法
任意整理に限らず、債務整理を行うと、基本的に事故情報が登録されることは避けられません。そのため、債務整理を選ばずに借金を返済する方法として、例えば「家族や親族に事情を説明して援助を受ける」、「高価な財産を売却して資金を作る」などがあります。また、既に完済した借金に対して過払い金請求を行う場合、事故情報には登録されないため、その過払い金を返済に充てることができます。
任意整理の進め方
任意整理について理解したところで、次に手続きがどのように進行するのか、必要な期間や書類について詳しく見ていきましょう。
任意整理の手続きの流れと期間
弁護士や司法書士に依頼した際の手続きの流れは以下の通りです:
- 弁護士や司法書士に手続きを依頼
- 受任通知の発送および取引履歴の開示請求
- 利息制限法に基づく上限金利での債務額調査
- 引き直し計算の実施
- 過払い金の返還請求
- 引き直し計算に基づいた和解案の作成
- 債権者との交渉を通じた和解案の提示
- 和解契約の締結
- 返済の再開
任意整理の和解契約後、借金の残高が確定し、3年~5年で返済が行われます。手続きにかかる期間は最短で3カ月、場合によっては6カ月ほどかかります。また、過払い金交渉において債権者と裁判となった場合は、半年から1年かかることもあります。
任意整理に必要な書類
任意整理に必要な書類は、他の債務整理に比べて少なく、以下の書類が準備できれば手続きを進めることが可能です:
- 身分証明書(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
- 印鑑(シヤチハタは不可、認印は可)
- クレジットカードおよびキャッシングカード(借り入れ中のもの)
- 借り入れの詳細がわかる書類(利用明細書、契約書、請求書、自作の借り入れ一覧表)
また、依頼する専門家によっては、通帳や給与明細などの追加書類が求められることもあります。
任意整理の費用について
任意整理は、債務者(借り主)自身で行うことが難しい手続きです。そのため、弁護士などの専門家に依頼する必要があります。債務者個人では、金融業者との交渉時に何を主張すべきか、どこで妥協すべきかが分からなかったり、金融業者側が個人での手続きを認めない場合があるためです。
任意整理にかかる弁護士費用は、主に以下の3種類です:
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
相談料の一般的な相場
相談料とは、任意整理を依頼する前に行う法律相談の費用です。相場は、1時間あたり5,000円から10,000円程度となっています。
着手金の一般的な相場
着手金は、弁護士に依頼した際に最初に支払う必要がある費用です。成功・不成功に関わらず支払わなければならない費用です。日弁連では、債権者数が申告された数を超えた場合などを除き、基本的に着手金の追加請求は禁止されていますが、上限額については特に規定はありません。一般的に、弁護士の費用は債権者1社あたり2万円〜4万円程度となっています。
報酬金の一般的な相場
報酬金は、依頼が終了した際に支払う費用で、結果が成功した場合に、成功の度合いに応じて弁護士に支払われます。報酬金には以下の3種類があり、それぞれの金額が異なります。
報酬金の種類
- 解決報酬金
和解の成立や貸金業者等からの返済請求の免除に対して支払われる定額の報酬金です。経済的利益に応じた算定方式ではなく、和解成立または債権者からの請求免除に対する報酬として支払われます。
- 金額: 1社あたり2万円(商工ローン担保付き債権では1社5万円)
- 減額報酬金
借金が減額されたり免除された場合に支払われる報酬金で、減額された金額に基づいて計算されます。弁護士が受任した時点で債権者が主張していた債務を減額または免除させた場合、その減額分または免除された分の金額に対して算定されます。
- 金額: 減額できた金額の10%以内
- 過払金報酬金
過払い金の回収に対する報酬金で、回収できた金額に連動して計算されます。過払い金を回収した際、その金額に応じて報酬金が支払われます。
- 金額: 回収できた過払い金の20%以内(訴訟の場合は25%以内)
なお、弁護士費用は自由化されており、依頼する弁護士によって金額は異なりますが、弁護士の費用に関しては、日本弁護士連合会(日弁連)により規制が設けられており、着手金や報酬金には一定のルールがあります。
弁護士費用の分割払いが可能な場合も
弁護士の中には、弁護士費用の分割払いを受け付けている弁護士や、完全成果報酬型で着手金がゼロの弁護士、さらに初回の法律相談が無料の弁護士も存在します。
また、法務省が管理する「日本司法支援センター」(法テラス)では、一定の条件を満たす方に対して、弁護士費用や裁判費用を立て替えてくれる民事法律扶助制度が提供されています。
このように、経済的に困難な状況にある方でも、弁護士に相談しやすい環境が整っています。任意整理で悩んでいる場合は、弁護士に相談することを検討すると良いでしょう。
任意整理後の生活に与える影響
任意整理後、生活にはどのような影響があるのでしょうか?
