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あける
息子(子供)が借金まみれ…借金問題は親が負担?返済義務と解決方法
目次
「息子に多額の借金があると知った場合、親はどうすべきか?」
「息子(娘)の借金を立て替えた方がいいのかどうか、判断が難しい…」
もし、息子に大きな借金があることが分かったとき、親に返済義務は生じるのでしょうか?また、「借金を立て替えて欲しい」と頼まれた場合、子どものために助けるべきか悩む親も多いでしょう。この記事では、息子(娘)の借金に関する親の返済義務の有無や、立て替えが必要かどうかについて詳しく解説します。
また、子どもの借金問題を解決するための方法も紹介します。子どもが多額の借金を抱えていると知った場合、親でもすぐに冷静な判断ができないことがあります。そんなときは、焦らずさまざまな意見を聞き、子どもの未来にとって最も良い選択をすることが大切です。
息子の借金に親の返済義務はあるのか?
息子に多額の借金があることが判明した場合、親にその返済義務が発生するのでしょうか?この記事では、返済義務の有無や、返済義務が生じる場合について、さらに未成年の子どもの借金に関しても詳しく解説します。
基本的に返済義務はない
息子の借金については、基本的に親に返済義務はありません。なぜなら、息子が金融機関と金銭消費貸借契約を結んだ場合、債務者は息子自身であり、親には支払い義務が生じないからです。法的には、支払い義務は息子にあるとされています。未成年であっても、親が支払う義務は基本的に存在しません。
このような状況で、貸金業者が債務者以外の人に取り立てを行うのは違法です。もし息子が問題のある相手から借金し、返済できなくなった場合に自宅に取り立てが来たり、親に「子どもの借金だから親が払え」と連絡があったとしても、きっぱりと拒否して構いません。
返済義務が親に生じるケース
ただし、以下のような場合には親に返済義務が生じるため、注意が必要です。
親が連帯保証人・保証人になっている場合
息子の借金の保証人や連帯保証人になっている場合、親は息子の借金を肩代わりする義務があります。よくあるケースとして、息子が大学や専門学校の奨学金を借りる際や、車など高額な買い物をした際に親が保証人や連帯保証人になることがあります。もし息子が返済できなくなったり、支払いが遅延した場合、原則として親が代わりに支払うことになります。
保証人や連帯保証人は、主債務者(この場合は息子)が支払えない場合に返済の責任を負う役割を果たします。保証人には以下の3つの権利があります:
- 催告の抗弁権(民法第452条)
債権者が主債務者よりも先に支払いを請求した場合、保証人は先に主債務者に請求するように求める権利です。 - 検索の抗弁権(民法第453条)
債権者から請求を受けた際に、債務者に資産があることを証明して請求を拒否できる権利です。 - 分別の利益(民法第456条)
複数の保証人がいる場合、保証債務は保証人の人数で割り、その分担額を減らせる権利です。
一方で、連帯保証人は上記の3つの権利を持ちません。もし債権者が主債務者に先立って連帯保証人に返済を求めた場合でも、「先に息子に請求して」とは主張できません。連帯保証人は主債務者と同じ立場であることを理解しておく必要があります。
相続による借金の承継
親が息子の借金を相続(単純承認)する場合、息子の借金返済義務が発生します。残念なことに、親よりも先に子どもが亡くなるというケースも考えられます。息子が亡くなり相続が発生した際に、相続財産を調査した結果、大きな借金があることが判明する場合もあります。
このとき、「単純承認」を選ぶと、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続したと見なされ、返済義務が生じます。こうした状況では、相続放棄を行うか、プラスの財産の範囲内で借金を弁済する「限定承認」を選ぶのが適切です。
ただし、限定承認にはいくつかの条件があり、そのため利用する人は限られています。具体的には以下の条件を満たす必要があります:
- 相続人全員の同意が必要
- 相続があったことを知ってから3カ月以内に申請しなければならない
- 単純承認をしていないこと
- 被相続人の最終的な住所地を管轄する家庭裁判所に申述べを行うこと
親のクレジットカードで課金した場合
息子が親名義のカードで買い物や課金を行った場合、親にはその返済義務があります。典型的なケースとしては、息子が親のカード情報を無断で登録し、スマホゲームに課金したり、親のスマホからゲーム内で課金を行った場合が挙げられます。例えば、ゲーム内でガチャを回すためのポイントやダイヤを親名義のクレジットカードで購入した場合、その支払いはカード名義人である親が負担しなければなりません。
