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任意整理手続きをしても貸金業者と和解できなかった、和解後の返済が滞ったときには、個人再生への切り替えが可能です。
個人再生をすれば借金の総額を大幅に減らせる可能性がある一方で、裁判所が介入するので家族にバレる、ブラックリストに載る期間が長くなるなどのデメリットもあります。
また、債務整理手続きをする借入先を選択できなくなるのもデメリットです。
できれば任意整理のまま手続きを進めたり、頑張って返済をしたりする方がよい場合もあります。
けれども、個人の意思に限らず任意整理から個人再生へ切り替えなければいけない場合があるのです。
任意整理から個人再生に切り替えが必要になる場合
目次
任意整理から個人再生への切り替えが必要となるのは以下のふたつの場合です。
- 任意整理で和解が成立しなかった場合
- 任意整理で返済が困難になってしまった場合
1社でも和解しなかった場合は個人再生へ
任意整理とは、貸金業者と直接交渉して和解し、借金の完済を目指す方法です。
もしも貸金業者が和解交渉に応じなかった場合は、訴訟に発展してしまいます。
訴訟で負けてしまうと、全財産の差し押さえなどを命じられる可能性が高いです。
任意整理を行った貸金業者のうち、1社でも和解に応じてくれないと訴訟のリスクがあります。
個人再生は裁判所を介す債務整理方法のため、和解に応じない貸金業者に対して法的強制力を行使し、借金が減額できます。
そのため、1社でも和解に応じない貸金業者がいれば、任務整理から個人再生に切り替えたほうが有効です。
毎月の返済が滞ったら個人再生へ
任意整理で和解後は、3~5年間で完済するために毎月返済を行います。ところが、任意整理は借入元金は減額できず、利息のみの減額交渉です。
思ったよりも借金が減っていない場合もあり、毎月の支払いが苦しく返済が困難になる場合があります。
毎月返済できる見込みがなくなった場合も、最大9割と借金総額を大幅に減額できる個人再生への切り替えが必要です。
なお個人再生を行った場合でも、住宅ローン特則を利用すれば住居は残せます。住宅ローンは減額されませんが、ほかの借入が減額されます。
個人再生に切り替えるための条件
任意整理から個人再生に切り替える場合には、以下の条件を満たさなければいけません。
- 定期的な収入が見込めることについて
- 借金総額が5000万円以下でなければならない
定期的な収入が見込める状態とは
個人再生後は、再生計画に応じた定期的な返済が求められます。条件として定期的・安定した収入のある状態でなければ、個人再生はできません。
定期的・安定した収入のある状態とは「4カ月以上安定して返済ができる能力がある」かを目安に判断されます。
具体的な定期的・安定した収入のある状態とは以下の通りです。
- 3カ月に1回の割合で再生計画に応じた弁済ができる
- 収入の額ではなく、勤務期間が重要
- 収入の増減幅が低い
自営業や個人事業主などで、月々の収入に幅がある場合は3カ月に1回の割合で再生計画に応じた弁済ができるなら、定期的・安定した収入のある状態とみなされます。
また、収入の額が高くても、毎月違う職場を転々としている状態では、定期的・安定した収入とはみなされません。
アルバイトやパート、派遣社員などの非正規雇用でも、同じ職場で長期勤務している実績があれば、定期的・安定した収入がある状態とみなされるのです。
収入額の幅が上下するのも、定期的・安定した収入とはみなされません。一般的には、1年間で年収の2割程度までの増減幅なら定期的・安定した収入とみなされます。
借金総額は5,000万円以下
借金総額が5,000万円以上の場合は、個人再生ではなく民事再生手続きの対象となります。
また、法人の場合も個人再生ではなく民事再生手続き対象です。
手続きを切り替えることでのデメリット
個人再生をすれば元本からの大幅な借金減額が期待できます。ところが、個人再生にするからこそ発生するデメリットに注意しなければいけません。
任意整理から個人再生に切り替えることで発生する、4つのデメリットを解説します。
- 債務整理をする借入先が選択できなくなる
- ブラックリストに載る期間が長くなる
- 周囲にバレるリスクがある
- 依頼費用が上乗せになる
債務整理をする借入先が選択できなくなる
複数の借入先がある場合、任意整理は整理手続きを行う借入先を選択できます。保証人付きや、担保付などの借入は外すことも可能です。
ただし、個人再生は借入先ごとに選択するのではなく、すべての借入先に一括で手続きを行うことになります。
保証人付きの借入なら保証人に弁済請求され、担保付きの場合は担保とされていた不動産が競売に出されたり、購入した商品が弁済として回収されたりするのです。
ブラックリストに載る期間が長くなる。
任意整理、個人再生ともに債務整理になるため、手続きを行うと「債務整理をした」という事故情報が信用情報機関に登録され、ブラックリストに載った状態となります。
ブラックリストに載る期間は任意整理の場合5年、個人再生の場合は5~10年のため、個人再生の方が期間が長くなる可能性があるのです。
ブラックリストに載っている期間はローンの組立やクレジットカードの契約ができなくなります。
周囲にバレるリスクがある
個人再生を行うと、任意整理よりも周囲に手続きをしたことがバレるリスクが高くなります。
官報に載るのと、裁判所を介した手続きとなるからです。官報には、氏名や住所、破産日、破産理由などが掲載されます。
一般人は官報を読むことはあまりありませんが、官報をチェックしている勤務先の場合は、個人再生をしたことがバレる可能性が高いです。
また、官報に掲載されることで闇金業者からの借入勧誘連絡が来ることもあります。
個人再生は裁判所を介した手続きとなるため、裁判所からの手続き書類などが自宅に郵送されます。
同居している家族が郵便物を受け取り、個人再生をしたことがバレてしまうのです。
依頼費用が上乗せになる
任意整理から個人再生へ切り替えた場合、新たに個人再生手続きを依頼する費用が上乗せになります。
任意整理で依頼した弁護士や司法書士費用や、和解後に借入先に返済していたお金は返金されません。
切り替え時の費用は依頼する事務所によって異なります。
弁護士や司法書士とよく相談のうえで切り替えするかを判断しましょう。
まとめ
任意整理をしても借入先が和解に応じなかった場合や、和解後に返済できなくなったときには、個人再生への切り替えが可能です。
個人再生をすると借金の元金からの減額ができるので、大幅な借金減額が期待できる一方、周囲にバレる、費用が上乗せになる、借入先が選べないなどのデメリットも発生します。
このまま任意整理をした方がいいか、個人再生に切り替えたほうがいいか、最初から任意整理ではなく個人再生にした方がいいかは、借入額や収入の状況などによっても異なります。
自分に適した債務整理をして借金の負担を少なくするためには、まずは弁護士や司法書士への相談をしてみましょう。
任意整理から個人再生への切り替えを検討しているときにも、相談するのが重要です。