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弁護士や司法書士の費用が支払えず、債務整理手続きができない人の選択肢のひとつに、法テラスの民事法律扶助の利用があります。
法テラスとは、日本司法支援センターという国が設置している法的機関です。法テラスの民事法律扶助という制度を利用することで、弁護士費用など債務整理にかかる費用を抑えることができます。
民事法律扶助を利用する場合、定められた流れで手続きをしなければいけません。
民事法律扶助を利用した場合の法テラスの手続きは、以下の流れでおこないます。
- 法テラスへの法律相談
- 審査
- 援助開始決定
- 手続き終了
順に解説していきます。
法テラスへの法律相談
目次
申し込みをする人の自宅または勤務地がある都道府県内の最寄りの法テラスに連絡をします。
依頼する弁護士や司法書士が決まっていない場合は、かならず法律相談からスタートします。
法テラス窓口では、本人確認が求められますので運転免許証などの身分証明書の原本を持参しましょう。
あらかじめ民事法律扶助の利用を希望している場合は、法テラスの窓口で以下のことを順に問われるので答えます。
- 法律相談をしたい内容
- 収入、家族構成、家賃または住宅ローンの金額
- 現金・預貯金のみの保有資産
以上のことを聞いたあと、法律相談の予約に入ります。
予約した日時に法テラスに足を運び、法律相談をおこないます。法律相談を受けた弁護士や司法書士が、法律相談援助(民事法律扶助の利用)が必要と判断した場合は要件を満たしているかどうかを審査します。
審査
民事法律扶助を利用する上で、条件を満たしているかどうかを審査されます。審査では、法テラスの窓口で法律相談を申込んだときよりも、よりくわしい月収や資産の状況を聞かれます。
以下4点の書類が必要ですので用意します。
①資料を証明する書類として以下いずれかの書類を1点
- 給与明細(直近二カ月)
- 課税証明(直近のもの)
- 確定申告書の写し(直近1年分、収受印のあるもの。e-Taxの場合は受付結果を添付する。)
- 生活保護受給証明書(援助申込みから3カ月以内に発行されたもの)
- 年金証書(通知書)の写し(直近のもの)
- その他これに準ずる書類
②記入した資力申告書(生活保護受給者以外)
③世帯全体の住民票の写し(本籍、筆頭者及び続柄の記載のあるもの、マイナンバーの記載がないもの)
④事件に関する書類(多重債務事件の場合は、借入先の名称や借入日、返済金額などを一覧にまとめた債務一覧表)
援助開始決定
審査の結果、援助が決定すると各手続きや債権者数などに応じて決められた基準金額の立替えを受けることができます。
建て替えられた弁護士・司法書士費用は毎月決まった額を分割で返済していくことになります。
手続き終了
債務整理の手続き終了後、手続きの内容や結果に応じて審査の上弁護士や司法書士の報酬が決定します。決定された報酬を毎月分割で返済していきます。
なお、生活保護を受けている場合には債務整理手続きが終了するまで費用の支払いは猶予されます。
さらに、債務整理手続き終了後も生活保護を受けている場合には申請に基づいて立て替えられた費用の支払いが免除される可能性があります。
民事法律扶助を受ける条件
法テラスの民事法律扶助は誰でも受けられるわけではありません。民事法律扶助を受けるには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 資力が一定以下であること
- 勝訴の見込みがあること
- 民事法律扶助の主旨に適すること
資力が一定以下であること
資力とは、月収と保有資産を合わせた申込をした人の支払い能力やお金の所有量を指します。
民事法律扶助とは、法的な援助が必要なのにも関わらず、弁護士や司法書士などに依頼する費用がなく、問題が解決できない人のための制度です。
そのため、以下の月収と保有資産が一定以下の人の利用に限られます。
月収が一定以下であること
収入が以下の一定以下でないと民事法律扶助は受けられません。()は東京・大阪などの大都市基準です。
- 単身者の場合…8万2,000円以下(20万200円以下)
- 2人家族の場合…25万1,000円以下(27万6,100円以下)
- 3人家族の場合…27万2,000円以下(29万9,200円以下)
- 4人家族の場合…29万9,000円以下(32万8,900円以下)
なお、家賃または住宅ローンを負担している場合には、上記の金額に以下の金額が加算された金額以下となります。
- 単身者の場合…+4万1,000円
- 2人家族の場合…+5万3,000円
- 3人家族の場合…+6万6,000円
- 4人家族の場合…+7万1,000円
保有資産が一定以下であること
現金、預貯金、有価証券、自宅と係争物件を除いた不動産の保有資産の価値の合計が以下よりも低くなければ民事法的扶助は受けられません。
- 単身者の場合…180万円以下
- 2人家族の場合…250万円以下
- 3人家族の場合…270万円以下
- 4人家族の場合…300万円以下
なお、医療費や教育費などの支出がある場合には相当額が控除となります。
勝訴の見込みがあること
和解や調停、示談成立などによって紛争が解決する見込みのある事件や案件でなければ、民事法律扶助は利用できません。
債務整理の場合は、弁護士や司法書士が介入することで任意整理の場合は和解、個人再生の場合は合意、自己破産をしたら免責の見込みがある場合などが該当します。
民事法律扶助の主旨に適すること
民事法律扶助は、「法的な解決が見込める事件や問題を抱えているのに費用面で解決できない人を助ける」ための制度です。
そのため、民事法律扶助の利用の主旨に適さないと判断された場合は民事法律扶助が利用できません。
具体的には報復的な感情を満たすため、嫌がらせや宣伝のため、権利の濫用的な訴訟などが該当します。
近くに法テラスがない場合には?
法テラス事務所が近くにないなどの理由で直接法テラスへ足を運べない場合、法テラスに登録している弁護士や司法書士事務所に連絡をする方法があります。
ホームページや法テラスの登録名簿から、自宅や勤務先の近くにある法テラス登録の法律事務所の検索が可能です。
弁護士事務所や司法書士事務所に直接連絡をし、法律相談の予約を取ります。その後、弁護士や司法書士を通じて法テラスへの利用申し込みを持ちこんでもらう方法です。(持ち込み方式)
法テラスに直接足を運んだ場合、自分で依頼する弁護士や司法書士は選べません。
一方持ち込み方式なら自分でよさそうと思った弁護士や司法書士に連絡を取り、法テラスの利用を申込んでもらえます。
法テラスに登録している弁護士や司法書士で依頼したいと思った人がいる場合、持ち込み方式がよいでしょう。
なお、法テラスに直接足を運んで申込をした場合でも、持ち込み方式でも弁護士や司法書士の依頼費用は変わりません。
まとめ
借金問題を解決したい、債務整理を依頼したいのに弁護士や司法書士に依頼する費用が支払えない、というときには法テラスの民事法律扶助を利用できる可能性があります。
民事法律扶助を利用すれば、債務整理の費用を法テラスが立て替えてくれるほか、手続き終了後に分割で無理のない範囲で支払いが可能です。
生活保護を受けている場合には、建て替え費用が免除となることもあります。
法テラスに登録している弁護士や司法書士で、依頼したいと思った人がいれば持ち込み方式での申し込みも可能です。上手に利用して、借金問題の解決につなげましょう。