「未成年の子どもが勝手に行ったことなのに…」と感じる方もいるかもしれませんが、親名義のカードである以上、支払い責任が親にあることになります。このような場合は、親の管理不十分として扱われ、その結果、親にカードの支払い義務が生じることになります。
未成年の借金は親が契約を取り消せる
未成年の息子が借金をした場合、親がその借金契約を取り消せる可能性があります。民法では、未成年者が親権者の同意を得ずに行った契約は取り消すことができると規定されています。このため、借金契約も金銭消費貸借契約であることから、取り消しが可能な場合があります。
「取り消し」とは、金銭消費貸借契約が一度有効になるものの、その後取り消し権が行使されると、契約は遡って無効となることを意味します。ただし、この取り消しは契約そのものの無効化に過ぎず、すでに使った金額に関しては返済義務が残るため、その点は注意が必要です。
未成年でも借金を取り消せないケース
未成年の息子が行った借金でも、以下のような場合には取り消しが認められません。
親の同意がある場合
親が法定代理人として同意を与えている場合、その同意が法的に有効とみなされるため、未成年の息子がした借金であっても取り消しはできません。このようなケースは稀だと思われるかもしれませんが、例えば、子どもがデパートのポイントカードを作成する際に、クレジットカード機能がついていることを親が知らずに同意する場合があります。
その場合、そのカードでの買い物はもちろん、キャッシング機能を利用して行った借り入れについても、親が同意したと見なされます。
営業許可を受けている場合
未成年者が営業許可を得て、営業活動のために借金をした場合、親権者には取り消し権がありません。未成年者が事業を営むには、事前に親の許可が必要ですが、営業活動のために賃貸契約を結んだり、備品や材料を購入する際にすべて親の同意を求めるのは現実的ではありません。そのため、営業許可を与える際には、包括的な行為の許可がなされます。これにより、未成年であっても営業活動としての借入や契約に関しては、包括的な許可と見なされ、取り消すことができなくなります。
親の同意を偽造・成人と偽って契約
親の同意を偽装したり、息子が未成年でないふりをして借金をした場合、金銭消費貸借契約を取り消すことはできません。息子が親のサインを偽造したり、捺印したりする行為は法律で「詐術(さじゅつ)」と呼ばれます。未成年者がこのような詐術を使って親の同意が得られたかのように契約を結んだ場合、契約の取り消し権を認める必要はないとされています(民法第21条)。そのため、このような場合には借金契約を取り消すことができないのです。
息子の借金発覚時の対応ステップ
大切な息子の借金が発覚したとき、「なぜこんなことになってしまったのか」「もっと早く話してくれなかったのか」と、驚きとともに感情が揺れることもあります。この記事の1章で説明したように、親が息子の借金を返済する義務は基本的にありませんが、少しでもサポートしたいと考えるなら、以下の方法を検討することをおすすめします。
- 現状の借金を把握する
- 司法書士や弁護士に相談する
- 債務整理を考慮する
これらの方法について詳しくご紹介します。
STEP① 現在の借金状況を確認する
まずは、息子がなぜ借金をしてしまったのか、そしてどこからいくら借りているのかを把握することが大切です。また、息子の借金の現状を確認する際には、保証人や連帯保証人についても確認しておくことが必要です。万が一、親や他の子供たちが保証人や連帯保証人になっている場合、返済義務を負う可能性があるためです。息子の借金の調べ方については、この記事の2章で詳しく説明しています。
STEP② 弁護士・司法書士に相談する
息子の借金について全貌が明らかになったら、借金問題に詳しい司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。借金が膨らみ、息子の収入だけでは返済できない状況の場合、自力で解決するのは難しいからです。また、家族内で問題を解決しようと親が息子の借金を肩代わりするのも避けるべきです。息子が反省せず、再び借金を繰り返す可能性があるうえ、親子間でも借金の肩代わりには贈与税がかかるリスクがあるためです。
STEP③ 債務整理の利用を検討する
司法書士や弁護士に相談した結果、息子が借金を自力で返済するのが難しいと判明した場合、債務整理を検討することが重要です。債務整理を行うことで、借金の返済負担を軽減し、問題解決の可能性が広がります。債務整理には、①任意整理、②個人再生、③自己破産などの手続きがあります。これらの債務整理手続きについては、本記事の5章で詳しく解説しています。
子どもの借金を立て替えるべきか考える
