無職で借金が返せない時の対処法と支援・救済制度

無職で借金が返せない場合の生活立て直し救済支援と支払えないリスク

目次

無職の方は、基本的に新たに借金をすることはできません。これは多くの場合、返済能力を理由に審査で落とされるためです。

現在、生活が困難な状況であれば、国が提供している各種支援制度の利用を検討することが重要です。借金があり、完済の見通しが立たない場合は、借金を減額または免除してもらうために債務整理を行うことも一つの選択肢です。

この記事では、無職の方が利用できる支援制度や、債務整理の方法について詳しく解説します。

借金の解決方法について不安を感じている方は、弁護士法人・響にご相談ください。無職で今すぐ費用を準備できなくても、債務整理が可能な場合もあります。

無職で借金返済ができない場合に最初に考えるべきこと

無職で借金返済ができない場合、「最初に何をすべきか」と考える方も多いかもしれません。無職で借金返済が難しい時には、まず以下の3つを検討してみてください。

  • 収入を得る方法がないか
  • 支援制度を利用できるか
  • 家族や友人に頼ることができないか

もちろん、借金返済のための対策を考えることも大切ですが、無職の場合、労働による収入がない状況です。このため、借金返済だけでなく、今後の生活に必要なお金を準備するための対策も必要です。

これから、無職で借金返済ができない時に最初に考えるべきことについて、それぞれ詳しく解説します。

収入を得る手段を探す

まずは、収入を得る方法がないかを考えてみましょう。これにより、今後の生活を支えるお金や借金返済に必要な費用を準備するための対策ができます。

当然のことかもしれませんが、収入を得る方法としてはアルバイトがあります。最近では、自宅でもできるアルバイトも増えており、外に出て就職活動をする余裕がない場合でもおすすめです。

また、バイトアプリを活用すれば、自分の状況に応じた働き方が可能です。たとえば、「週に2〜3日、3時間だけ働く」というように、フルタイムで働けない事情があっても、自分に合った仕事を見つけやすくなります。

一度仕事を得て、生活再建の目処が立てば、今後の展望が開け、未来への活力も湧いてくるでしょう。今は借金の苦しみで心が重いかもしれませんが、ぜひ前向きに働いて収入を得ることを考えてみてください。

利用可能な支援制度を検討する

「特別な事情で働けない」「一時的に無職の状態にある」など、無職の場合にはさまざまな理由があるかもしれません。そのような状況では、国が提供する公的制度を利用できないかを検討してみるとよいでしょう。

公的支援制度には、無職で生活が困難な人々をサポートするための以下のような制度があります。

公的支援制度

制度名制度の概要問い合わせ先
生活保護最低限度の生活を保障するために、各人の困窮具合に応じて支給される制度福祉事務所(詳細は「こちら」)
生活福祉資金貸付制度無利子・無担保で一定額の融資を受けられる制度市区町村社会福祉協議会(詳細は「こちら」)
障害年金病気や怪我が原因で生活や仕事に支障が出る場合に受給可能。現役世代でも利用可能年金事務所(詳細は「こちら」)
失業保険退職後に受け取れる雇用保険ハローワーク(詳細は「こちら」)
求職者支援制度月10万円の生活支援給付金を受けながら職業訓練を受けられる制度ハローワーク(詳細は「こちら」)

例えば、生活保護制度を利用すれば、最低限の生活を維持するための資金が保証され、安定した環境で就職活動などにも集中しやすくなります。

ただし、行政の福祉支援制度から得たお金を直接借金返済に充てることは基本的に認められていません。この支援はあくまでも「借金から抜け出し生活を再建するための一歩」として活用しましょう。

家族や友人からの支援を検討する

「就職活動に時間がかかる」「預貯金から返済額を準備するのが難しい」といった状況では、家族や親族、友人に支援をお願いするのも一つの選択肢です。

家族や親族、友人からの融資であれば、ほとんどの場合、利息を取られることはありません。もし利息が発生しても、貸金業者などからの借入よりもはるかに有利な条件になることが一般的です。

貸金業者からの借金返済が滞り、時間が経過すると財産が差し押さえられるリスクがあります。このようなペナルティを回避するためにも、家族に返済のサポートをお願いするのは適切な方法と言えるでしょう。

家族や友人からの融資時には借用書を作成してトラブルを避ける

親族や知人から個人的に援助を受ける際には、借用書を作成することを検討しましょう。口約束だけでは、借金総額や返済方法、利息の条件などについて後でトラブルが生じるリスクが高まります。

個人からの借入には、貸金業者に対するような厳格な規制がないため、後々深刻な問題に発展する可能性もあります。場合によっては、お金を貸してくれた家族や友人との関係が悪化することも考えられます。

そのため、個人間でお金を借りる際には、双方の信頼を守るためにも借用書を作成することが重要です。

無職の方は借金や借り換えの審査に通過しづらい

無職の方は、基本的に新たに借金をすることはできません。これは、借り入れや借り換えを申し込んだ際に、金融機関などの審査を通過することが難しいためです。

通常、借り入れを申し込むと、金融機関は職業や収入、過去の取引履歴を基に申込者の返済能力を審査します。この際、無職で収入がない場合や延滞を繰り返していることが分かると、返済能力が低いと見なされ、「貸したお金を回収するリスクが高い」と判断されます。