新たにクレジットカードを契約する際の影響
任意整理を行うと、完済後の5年間は信用情報機関に事故情報が記録されるため、その期間中は新たなクレジットカードの契約が難しくなります。
自身の信用情報に事故情報が載っているかどうかは、信用情報機関に開示請求を行うことで確認できます。
以下の3つの信用情報機関で開示請求ができますので、気になる方は問い合わせてみると良いでしょう。
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC、銀行系信用情報機関)
https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/ - 株式会社日本信用情報機構(JICC、消費者金融系信用情報機関)
https://www.jicc.co.jp/kaiji/ - 株式会社シー・アイ・シー(CIC、信販系信用情報機関)
https://www.cic.co.jp/mydata/index.html
現在使用中のクレジットカードへの影響
現在返済中の住宅ローンに対する影響ですが、住宅ローン会社を任意整理の対象にしなければ、従来通り自宅に住み続けながらローンの返済を続けることができます。
一方、住宅ローン会社を任意整理の対象にする場合、土地や建物に住宅ローン会社の抵当権が設定されていると、その土地や建物が差し押さえられ、売却されることになります。それでもなおローン残高が残った場合は、家を手放した後で残った借金を返済しなければなりません。
家族カードに与える影響
家族カードとは、クレジットカード契約者がその家族に提供できるカードのことです。
契約者が持つカードは親カード、家族カードは子カードと呼ばれますが、もし親カードの契約者が任意整理を行い、親カードが利用できなくなった場合、子カードも使えなくなります。
一方、任意整理を行う本人の家族が契約しているカードについては、特に影響はありません。これは、信用情報機関が各契約者ごとに信用情報を管理しているためです。
現在の車ローンに対する影響
現在返済中の車のローンについて、オートローン会社を任意整理の対象外にすれば、車をそのまま所有し、これまで通り返済を続けることができます。
しかし、オートローン会社も任意整理の対象にした場合、車の所有権がオートローン会社にあると、車は引き上げられて売却されることになります。その後、売却金額でオートローンが全額カバーできなかった場合、車を手放した状態で残りのローンを返済し続けることになります。
今後の車ローン契約への影響
完済後5年間はブラックリストに登録されるため、新たに車のローンを組むことができなくなる点には注意が必要です。
現在の住宅ローンに対する影響
現在返済中の車のローンについて、オートローン会社を任意整理の対象外にすれば、車を手放さずに今まで通り返済を続けることができます。
一方、オートローン会社も任意整理の対象にする場合、車の所有者名義がオートローン会社であれば、車は引き上げられ、売却されることになります。もし売却後もオートローンが残る場合、車を手放した状態で残りのローンを支払い続けることになります。
現在使用中のスマートフォン契約への影響
現在利用しているスマートフォンは、携帯電話会社を任意整理の対象から外せば、従来通り利用を続けることができます。
ただし、料金の滞納があり、携帯電話会社を任意整理の対象にした場合、強制解約される可能性があります。
新しくスマートフォンを契約する際の影響
任意整理を行った場合でも、携帯電話会社との新規契約は可能ですが、端末代金の分割払いは完済後5年間は利用できません。
保証人に与える影響
保証人とは、借り主が返済できない場合に、借り主に代わって返済義務を負う人のことです。もし借り主が任意整理を行い借金が減額されたとしても、保証人の返済義務は変わらないため、保証人がいる場合は、保証人も一緒に任意整理を検討するべきです。
任意整理後の生活を円滑に進めるためのポイント
任意整理後の生活を円滑に送るためには、これから紹介するポイントに気を付け、できるだけ不便を避ける工夫が求められます。