息子が多額の借金を抱えていることがわかると、「親として、たとえ返済義務がなくても立て替えるべきか?」と悩むのが一般的ではないでしょうか。中には「利息がもったいない」「後から分割で返してもらえばいい」と考える人も多いでしょう。しかし、親が息子の借金を立て替えて返済することが、必ずしも息子にとって良い結果を招くとは限りません。本記事では、法的な返済義務の有無を超えて、親が立て替えるべきかどうかについて詳しく解説していきます。
立て替えが必要なケースは稀
息子が多額の借金を抱えていても、親がすぐに立て替える必要があるケースは非常に稀です。子どもが借金の返済に行き詰まったことを知れば、親として助けたいと思うのは自然なことです。また、借金が勤務先に知られてしまった場合、大きな問題に発展するのではないかと心配する親もいるかもしれません。
しかし、実際には息子の給料が差し押さえられるような切羽詰まった状況はほとんどないと言えます。なぜなら、借金の取り立てには一定の手続きの順番があるからです。これには以下のステップが含まれます。
- ハガキや封書での通知
- 電話での返済催促
- 期限の利益の喪失・強制解約
- 一括請求
- 支払督促や訴訟の申立て
- 債権名義の確定
- 強制執行(財産の差し押さえ)
親が息子の借金の問題を知るのは、通常「返済督促」の段階である1または2の通知からです。実際に財産が差し押さえられるまでには、数カ月の猶予があります。その間に親としてできることも多くあります。一方で、もし裁判所から支払督促を受け取った場合、息子の借金があることを知ったと感じることもあるかもしれません。
裁判に訴えられたことを知れば、すぐにでも手を差し伸べたくなる気持ちは理解できます。しかし、一つの金融機関から法的措置を取られた場合、他にも借金がある可能性が高いと考えられます。そのため、目の前の借金だけを立て替えても問題が解決しない場合があります。
このような場合、迅速に弁護士に相談し、息子の借金全体を把握したうえで、状況に応じた適切な解決方法を検討することが重要です。
道義的な責任はあるのか
法的な返済義務がない場合でも、親が悩むのは道義的な責任の有無です。立て替えを検討する理由には、次のような心理的要因があると思われます。
- 息子が借金で苦しんでいるのに、親が助けなければ世間はどう思うだろうか
- 他人に迷惑をかけている状況を、親として放置していいのだろうか
このような気持ちから、親が息子の借金を立て替えることが最も早い解決方法のように思えるかもしれません。さらに、第三者も「親には道義的責任がある」と考えるかもしれません。確かに、見て見ぬふりをして、子どもの問題だと無視することは道義的に非難される可能性があります。
しかし、息子が未成年ではなく、すでに成人して働いている「大人」であるという点を考慮すると、親が道義的責任を感じる必要は必ずしもないかもしれません。金融機関は、息子の収入や返済能力を審査した上で融資を行ったはずであり、金融機関にも一定の責任があると考えることができます。
兄弟が作った借金に対する支払い義務については、以下の記事を参考にしてください。
「兄弟が作った借金に支払い義務はある?ケース別の支払い義務の有無と負担を軽くする解決方法」
借金を立て替えることによる弊害
親が立て替えるための資金を持っている場合、息子の借金を肩代わりすること自体はそれほど難しくありません。しかし、この肩代わりが引き起こす可能性のある問題は次の通りです。
根本的な問題解決にはならない
目の前の借金を立て替えるだけでは、根本的な問題解決にはならない恐れがあります。というのも、借金問題の本当の難しさは、単に返済することだけでなく、借金を抱えるに至った原因を解決しなければ、再び同じことを繰り返してしまう可能性が高いためです。
特に、以下のようなケースでは、借金をした理由を含めて丁寧に対応しなければ、真の解決にはつながりません。
- ストレス解消のために浪費や無駄遣いをしてしまう
- ギャンブルをやめられない
- 買い物依存症になっている
本人が深く反省し、二度と借金をしないと決意すればよいのですが、親が肩代わりして簡単に借金がなくなってしまうと、「また何かあれば親が助けてくれる」と考え、自らの行動を見直さない可能性が高くなります。
親の生活が困窮する可能性
無理に息子の借金を立て替えることで、親自身の生活が苦しくなるという弊害が生じることもあります。例えば、親が仕事を辞めた後に受け取った退職金で肩代わりしたり、生命保険や貯金を解約して借金を返済したようなケースです。
仕事を辞めたことで生活が厳しくなったり、貯金や生命保険を解約した結果、いざというときに親自身が借金をせざるを得なくなってしまうのでは本末転倒です。さらに、生活の基盤が揺らぐことで、気持ちに余裕を持てなくなる可能性もあります。
そして、いざ本当に息子が親の助けを必要とする場面が訪れたときに、支えてあげる余裕がなくなってしまうこともあるでしょう。
悪徳業者に狙われる可能性
親が息子の借金を立て替えることで、悪徳業者のカモになってしまう可能性があります。たとえ本人が深く反省し、二度と借金はしないと誓ったとしても、債権者である悪徳業者がそれを見越して、甘い言葉で再び借金をさせようと近づいてくるかもしれません。