その結果、審査に通るのは難しくなります。

「無職でも融資可」「審査なし」の広告には闇金のリスクが潜んでいる

「無職でも融資可能」や「審査なし」といった広告を見かけることがありますが、これらは「闇金」の可能性があります。闇金とは、貸金業者として登録されていない違法な業者のことです。

正当な金融機関であれば、返済能力に関係なく融資を行うことはありません。闇金が無職や収入がない人に融資をする理由は、貸金業法で定められた上限金利(20.0%)を超える金利で貸付を行っているためです。

闇金を利用すると、違法な取り立てを受けるリスクもあるため、十分に注意が必要です。もし闇金を利用してしまった場合は、速やかに弁護士や警察に相談することをお勧めします。

その業者が闇金かどうかは、金融庁のウェブサイトで確認できます。闇金業者は、貸金業を営むために必要な都道府県の登録を受けていません。金融庁の「登録貸金業者情報検索入力ページ」で業者名を検索することで、登録業者かどうかを確認することができます。

無職の方は借金を考える前に支援制度の利用を検討するべき

現在無職で生活が厳しい場合、新たに借金をするのではなく、国や自治体が提供している公的支援制度を活用することをお勧めします。以下は、無職や低収入の方が利用できる支援制度の一例です。

無職の方でも利用できる支援制度

  • 求職中の方:求職者支援資金融資制度
  • 職探しが難しい方:教育訓練給付制度
  • 高齢・障害者の方:生活福祉資金貸付制度
  • ひとり親の方:母子父子寡婦福祉資金貸付
  • ケガやうつ病の方:傷病手当金

これらの支援制度には、利用するための条件がありますが、金融機関からの借り入れとは異なり、返済の負担が少ない、または返済不要な場合もあります。これらの支援を活用することで、生活を立て直すための助けとなる可能性があります。

公的支援制度は、返済の義務がない(給付金)または低金利で融資を受けられるため、借金の返済に比べて負担が少なくて済むことが多いです。これらの制度を利用したい場合は、居住地の自治体の相談窓口に問い合わせてみましょう。

それでは、各支援制度について詳しく解説します。

求職中の方は「求職者支援資金貸付制度」を利用する

「求職者支援資金融資制度」とは、国の「求職者支援制度」を利用し、「職業訓練受講給付金」を受け取る予定の求職者を対象とした貸付制度です。

利用条件
以下の両方を満たしていることが必要です:

  • 職業訓練受講給付金を受け取っていること
  • ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けていること

借りられる金額(目安)

  • 同居または生計を共にする別居の配偶者、子、または父母がいる場合:月額10万円(上限)×受講予定訓練月数(最大12ヶ月)
  • 上記以外の場合(単身者など):月額5万円(上限)×受講予定訓練月数(最大12ヶ月)

金利
年3.0%(信用保証料0.5%を含む)
※返済が遅れると、遅延している元金に対して年14.5%の損害金(遅延利息)が発生する可能性があります。

返済は、借り入れを行った月の翌月以降、月末に口座引き落としで行われます。

詳しい情報は、お住まいの地域のハローワークに問い合わせてみてください。

職探しが難しい方は「教育訓練給付制度」を活用する

「教育訓練給付制度」とは、働く人々の能力向上やキャリアアップを支援するため、厚生労働大臣が指定した教育訓練講座を受講した際の費用の一部を給付する制度です。
この制度には、一般教育訓練給付、特定一般教育訓練給付、専門実践教育訓練給付の3種類があり、それぞれに異なる条件、支給金額、支給対象講座があります。
(専門実践教育訓練は指定される講座が高度なため、ここでは説明を省略します。)

利用条件(一般教育訓練給付の場合)
以下の1または2のいずれかに該当し、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を修了した方が対象となります:

  1. 雇用保険の一般被保険者等で、一般教育訓練の受講開始日に支給要件期間(同一の事業主に一般被保険者等または短期雇用特例被保険者として雇用された期間)が3年以上ある方
  2. 雇用保険の一般被保険者等であった方で、一般被保険者等の資格を喪失した日(離職日の翌日)から受講開始日までが1年以内、かつ、支給要件期間が3年以上ある方

支給される金額(目安)
受講時に支払った費用の20%
訓練終了日の翌日から1ヶ月以内にハローワークに申請すれば、申請後5〜10日程度で支給されます。

ケガやうつ病の方は「傷病手当金」を活用

「傷病手当金」とは、病気やケガで休業中の被保険者とその家族を生活面で支援するために設けられた制度です。
この手当は、被保険者が病気やケガで会社を休み、事業主から十分な報酬を受けられない場合に支給されます。

利用条件
以下の条件をすべて満たしている場合に支給されます:

  • 業務外の理由による病気やケガの療養のために休業していること
  • 仕事をすることができない状態であること
  • 連続する3日間を含む4日以上、仕事に就けなかったこと
  • 休業期間中に給与が支払われていないこと

借りられる金額(目安)
月給の約2/3
※正確には、傷病手当金の支給開始月以前の直近12ヶ月間の協会けんぽの被保険者期間(任意継続期間を含む)における標準報酬月額の平均額の1/30に相当する額の2/3に相当します。
※支給期間は、支給開始日から通算して最大1年6ヶ月までです。

高齢者・障害者の方は「生活福祉資金貸付制度」を利用する

「生活福祉資金貸付制度」とは、低所得者、高齢者、障害者などが安定した生活を送るために、都道府県の社会福祉協議会が資金の貸付けを行う制度です。
この制度では、障害者世帯や高齢者世帯などの世帯単位で、生活再建に必要な資金(「生活支援費」)や、技能習得のための経費、または大学などへの就学費用などが貸し付けられます。

