官報で自己破産者の名前検索は可能?破産者マップや調べ方を解説

官報で自己破産の名前検索はできる?破産者マップや自己破産者検索サイトとは

目次

自己破産をすると、官報に名前や住所が掲載され、それが検索されることを不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

「官報に名前が載ると、家族や友人、会社に自己破産が知られてしまうかも…」「どのくらいの期間、官報に名前が残るのだろう」など、自己破産が周囲にバレることを心配するのは当然のことです。

自己破産をすると、国が発行する官報という公的な記録に、氏名や住所などの個人情報が掲載されるデメリットがあります。しかし、官報に名前が載ったからといって、通常それが原因で自己破産が周囲に知られることはほとんどありません。

この記事では、まず官報とはどのようなものなのかを解説したうえで、官報によって自己破産がバレる可能性が低い理由を、分かりやすくご紹介します。

官報で自己破産の名前検索は可能?名前の一覧は見られる?

官報を利用して自己破産者の名前を検索する方法は、以下の4つがあります。ただし、インターネットで名前を検索しただけでは、自己破産に関する情報が表示されることはありません。

  • 官報販売所で官報を購入する
  • 図書館で紙面の官報を閲覧する
  • インターネット官報で検索する
  • 図書館の官報情報検索サービスを利用する

ただし、自己破産する前に別の事件を起こし、その件がニュースになっているような場合は別ですが、スマホで簡単に破産者の情報が検索できてしまうようでは、個人情報保護の観点から問題があります。

この記事では、上記の3つの方法について、自己破産者の名前を検索する具体的な手順を詳しく解説していきます。

官報を購入するなら官報販売所へ

最も一般的な方法としては、全国にある官報販売所で官報を購入し、公告欄から直接破産者の名前を確認することです。

ただし、官報販売所で購入する官報は紙媒体のため、インターネット検索には利用できません。さらに、官報の紙面は官報販売所でしか購入できず、各都道府県に一ヶ所しか販売所がないため、手に入れるには限られた場所へ行く必要があります。

特別な目的がない限り、一般の人が官報を購入することはほとんどありません。そのため、官報を直接購入した人から破産者の情報が漏れる可能性は低いでしょう。ただし、悪意を持つ人や個人的な恨みがある場合には、意図的に情報が悪用されるリスクも考えられます。

また、いわゆる闇金と呼ばれる違法な金融業者が、官報に掲載された自己破産者の名前や住所をもとに「他社では借りられないが、うちなら融資できる」と甘い言葉で誘い、高額な利息で違法な貸し付けを行うケースもあります。

紙媒体の官報が原因で周囲に破産の事実が知られることはほとんどありませんが、個人情報が掲載される以上、悪用されるリスクがゼロではありません。万が一、不審な連絡を受けたり、情報が悪用されたと感じた場合は、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。

官報情報検索サービスの利用方法

自己破産者の情報をインターネットで調べる方法の一つに、官報情報検索サービスを利用する方法があります。

この官報情報検索サービスは、全国の図書館からのみアクセス可能で、利用には図書館司書がパスワードを入力してログインする必要があります。そのため、インターネット官報のように誰でも自由に閲覧できるわけではありません。

また、図書館によっては開館時間とは別に利用時間が設定されている場合があるため、事前に利用する図書館の詳細を確認しておくことが必要です。

この官報情報検索サービスを利用すると、自己破産者の氏名や住所、自己破産した年月日を入力することで、特定の破産者の情報を検索することができます。しかし、検索時に「破産」「破産者」「免責」「免責不許可」などのキーワードによって検索結果が変わるため、破産者の名前だけを入力しても、情報が表示されない可能性があります。

そのため、正確に破産者の情報を調べるには、官報の掲載日をある程度絞り込み、住所まで入力して検索する必要があります。つまり、破産者の住所や自己破産した日などの情報を事前に把握していないと、官報情報検索サービスを使って検索することは難しいということです。

加えて、わざわざ図書館まで出向いて破産者の情報を調べる人はほとんどいないため、紙媒体の官報と同様に、官報情報検索サービスを通じて自己破産が周囲に知られる可能性は極めて低いといえるでしょう。

図書館で紙面の官報を閲覧する方法と調べ方

図書館で保管されている紙媒体の官報を確認する方法もあります。

しかし、官報は全国すべての図書館に保管されているわけではなく、都道府県によっては一ヶ所のみの保管だったり、大学図書館を利用しなければならない場合もあります。

すでに説明したように、紙ベースの官報の保管期間や方法は図書館によって異なるため、どの年代まで遡って閲覧できるかは事前に確認が必要です。ただし、官報を保管している図書館であれば、基本的に創刊当初から現在までのすべての官報を閲覧できることが多いようです。