悪徳業者は、本人に返済能力がなくても、親が支払ってくれると分かれば平気でお金を貸します。親が立て替えることによって、かえって悪徳業者の標的になる恐れがあることを忘れないようにしましょう。
効果が逆転する可能性
親が借金を立て替えることで、息子が甘えに依存し、かえって逆効果になる可能性が高いでしょう。借金問題の解決が難しい理由の一つに、このような側面があります。「また親が返済してくれるはずだ」と勘違いし、子どもが何度も借金を繰り返してしまうケースも少なくありません。
助けるつもりが、かえって子どもの将来のためにならないこともあります。親が代わりに返済することが「逆効果」につながるリスクが高いことを理解したうえで、本当に立て替えるべきなのか慎重に判断してください。
兄弟姉妹との公平性に関する問題
息子の借金を立て替えることで、他の子どもとの公平性が保てなくなる恐れがあります。息子に兄弟姉妹がいる場合、一人だけを助けたことで、他の子どもがどう感じるかについて、事前にしっかり考えておくことが大切です。
対応の仕方次第では、兄弟仲が険悪になったり、将来の相続時に揉める原因を作ることにもなりかねません。子どもが複数いる場合、年齢に関係なく、親の愛情を無意識のうちに比較しているものです。親から公平に愛情を受けているかどうかに敏感であることを忘れてはいけません。
もし息子の借金を立て替える場合でも、他の兄弟の気持ちに配慮し、何らかの対策を講じることが必要でしょう。
借金の立て替えによる贈与税のリスク
息子の借金を立て替えた場合、贈与税が課税される可能性があります。なぜなら、本来返済義務のない借金を肩代わりすると、「みなし贈与」と判断されるためです。その結果、立て替えてもらった息子に対して、贈与税の支払い義務が発生します。
もし適切に贈与税の申告を行わなければ、税務署の調査が入り、追徴課税を受ける可能性もあるため注意が必要です。
贈与税の申告は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に、息子の住所地を管轄する税務署へ、必要書類を添付した申告書を提出することで行います。申告書にはいくつかの様式があり、贈与の種類によって異なるため、不明な点がある場合は、税務署に問い合わせるとよいでしょう。
借金を貸付扱いにする
借金の立て替えを「贈与」ではなく「貸付」とすることで、贈与税の課税を避けることができます。ただし、この場合は必ず借用書や契約書を作成し、貸し借りの証拠をしっかり残しておく必要があります。なぜなら、親子の間では「貸す」と言いながら、実際には返済を求めないケースが少なくないからです。
もし実際に返済を求めない場合、贈与とみなされ、納税義務が発生する可能性があります。口約束だけでは貸し付けの証明ができないため、税務署の調査が入った際に「贈与ではなく貸付である」と証明できるよう、借用書などの書類を用意しておくことが重要です。
また、借りた息子は実際に親へ返済する必要があります。その際、手渡しではなく、親名義の銀行口座へ振り込むことで、返済の証拠を確実に残せるため理想的です。なお、本当は親が贈与として借金を立て替えたにもかかわらず、形式上「貸付」と偽る行為は「脱税」に当たります。こうした行為は絶対に避けるようにしましょう。
贈与税が発生しないケース
一方で、以下のようなケースでは贈与税は課税されません。贈与税を避けたい場合は、これらの方法を参考にするとよいでしょう。
年間110万円以内に調整する
贈与であっても、年間110万円以内であれば贈与税は発生しません。具体的には、もらう人一人につき、1月1日から12月31日までの1年間で受け取った金額が110万円以下であれば、実際には贈与であっても贈与税の対象にはならないということです。
そのため、1年間に父親と母親それぞれから110万円ずつ受け取った場合、息子がもらった合計額は220万円となり、非課税枠の110万円を超えることになります。超えた分には贈与税が課税されるため、注意が必要です。
理想的なのは間接的なサポート
親が息子を助けたいと思い借金を立て替えることには、先述のような弊害が伴います。そのため、直接肩代わりして支払うのではなく、あくまで間接的なサポートをすることが理想的です。一緒に考え、悩みながら心の支えとなり、家計管理をサポートしつつ自立を促すことが最善の方法でしょう。
お金は生きていくうえで欠かせないものです。息子にとって、お金の使い方や向き合い方を学ぶ良い機会だと考え、寄り添いながらしっかりと見守っていきましょう。たとえ経済的に余裕がない親であっても、息子の借金問題を解決するためにできることは多くあります。即効性はないかもしれませんが、これこそが最善の対応だと信じて、支えていくことが大切です。
息子の借金問題の解決策