利用条件

  • 低所得者世帯(市町村民税が非課税レベル)で、失業や収入減少により生活が困窮していること
  • 公的書類で本人確認ができること
  • 現在住居があるか、または住居確保給付金を申請し、住居の確保が確実に見込まれること
  • 法に基づく自立相談支援事業などの支援を受け、社会福祉協議会やハローワークなどの関係機関から継続的な支援を受けることに同意すること
  • 社会福祉協議会などの支援により自立した生活が可能になり、返済の見込みが立つこと
  • 他の公的な給付金や貸付けを受けられないこと

借りられる金額(目安)
「生活支援費」の場合:2人以上の世帯で月額20万円以内(生活再建に必要な生活費用として)

金利

  • 連帯保証人ありの場合:無利子
  • 連帯保証人なしの場合:年1.5%

借金を抱えている方は「自治体の相談窓口」に相談

すでに借金を抱えている方は、居住地の自治体の相談窓口を利用することを検討してみましょう。
多くの自治体では、地域住民を対象に無料相談会を月1〜3回程度開催しています。
これらの相談会では、法律相談も受け付けており、弁護士から直接アドバイスをもらうことができます。
相談には日時や時間帯、相談時間に制限があることがありますが、どのような支援を受けられるかアドバイスをもらうことで、今後進むべき道が見えてくるでしょう。

ひとり親の方は「母子父子寡婦福祉資金貸付制度」を利用

「母子父子寡婦福祉資金貸付」とは、20歳未満の子どもを養育しており、配偶者がいない方を対象とした貸付制度です。

資金の名称・用途の例

  • 事業開始資金
  • 修学資金
  • 生活資金

例えば、「生活資金」は以下のような状況にある方が生活を安定させ、継続できるよう支援するために貸し付けられます:

  • 知識や技能を習得している
  • 医療や介護を受けている
  • 母子家庭または父子家庭になったばかり(7年未満)
  • 失業中

利用条件
以下のいずれかに該当する方:

  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 寡婦または寡夫

借りられる金額(目安)

  • 一般:月額108,000円
  • 技能習得分:月額141,000円(知識や技能を習得する期間中、最長5年)

金利

  • 連帯保証人ありの場合:無利子
  • 連帯保証人なしの場合:年1.0%

無職の方が銀行や消費者金融以外で借りる方法4選

前述の支援制度を利用しても、生活が依然として厳しい場合もあるかもしれません。
借金を重ねることは、弁護士としては推奨できませんが、どうしても必要な場合、新たに借り入れをして生活資金を調達する選択肢も考えられます。
以下では、銀行や消費者金融以外から借金をする方法について解説します。

銀行・消費者金融以外から借金する方法

  • 不動産担保ローンを利用する
  • 生命保険の解約返戻金(契約者貸付)を受け取る
  • 質屋で高級ブランド品などを担保に入れる
  • クレジットカードのキャッシング枠を利用する
  • 信頼できる親族や友人から借りる

不動産担保ローンを活用する

「不動産担保ローン」とは、所有している不動産を担保にして利用する融資のことです。
無職で収入がなくても、親から相続した土地やマンションなど、担保に入れられる不動産を持っており、その不動産の価値が高ければ、融資審査に通る可能性があります。
借入可能額は、不動産の評価額に一定の比率(60〜80%程度)をかけた金額を基に決まります。
例えば、不動産の評価額が2,000万円の場合、借入可能額の目安は1,200万円〜1,600万円となります。
ただし、借りたお金は計画通りに返済する必要があります。
返済が滞った場合、金融機関は担保となっている不動産を売却し、貸し付けたお金を回収しようとします。そのため、借り手は不動産を失う可能性があることを理解しておく必要があります。
詳細については、不動産担保ローンを提供している金融機関に直接確認することをおすすめします。

質屋に高級ブランド品などを担保として預ける

ブランド品や宝石、高級時計などの価値のある物を所有している場合、それらを質屋に預ける(質入れ)ことで、査定された金額を借りることができます。
物の価値が高いほど、査定額も大きくなりますが、預けた品物を3ヶ月以内に返済できないと、「質流れ」となり、その品物は戻ってこなくなります。
一方で、「品物を手放しても構わない」という場合には、返済をしなくても問題ないとも言えます。

クレジットカードのキャッシング枠を活用する

クレジットカードを利用している場合、キャッシング枠を使って借り入れを行うことができます。
キャッシングとは、クレジットカードの限度額内でコンビニや銀行から現金を借りるサービスを指します。
この限度額は、キャッシングで借りられる最大金額を意味し、原則として利用者の返済能力に基づいて決まります。
ただし、キャッシングの金利は平均で18%程度と高めに設定されており、他の借入手段と比べると割高です。
そのため、利用する際は、返済が確実にできる場合に限った方が賢明です。

信頼できる親族や友人から借り入れをする

数万円程度の少額なら、カードローンを利用せずとも、家族や友人に頼むことで借りられる可能性があります。
借金の理由や生活の困難な状況を正直に話せば、貸してくれるかもしれません。
しかし、返済が遅れると信頼関係に悪影響を及ぼし、今後の関係が難しくなる可能性があります。
家族や友人からお金を借りる場合でも、必ず返済することを心掛けましょう。