また、図書館に保管された官報は、通常発行から2〜3日後に閲覧可能となるため、最新のものをリアルタイムで確認することはできません。

さらに、官報が通常の図書コーナーに置かれている場合もあれば、バックヤードに保管されていることもあります。閲覧方法や調べ方の詳細については、各図書館の司書に確認することをおすすめします。

インターネット官報で自己破産者を無料検索する方法

紙媒体ではなく、インターネット官報を利用すれば、自己破産者の個人情報を無料で調べることが可能です。

官報に掲載された自己破産者を検索する方法として、インターネット官報を活用すれば、登録などの面倒な手続きなしに、誰でも簡単に直近30日分の自己破産者情報を閲覧できます。

また、スマホからでも簡単にアクセスできるため、最新の官報を確認する最も手軽な方法といえるでしょう。

このようにインターネットで官報を閲覧できることから、「YahooやGoogleなどの検索エンジンで名前を検索すれば、すぐにヒットしてしまうのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。

しかし、インターネット官報はPDF形式で提供されているため、たとえ検索エンジンで名前を入力しても、直接検索結果に表示されることはありません。

もちろん、官報のPDFを開いて、内部で名前検索を行うことは可能なため、紙媒体よりも特定の個人名を検索しやすいといえます。ただし、検索するにはインターネット官報のPDFを開いたうえで手動で調べる必要があるため、一般的なインターネット検索で偶然破産者情報が見つかってしまうことはないといえるでしょう。

破産者マップは閲覧可能?自己破産者検索サイトとは?

破産者マップとは、官報に掲載された自己破産者の名簿をデータベース化し、Web上で無料公開することで、破産者の名前を検索できるようにしたサイトのことを指し、「自己破産者検索サイト」などとも呼ばれています。

このサイトでは、Googleマップ上に表示された住所をクリックすると、自己破産者の破産情報を確認・閲覧できる仕組みになっていました。

また、後継サイトである「新破産者マップ」も同様に、個人情報を悪用し、掲載情報の削除を求める場合には金銭を要求するなど、極めて悪質な手法で運営されていました。

破産者マップに情報が掲載されると、自己破産者の氏名や住所などの情報がインターネット上で検索可能となり、個人情報の流出という深刻な問題を引き起こします。

この問題に対し、政府の個人情報保護委員会が行政指導を行い、個人情報の侵害を理由にサイトは削除されました。その後、裁判にも発展し、ニュースでも話題になったため、耳にしたことがある方もいるかもしれません。

類似する違法サイトもいくつか存在しましたが、そのたびに個人情報保護委員会から運営者に対して停止命令が出されており、現在も厳しい対応が取られています。

現在、破産者マップの運営者は損害賠償請求の裁判を起こされており、後継サイト「新破産者マップ」の運営者については、刑事告発が行われたことが個人情報保護委員会から発表されています。

【参考情報】
破産者マップ事件 | Wikipedia

このようなサイトは、プライバシー権の侵害や社会的評価を低下させる名誉毀損行為にあたるとの声が多く、悪質な存在であることは間違いありません。

もし、破産者マップの後継サイトなどに自分の名前が掲載されてしまった場合は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

破産者マップを閲覧する方法はある?

前述の破産者マップ事件を受けて、破産者マップは閉鎖されましたが、現在、「新・破産者マップ」が新たに公開されています。

このサイト上には、「海外で運営されているため、日本の法律では削除できない」との記載がありますが、現時点では閉鎖されていない状況です。

当サイトでは、プライバシー権や名誉権の侵害に該当すると考え、「新・破産者マップ」のURLは掲載しないこととしています。

破産者名簿とは?閲覧方法はある?

破産者名簿とは、官報に掲載される破産者一覧のことではなく、本籍地の市区町村役所で作成・保管される、自己破産者の名簿・リストを指します。

破産者名簿は、自治体が税金の督促を行う際の参考資料や、身分証明書を発行する際に利用されるものです。

特に、自己破産によって就業制限のある職業に就く場合、「破産者ではないことを証明する身分証明書」を発行するために作成・使用されます。

破産者名簿には、官報に掲載される破産に関する情報がすべて含まれますが、完全に非公開の資料です。

一般の人が気軽に閲覧できるものではなく、役所内でも限られた職員しか見ることができないため、破産者名簿を通じて周囲に破産が知られる可能性はほぼないと考えて問題ありません。

また、破産者名簿には、破産手続を経たすべての人の情報が掲載されるわけではなく、「破産手続開始決定を受けたものの、免責が認められなかった破産者」のみが記載されます。

つまり、自己破産が認められず、借金が残ってしまった人のみが対象となるのです。

このように、そもそも自己破産の許可が下りた場合には名簿に掲載されることはないため、破産者名簿について特に気にする必要はないでしょう。

官報とは何か?