息子に多額の借金があると分かった場合は、次の手順に沿って借金問題を解決していきましょう。
息子の借金状況を確認する
息子の借金問題に対処する際、最も基本となるのは、冷静に息子の借金状況を把握することです。借金には連鎖性があり、最初は1社からの借入だったものが、次第に借入先が増え、あっという間に多重債務に陥りやすいという特徴があります。
確認すべき内容
そのような状況にあるかを確認するためには、息子に借金の詳細を正直に話してもらう必要があります。具体的には、次の点を明らかにしましょう。
- どの金融機関から、いくら借りているのか
- それぞれの金利はどのくらいか
- 借金をした理由
- 現時点で金融機関からの督促や、裁判所からの支払督促があるか
- 自力での返済が可能か、具体的な返済計画
息子は「親に心配をかけたくない」という気持ちや、お金に対する考えの甘さから、借金の額を実際より少なく申告する可能性があります。これは、借金を繰り返しやすい人に見られる特徴です。そのため、息子の言葉を鵜呑みにせず、郵便物や支払明細を確認しながら、正確な状況を把握することが重要です。
信用情報機関への開示請求
息子が借金について嘘をついている可能性がある、または詳しく話したがらない場合は、信用情報機関への開示請求を行うよう促しましょう。開示請求とは、加盟金融機関との契約内容や支払い情報などの「信用情報」を確認できる制度のことです。ただし、開示請求は原則として本人が行う必要があるため、必ず息子の了解を得たうえで手続きを進めてください。
日本には、加盟金融機関ごとに3つの信用情報機関があり、それぞれ独自のネットワークでつながっています。そのため、すべての信用情報機関に開示請求を行うことをおすすめします。開示請求の方法や請求先は以下の通りです。
信用情報機関名|加盟業種|請求方法
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)|クレジットカード会社・信販会社|インターネット、郵送、窓口
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)|消費者金融・街金融|スマホ、郵送、窓口
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)|銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫など|郵送
これらの情報をもとに、息子の借金の正確な状況を把握し、適切な対処を進めていきましょう。
専門機関への相談を検討する
借金問題やその原因について第三者の意見を聞きたい場合、専門機関に相談するという方法があります。以下の専門機関に相談することで、息子の心の問題や借金問題の解決策を見つける手がかりになるかもしれません。
相談機関一覧
相談機関 | 問い合わせ先 | 相談内容 |
---|---|---|
こころの健康相談統一ダイヤル | 0570-064-556 | 心の健康に関する相談を、保健師や心理の専門職が対応 |
よりそいホットライン | 0120-279-338 | 一般社団法人・社会的包摂サポートセンターが運営。暮らし全般の悩みや、死ぬほどつらい気持ちの相談を受け付けている |
法テラス(日本司法支援センター) | 0570-078374 / 03-6745-5600(IP電話・PHS) | 多重債務などの借金問題や金銭トラブルについて、法律の面から解決するための情報を提供。適切な相談窓口の紹介や、無料の法律相談も利用可能 |
日本弁護士連合会 ひまわり相談ネット | 0570-783-110 | 借金問題を法的に解決したい場合に相談できる。ネットによる法律相談の予約や弁護士の紹介が可能 |
貸金業相談・紛争解決センター | 0570-051-051 | 日本貸金業協会が設立。貸金業務に関する借り入れや返済の相談、多重債務者救済のための貸付自粛制度の受付を行っている |
全国銀行協会相談室 | 03-5252-3772 / 0570-017109(ナビダイヤル) | 銀行に関する各種相談や苦情を受け付け。返済に困っている個人向けのカウンセリングサービスやカードローン相談も実施 |
専門機関を活用することで、息子の状況に応じた適切なサポートを受けることができるでしょう。
返済計画を一緒に立てる
息子の現在の収入や資産から返済が可能であれば、一緒に返済計画を立てていきましょう。特に、無計画に使ったり好き勝手に浪費した結果できた借金であれば、今後の息子の人生のためにも、本人自身に責任を持って後始末をさせることが大切です。
まずは、毎月の収入と支出を整理し、借金返済にどのくらい回せるのかを計算しましょう。そして、借金を立て替えるのではなく、外食を控えて自宅で食事を用意する、必要な日用品をあらかじめ用意しておくなど、間接的なサポートを心がけることが重要です。