生命保険の解約返戻金(契約者貸付)を利用する

「解約返戻金」制度がある生命保険に加入していて、契約者貸付を利用できる場合、審査なしでお金を借りることができます。
解約返戻金とは、積立型生命保険を解約した際に払い戻される金額を指します。契約者貸付を利用すれば、保険を解約することなく、まとまった金額を借りることができます。
受け取れる金額は、通常、解約返戻金の7〜9割程度となります。
契約してからの日数が少なく、払込保険料が少ない場合、借りられる金額も少なくなります。
解約返戻金を受け取るには、保険会社に連絡を取り、解約の旨を伝えた後、必要書類が送られてきます。書類に記入し、返送することで手続きが完了します。

無職で借金が返せない方は債務整理を考えるべき

無職で借金を返せない場合、債務整理を検討するのが良いでしょう。
債務整理とは、借金の減額や免除を目的として、債権者(お金を貸した側)の合意または裁判所の決定に基づいて行う借金解決の方法です。
ブラックリストに載るなどのデメリットがあるものの、借金の返済が難しく、生活が厳しくなった時に有効な手段となります。
債務整理には主に次の3つの方法があります。
債務整理の方法

  • 自己破産
  • 任意整理
  • 個人再生
    どの方法を選べば良いか迷った場合、弁護士に無料で相談することができます。

債務整理を依頼すると、返済督促が止まる

債務者が自分で債務整理を進める場合、裁判所に申し立てを行うなどの手続きを踏む前に、債権者からの返済督促が続きます。
債務整理を始めるためには、手続きに必要な準備が時間を要しますが、その間にも返済督促が繰り返されるため、ひとりで準備を進めるのは現実的に難しいことが多いです。
弁護士や司法書士に債務整理を依頼すれば、数日以内に返済督促が停止します。これは、弁護士や司法書士が送る「受任通知」が債権者からの取り立てを停止させる効力を持っているためです。
弁護士や司法書士に依頼することで、債務整理の準備段階から返済のストレスを解放され、生活の再建に集中できるようになります。

債務整理を依頼すると、返済が一時停止する

弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると、その時点で債権者への返済を止めることができます。
債務整理では将来の返済計画を見直すため、手続きに入る段階で一時的に返済を停止しなければ、公平な形で新しい返済計画を立てることができません。
そのため、毎月返済日が迫っていた状況から解放され、生活の立て直しに向けて準備を整えることが可能になります。

自己破産を利用して借金の返済を免除してもらう

自己破産とは、裁判所に申立てを行うことで、ほとんどの借金を免除(免責)してもらう手続きです。
裁判所は申立人の収入、借金額、借金の理由などを考慮して、免責の可否を判断します。
自己破産では、借金を帳消しにできる一方で、家や車などの財産は原則として回収されます。
債務整理には自己破産以外の方法もありますが、無職で収入がない人にとっては、自己破産が最も現実的な選択肢です。
他の債務整理方法では、手続き後も返済が続くため安定した収入が必要で、無職では実行が難しいことが多いためです。
また、無職で財産がほとんどない場合、価値のある財産を回収されても大きなデメリットにはならないでしょう。
実質的に、無職の方が自己破産を選ぶことで受けるデメリットは、ブラックリストに載ることくらいと言えます。

費用に関するサポート体制も整っている

債務整理を弁護士や司法書士に依頼する際、費用が心配だと感じる人も多いでしょう。
もちろん、債務整理を行う際には、専門家への報酬や裁判所への予納金が必要になります。無職の方の中には、「費用が用意できないから」といった理由で弁護士への相談をためらう人も少なくないでしょう。
しかし、借金で悩んでいる債務者が債務整理を利用しやすくするため、以下のようなサポート体制が整っています。

  • 法テラスを利用すれば、経済的な不安を抱えた債務者もサポートを受けられる
  • 多くの弁護士が借金問題の無料相談を実施している
  • 一部の法律事務所では、弁護士や司法書士への費用を分割払いで対応している
    それでは、これらの支援制度について詳しく見ていきましょう。

借金問題に関する相談は無料で対応してくれる弁護士が多数

債務整理に特化している弁護士事務所は、相談を無料で受け付けているところが多いです。これは、債務者が弁護士や司法書士にかかる費用を負担に感じないよう配慮しているためです。
さらに、債務整理に必要な報酬も分割払いに対応している事務所が多くあります。ですので、「お金がないから」といって弁護士や司法書士への相談をためらうのではなく、ぜひお気軽にご相談ください。

無職の方は法テラスの弁護士費用立て替え制度を利用可能

法テラスは、法律問題を抱える人々が問題解決に向けてサービスを利用しやすくするための公的機関です。
経済的な理由で法律サービスを受けられない人には、弁護士や司法書士への費用を立て替える制度などが提供されています。
ただし、誰でもこの立て替え制度を利用できるわけではなく、以下の要件を満たした債務者のみが対象となります。

  1. 収入などが一定の基準を下回っていること
  2. 勝訴の見込みが全くないわけではないこと
  3. 民事法律扶助の目的に沿っていること
    つまり、無職の場合でも、一定の資産があると立て替え制度を利用できない可能性があることに注意が必要です。
    借金問題に詳しい専門家であれば、法テラスの利用条件についても詳しく説明してくれるため、債務整理の相談時に一緒に確認してみると良いでしょう。