官報とは、内閣府が発行し、国立印刷局が提供している国の機関紙を指します。

1883年に創刊された歴史ある紙面で、国のさまざまな情報を広く国民に知らせる役割を担い、国と国民を結びつける重要な存在となっています。

国が発行する新聞のようなものと考えると、イメージしやすいかもしれません。

現在、官報には以下の4種類があります。

官報の種類

  • 本紙(毎日発行される)
  • 号外(必要に応じて発行。公告欄に自己破産者の個人情報が掲載される)
  • 政府調達公告版(適宜発行される)
  • 目録(月に1回発行される)

このように、官報は報告する情報に応じてさまざまな種類があり、毎日のように何かしらの官報が発行されているのが現状です。

官報の役割とは?

官報の役割は、国民にとって必要な情報や、権利・義務に関わる重要な事項を広く伝えることにあります。

官報の主な役割は3つ

  1. 法令の公布
  2. 決算公告などの公広告
  3. 国事行為などの広報的事項

自己破産者の個人情報(名前一覧)が掲載されるのは、2つ目の「決算公告などの公広告」の役割に該当します。

では、なぜ自己破産者の情報を官報に掲載し、公に知らせる必要があるのでしょうか?

貸金業者にとって、顧客が自己破産をすると、その効力により貸したお金を返済請求できなくなります。その結果、利息だけでなく元本の回収も不可能になり、大きな損失を被る可能性があります。さらに、こうした債務者が増えれば、最悪の場合、貸金業者自体が倒産に追い込まれるリスクもあります。

もし事前に破産の可能性が分かっていれば、業者側は支払い能力のない人に対して貸付を行わず、最終的な貸し倒れによる損害を防ぐことができます。そのため、官報に情報を掲載することで、貸金業者はリスクを回避できるのです。

また、破産手続きが開始されたタイミングでも官報に情報が掲載されるため、金融業者は債務者がこれから破産する可能性を事前に把握できます。

この情報をもとに、債権者は適切な対応を取り、損害を最小限に抑えるための措置を講じることが可能となるでしょう。

つまり、自己破産は個人だけでなく、その周囲にも影響を与える可能性があるため、破産に関する情報を国が公に報告する必要があるといえるのです。

官報にはどんな情報が掲載されている?

官報には国のさまざまな情報が掲載されており、主な内容は以下の通りです。

  • 法律や政令の制定・改正に関する情報
  • 自己破産者の情報や相続に関する裁判の内容など、国民の権利や義務に深く関わる事項
  • 国会の議案や議事日程、高位役職者の人事異動、皇室に関する報告、各省庁から国民への発信事項、閣議決定の資料など、国からの広報的な情報

また、会社の決算や合併に関する情報、政府機関や地方公共団体の動向など、国に関わるあらゆる情報も官報に掲載されています。

法律や政令の制定・改正に関する情報については、専門的な内容であっても一般国民にとって理解しやすいように、要約や解説が付け加えられています。

このように、官報は国民にとって重要な情報を提供する国の公式な機関紙であり、政府と国民をつなぐ大切な役割を果たしているといえるでしょう。

【参考情報】
官報について|国立印刷局

官報の入手方法とは?購入できる場所はどこ?

官報はコンビニなどで販売されているわけではないため、実際に見たことがない人がほとんどでしょう。

官報の入手方法は、紙面版とインターネット版で異なります。

紙面版の入手方法

  • 官報販売所で購入する(原則、各都道府県に1ヶ所のみ)
  • 県立・市立図書館、大学図書館などで閲覧可能(官報発行から2〜3日後より閲覧可能)
  • 官報販売サイトから購入可能(バックナンバーの入手も可能)

インターネット版の閲覧方法

  • インターネット官報で直近30日間の官報情報(本紙、号外、政府調達等)を無料で閲覧可能
  • 30日より前の自己破産情報は閲覧不可

※なお、官報以外の非公式なサイトで破産者の情報を検索・閲覧できる場合もありますが、破産者のデータを無断でデータベース化する行為は違法となる可能性があるため、利用は控えましょう。

このように、官報は紙媒体だけでなく、インターネットでも閲覧が可能です。

ただし、紙媒体の官報は官報販売所でのみ購入でき、各都道府県に1ヶ所しか販売所がないため、簡単に手に入れることは難しいでしょう。

紙面版官報の入手方法とは?