減額された借金は計画的に返済しましょう
任意整理によって減額された借金の返済は、遅れないように心がけましょう。これには安定した収入、計画的な返済、そして収支の見直しが必要不可欠です。月々の返済額は、手取り額から家賃を差し引いた額の1/3程度が目安となります。収入が予定より低くなったり、家賃が高い場所に引っ越したりすると、返済が難しくなるので注意が必要です。
もし任意整理後の返済を滞納すると、債権者から訴訟を起こされ、給与や財産を差し押さえられることもあります。裁判に至らなくても、一括返済を求められ、減額された借金が元に戻る可能性もあるので、返済の遅れには十分注意しましょう。
保証会社や機関保証を利用する
任意整理を行うとブラックリストに載り、他人の借金の保証人になることができなくなります。しかし、保証会社や機関保証を利用することで、他の選択肢を取ることができます。借金の保証人になることは、任意整理をしていなくても避けた方が良いですが、賃貸契約や子どもの奨学金の保証人になる必要がある場合もあります。
賃貸物件を借りる際には、万が一家賃を支払えない場合に備えて賃貸保証会社と契約する必要があることがあります。特に信販系の保証会社を使用している場合、ブラックリストに載っていると入居審査が通らないことがあります。引っ越しを検討している場合は、保証人を立てる物件や、以下のような保証会社を利用している物件を選ぶと良いでしょう。
- 全国賃貸保証業協会(LICC)
- 全国保証機構(LGO)
また、子どもの奨学金を申し込む際には、「機関保証」の制度を利用する方法があります。日本学生支援機構の奨学金には、親や親戚が保証人になる「人的保証」と、機関保証の2つの選択肢があります。平成16年以降に奨学金を受けた学生は、保証人が返還を保証できない場合に機関保証に切り替えることができます。親が任意整理をしていたとしても、機関保証を利用すれば希望する学校への進学が可能です。
参考:人的保証から機関保証への変更|日本学生支援機構
クレジットカードの代替手段を準備
債務整理後は、これまで使用していたクレジットカードが利用できなくなるため、代替手段を準備して不便を感じないように工夫しましょう。おすすめの代替手段としては、プリペイドカードやデビットカードがあります。
特にデビットカードは、自分の口座に紐づけて使用するため、口座残高内で買い物が可能です。新たにカードを作成する際に審査が不要なため、ブラックリストに載っている人でも利用でき、見た目も通常のクレジットカードと似ているため、周りに違和感を与えることなく使用できます。
また、クレジット機能がないETCパーソナルカードや、家族が主契約者となっている家族カードも便利です。これらのカードを利用することで、債務整理後も普段通りの生活を維持しやすくなります。事前に準備をしておくことをおすすめします。
就職や結婚に与える影響はなし
任意整理をした後でも、就職や結婚に影響を与えることはありません。多くの企業では個人の信用情報を調べることはなく、履歴書に記載する必要もなく、面接で質問されることもないため安心です。また、任意整理の情報は戸籍や住民票には記載されないため、入社後の書類提出時に知られることもほとんどありません。
結婚に関しても、任意整理をしたことが制約になることはなく、結婚相手に知られる心配はありません。ただし、マイホームの購入や家財道具の準備でローンを組んだり、クレジットカードを使う際には相手に知られる可能性があります。また、隠していることへの罪悪感から言動が不自然になることがあり、それがきっかけで相手にバレてしまう場合もあります。
いずれにせよ、結婚前にお互いの金銭感覚や経済的な価値観をすり合わせておくことが、長続きする秘訣です。もし任意整理をしていることを相手に打ち明けてから結婚する方が、後でバレてトラブルになるリスクを避けることができ、安心して一緒に過ごすことができるでしょう。
保険加入に制限はなし