費用の分割払いに対応する弁護士や司法書士がいる法律事務所もあります

債務整理に特化している弁護士事務所は、相談を無料で受け付けているところが多いです。これは、債務者が弁護士や司法書士にかかる費用を負担に感じないよう配慮しているためです。
さらに、債務整理に必要な報酬も分割払いに対応している事務所が多くあります。ですので、「お金がないから」といって弁護士や司法書士への相談をためらうのではなく、ぜひお気軽にご相談ください。

債務整理を依頼することで、就職・転職活動に集中できる時間が確保できる

弁護士や司法書士に債務整理を依頼することで、就職や転職活動に専念する時間を確保できます。
依頼をすると、債権者とのやり取りがなくなるだけでなく、必要な手続き全般を弁護士が代わりに行ってくれるためです。
自分で債務整理を行う場合、債権者との連絡や裁判所への書類提出、期日への出頭など、時間と労力を多く費やす必要があります。
弁護士や司法書士に任せると、打ち合わせ以外での時間をほとんど取られることなく、自分の時間を新しい生活に向けた準備に使うことができます。

任意整理で将来の利息や遅延損害金を減額してもらう

任意整理とは、債権者と交渉を行い、将来の利息や遅延損害金(※)を減額し、毎月の返済額の軽減や返済スケジュールの見直しをする方法です。
(※金融機関によっては、利息や遅延損害金がカットできない場合もあります)
債権者と和解契約を結んだ後は、3~5年以内に完済を目指します。
任意整理は、自己破産のように借金全額が免除されるわけではなく、和解契約後にも返済が続くため、安定した収入が必要です。
そのため、基本的には無職やフリーター、専業主婦(夫)の場合は和解が難しいと考えられます。ただし、就職活動をしている場合には、和解に応じてもらえる可能性もあります。

個人再生で借金を5分の1から10分の1に減額してもらう

個人再生とは、裁判所に申し立てを行うことで、借金を5分の1から10分の1程度に減額してもらう手続きのことです。減額後の借金は、基本的に3〜5年以内に完済することを目指します。
また、個人再生には「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度があり、これを利用すれば、住宅ローン返済中であっても家を手放さずに済む可能性があります。
ただし、任意整理と同様に、個人再生でも返済は続くため、無職の方が個人再生を利用することは、実際には難しい場合が多いと言えます。

無職で2,800万円の借金がある状態から生活再建への道

Nさん/男性/40代/無職
借金総額:800万円
借金の理由:マンションローン、投資運用
借入期間:6年
借金の解決方法:自己破産

【体験談】
15年間正社員として働いていた会社で、子会社の派遣会社に転籍という形でリストラされました。その後、転籍先でパワハラを受けて退職し、無職となりました。
その頃、マンションのローンに加え、カードローンで複数の借入があり、いわゆる多重債務状態に陥っていました。無職で返済ができないと感じ、弁護士に相談しました。
任意整理をすればマンションを手放さずに済むと思っていましたが、弁護士からはこの金額では無理だと言われ、最終的には自己破産を選択し、マンションを売却することになりました。
その後、借金がなくなり、ようやく生活が落ち着きました。

無職で借金返済を滞納した場合のリスクとは

無職で返済できる収入がないからと言って、借金を放置することは避けましょう。
滞納が長引けば長引くほど、さまざまなリスクが発生します。
借金滞納時のリスクは以下のようになります。

滞納期間と発生するリスク

  • 返済期日を過ぎた翌日以降
  • 督促が届く
  • 遅延損害金が発生
  • 滞納が2ヶ月以上続いた場合
  • ブラックリストに登録される
  • 残りの返済額が一括で請求される
  • 滞納が3ヶ月以上続いた場合
  • 財産の差し押さえの可能性が生じる

このように、滞納が続くことでさまざまなリスクが高まるため、早期に対応することが重要です。

【返済期日翌日以降】督促が始まる

滞納から数日(通常は2〜3日)が経過すると、債権者から督促のためにメールやハガキ(督促状)が送られてきます。

用語集
督促状とは?
返済の遅れが発生した場合、債権者から支払いを促すために送られる書類です。滞納分の返済に関する詳細(返済期日や振込先など)が記載されています。

書面での督促に対応しない場合、次に電話での督促が行われます。
電話での督促では、まず第一連絡先(携帯電話など)に連絡が取れない場合、第二連絡先(自宅など)に連絡されることがあります。
そのため、家族と同居している場合、家族に返済滞納が知られる可能性もあるということです。

電話で督促を受ける際には、返済が遅れていることや、いつまでに返済が可能かなど、事務的な内容を通達され、確認されるのが一般的です。

【返済期日翌日以降】遅延損害金が発生する

返済期日から1日でも遅れると、「遅延損害金」が発生します。
遅延損害金とは、返済の遅れに対するペナルティとして課される損害賠償金です。返済期日の翌日から発生し、滞納期間が長くなるほど金額が増加します。

遅延損害金の計算方法は次の通りです。
遅延損害金(円)=遅れた返済金額(円)×遅延損害金の利率(%)÷365※(日)×滞納日数(日)
※うるう年は366日

遅延損害金の利率は、消費者金融、クレジットカード会社、銀行などの金融機関で、年率15.0〜20.0%が一般的です。

次のケースを参考に、遅延損害金がどれくらいになるか計算してみましょう。
借入額:100万円
遅延損害金の利率:年率20.0%
滞納期間:6ヶ月

計算式に当てはめると、
「1,000,000(円)×0.2(20.0%)÷365(日)×180(日)=約98,630(円)」
となり、約10万円の遅延損害金が発生していることがわかります。