紙面の官報は、官報販売所で購入することができます。

しかし、多くの都道府県では販売所が1ヶ所のみとなっており、直接購入するのは難しいのが現状です。

また、官報は県立・市立図書館や大学図書館などでも閲覧可能ですが、保存された官報は発行から2〜3日後にならないと閲覧できないため、最新のものを確認したい場合は注意が必要です。

どうしても官報を入手したい場合は、官報販売サイトからの購入も可能です。

当日分だけでなく、在庫があるものに限り過去1年分のバックナンバーも販売されています。

購入方法としては、 定期購読(1,641円/月) のほか、 単品購入 も可能です。価格は 本紙1部143円、政府調達版や号外はページ数によって価格が変動します。(税込・送料別途)

送料はかかるものの、希望の場所へ配送してもらえるため、インターネットでの購入が最も確実な官報の入手方法といえるでしょう。

インターネット官報の入手方法とは?

インターネット官報は、独立行政法人国立印刷局が 本紙・号外・政府調達等のすべての情報 を掲載しており、 過去30日分を無料で閲覧することが可能 です。

官報の情報はすべて PDFデータ で公開されており、オンラインで簡単に確認できます。

ただし、インターネット官報では 過去の自己破産情報を閲覧することはできません

30日より前の官報を閲覧したい場合や、特定の日付を指定して情報を検索したい場合は 会員制の有料サービスを利用することで閲覧が可能 です。

また、 破産情報の無料公開分(個人情報を除く)のデータベースを検索・閲覧できる非公式サイト も存在していますが、 非公式である以上、積極的な利用は避けるのが賢明 でしょう。

官報を閲覧するのは誰?

官報を見たことがある一般の方は少なく、そもそも官報の存在自体を知らない人がほとんどではないでしょうか。

官報を確認する可能性があるのは、事前に返済能力の有無を確認する必要がある職業に就いている方がほとんどです。

例えば、以下のような業種の方が該当します。

  • 金融機関
  • 信用情報機関
  • 警備会社・保険会社
  • 不動産関係の会社
  • 役所の税金関係の担当者

もちろん、官報は一般の方でも閲覧可能であり、法律や政治に関わる職業の方であれば、必要に応じて確認することもあるでしょう。

しかし、定期的に官報を確認する業者はごく一部に限られ、一般の個人が日常的に官報をチェックするケースはほとんどありません。

また、仮に仕事上の業務で偶然知人の自己破産情報を知ったとしても、その個人情報を周囲に公言したり、インターネット上に公開したりすることは 名誉毀損個人情報保護法違反 に該当する可能性があり、許される行為ではありません。

そのため、業務上知り得た破産情報が原因で、本人の自己破産が周囲に知られてしまう可能性は極めて低いといえるでしょう。

なお、官報には 国家試験の合格者 も掲載されるため、試験結果を確認するために官報を見たことがあるという方もいるかもしれません。

しかし、多くの人は 試験の合格者欄のみを確認する目的 で官報を購入するため、官報に掲載されたことで自己破産の事実が周囲に知られる可能性はほぼないと考えられます。

闇金業者が閲覧している可能性はある?

官報の情報をもとに、闇金業者が自己破産者に対して融資の勧誘を行うケースがあります。

お金に困っている人を狙い、営業を仕掛けてくるのです。

もちろん、このような怪しい話には決して耳を貸さないことが最善策です。

官報に名前が掲載されるということは、このようなリスクが伴う可能性があることも理解しておきましょう。

官報に掲載される破産者の個人情報とは?

官報の破産者名簿には、具体的にどのような情報が掲載されるのかを確認していきましょう。

官報の破産者名簿に掲載される情報

  1. 事件番号 … 裁判で付けられた識別番号
  2. 債務者の住所 … 番地まで詳細に記載
  3. 債務者の名前 … フルネームで掲載
  4. 破産が認められた日の日付
  5. 認められた内容 … 判決主文など
  6. 裁判所名

破産者の名前が官報に掲載されると聞くと、単純に 名前だけがリスト化された一覧表 のようなものを想像するかもしれません。

しかし、実際には ①~⑥の情報が細かく記載されているため、しっかり確認しなければ自分の名前が載っていることに気づきにくいでしょう。

また、破産者の年間件数は以下の通りです。

  • 2019年73,095件
  • 2020年78,104件
  • 2021年80,012件

2021年のデータを例にすると、 1か月あたり平均6,121件 の破産情報が官報に掲載されており、非常に多くの名前が記録されていることがわかります。

そのため、仮に官報を調べたとしても 破産者の名前が特別目立つように掲載されているわけではなく、ぱっと見ただけでは自分の名前が記載されているかどうかをすぐに確認するのは難しいでしょう。

とはいえ、 フルネームで掲載され、住所も番地まで詳しく記載 されているため、一度見つけられてしまうと 「自分ではない」と言い逃れるのは困難 かもしれません。

特に 官報をチェックする可能性のある業界へ入社予定の方は注意が必要 です。

官報には名前がいつまで掲載される?