また、親が「決して見捨てない」「最後まで協力する」という姿勢を示すだけでも、息子にとって大きな精神的支えとなるでしょう。
専門の医療機関やカウンセリングを受診させる
借金の原因を根本的に解決するために、専門の医療機関を受診したり、カウンセリングを受けることも視野に入れましょう。特に、買い物依存やギャンブル依存、飲酒や薬物の依存が原因で借金を増やしてしまった場合、単に借金を返済するだけでは問題が解決したとはいえません。
このような依存症が関係しているケースでは、専門家の助けなしに自力での克服は難しいものです。心療内科や精神科、精神保健福祉センターを受診したり、心理療法を実施しているカウンセリングを利用しながら、生活習慣を見直すことで回復への道を探っていきましょう。
弁護士への相談
借金問題を法的に解決したい場合は、弁護士に相談するのが最善の方法です。特に、返済の目途が立たず、金融機関から督促状が届いている場合や、すでに裁判所から通知が来ているような状況では、一刻も早く相談することをおすすめします。
借金問題に詳しい弁護士であれば、息子にとって最適な解決策をアドバイスしてくれるでしょう。親の言うことを聞かない息子でも、第三者である弁護士が間に入ることで話し合いがスムーズに進み、問題解決に向けて真剣に取り組むきっかけになるかもしれません。
特に、借金問題の解決方法が分からず途方に暮れている息子には、法的な解決手段を示してあげることが重要です。まずは親が弁護士事務所に相談し、後日息子と一緒に訪問するという方法でも構わないでしょう。
債務整理を検討する提案
息子の借金問題を解決する手段として、「債務整理」という方法があることを提案してみましょう。債務整理は法律に基づいた借金問題の解決策で、返済の負担を軽減できる可能性があります。
債務整理には以下の3種類があり、それぞれ借金の減免割合や手続きの方法が異なります。
どの手続きを選ぶべきか分からない場合は、弁護士に相談するのが最善の方法です。
債務整理による減額可能額
下の図は、債務整理によってどの程度借金が減るのかを示しています。
債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があり、それぞれ借金に対する効果が異なります。
債務整理の適用条件
下の図は、「任意整理」「個人再生」「自己破産」それぞれが適している人の特徴を示しています。
アルバイトであっても、収入状況によっては任意整理や個人再生を利用できる場合があります。
債務整理のメリットとデメリット
親御さんの中には、「債務整理をすると子どもの将来に悪影響があるのでは」と心配される方もいるかもしれません。しかし、債務整理をしたからといって、子どもに重大な影響が及ぶわけではありません。
下の表は、各債務整理のメリット・デメリットをまとめたものです。デメリットを見ても、債務整理による影響がそれほど大きくないことが分かるでしょう。
債務整理の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
任意整理 | ・手続きの負担が軽い ・将来利息(現在および将来に支払う利息)がカットされ、債務を削減できる | ・完済後の約5年間、クレジットカードの作成・利用や借り入れが不可能 ・借金の免責はされない |
個人再生 | ・住宅ローンがあっても「住宅ローン特則(※1)」を利用すればマイホームを手放さずに済む ・総債務額を最大で10分の1まで削減できる | ・個人再生後、約5年~7年間は借り入れやクレジットカードの作成・利用が不可能 ・官報(※2)に個人情報が掲載される |
自己破産 | ・借金の返済が全額免除される(ただし、滞納税金など一部の支払い義務は残る) | ・自己破産後、約5年~7年間は借り入れやクレジットカードの利用・作成が不可能 ・マイホームなどの財産(原則20万円以上)は処分される ・官報に個人情報が掲載される |
※1:住宅ローン特則とは、住宅を所有していてローンが残っている場合に、ローンの支払いを延期することで住宅を維持できる制度。
※2:官報とは、国内で起こった出来事を知らせるための国の機関紙で、購読やインターネットでの閲覧が可能。
ただし、自己破産には職業制限があるため、就職活動や就労に影響が出る可能性があることに注意が必要です。
任意整理
任意整理とは、利息や遅延損害金を減額することで、返済の負担を軽減する手続きです。返済期間は原則3年、最長で5年まで延長できるため、毎月の返済負担を軽くする効果も期待できます。また、利息の計算をし直す「引き直し計算」によって、払い過ぎた利息があれば、その分を借金の返済に充てることが可能です。
この手続きは、債権者と直接交渉し、和解を目指す方法であるため、和解の内容は交渉次第となります。必ずしも希望通りの結果になるとは限りませんが、弁護士に依頼することで交渉がスムーズに進む可能性が高まります。また、任意整理は対象とする借金を選ぶことができるため、車のローンや保証人がついている借金を除外できる点もメリットの一つです。