【滞納2ヶ月以上】ブラックリストに登録される

滞納期間が2ヶ月を超えると、信用情報機関に事故情報が登録されることがあります(いわゆるブラックリストに載ること)。

信用情報機関とは?
信用情報機関は、クレジットカードやローンなどの契約内容や支払い状況(残高や滞納情報など)を金融機関や貸金業者から収集・蓄積し、それらを信用情報として提供する役割を担っています。
日本には以下の信用情報機関があります。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

ブラックリストに載ると、主に以下の影響があります。

ブラックリストに載ることの影響

  • クレジットカードやローンなどの新規申し込み時に審査が通らなくなる
  • 既存のクレジットカードやカードローンが強制解約される可能性がある
  • 賃貸契約ができなくなる場合がある
  • 携帯電話端末の分割購入ができなくなることがある
  • ローンや奨学金の保証人になれない

滞納により事故情報が登録された場合、完済後もおおよそ5年間その情報が記録され続けます。
つまり、最低でも5年間は新たな借り入れやクレジットカードの発行などに制限がかかるということです。

【滞納2ヶ月以上】残りの借金を一括で請求される

滞納期間が2ヶ月を超えると、返済残額が一括請求される可能性があります。これは、2ヶ月以上の滞納によって「期限の利益」を喪失してしまうためです。

用語集
期限の利益とは?
契約で定められた期日が到来するまで、債務(借金の返済や代金の支払いなど)を履行しなくてよいという債務者側の権利を指します。
期限の利益を喪失した場合、債務者は債権者からの一括返済要求に対して拒否することができません。
債権者は期限の利益が喪失されたことを知っているため、この時点で一括請求を行う可能性が高くなります。

無職で収入がない場合、一括返済は非常に難しくなります。そのため、このタイミングで弁護士や司法書士に相談し、債務整理を進めることが現実的な対応策と言えるでしょう。

【滞納3ヶ月以上】財産差し押さえのリスクが発生する可能性

一括請求を放置していると、債権者は裁判所を通じて「支払督促」を送付します。この支払督促が届いた場合、支払いができれば問題ありませんが、無視して放置すると、最終的には強制執行による財産差押えが行われる恐れがあります。

「無職で財産がないから差し押さえられないのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。少額の現金や預貯金、また車や不動産などがあれば、これらも差押えの対象となります。

差押えの主な対象

  • 手取り給与の4分の1(手取りが44万円を超える場合、33万円を超過した分)
  • 一定額以上の現金、預貯金、生命保険など
  • 自動車、バイク、貴金属、骨董品など
  • 土地、建物などの不動産

生活に必要な財産を失うことになりますので、このような状況を避けるためにも、早期の対応が重要です。

弁護士に依頼することで返済を停止できる場合も

求職者に限定される手段ですが、弁護士に債務整理を依頼すると、返済の停止が可能です。依頼を受けた弁護士が債権者に送る「受任通知」には法的な効力があり、この通知を受け取った債権者は、債務者に対して電話や訪問による請求や督促、取り立てを行うことができなくなります。

その後、債務整理の手続きが完了するまで、毎月の返済は留保されることになります。この期間中に就職して収入を得ることができれば、弁護士費用を積み立てることも可能です(以下にイメージを示します)。

まずは生活の再建を目指す

現在、無職で収入がなく、借金を抱えている場合、最も重要なのは生活の再建です。返済を急ぎたくなる気持ちも理解できますが、前述の通り、無職であっても支払いに充てるお金がない場合でも、借金問題を解決する方法は依然として存在します。

まずは借金に関する不安を解消し、生活再建に向けた第一歩を踏み出しましょう。もし不安があれば、弁護士に相談することをお勧めします。弁護士法人・響では、24時間365日、無料で相談を受け付けています。

無職で借金があるときに避けるべき行動

無職で借金があると、返済できないことに対する焦りや不安から、次に挙げる「避けるべき」行動をしてしまうことがあります。これらの行動は、状況をさらに悪化させるだけです。ここでは、無職で借金がある際に避けるべき行動を紹介します。

無職で借金を抱えているときに避けるべき行動:

  • 借入先からの督促を無視する
  • 退職したことを借入先に伝えない
  • クレジットカードの現金化

借入先からの督促を無視することのリスク

前述のように、借入先からの督促を無視し、滞納が長引くほどリスクは増していきます。絶対に無視することは避けましょう。重要なのは、督促を受けたらできるだけ早く対応することです。返済が遅れている理由や、支払いが可能な時期について、誠実に債権者に伝えることが大切です。もし滞納が1回だけで、数日以内の遅れであれば、通常、大きな問題にはなりません。「いつ支払えるか」を説明できないほど返済が難しい場合には、その時点で弁護士に相談するのが適切です。

クレジットカードの現金化のリスク

クレジットカードの現金化とは、カードのショッピング枠で商品を購入し、その商品を転売して現金を得る行為を指します。現金化自体は直ちに違法ではありませんが、カード会社の規約に違反する行為です。これが発覚すると、即座に強制解約され、利用した金額の一括返済を求められる場合もあります。また、クレジットカードの現金化は「不当な債務負担行為」と見なされ、自己破産手続きを行う際に免責が認められなくなる可能性もあるため注意が必要です。