官報に名前や住所などの破産者の個人情報が掲載されると、その情報が削除されることはなく、半永久的に掲載され続けることになります。

もちろん、破産者の個人情報が記載された官報が発行されるのは 一度きり であり、官報が発行されるたびに 毎回掲載されるわけではありません

しかし、一度発行された官報は 紙面・データともに半永久的に保存・公開 されることになります。

紙面の官報の保存期間には明確な規定はなく、保管方法は図書館の管理方針によって異なります。

ただし、 すべての官報のバックナンバーを閲覧することは可能 であり、基本的に 国立国会図書館のデジタルコレクションに半永久的に保管される ことになるでしょう。

官報の発行部数が増えれば増えるほど、過去の記録を探し出すことは難しくなるため、もともと見つけにくい破産者の情報はさらに判別しにくくなります。

とはいえ、 一度官報に掲載されると、その後も半永久的に記録が残る ことは、自己破産に伴うデメリットのひとつとして 理解しておく必要があるでしょう

官報に掲載されるタイミングは2回?

破産者の情報が官報に掲載されるタイミングは、原則として 2回 あります。

管財人がつかない(同時廃止)の場合

  • 破産手続きが開始され、同時に廃止されたとき
  • 免責許可決定がなされたとき

管財人がつく(管財事件)の場合

  • 破産手続きが開始されたとき
  • 破産手続きが廃止され、同時に免責許可決定がなされたとき
    ※ただし、管財事件で 免責許可決定と破産手続き廃止決定が異なる時期に行われた場合 は、それぞれのタイミングで官報に掲載されます。

掲載される内容は、 破産手続き開始時と免責決定時で大きな違いはなく名前や住所などの個人情報は2回とも記載 されることになります。

また、 自己破産手続きにおいて一定の財産があり、その財産を裁判所が管理しながら破産手続きを進める 「管財事件」 となる場合は、

  • 破産手続き開始時
  • 免責許可決定時
  • 破産手続き終了時

計3回 官報に掲載されることになります。

なお、官報への掲載は 各決定のおおよそ2週間後 に行われることが多いため、 事前に把握しておくとよいでしょう

官報に自己破産者リストはある?

官報の中には、「自己破産者リスト」といった一覧表のようなものは存在しません。これは官報だけでなく、他の媒体においても同様です。

官報から名前の削除を依頼できる?

自己破産をすると、官報に 名前や住所などの個人情報 が掲載されますが、一度掲載された官報を 後から削除してもらうことはできません

これは、 破産法 において 「自己破産をした場合には官報に掲載する」 ことが明確に定められているためです。

そのため、 掲載を拒否することも、後から削除してもらうこともできない という点に注意が必要です。

(公告等)

第十条 「この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。」

【参考情報】
破産法|法令検索(法務省)

官報で自己破産者の名前検索はできる?調べ方とは?

ここでは、 官報で自己破産者の名前検索が可能かどうか について解説していきます。

結論として、 官報を使って自己破産者の名前を検索する方法はありますが、ネット検索のように簡単に調べることはできません

スマホやパソコンで 「(個人名)自己破産」 と検索しても、 ニュースになっていない限り情報がヒットすることはありません

官報で自己破産者の名簿を検索する方法や、自己破産情報の調べ方については、以下で詳しく説明します。

官報の調べ方

  • 図書館で官報を検索する
  • インターネット官報を検索する
  • 官報販売所で官報を購入し検索する

図書館で官報を検索する方法とは?

図書館で官報の破産情報を検索・閲覧する場合、 調べ方には2つの方法 があります。

  1. 図書館が保管している紙面の官報を閲覧し、破産者名簿を検索する
  2. PC端末を利用し、「官報情報検索サービス」で破産者名簿を検索・閲覧する

注意点

すべての図書館で官報を閲覧できるわけではありません。

都道府県によっては 1ヶ所のみでの取り扱い であったり、 大学図書館を利用しなければならない 場合もあるため、 官報を閲覧できる図書館は限られています

そのため、 図書館で官報を閲覧したり、自己破産情報を検索したい場合は、事前に官報を保管している図書館を調べておくことをおすすめします

官報の紙面で破産情報を調べる方法

まず、 最もシンプルな方法 として、図書館に保管されている 紙面の官報を閲覧して破産者名簿を検索する方法 があります。

注意点

紙面版の官報の 保管方法や期間は図書館ごとに異なる ため、事前に確認が必要です。

  • 原紙やマイクロフィルムで保管されている場合がある
  • 「法令全書」などの編集された形式で閲覧できる場合もある
  • 保存期間も6ヶ月~と図書館によって異なる

また、 図書館に保存される官報は、発行から2〜3日後に閲覧可能となるため、最新の官報をすぐに確認したい場合は注意が必要 です。

過去の官報の閲覧方法は図書館によって異なるため、 図書館カウンターで司書に閲覧方法を尋ねるのが確実 でしょう。

自己破産情報の検索方法(紙面版)