任意整理の手続き中や手続き後でも、生命保険への加入に制限はありません。これは、任意整理が他の債務整理方法とは異なり、債務者の財産状況に影響を与えないためです。例えば、自己破産の場合は、保有している財産をすべて明らかにしなければならず、積立型の生命保険に加入している場合、その保険を解約して返済に充てる必要があります。
生命保険は融資や借金とは異なり、ブラックリストに載っていても健康状態や年齢などの条件を満たしていれば新たに加入することが可能です。しかし、生命保険には毎月の保険料が発生するため、返済額に加えて支払うことになります。家計に過度な負担をかけることがないよう、保険加入時には慎重に検討することをお勧めします。
闇金融には注意が必要
任意整理を含む債務整理を行う際は、闇金融に注意することが重要です。
闇金融からの借金に対する方法
闇金融とは、違法な高金利でお金を貸し付ける業者を指します。闇金融からの借金は任意整理の対象になりませんが、そもそも日本の法の枠外で活動している業者からの借金には返済義務がないため、返済しないことが原則です。もし強引な取り立てや違法な行為が行われている場合は、担当の弁護士に相談するか、警察に介入を依頼することが最適です。闇金業者は警察に逮捕されることを最も恐れているため、弁護士からその違法性を追及されたり、警察に通報されることを非常に嫌います。
任意整理後に気を付けるべき点
任意整理後も、闇金融から借金しないように十分注意が必要です。闇金業者の中には、ブラックリスト情報を名簿業者から仕入れたり、仲間内で情報を共有して、ローンやクレジットカードが利用できない人に対して、DMやショートメールで「ブラックリストに載っていても借り入れが可能」などと勧誘してくることがあります。
ブラックリストに載っているため、他の貸金業者からお金を借りられない人には、このような勧誘が魅力的に感じられることもあります。しかし、任意整理で借金を減らしたにもかかわらず、闇金融から高金利でお金を借りてしまうと、せっかくの任意整理が無意味になってしまいます。任意整理の前後にかかわらず、闇金融からの借り入れは絶対に避けるようにしましょう。
任意整理後に返済が困難になった場合の対処法
任意整理後に返済が思うように進まなくなった場合、音信不通にはせず、できるだけ早めに依頼した弁護士に相談することが重要です。一時的な遅延であれば、債権者に連絡して支払いの猶予を交渉することが可能です。また、弁護士に余分に預けているお金があれば、そのプール金から支払いに充てることもできます。
返済がどうしても難しい場合は、個人再生や自己破産など、他の債務整理方法への移行を検討する必要があります。病気や失業、災害など、やむを得ない事情で返済が不可能になった場合は、和解案の見直しや債務整理方針の変更が求められます。まずは連絡を無視せず、弁護士に相談し、その後の対応について指示を受けましょう。
まとめ
任意整理は、借金を減額または免除する債務整理の一方法で、裁判所を通さずに行う任意の手続きです。借金の整理対象を選べたり、手続きが比較的簡単で短期間で終わるといった利点がありますが、債権者が同意しなければ減額ができないというデメリットもあります。任意整理が向いているかどうかは、個々の状況によるため、事前に自分が適しているかを確認することが重要です。
また、記事で触れたように、それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、まずは弁護士や司法書士による無料相談を活用することをお勧めします。
任意整理後の生活では、キャッシュカードの代わりになる支払い方法を準備したり、機関保証を活用することで、大きな不便を感じることは少ないでしょう。支払い遅延や闇金融に手を出さないよう注意し、万が一問題が起きた場合には早めに専門家に相談しましょう。
債務整理を依頼する際は、過払い金返還請求に実績があり、債権者との交渉経験が豊富な弁護士を選ぶのが良いでしょう。また、代位弁済に対応してくれる弁護士であれば、債務整理後の返済も安心して進めることができます。
債務整理と任意整理に関するよくある質問
債務整理や任意整理に関する疑問や気になる点について、詳しくお答えします。
任意整理で借金が減額になるのはどうして?