退職したことを借入先に伝えないことのリスク

無職になった場合、基本的に借入先にその旨を申告する必要があります。カードローンなどの利用規約には「退職(転職)した際の申告」が義務付けられていることが多いためです。申告方法は会社によって異なり、インターネット、電話、書類の郵送などで手続きを行うことが一般的です。退職した際にはうっかり忘れないよう、できるだけ早く申告を行うことが大切です。

無職で借金返済ができない場合、新たな借入は避けるべき

無職で借金返済ができない場合、新たにお金を借りて返済をしようと考えることもあるかもしれませんが、その選択は避けるべきです。無職の状態では、消費者金融や銀行などの金融機関から新たに借入をするのは難しく、また、違法な業者(闇金)から借りることは非常にリスクが高いため、関わること自体はおすすめできません。ここでは、無職で借金返済ができない場合に、金融機関や闇金業者からの借入がなぜ避けるべきなのか、その理由を解説します。

無職の状態では金融機関の審査に通ることは難しい

消費者金融や銀行などの金融機関から借入をするためには、それぞれの業者が定めた条件を満たす必要があります。条件は業者によって異なりますが、多くの金融機関では「安定した収入があること」などの条件が設けられています。そのため、収入がない無職の状態では、これらの条件を満たすことができず、金融機関から借入するのは難しくなります。

審査に通った場合でも、多重債務に陥るリスクがある

「無職であっても収入がある場合」、金融機関から借入をすることは可能な場合もあります。しかし、借入をしても返済期日に間に合わせることができたとしても、総額の借金は減ることはありません。例えば、7月15日にA社に5万円の返済があったとして、それをB社から借りて賄った場合、返済先がA社からB社に変わるだけで、借金の総額はそのままです。そして、翌月以降、5万円の返済はまた新たに発生します。

さらに、返済先がA社とB社の2社に増えることで、発生する利息が増加し、返済額も増えることになります。これによって、返済がさらに厳しい状況になる可能性があります。したがって、多重債務に陥っても借金をして返済を続けることには何のメリットもなく、借金を返すためにさらに借り入れるのは避けるべきです。

違法業者である闇金に関わることは多くのリスクを伴う

無職やニートの債務者が注意しなければならないのは、無収入でも融資を提供してくれる業者は、ほとんどの場合、闇金である可能性が高いという点です。

通常、合法的に貸金業を運営している事業者は、借り手の収入や資産状況を総合的に考慮して融資審査を行います。そのため、合法の貸金業者は返済能力が低い無職の人には融資をしないのが通常です。結果として、無職でも融資をしてくれるのは、リスクの高い闇金業者だけということになります。

闇金と取引をすると、以下のようなデメリットが発生します:

  • 利息制限法を無視した違法な金利を請求される
  • 違法な取り立てによって脅迫される可能性がある
  • 個人情報が売られて、闇金業界のターゲットにされる
  • 違法行為に巻き込まれる危険がある

闇金から借りた場合、完済は非常に難しく、利息が増え続け、支払いができないと脅迫的な取り立てが行われることもあります。

重要なのは、闇金からの借金は基本的に返済する必要がないということです。もし闇金から借りてしまった場合は、すぐに闇金対応に詳しい弁護士や司法書士に相談し、関係を断ち切るようにしましょう。

無職で借金返済ができない場合でも放置は絶対に避けるべき

無職で借金返済ができない場合でも、放置することは決して避けるべきです。借金の返済が遅れることで、様々なペナルティが発生し、滞納期間が長引くほどそのペナルティは大きくなります。

  • 返済督促が繰り返し届く
  • 延滞日数に応じて遅延損害金が課される
  • 残りの借金が一括請求される
  • 「ブラックリスト」に載る
  • 強制執行により財産が差し押さえられる

これから、借金の返済を滞納するとどのようなペナルティが発生するかについて、詳しく説明します。
借金返済の滞納で発生する5つのペナルティ

返済が遅れると督促が繰り返される

借金の返済期日までにお金を準備できない場合、債権者から繰り返し返済督促が届きます。
合法的に営業している消費者金融などの貸金業者は、督促状の送付や債務者の携帯電話への連絡を中心に督促を行います。ただし、滞納が続き督促に応じない場合、例外的に勤務先や自宅を訪問して督促が行われることもあります。
借金の滞納を解消しない限り、取り立ては止まらず、債権者からのプレッシャーを感じ続けることになってしまいます。

延滞期間に応じて遅延損害金が発生

借金の返済期日にお金を用意できない場合、返済期日の翌日から滞納が解消される日まで、毎日遅延損害金が発生します。
貸金業者からの借り入れの場合、遅延損害金の年利は一般的に20%となります。遅延損害金は、「借金総額×遅延損害金年利率÷365日×延滞日数」の計算式で算出されます。
具体的にどれだけの負担になるかを例で見てみましょう(遅延損害金年利率は20%と仮定します)。

借金総額滞納1日滞納1週間滞納1ヶ月滞納2ヶ月
50万円約274円約1,918円約8,219円約16,438円
100万円約548円約3,836円約16,438円約32,877円
200万円約1,096円約7,671円約32,877円約65,753円
300万円約1,644円約11,506円約49,315円約98,630円

遅延損害金が発生すると、毎月の約定返済額に加えて、滞納した期間分の遅延損害金も支払わなければならないため、滞納が解消されたとはみなされません。
毎月の返済額も用意できない状態で遅延損害金が発生すると、無職や無収入の人はさらに厳しい状況に追い込まれます。
そのため、遅延損害金の発生を防ぐためにも、できるだけ早く滞納を解消するか、弁護士や司法書士の支援を受けるべきです。