紙面の官報を利用する場合、 「公告」欄に掲載された破産者名簿を直接確認するしかありません

  • 官報の破産者名簿は リスト化されていない ため、一つひとつ ひたすら目を通す必要がある
  • 1ヶ月分の官報を閲覧するだけでも 相当な分量 になる
  • 何年何月の情報を探しているのか明確でない場合、 検索作業はさらに困難

そのため、 紙面の官報を閲覧して破産者の情報を見つけるのは、非常に手間がかかる といえるでしょう。

官報情報検索サービスを利用した破産者情報の調べ方

もうひとつの調べ方として、 図書館のPC端末から「官報情報検索サービス」にアクセスし、破産者情報を検索・閲覧する方法 があります。

官報情報検索サービスの特徴と注意点

  • 官報情報検索サービスは図書館のPC端末からのみ利用可能
  • ログインには図書館司書がID・パスワードを入力する必要があるため、利用者が直接ログインすることはできない
  • 破産者情報以外にも、一般企業の会計情報や帰化した人の名前など、さまざまな情報を検索可能
  • インターネット官報とは別のサービスであるため、混同しないよう注意が必要

官報情報検索サービスの利用方法

  1. 図書館のカウンターで利用申請を行う
  2. 図書館司書がID・パスワードを入力しログイン作業を行う
  3. ログイン完了後、検索を実行(日付や記事単位で検索可能)

※図書館によっては 利用時間の制限がある場合があるため、事前に確認しておくことをおすすめします

官報情報検索サービスでの破産者名簿の検索方法

  1. 「掲載日」の項目を入力(1947年(昭和22年)5月3日以降の範囲で検索可能)
  2. 「全文検索」で「検索キーワード」と「日付(何年何月何日)」を入力
  3. 「裁判所関連を除く」のチェックを外す
  4. 「検索実行」をクリック
  5. 検索結果件数が表示される
  6. 一覧表示件数と記事の掲載順(新しい順/古い順)を設定
  7. 検索結果一覧が表示される
  8. 該当記事の表示形式を選択(テキストまたはイメージ(PDF))
  9. 記事が表示される

この方法では、 自己破産者の氏名・住所・自己破産時期(何年何月何日)を入力し、ピンポイントで検索 することが可能です。

検索のコツと注意点

  • 「自己破産(氏名)」のようなキーワードでは、自己破産者の情報がヒットしない可能性がある
  • 「破産」「破産者」「免責」など、検索キーワードによって検索結果が変わる
  • 住所を入力しても地図上に自己破産者の情報が表示されるわけではない

ピンポイント検索の難しさ

ピンポイントで検索が可能ということは、裏を返せば、 「個人名」「何年何月に行った自己破産手続きか」などの具体的な情報がないと、特定の自己破産者を探し出すことは難しい ということになります。

そのため、 「図書館で紙面の官報や官報情報検索サービスを閲覧した人が、偶然名簿から名前と住所を見つけてしまい、自己破産がバレた」という可能性は極めて低い といえるでしょう。

官報販売所で購入して調べる方法

官報販売所で官報を購入し、「公告」を確認することで、 自己破産者の氏名を調べることは可能 です。

ただし、官報販売所で購入できるのは 紙面版の官報のみ であるため、 自己破産者の氏名を検索する際は、目視で探す必要があります

さらに、 官報販売所は各都道府県に1ヶ所程度しかなく特に目的もなく官報を購入する人は極めて稀 だと言えるでしょう。

そのため、 官報販売所で購入した官報を経由して自己破産の事実が周囲に知られる可能性はほぼない と考えられます。

インターネット官報で検索する方法

インターネット官報を利用すれば、 誰でも直近30日分の自己破産者の情報を閲覧することが可能 です。

官報情報検索サービスとは異なり、 スマホやPCを使えばどこからでもアクセスできる ため、より手軽に確認することができます。

インターネット上に情報があると聞くと、 検索エンジンで氏名を検索すればすぐに見つかるのでは と思うかもしれません。

しかし、 インターネット官報はPDFデータで公開されているため、検索エンジンには引っかからず、ダイレクトに検索することはできません

とはいえ、 インターネット官報のPDFデータ内では文字検索が可能 なので、紙面の官報よりも 特定の個人名を検索しやすい という側面もあります。

ただし、 インターネット官報を定期的にチェックする人は少ないため、「偶然知り合いの名前を見つけた」という可能性は極めて低い といえるでしょう。

官報で自己破産が周囲にバレる可能性はほとんどない

図書館の検索サービス・インターネット官報・購入した官報の紙面、 これらすべての検索方法に共通しているのは、官報が原因で自己破産が周囲にバレる可能性は極めて低い という点です。

