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任意整理と個人再生は、いずれも債務整理後借金の返済を前提とした手続きです。
任意整理、個人整理は手続きの方法や減額できる借金の額が異なります。
どちらを選ぶべきか迷っている人のために、まずは任意整理と個人整理の簡単な概要を解説します。
任意整理とは
任意整理とは、借金の負担を少なくするために債権者(貸金業者など)と交渉し、負担の少ない返済計画を立てて返済を目指す方法です。
借金が減額できるか引き直し計算を行ったうえで債権者と債務者が直接交渉、または弁護士や司法書士などの代理人が債権者と交渉をし、和解が成立すると交渉内容に応じた返済がスタートします。
債権者と債務者間で交渉をするため、裁判所は介しません。
将来の利息をカットする、分割返済にするなど双方で和解した内容に沿って返済を行っていきます。
複数の借入先がある場合、任意の業者の借入のみを任意整理する、ということも可能です。
個人再生とは
個人再生とは、借金の総額を減額したうえでおよそ3~5年をかけて返済を目指す方法です。
任意整理が利息の減額を交渉するのに対して、個人再生は借金の元本の減額も含めた返済計画を立てていきます。
返済していく金額と、債権者の同意の有無によって「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があります。
おおむね借金総額の20%まで減額が期待できるため、任意整理よりも大きな減額が可能です。
ただし、複数の借入先がある場合、任意の業者のみを選択しての個人再生手続きはできません。借金総額が個人再生手続きの対象となります。
個人再生は裁判所に再生計画を提出し、認められると返済計画がスタートします。
手続きには裁判所を介しますが、一般的には弁護士や司法書士などが代理人となって手続きを行います。
任意整理と個人再生の比較
目次
任意整理と個人再生は、手続きを利用できる条件やかかる費用、期間などが異なります。
任意整理と個人再生の違いを項目ごとに比較して解説します。
手続きできる条件
任意整理を利用できる条件は以下の通りです。
- 債務者に安定した収入があること
- 今後も借金の返済を続けていく意思があること
個人再生を利用できる条件は以下の通りです。
- 債務者に安定した収入があること
- 今後も借金の返済を続けていく意思があること
- 破産に準ずる経済状態であること
- 住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下であること
減額できる割合
任意整理で減額できる割合は、将来利息などの利息分です。
また、過払い金があった場合は引き直し計算のうえで債権者との交渉し、減額対象となる可能性があります。
個人再生で減額できる割合は、借金総額によって決まります。
おおよそ借金総額の20%に減額、場合によっては借金総額の10%まで減額されることもあるのです。
手続きと返済にかかる期間
任意整理は弁護士や司法書士に手続きを依頼した場合、債権者との和解のうえでの返済が始まるまで3~5カ月かかります。
返済計画にのっとって完済までは、3~5年です。
個人再生は弁護士や司法書士に手続きを依頼し、裁判所に申し立てを行ってから返済が始まるまで6カ月ほどかかります。
返済は原則で3年、最長で5年で行ないます。
専門家にかかる費用について
任意整理を弁護士や司法書士の専門家に依頼した場合にかかる費用は、安い場合は2~3万円、相場は4~5万円です。
個人再生を専門家に依頼した場合、30~50万円ほどの費用が相場です。
ただし、個人再生後も自宅を所持するために住宅ローン特例条項手続きも合わせて依頼する場合は、5~10万円ほどが費用に上乗せされます。
手元に残せる財産について
車や住宅などの高額な財産を持った状態で任意整理をしても、処分せず手元に残せます。
ただし、クレジットカードやローンで購入したもの(有担保借入)がある場合は、購入したものが担保にあたるため、債権者に回収される可能性があります。
任意整理の場合は有担保借入にあたる借入は外して手続きすることで、手元に残すことが可能です。
個人再生をした場合も、基本的に財産は手元に残せます。
ただし、任意整理のように手続きする借入を選択できないため、クレジットカードやローンで購入したものは担保として回収されます。
住宅ローンを支払い中の自宅のみ、住宅ローン特例条項を利用することで手元に残せます。
保証人への影響について
任意整理は手続きをする借入を選択できます。
保証人付きの借入を外して任意整理をすれば、保証人への影響はありません。
個人再生は手続きする借入先の選択ができず、借金総額が対象となります。
よって、保証人付きの借入があった場合は保証人が返済請求を受ける可能性が高いです。
信用情報に載る期間について
債務整理を行うと、信用情報機関に事故情報として登録(ブラックリスト状態)されます。
任意整理の場合、信用情報に事故情報が載る期間は、手続き開始時または完済から5年間です。
個人再生の場合、信用情報に事故情報が載る期間は、手続き開始時または完済から5~10年間です。
いずれの場合も、どの時点から事故情報としてカウントされるかは信用情報機関によって異なります。
官報への掲載有無について
任意整理は裁判所を介さない手続きのため、官報へは掲載されません。
個人再生は裁判所を介すため、官報に氏名などの情報が掲載されます。
ただし、勤務先が官報を定期的にチェックしているところでなければ、個人再生手続きをしたことがバレる可能性は少ないでしょう。
任意整理の方がよい場合
任意整理を選んだ方がよいのは、以下の場合です。
家族や身内にバレたくない場合
家族や身内に債務整理をしたことがバレたくないときには、任意整理が向いています。
任意整理は裁判所を介さない当事者同士の手続きのため、裁判所への書類提出などの手続きが不要です。
家族の収入に関する書類も必要なく、官報への掲載もないため、任意整理は家族や身内にバレにくくなっています。
忙しくて事務所に通えない場合
債務整理に関する手続きは弁護士や司法書士に依頼します。
弁護士・司法書士事務所に忙しいなどの理由でなかなか通えない人は、任意整理が向いています。
任意整理は債務整理のなかでも比較的簡単な手続きのため、一般的に依頼者は事務所に1回来るだけで手続きが済むからです。
債務整理から除外したい債権者がいる場合
保証人付き、自動車ローンやクレジットカードなどで購入したものがあるなど、除外したい債権者や借入がある場合は任意整理が向いています。
任意整理は手続きをする債権者や借入が選べるからです。
個人再生の方がよい場合
個人再生を選んだ方がよい場合は、以下の通りです。
多額の借金がある場合
生活が立ち行かないほど多額の借金がある場合には、個人再生が向いています。個人再生は、民事再生法の規定に従って借金の元本からの減額が可能です。
おおむね20%、財産がないなどの場合は5~10%まで借金総額が減額される場合があります。
差し押さえを受けている場合
個人再生手続きを行うと、差し押さえの手続きが止まります。
すでに給与差し押さえなどを受けている場合には差し押さえが中止となり、個人再生手続き完了後に差し押さえられていた分をまとめて受け取ることも可能です。
まとめ
任意整理と個人再生は、同じ債務整理の種類とはいえ特徴や向いている人が異なります。
どちらを選ぶかは、周囲にバレたくないか、借金額はどのくらいか、保証人や有担保の借入はあるか、など重視したいポイントを踏まえて決めるのが重要です。
借金で悩んでいるときは、どちらの債務整理を選ぶかを踏まえて、専門家へ相談してみましょう。