この記事では、任意整理を行うことで借金が減額される理由について説明してきましたが、その理由を知らない方も多いかもしれません。
「グレーゾーン金利」と二つの関連法律
任意整理で借金が減額される理由は、2006年まで金利上限を定めていた「利息制限法」と「出資法」という2つの法律に関係しています。それぞれの法律における上限金利は以下の通りです。
「利息制限法」の上限金利:
- 10万円未満:20%
- 10万円以上100万円未満:18%
- 100万円以上:15%
「出資法」の上限金利:
- 29.2%
消費者金融などの貸金業者は、この2つの法律のうち、出資法の29.2%という高い金利を基にお金を貸していました。しかし、これは「みなし弁済規程」に基づき、利息制限法の上限を超える金利でも有効とされ、29.2%を超えない限り貸金業者には刑事罰が科されることはありませんでした。
利息制限法と出資法の間に存在した金利は「グレーゾーン金利」と呼ばれ、この規制が撤廃されるまでは高金利の借金返済で苦しんでいた人が多くいました。
引き直し計算の方法
2006年1月の裁判で、最高裁判所は「みなし弁済規程は任意の返済ではない」と明確にし、実質的に29.2%の金利を適用することが違法であると判断しました。この判決を受けて、グレーゾーン金利で貸し付けられた利息分は債務者に返還しなければならないことが確定しました。
任意整理では、過去の借金を計算する際に、取引開始時点まで遡り、グレーゾーン金利で借り入れた部分を利息制限法の上限金利(15%~20%)に引き下げ、再計算を行います。過剰に支払った利息がある場合、それを元本の返済に充当することで、最終的に借金の総額が減額されることになります。
参考:裁判例結果詳細|裁判所
任意整理が可能な人とは?
安定した継続的な収入がない場合、自己破産など他の手続きも選択肢としてありますので、弁護士に相談することをお勧めします。
全ての借金が減額できるのか?
任意整理では、借金の原因に関わらず、手続きが任意で行われるため、減額が可能です。一方、裁判所を通じて行う自己破産では、「破産法」で定められた免責不許可事由に該当する場合、免責が認められません。免責不許可事由には、浪費やギャンブル、株取引やFXによる借金が含まれますが、任意整理にはそのような制限がないため、基本的にどんな借金でも減額することができます。
また、消費者金融やクレジットカードのキャッシング、カードローンなどの借金の種類に関わらず、手続きを進めることができます。銀行系カードローンは、他の借金に比べて金利が低いため、引き直し計算による大幅な減額は難しい場合もありますが、既に支払った借金の減額や、将来の利息カットが可能なため、任意整理には大きなメリットがあると言えるでしょう。
任意整理と過払い金請求の違いとは?
任意整理の手続きにおいて行われる「引き直し計算」により、過剰に支払った利息が明らかになることがあります。その場合、過払い金の返還請求が可能です。前述の通り、出資法の上限金利の引き下げにより、2つの法律の間にグレーゾーン金利が生じました。このグレーゾーン金利を元にした借金の元本充当によって、過剰に返済していることが判明する場合があり、この返済過剰分を「過払い金」と呼びます。
厳密には任意整理とは異なりますが、過払い金が過去の支払いから生じて現在の借金の返済に充当される点で、同様の意味合いを持っています。過払い金を返還請求できるのは、2007年ごろまでに借り入れをし、すでに完済している方、または2007年以前から長期間借金を返済している方です。過払い金請求の時効は完済後10年以内であるため、「過払い金があるかもしれない」と思う方は、早めに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
無職や専業主婦でも債務整理は可能?
無職や専業主婦でも債務整理は可能ですが、任意整理や個人再生では借金の減額はされるものの、返済は継続するため、毎月返済できる原資や収入があることの証明が必要となります。専業主婦の方の場合、夫の収入で返済できるのであれば問題はありませんが、手続きには夫の給与明細など、返済能力を示す客観的な資料が求められます。そのため、夫に内緒で進めることは難しい場合があることを理解しておくべきです。
また、無職で返済を継続するのが難しい場合、任意整理や個人再生の申請が通らないこともあります。このような場合、まず就職してから債務整理の手続きを行うことをお勧めします。アルバイトでも申請が通ることがあるため、正社員よりハードルが低いパートやアルバイトから始める方法も一つの選択肢です。
任意整理中でもキャッシングやカードローンでお金を借りることはできる?