自己破産者の情報は膨大であるため、 官報の検索サービスを利用したとしても簡単に調べる方法はなく偶然や軽い好奇心程度では知人の破産情報を見つけることは困難 です。

ただし、 特定の人物の破産情報を執拗に調べようとする悪意のある人物がいた場合、破産情報が発見される可能性は十分にあるため、そのような人物が周囲にいる場合は注意が必要です。

また、知人ではなくても、 官報に掲載された自己破産者名簿から氏名や住所を取得し、ダイレクトメールを送る闇金業者が存在する ことも事実です。

そのため、 少しでも個人情報を漏らしたくない、または悪用されたくないと考える方にとっては、官報への掲載は大きなデメリット だといえるでしょう。

とはいえ、 官報に掲載された破産者名簿を利用してプライバシーを侵害したり、名誉を傷つける行為は、利用規約で禁止 されています。

万が一情報が悪用された場合は、 名誉毀損罪により、悪用した人物に対して刑事罰を科すことが可能 です。

破産者マップとは?

官報に掲載された 自己破産者名簿が悪用された例 のひとつとして、 破産者マップ が挙げられます。

破産者マップとは?

破産者マップとは、 官報に掲載された自己破産者名簿をWeb上で公開し、破産者の情報を地図上で照会できるようにしたもの です。

自己破産者の名前が 一覧やリスト化されているわけではありません が、地図上のポイントをクリックすると 自己破産者の氏名や破産情報が表示される 仕組みになっていました。

さらに、 個人情報の悪用に加え、掲載情報の削除と引き換えに金銭を要求する など、 極めて悪質な手法 が問題視され、 社会問題にまで発展 しました。

破産者マップの危険性

破産者マップに情報が掲載されると、 自己破産者の氏名や住所が簡単に検索できる状態 になり、 ネット上で見つけやすくなるため非常に危険 です。

初代破産者マップは 2019年3月19日個人情報の侵害を理由に削除 され、裁判にも発展しましたが、 その後も類似サイトが定期的に登場し問題となっています

2023年現在の状況

現在存在している破産者マップでは、 2009年〜2022年の破産者情報が閲覧可能 となっています。

破産者マップによる 官報の自己破産者リストの削除が1日も早く実現されることを望みます

破産者名簿とは?

破産者名簿 とは、本籍地の市町村役場で作成・保管される 自己破産者の名簿 です。

破産者名簿の目的と役割

  • 破産者名簿は 自治体が身分証明書発行の際に利用する資料 です。
  • 破産手続き中の人物が就くことができない職業(士業など)に就く際に必要な 「破産者でない」という身分証明書を発行するための確認資料 として作成・使用されます。

破産者名簿に掲載されるケース

破産者名簿には、 破産手続開始決定を受けたものの、免責許可決定を受けられなかった場合にのみ破産者の情報が掲載 されます。

しかし、 免責許可が下りないケースは非常に稀 であるため、 実際に破産者名簿に名前が載っている人の方が少ない といえるでしょう。

破産者名簿の閲覧と情報の取り扱い

  • 破産者名簿には すべての破産者の情報が掲載されるわけではなく、閲覧できる人も ごく限られた人物のみ です。
  • そのため、 破産者名簿を見られたことで自己破産がバレる可能性はほとんどない といえます。
  • そもそも 自己破産手続が認められた人は名簿に掲載されません
  • さらに、免責許可が下りなかった場合でも その後に復権(破産者でなくなる)すると、破産者名簿から個人情報は削除 される仕組みになっています。

自己破産の特性をメリットとデメリットとは?

自己破産をすると、 官報に破産者の個人情報が掲載される というデメリットがあります。

官報が原因で 周囲にバレる可能性はほとんどない とはいえ、 名前が掲載されること自体を快く思わない 方もいるかもしれません。

そこで、ここからは 自己破産のデメリットを踏まえたうえで、それでも自己破産を選択すべきかどうか について解説していきます。

自己破産のデメリットとは?

官報に名前が掲載されること も、自己破産のデメリットのひとつです。

しかし、それ以外にも

  • 家や土地、車などの財産を処分する必要がある
  • 信用情報機関に登録され、5年〜10年程度はクレジットカードの作成や高額ローンの利用ができなくなる
    といった影響があります。

また、 弁護士などの士業、警備員、保険の外交員など、一部の職業では資格が停止される ケースもあります。

自己破産のデメリットはあるが、限定的

このように、自己破産にはさまざまなデメリットがあり、社会生活に一定の影響を及ぼすものもあります。

しかし、 これらのデメリットはすべて限定的であり、後述する自己破産のメリットと比べれば、借金問題に悩んでいる方にとっては自己破産を選択する価値がある といえるでしょう。

