個人再生はどれくらい費用がかかる?用意できない場合は?

個人再生は住宅などの財産を維持したまま借金を減額し、大幅に減額された借金を3年間から5年間で返済をする手続きです。

ただ、個人再生をして借金を減額したいけれど、費用がいくらかかるか不安な方もいらっしゃるかと思います。

そこで、当記事では個人再生にかかる費用に対する不安を解消するため、個人再生にかかる費用について詳しく解説していきます。

個人再生にかかる費用は裁判所に納める費用と専門家に依頼する費用の2つ

個人再生にかかる費用は、裁判所に納める費用と弁護士や司法書士など専門家に依頼する費用の大きく2つの費用がかかります。

それぞれについて以下で見ていきましょう。

裁判所に納める費用

個人再生の手続きを行う場合は、裁判所で行われる手続きであるため、裁判所に費用を納めないことには手続きを進めることができません

裁判所に支払う費用については

  • 申し立て手数料
  • 郵便切手代(予納郵券)
  • 官報広告費(予納金)
  • 個人再生委員選任費

以上の4つの費用がかかります。それぞれについて以下で詳しく見ていきます。

申し立て手数料

申し立て手数料とは、個人再生手続きを行うに当たり、裁判所の手続きを利用する際に支払わなければならない手数料になります。

申し立て手数料は、現金で納付するのではなく、手数料額の1万円の収入印紙を購入し、申立書に貼付して納付します。

郵便切手代(予納郵券)

個人再生手続きにおいては、裁判所から債権者に対して書類送付などのための郵便費用がかかりますが、この郵便費用についても申立人が負担することになります。

こちらは、裁判所ごとに納める切手の種類や枚数は異なります。また、債権者が多ければ多いほど、書類送付先は多くなるので郵便切手代も高くなります。

こちらも個人再生を申し立てる際に予納する必要があり、郵便切手で納付します。郵便切手代は、一債権者あたり5千円程度かかります。

官報公告費(予納金)

個人再生手続きは、全ての債権者を対象として手続きを進める必要があります。

そのため、債権者は債権者一覧表を裁判所に提出し、各債権者に書類を送付することとなりますが、債権者一覧表に漏れがあった場合には、個人再生手続きが開始されたことが通知されず、手続きが不完全なものとなってしまいます。

そこで、債権者一覧表に漏れがあった場合などに備えるため、政府が発行する官報という機関紙で公告することになります。

こちらの官報公告費についても、申立人が負担することとなります。

個人再生を申し立てる際に予納しなければなりません。官報広告費は、1万3千円程度かかります。

こちらは申し立て手数料や郵便切手代と異なり、現金で納付します。

個人再生委員選任費

個人再生委員は、個人再生が適切に行われるように指導及び監督するため、裁判所の判断によって選任されます。

多くの場合は、管轄する地域の弁護士が選任されることとなります。個人再生委員選任費は、個人再生委員に支払う報酬になります。

個人再生委員に支払う報酬は申立人が弁護士に手続きを依頼しているかどうかによって異なります。

弁護士がいる場合は15万円程度が相場になりますが、弁護士がおらず、申立人のみで手続きを行う場合には25万円程度が相場になっています。

これは、弁護士が個人再生委員の仕事を一部行うこととなり、個人再生委員の負担が減るため、弁護士がいるかどうかで報酬が異なっているものです。

ただし、個人再生委員が選任されるかどうかは、裁判所によります。

例えば、東京地方裁判所においては、原則として内容を問わず全件につき個人再生委員が選任されるという運用となっていますが、大阪地方裁判所においては、個人再生委員を選任しないのが原則的な運用となっています。

専門家に依頼する費用

個人再生手続きを行う場合、一般的に弁護士や司法書士などの専門家に依頼します。

専門家に依頼せず申立人本人が申請を行うことで個人再生手続きを行うことはできますが、個人再生手続きは必要な書類が非常に多く、手続きも非常に複雑であるためです。

なお、弁護士と司法書士では司法書士に依頼した方が安くなることが多いですが、司法書士が対応できるのは借金が140万円以下の案件のみと限定されるため、以下では弁護士に依頼したときの費用について詳しく見ていきます。

弁護士に依頼したときに発生する費用は

  • 着手金
  • 報酬金

以上の2つの費用がかかります。それぞれについて以下で詳しく見ていきます。

着手金について

着手金は個人再生手続きを行うときに、必ず発生する費用になります。

仮に個人再生の申し立てが認められず、個人再生に失敗した場合であっても支払わなければならない費用ということです。

着手金の金額は、無料の弁護士事務所もあれば、50万円程度の弁護士事務所もあります。

これは、どの項目にいくらかかるかは弁護士事務所により異なるためです。

例えば、着手金が無料の弁護士事務所であればその分成功報酬が高かったり、着手金が高い弁護士事務所であれば成功報酬は無料になっていたりします。

そのため、弁護士費用は合計でいくらかかるかを確認することが重要になります。

報酬金について

報酬金は個人再生手続きが成功した場合に必要な費用になります。

個人再生の場合は、裁判所に再生計画を認可してもらえた場合、報酬金が発生します。

報酬金の金額は、無料の弁護士事務所もあれば、50万円程度の弁護士事務所もあります。

これは上述したとおり、どの項目でいくらかかるかは弁護士事務所が自由に設定できるためです。

以上で見てきたとおり、弁護士費用は項目ごとの費用は異なりますが、合計すると50万円程度が相場となります。

また、住宅ローン特約を利用した場合には、さらに報酬金が5万円から10万円程度上乗せされることが多いので注意する必要があります。

費用が用意できない場合の支払い方法

個人再生手続きを行うにも、手持ちの資金が足りず、費用が用意できない場合もあるかと思います。

しかし、費用が用意できない場合でも個人再生手続きを行う方法もいくつか考えられます。

法テラスを利用する

法テラスとは、国が設立した法的トラブルの支援機関です。

法テラスでは、収入や財産が一定以下であるなど一定の条件を満たしている場合に、民事法律扶助による立て替え制度を使うことができます。

なお、立て替えてもらった費用の返済は、立替払いが実施された翌々月から毎月1万円ずつ分割で返済することが原則となっています。

毎月1万円ずつの返済が厳しい場合には、毎月5千円ずつの返済とすることもできます。

自分で手続きする

個人再生を申立人本人で手続きをする場合、弁護士や司法書士などの専門家に依頼する費用がかからないため、専門家に依頼した場合と比べると50万円程度費用が抑えられる計算となります。

ただし、個人再生は必要な書類が非常に多く、手続きも非常に複雑です。

個人再生委員が選任される場合は費用負担も大きくなるため、自分で手続きを行うのはリスクが大きいことを覚えておきましょう。

分割払い

弁護士事務所の多くが、生活に無理のない範囲での個人再生にかかる費用の分割払いに対応してくれます

弁護士事務所にもよりますが、多くは分割払いは6回から12回となっています。

なお、基本的には分割払いについて金利や手数料は発生しないと考えてよいでしょう。

まとめ

個人再生にかかる費用は、裁判所に20万円程度、弁護士に50万円程度の費用がかかると想定するとよいでしょう。

この記事が個人再生にかかる費用に対する不安が解消され、あなたの決断の助けになれば幸いです。