個人再生
自己破産とは、借金の返済が不可能な状態であることを裁判所に申し立て、返済義務を免除(免責)してもらう手続きです。裁判所から免責許可決定が下りると、原則としてすべての借金がゼロになります。
しかし、99万円を超える現金や20万円以上の価値がある財産は、原則として債権者への返済に充てられます。また、手続き期間中は特定の職業や資格に基づいた仕事ができないことに加え、移動や郵便物の受け取りに制限が課されるといったデメリットもあります。さらに、自己破産をすると10年間はブラックリストに登録されるため、クレジットカードの利用やローンの申し込みができなくなるなどの不便が生じる点にも注意が必要です。
自己破産
自己破産とは、裁判所に借金の返済が不可能な状態であることを申し立てることで、返済義務を免除(免責)してもらう手続きです。裁判所から免責許可決定が下りれば、原則としてすべての借金がゼロになります。
しかし、99万円を超える現金や20万円以上の価値がある財産は、原則として債権者への返済に充てられます。また、手続き期間中は特定の職業や資格に基づく仕事が制限されることがあり、さらに移動や郵便物の受け取りにも制限がかかるといったデメリットもあります。
さらに、自己破産後は10年間ブラックリストに登録されるため、クレジットカードの利用やローンの申し込みができなくなるなど、不便が生じる点にも注意が必要です。
息子の借金が明らかになった際の対応方法
どこから、いくら借り入れているのかが分かったら、次に適切な対処法を考えましょう。
息子が未成年の場合、状況によっては契約を取り消せる可能性があります。そのため、未成年か成人済みかによって、対応の仕方が異なります。
ここからは、息子が未成年の場合と成人済みの場合に分けて、それぞれの対処法を解説します。さらに、息子の借金ではないものの、息子の行為によって親自身が支払い義務を負うケースについても併せて説明します。
未成年の息子が借金をしていた場合の対応
息子が未成年であり、借金の契約を取り消せる可能性があるのは、親の同意なしに借入契約を結んだ場合です。ただし、あくまでも契約時点での取り消しが可能であり、すでに借りたお金を使い込んでしまった場合は、返済義務が生じるため注意が必要です。
また、息子が親の名前で勝手にサインや捺印をして、あたかも親の同意を得たかのように契約した場合は、事情によっては取り消しが難しくなることがあります。そのため、その場合でも支払い義務が発生する可能性が高くなる点に留意しましょう。
さらに、高額な商品をローンで購入していた場合でも、クーリングオフ期間内であれば契約を取り消すことが可能です。クーリングオフの期間は原則8日間、マルチ商法やモニター契約などの勧誘によるものは20日間と定められています。もし該当する場合は、クーリングオフ制度を活用しましょう。
息子が既婚者である場合の対応
未成年であっても、既婚者であれば法律上は成人と同じ扱いとなるため、借入契約の取り消しはできません。
息子が契約時に「成年である」と偽っていた場合
未成年でありながら「成人である」と偽って借入契約を結んだ場合、虚偽の申告をした側に非があるため、契約を取り消すことはできません。
息子が自営業を営んでいる場合
子どもが自営業を営んでおり、その営業のために借入をした場合、借入契約を取り消すことはできません。
また、法改正により2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。これに伴い、18歳以上であれば親の同意なしに借り入れが可能となっています。
成人した息子が借金をしていた場合
20代以上の息子の場合、当然ながら基本的に借金の支払い義務は息子自身にあります。
無情に思えるかもしれませんが、たとえ詐欺などで騙されて作った借金であっても、本人が借り入れた以上、その返済義務を負わなければなりません。借金の支払い義務の有無と、加害者(騙した相手)に金額を請求できるかどうかは、分けて考える必要があります。
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2024年03月18日更新 監修者:山田愼一
中には、息子の借金を調べたうえで、「これなら返済してあげられなくもない額だな…」と思う親御さんもいるかもしれません。しかし、息子の借金は息子自身に支払わせることをおすすめします。
借金を繰り返さないためには、自分で責任を負わせることが重要です。もし今回の件を反省し、「もう二度と借金はしない」と心を入れ替えるのであれば良いのですが、親が肩代わりしてしまうと、「また何かあっても親がなんとかしてくれる」と甘えが生じる可能性があります。