借り入れ先として考えられるのは、違法なヤミ金業者などですが、これは絶対に避けるべきです。ヤミ金は法外な金利を課し、取り立ても非常に厳しく、借り手の生活を破綻させる危険があります。
もし新規借り入れを行った場合、それが任意整理を進めている金融業者に発覚すると、減額交渉に応じてもらえなくなるリスクがあります。任意整理は、返済が行き詰まったときに行う手続きです。その手続きが完了する前に新たに借り入れをしてしまうと、再び返済の行き詰まりに直面し、苦しい生活に戻ってしまう可能性があります。
もし新規借り入れが生活のためにどうしても必要な場合は、自己破産や個人再生を通じて借金をより大きく減額したり、福祉の支援を受ける方法も考えられます。その際は、弁護士に相談して適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
任意整理をしなかったクレジットカードは引き続き使用できる?
しかし、完済後5年以内に契約更新を行う際などには、カード会社が信用情報機関に事故情報を照会し、その結果、更新が拒否されることがあります。
家族や結婚相手に知られずに任意整理を行うことはできる?
任意整理は自己破産や個人再生と異なり、裁判所を通さないため、通常、任意整理の事実が公になることはありません。弁護士が相談者と連絡を取る際も、相談者が弁護士に依頼していることが分からないように配慮し、例えば自宅に電話をかけることは避けたり、封書は弁護士個人名で送ったりします。しかし、注意が必要なのは、家族や結婚相手が保証人になっている場合です。この場合、保証人に対して金融業者から取り立てが行われることになります。
任意整理で財産を処分されることはある?
自己破産や個人再生では、一定以上の財産を処分しなければならない場合がありますが、任意整理ではそのような義務はありません。
任意整理後でも海外旅行に行けるのか?
自己破産の場合、破産手続開始決定後に居住制限が課されることがあり、引っ越しや旅行が制限されることがあります。しかし、任意整理にはそのような制約は存在しません。
債務整理は一人で進められるのか?
「弁護士に依頼すると費用がかかるから」と、自分一人で債務整理を進めようと考える人もいるかもしれませんが、あまりおすすめできません。債務整理には、誰が手続きを行うかという決まりはありませんが、任意整理のように比較的簡単な手続きであっても、個人で行うのは非常に困難です。
特に、業者との交渉が必要な任意整理では、素人が債権者と対等に交渉するのは難しく、うまく減額できないばかりか、結果的に不利な条件を押し付けられる可能性もあります。書類作成や引き直し計算など、専門知識や経験が求められる作業が多く、債権者が多い場合はそれぞれと個別に対応する必要もあります。
また、債務整理後の返済も弁護士に依頼する方が安心な場合があります。手続き後に弁護士や司法書士が代わりに返済を行う「代位弁済」には以下のようなメリットがあります:
- 債権者と直接やり取りをする必要がない
- 返済金額や回数のミスを防げる
- 複数の返済先があっても一度の振り込みで済む
- 支払えなくなった場合でも、すぐに相談ができる
弁護士と司法書士、どちらに依頼すべきか?
任意整理の手続きは弁護士と司法書士のどちらでも可能ですが、債権者との交渉に慣れている法律の専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。費用面だけを見ると、司法書士の方が比較的安いことが多いですが、借金の総額が1社あたり140万円を超える場合、司法書士では手続きを行うことができません。また、司法書士には裁判所への代理人同行に制限があるため、その点に注意が必要です。
一方、弁護士には借金の総額に上限がなく、裁判所にも代理人として同行できます。特に任意整理に精通した弁護士なら、債権者との交渉においても経験が豊富で、交渉を有利に進めることができます。何より、法律の専門家があなたの代理人となることで、債権者側も減額に応じざるを得なくなり、手続きがスムーズに進むでしょう。
契約書や取引明細がなくても任意整理は可能?
弁護士が受任すると、金融業者に対して取引履歴の開示を請求するため、金融業者は取引履歴を開示してくれます。
銀行系カードローンも任意整理の対象になる?
銀行系カードローンは通常、比較的低金利で融資を行っているため、引き直し計算によって大きな借金減額は難しいものの、経過利息や将来利息をカットできる点で、任意整理のメリットは十分にあります。
ギャンブルや浪費が原因でも任意整理は可能?
自己破産では、ギャンブルや浪費など破産法で定められた理由による借金は免除されないことがありますが、任意整理にはそのような制限はありません。