たしかに、自己破産をすると 大きな財産を手元に残すことは難しくなります

ただし、

  • 家を残したい場合には「個人再生」という手続きを選択できる
  • 車については、時価総額が20万円未満であれば処分せず手元に残せる

といった 回避策も存在します

また、 職業に制限がかかるのは一部の職種のみ であり、 一般の会社員であれば特に制限なく自己破産をすることが可能 です。

さらに、 官報に掲載されたとしても、それが原因で周囲に破産がバレる可能性はほぼない ことを考えると、 自己破産のデメリットを過度に心配する必要はない といえるでしょう。

高額財産の喪失

自己破産のデメリットとして最も有名なのは、持ち家や車、装飾品などの高額な財産を失うこと でしょう。

しかし、 没収の対象となるのは金銭的価値のあるものに限られ

  • 生活必需品
  • 自己破産後の生活に必要な現金(99万円まで)

は手元に残すことができます。

金融庁が作成する「多重債務者相談マニュアル」にも、以下のような記述があります。

自己破産を選択した場合には、相談者の持っている財産は、最低限の生活資材を除き現金に換えられ、債権者に配分されます。このため、相談者が1ヶ月どのくらいの費用をかけて生活しているのか、仮に無駄な出費があるとすれば、どのような費用を削減できるかを把握していきましょう。
引用元:金融庁

ブラックリストに登録される

こちらも自己破産のデメリットとしてよく知られているもののひとつです。

自己破産後にブラックリストに載ることで、一定期間は各種ローンの審査が通りにくくなり、新たな借り入れが難しくなる可能性が高くなります。

さらに、 賃貸物件の契約やクレジットカードの発行も困難になる ため、 生活スタイルを見直さざるを得ないケースも考えられるでしょう。

ブラックリストの掲載期間

ブラックリストの掲載期間は、 おおよそ5年から10年程度 とされています。

そのため、 自己破産後からブラックリストが解除されるまでの間、どのように生活を維持するか、また ブラックリストの掲載期間が何年程度になるのか を事前に見通しておくことが重要です。

自己破産手続き中に制限される職業

以下の職種は、自己破産手続き中に制限がかかります。

  • 弁護士や司法書士などの士業
  • 会社もしくは団体企業の役員
  • 宅地建物取引主任者
  • 保険外交員 など

これらの職業に就いている方は、自己破産手続き中に業務を行うことができません。

また、東京弁護士会のページにも、自己破産による資格制限について以下のように記載されています。

自己破産による資格制限があるのは以下のような場合です。生命保険募集人・損保代理店・宅地建物取引主任者・警備員・風俗営業管理者・弁護士・税理士などができなくなります。
引用元:東京弁護士会

自己破産後、 職業制限が解除されるまでに何年もかかるわけではありません が、状況によっては 転職が必要になったり、会社に自己破産したことを申告しなければならない 場合もあります。

そのため、今後の生活に大きな影響が出る可能性がある点には注意が必要 です。

自己破産のメリットとは?

自己破産の最大のメリットは、何といっても債務の全額免除です。

税金や養育費など、一部免除されない債務もありますが、ほとんどの借金は返済の義務がなくなり、借金地獄から解放されることになります。

特に、 任意整理などの返済方法ではもはや対応できないほど借金の額が膨らんでしまった場合、自己破産によって 借金を全額免除してもらうことで、生活を立て直すことが可能 です。

自己破産は人生をやり直すチャンス

経済的に追い込まれている人にとって、自己破産による 借金の全額免除は、官報に掲載されるなどのデメリットを考慮してもなお、人生を再出発する大きなチャンス となるでしょう。

ただし、 自己破産の手続きは複雑 であるため、自己破産をすべきか迷っている場合は、 まずは自己破産に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。

まとめ

自己破産を検討するべき理由と注意点

  • 官報がきっかけで自己破産が周囲にバレることはほとんどない
  • 借金に苦しんでいるなら、自己破産を前向きに検討すべき
  • 自己破産に関する相談は弁護士事務所へ

官報は紙媒体でもインターネットでも閲覧でき、特別な手続きなしに誰でも確認可能 です。

しかし、実際に官報を見たことがある人は少なく、多くの人は 官報という紙面の存在すら知らない かもしれません。

また、官報は YahooやGoogleなどの検索エンジンで名前を検索しても結果が表示されないよう配慮されている ため、 官報に名前が載ったことが原因で自己破産が周囲に知られる可能性はほぼない といえます。

自己破産を諦めてしまう前に

自己破産にはデメリットがあるため、 官報に掲載されることで周囲にバレるのではないかと心配し、何年も自己破産をためらってしまう方もいる でしょう。

しかし、 官報をきっかけに自己破産がバレるケースはほとんどない ため、安心して自己破産を検討し、生活を立て直すことが大切です。

長年、借金に悩み続けてきた方は、 これを機に自己破産を前向きに考えてみてはいかがでしょうか