また、たとえ本人が反省していたとしても、債権者が味をしめてしまい、甘い言葉で再び借金をさせようとするかもしれません。本人に支払い能力がなくても、親が肩代わりしてくれると分かれば、債権者にとって格好のカモになってしまうのです。
親ができることは、借金の原因をしっかり把握し、再発防止のためのサポートをすることです。原因を解決しないまま、ただ借金を肩代わりしても、結局また同じことを繰り返すケースは少なくありません。
この機会に、しっかりと話し合いの場を作り、今後の対策を一緒に考えていきましょう。
息子が奨学金を返済できない場合
息子が奨学金を借りて進学したものの、何らかの理由で返済が難しくなった場合、減額返還制度・返還期限猶予制度・返還免除などの制度を活用できるか確認してみましょう。条件を満たせば、奨学金の返還期間を延長してもらえたり、返還期限に猶予を設けてもらえる可能性があります。
奨学金の返済が難しい場合の救済制度には、それぞれ以下の要件があります。
【減額返還制度】
- 年収325万円以下であること
- 返還を延滞していないこと
【返還期限猶予制度】
- 年収300万円以下であること
【返還免除】
- 奨学金受給者本人が死亡した場合
- 奨学金受給者本人が精神・身体障害により返還できない場合
いずれにしても、奨学金の返済が厳しいからといってそのまま放置しても問題は解決しません。 まずは、借入先である日本学生支援機構などに相談することをおすすめします。
息子の行動により親が支払い義務を負う場合
典型的な例として、親のクレジットカードを使用し、息子がソーシャルゲームなどでデータ課金をしたケースが挙げられます。
請求額を見て驚いたという方も多いかもしれませんが、ゲーム内でガチャを回すためのポイントを購入してしまった以上、その支払い義務は親にあります。
「未成年が勝手にしたことなのに納得がいかない」と感じる方もいるでしょう。しかし、親の携帯端末を通じて課金(契約)された場合、債務者は息子ではなく親となります。
このようなケースは親の管理の問題と見なされるため、結果として親に直接支払い義務が発生してしまうのです。
息子の借金問題で債務整理をする際は、弁護士への依頼がおすすめ
子どもに債務整理をさせる場合は、弁護士や司法書士に依頼して一緒に進めるほうが安心です。
任意整理は、借入先と交渉して借金を減額してもらう方法ですが、自力では交渉が成立しないケースもあります。
また、個人再生は裁判所を通すため、手続きが複雑であるため、専門家を介さずに行うのはおすすめできません。
債務整理に精通した弁護士や司法書士に、一度相談してみることを検討しましょう。
弁護士や司法書士に依頼するメリット
下の図は、弁護士や司法書士に依頼することで得られるメリットを示しています。
裏を返せば、個人で債務整理を行う場合、これらのメリットを受けることはできません。
弁護士・司法書士に依頼する際の費用の相場
弁護士や司法書士に依頼する際、費用面が気になる方も多いでしょう。
弁護士や司法書士の依頼費用は事務所ごとに異なりますが、一般的には以下のような費用が必要になります。
なお、以下は弁護士費用の目安であり、司法書士費用は弁護士費用よりもおおよそ10万円ほど低く設定されていることが一般的です。
依頼費用が払えない場合の対応方法
債務整理を検討している方の中には、依頼費用を用意するのが難しい方もいるでしょう。
費用の支払いが困難な場合、法テラスの「民事法律扶助制度」を利用すれば、一時的に依頼費用を立て替えてもらうことが可能です。 また、分割払いや後払いに対応している法律事務所もあるため、これらの制度を活用するとよいでしょう。
詳しくは、「債務整理にかかる弁護士費用が払えない|分割や後払いなどの対処法を紹介」で解説しているので、ぜひご覧ください。
まとめ
息子に多額の借金があると分かった場合でも、保証人になっている、親のカードで課金した、息子の遺産を相続したといったケースを除けば、原則として親に返済義務はありません。 また、未成年の子どもの場合、借金契約自体を取り消せる可能性があることも考慮しましょう。
息子の借金が発覚すると、親としての道義的な責任を感じる方もいるかもしれません。 しかし、すぐに返済しなければならない状況は稀であり、借金を立て替えることがかえって息子の将来に悪影響を及ぼす可能性があります。 親自身の生活や他の兄弟との公平性、贈与税の問題など、さまざまな点を慎重に検討したうえで結論を出しましょう。
息子の借金問題に対して親ができる最善の選択の一つは、間接的なサポートです。まずは借金の状況をしっかり確認し、一緒に返済計画を立てることが重要です。状況によっては、医療機関を受診したり、相談機関に相談することも有効でしょう。
また、法的に借金問題を解決する場合は、債務整理に強い弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。