債務整理後でも過払い金請求ってできるの?

この記事で分かること

・弁護士などに債務整理を依頼した場合は、債務整理後の過払い金請求はできない
・自分で債務整理をした場合は、債務整理後の過払い金請求はできるが、ケースバイケース。

以下で詳しく解説していきます。

債務整理後に「過払い金があるかも」と気づいた!

債務整理をしたあと、「過払い金が発生しているかもしれない」と気付くことがあります。

過払い金とは、過去に払いすぎた本来支払わなくてよい利息のことです。利息制限法で規定されている金利を超え、出資法での罰則規定以下の金利にあたる「グレーゾーン金利」による貸し付けの利息が該当します。

グレーゾーン金利は2010年6月18日の出資法の上限金利引き下げにともなって撤廃されているので、現在はグレーゾーン金利による貸し付けはおこなわれていません。

そのため、2008年12月以前の借金や、10年以内に完済した借金がある場合、過払い金が発生している可能性があります。

過払い金は本来支払わらなくてよい利息のため、返還請求が可能です。

返還された過払い金は借金の残債に充てられます。過去の借金だった場合や、過払い金の存在を知らないまま債務整理をすると、過払い金請求をしないまま債務整理手続きが完了してしまうことがあります。

債務整理後に過払い金請求ができるかは、債務整理手続きを弁護士などの専門家に依頼したか、自分で手続きをおこなったかによって異なります。

専門家に依頼した場合

弁護士などの専門家に債務整理手続きを依頼した場合は、過払い金請求が後からできる可能性は低いです。

専門家の場合、債務整理手続きと同時に過払い金が発生しているかどうかの確認と、請求手続きをおこなっているのが一般的だからです。

すでに過払い金請求自体が完了しているので、債務整理後あらためて過払い金請求をしなくてもよいことになります。

過払い金が発生していた場合、専門家は残りの借金に過払い金を充てて減額または相殺できるかを交渉します。

その結果、「〇月〇日に××円を返金する」などの内容の書面を債権者側と専門家で取り交わします。

そのさいに「債権者と債務者の間に借金関係の利害関係がない」という意味の「債権債務なし」という文言を入れます。

債権債務なしの取り決めをすると、今後は過払い金請求ができなくなります。

ただし、専門家に依頼した場合でも債務整理手続きと一緒に過払い金請求手続きをおこなっていなかった場合があります。この場合は、例外的に債務整理後に過払い金請求手続きをすることになります。

自分で行っていた場合

債務整理の手続きは、専門家へ依頼するだけでなく自分自身でも手続き可能です。自分で債務整理の手続きをおこなっていた場合は、同時に過払い金請求をしていないことがほとんどでしょう。

そのため、自分で債務整理手続きをした場合は、手続き後の過払い金請求は可能です。ただし、状況によっては債務整理後の過払い金請求が難しくなります。

自分で債務整理の手続きをおこなった場合の、状況別に債務整理後の過払い金請求が可能かどうかを解説します。

任意和解の場合

任意和解の場合は、債務整理後に過払い金請求ができます。任意和解とは、裁判所を介さず債権者(貸金業者や消費者金融)と債務者(お金を借りた人)が直接交渉をして、和解をすることです。

たとえば、債権者と債務者が直接交渉をして将来利息や遅延損害金をカットしてもらう任意整理での和解は、任意和解となります。

任意和解の場合、債権者側は過払い金が発生しているのを知っていながら利息の減額などの交渉に応じている可能性が高いです。

この場合、任意和解自体が公序良俗違反(違法とされる行為)に該当するので、交渉と任意和解自体が無効となります。そのため、過払い金請求ができるのです。

債権者から催促の連絡が入り、利息カットや遅延損害金カットを申し出たところ快く応じた場合は過払い金が発生している可能性があります。

任意和解後、心当たりがあれば過払い金が発生しているかどうかを確認しましょう。過払い金が発生しているかどうかは、過去の取引履歴を請求し、今の利息で計算し直す引き直し計算によって確認できます。

ただし、任意和解の場合も専門家に依頼したときと同じ「債権債務なし」の文言が任意和解で取り交わした書面に入っている可能性が高いです。そのため、任意和解後も債権債務なしを理由に、過払い金の支払いを拒否または減額しようと抵抗する債権者もいます。

任意和解後の過払い金請求で、債権者と債務者の間で折り合いがつかなかった場合、裁判に発展して争うことになります。

裁判となると債務者側の負担も多く、有効な主張ができないと過払い金請求ができない可能性が高くなります。弁護士などの専門家に相談しましょう。

裁判上での和解の場合

債務整理には、借金の総額を減額する個人再生をはじめとした裁判所を介した手続きもあります。

裁判所を介して債務整理をし、和解となった場合あとから過払い金を請求するのは難しいと言えるでしょう。

裁判上での和解とは、裁判官が中立したうえで成立しています。債権者(貸金業者)側が過払い金請求の根拠となる利息制限法を知らなかったという「法律の不知」に該当すると判断されるからです。

裁判上の和解があっても、債権者側が詐欺的なことをした、債務者側に錯誤(勘違い)があったなら、和解の取消や無効が主張できます

ただし、自分で有効な主張をするのは難しいです。裁判上で和解したあとに過払い金を請求したい場合は、弁護士に相談し、サポートを依頼するのがよいでしょう。

すでに判決が出ている場合

裁判上で和解が成立せず、判決が出ている場合も過払い金を請求できる可能性は低くなります。

裁判による判決には、規範力があるからです。規範力とは、すでに確定した裁判と同じ内容の裁判はできないことを指します。

もしも別の裁判所に同じ内容の裁判を申し立てたとしても、すでに確定している前の裁判所の出した判決にその裁判所も拘束されることになります。よって、すでに判決が出ている場合には後から過払い金請求ができないのです。

判決が出てしまっている場合は、自分自身でできることはありません。ほかに過払い金請求ができる方法がないかを、弁護士に相談して探していくことになります。

まとめ

債務整理後に過払い金が発生していた場合でも、請求は可能です。ただし、自分で債務整理の手続きをしていた場合は、過払い金請求はできても債権者側が応じてくれなかったり、過払い金請求自体ができなかったりします。

専門家に債務整理を依頼していた場合は、過払い金の請求手続きを債務整理と同時に進めていきますので、あらためて過払い金請求をする必要はありません。

自分で債務整理をしたあとに過払い金が発生している可能性があるなら、弁護士などの専門家に相談してみましょう。

裁判に発展することになっても、弁護士が依頼人に代わって裁判所に足を運ぶため、スムーズな過払い金請求につながります。

一度債務整理をした後に過払い金が発生していたことに気づいても、あきらめずにまずは弁護士の無料相談などを利用してみましょう。

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