強制執行で財産が差し押さえられる可能性

残債に対する一括請求を無視し、一定期間が過ぎると、強制執行が行われて債務者の財産が差し押さえられ、債権が回収されます。具体的な期間は明確には言い切れませんが、一般的には3ヶ月以上の滞納が目安とされています。
強制執行が行われるタイミングは債権者によりますが、ほとんどの場合、一括請求の期限から数ヶ月以内に裁判所から支払督促などの法的な書類が届くことが多く、これにより法的手続きが始まったことがわかります。

「ブラックリストに登録される」可能性がある

借金の返済が遅れると、いわゆる「ブラックリスト入り」する可能性があります。ブラック状態になる明確な基準は定まっていませんが、一般的には2〜3ヶ月の滞納が目安とされています。
「ブラックリスト」という表現は広く使われていますが、実際にはカード会社などがその存在を公式に公開することはありません。実際には、「信用情報に延滞などの履歴が残り、返済能力が疑問視される状態」を指してブラックリスト入りと言われています。
ブラックリストに載ると、最長で5年間、以下のような契約が難しくなります。

  • クレジットカードの新規契約
  • カードローンの新規契約
  • 自動車ローンや住宅ローンなど、目的別ローンの契約
  • 携帯電話本体やパソコンなどの分割払い契約
  • 保証会社を通じた賃貸契約

残りの借金を一括で請求される

現在無収入であっても、延滞が続くと残債の一括請求というペナルティが発生する可能性があります。一括請求までの期間は借入先の判断によりますが、一般的には2か月から3か月程度が目安とされています。
一括請求が届いた場合、無職や無収入であることは返済免除の理由にはなりません。また、一括請求は内容証明郵便で送付されるため、「督促に気づかなかった」という言い訳は通用しません。
残債の一括請求を受けたということは、金融機関が本格的に債権回収を始めたことを意味します。指定された期日までにお金を用意できない場合、強制執行に進む可能性があるため、債務整理などを検討する必要があります。

まとめ

無職で借金返済ができない場合、まずは「収入を得る方法がないか」「支援制度を利用できるか」「家族や友人に頼れるか」を考えてみましょう。これらの対処法は無職の状況でも有効で、借金返済が困難な状態を改善するきっかけになる可能性があります。
もしこれらの方法が取れない場合、最終的な手段として債務整理を検討することが重要です。弁護士や司法書士から適切なアドバイスを受け、適切な手続きを行うことで、無職の状態でも借金返済に苦しむ状況を改善することができます。
また、借金返済ができないからといって、無職の状態で新たに借入を考えるのは避けましょう。銀行や消費者金融からの融資は難しく、違法業者である闇金に関わるリスクが高まります。
加えて、借金返済が遅れることでさまざまなペナルティが発生します。借金返済が厳しい場合、早急に返済遅延の問題を解決するためにも、無職でも無料相談を提供している弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

無職で借金返済ができない場合のQ&A

借金返済ができない無職のための質問をまとめました。

新型コロナウイルスの影響で無職になりましたが、借金返済が難しい場合に配慮してもらえますか?

消費者金融などの貸金業者にとって、債務者の個別の事情は関係ありません。契約通りに返済しない場合、遅延損害金や残債の一括請求といったペナルティが課され、最終的には財産が差し押さえられて債権が回収されることになります。一方、住民税や国民年金保険料に関しては、一定の猶予制度が存在するため、詳細は窓口にお問い合わせください。

無職で頼れる家族や知人がいない場合、どうすればいいのでしょうか?

無職で誰にも頼れない債務者であっても、債務整理を活用することで借金問題を解決することが可能です。特に自己破産は、無職の人々を救済するために設けられた手続きと言えるでしょう。資産がほとんどない場合、自己破産による「免責」を受けることで、ほとんどデメリットを感じることなく借金の免除を受けられます。しかし、自己破産には免責不許可事由など多くの要素が絡むため、必ず弁護士に相談することをおすすめします。

無職でも借金を返済する方法はあるのでしょうか?

安定した収入を得るために就職すれば、毎月の返済は問題なくこなせるでしょう。もし就職活動をする時間的な余裕がない場合は、家族や知人に一時的に立て替えてもらうのも一つの方法です。家族からお金を借りることで、少なくとも貸金業者からの返済滞納によるペナルティを回避または軽減できます。ただし、必ず借用書を作成し、返済はきちんと行うようにしましょう。

無職で弁護士に相談する費用がない場合、どうすれば良いですか?

借金問題に関して、多くの弁護士事務所では相談料無料で対応しています。債務整理の実績が豊富な事務所では、特に無料相談の機会を提供していることが多いため、気軽に相談してみてください。また、債務整理にかかる弁護士費用についても、法テラスの弁護士費用立て替え制度を利用できる場合があります。無職の方は要件を満たす可能性が高いため、併せて確認してみると良いでしょう。

無職でも返済資金のために新たな借り入れは可能でしょうか?

大手消費者金融では、無職の方は利用することができません。無職でも融資をしてくれる業者を探せば見つかるかもしれませんが、「無職でもOK」や「無審査融資可能」といった宣伝をしている業者は、闇金である可能性が非常に高いです。闇金から借り入れをすると、極端な利息や過酷な取り立てに悩まされるリスクが伴います。したがって、他社からの借り入れで返済を延ばすのではなく、債務整理などの適切な方法を選ぶことが重要です。